記者会見大臣発言要旨 (平成13年4月26日一般紙共同記者会見)

(大臣)数時間前に、お世話になりましたと申し上げましたばかりでございますが、また務めさせていただくことになりまして引き続きよろしくお願いいたします。皆さんと議論をしながら、考えていければいいと思っています。総理からは2つお話しがございました。ひとつは、地球温暖化等の地球環境問題について積極的に取り組んで、COP6再開会合に向けて最大限努力してほしいということ。もうひとつは、循環型社会の構築に向けて、廃棄物行政の一元化したメリットを生かしながら、関係省庁と一致協力をして仕事をしてほしいと伺いました。その前にお電話をいただいたときは自然と共生をするということが大事である、循環型社会の構築が大事である、自分としても一生懸命やりたいと思うので、よろしくとおっしゃっていただきまして、私としても従来にも増して努力をしていかなければいけないと思っております。当面は、COP6再開会合に向けこれから5月6月とさまざまな国際会合もございますし、国内でのいろいろな仕組みの構築ということでやることはたくさんあると思っています。それから国会で、まだお願いをしている法律6本のうち、環境省設置法だけが成立したという状況でございまして、国会再開後は残る法律5本を成立させていただけるよう一生懸命やりたいと思っております。それから循環型社会の構築について言えば、個別リサイクル法の実施状況を見守るということもありますし、不法投棄の問題もありますし、やることはたくさんあると思っています。さらに、今日の総理の閣議でのご発言にもありましたが、国民の立場に立って同じ目線で、ともに痛みを分かち合っていくということ。環境政策を作っていく上で、今までもタウンミーティングなどで市民との対話を心掛けてきたところですが、さらにひとつ進めて、NGOの方々の政策を実際の政策に活かすような仕組みを作りたいと思っています。具体的には、政策発表会をやって、その中で意見交換を行い政策に活かしていくというようなことをやりたいと思っています。私からは以上です。
(質問)今日、総理からの電話はいつどこでお受けになりましたか。
(大臣)総理からは4時くらいに直接お電話いただきました。
(質問)この内閣の性格についてどのように思っておられますか。
(大臣)改革断行内閣だと総理がおっしゃられまして、今までの既成の概念ということを一度横において、何が本当にいいか考えてやっていこうとする内閣だと思っています。内閣の構成をみてもそういうことが目に見える形でわかる内閣だと思います。実際に、閣議・閣僚懇談会などの場でかなり議論が行われる予感をもっております。改革断行内閣を環境の立場でどういうふうにしていくかということを考えたいと思っています。その1つが先程申し上げたNGOの考えている政策を環境省の政策に繋げるということです。
(質問)NGOの政策を取り入れる政策発表会とおっしゃいましたが、それは、NGOを集めて政策を発表させて、その中から政策に取り上げていこうということですか。
(大臣)私は意見を発表させるなどとは思っておりません。今までも、こういうことができるのではないかという提言はたくさんいただいています。それを1つの場で発表していただいて、議論をし、考えていくということが必要だということです。
(質問)性急な質問ですが、いつごろからなさるおつもりですか。
(大臣)夏頃、7月くらいまでにはと思っております。
(質問)内閣が変わり、総理が変わり、外務大臣には田中真紀子さんが就任されましたが、新しい布陣になり、COPの温暖化交渉にどのように力を発揮していくのか、今までと変わってくるのか、いかがでしょうか。          (大臣)今の段階では、変わるとか変わらないとかは言えないと思います。交渉はこちら側だけでなく他の国もあります。両方がそれぞれ意見をぶつけ合い何らかの結論が出てくるわけで、しかも、これは2国間の話し合いではなく多国間の話し合いですから、会合の場のダイナミックスもあるわけです。温暖化の交渉は環境の問題でもあり、外交の問題でもあり、経済の問題でもある、多面的な問題です。そこに関わるいろいろなことが動いていくだろうと思っております。内閣の布陣が変わって、外務大臣が変わったということがどういうふうに影響するかということですが、それ以外にもいろんな動きがあるわけです。ですから現時点ではなんとも言えないわけです。私は、新外務大臣が地球環境問題についてどういうお考えをお持ちなのか、まだ伺っておりませんので、今後、伺っていくことになると思います。
(質問)新外務大臣が、ワシントンポストに京都議定書に反対する10名ほどの方々と意見広告を出されました。はっきりと意思表示された外務大臣ということで、今までとちがうのではないかと思いますが、いかがお考えですか。
(大臣)先程申し上げたように、これからいろいろな力が交際交渉の場で働きうるわけです。前にも申し上げましたが、現在は10年間で最大の危機であるという局面ですが、ニューヨークの会議でも皆で一生懸命知恵を出していくべきだという意見で一致しており、そういう力が働いている時ですから、これからもダイナミックに交渉が動いていくと思います。
(質問)官邸での会見で、7月のCOP6再開会合では最終的に総理の決断を仰ぐこともあるとおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなことについてでしょうか。
(大臣)ハーグでも2回ほど森総理にお電話をしています。その都度重要なことについてご判断を仰いだわけです。同じように7月のCOP6再開会合でも、多国間の交渉ですからどのようになるかわかりません。自分が思うとおりに進むということは国際交渉ではあり得ません。譲り合いですから、総理のご決断を仰ぐことも有ろうと思っています。
(質問)ハーグと決定的に違いは米国抜きでという決断もあり得るわけで、これも選択肢に含めて決断を仰ぐということでしょうか。
(大臣)論理的には米国抜きでという決断もあるかも知れませんし、シンクについてもあるかもしれませんし、発展途上国への援助の問題もあるかもしれません。実際には何があるかわかりません。今は、白紙に各国が皆で絵を描いていくということです。なんでもあり得ると思います。
(質問)新内閣で新たなお気持ちで環境行政に取り組まれると思いますが、環境省になってからさらにここは変えて行きたいという点はございますか。
(大臣)環境省が発足してまだ4ヶ月です。この4ヶ月間、透明性の確保ですとか、国民の皆さんと共に歩むとか、国際的にリーダーシップをとるとかいろいろなことを申し上げてきました。戦い進化をする環境省を、また、環の国を皆で作っていきましょうということも言ってきました。4ヶ月ですべて変わることはないので、引き続き同じ路線でやっていきたいと思っています。総理がおっしゃたように、改革断行内閣ですから、私の持論でもありますが、民に任せるところは民に任し、官がやるべきことは官がやらなければいけない、そういうメリハリをつけていくことが必要だと思っています。それから、総理の談話に地球環境問題について、我が国に相応しい国際的指導性を発揮してまいりますとあります。基本的に今やっている路線を進めていきつつ、改革断行内閣の目で見直すことがあるかどうかはさらに考えていきたいと思います。今までもそういう路線でやってきたつもりです。
(質問)改革断行内閣という中で、ご自身が再任されたのは何故だとおもわれますか。
(大臣)環境問題が重要だということだと思います。地球環境問題が重要だということもありますし、国内での温暖化対策の体制作りもありますし、国民の安全と安心の確保、循環型社会の構築など重要な政策をやっていくときに、小泉総理は一内閣一大臣とおっしゃっていますが、人がくるくる変わることは良くないと、また環境問題が重要だという認識を総理がお持ちになっているためだと思います。(質問)特に今の時期が重要ということですか。              (大臣)小泉内閣にとって環境が非常に重要だということだと思います。
(質問)小泉総理が、閣僚をころころ変えないとおっしゃっているということで、環境大臣としてある程度ロングスパンで考えて、私はこれをやってみたいということはございますか。
(大臣)政策のスタイルとしては、今までずっと変えていないつもりです。それをこれからもやっていくつもりです。仕事の中味、対象で言いますといくつかあります。循環型社会の構築、環の国作りということで、様々なご意見をいただいています。公共工事をやっていく時、環境保全を考えた公共工事を前面に据えてできるのではないか。或いは、破壊された環境の修復という公共工事ができるのではないかと思っています。ただ、環の国づくりは環境省が全部やることではなく、政府全体として、環境に良いことをそれぞれのご担当でやっていくということです。環境省は扇のかなめのような仕事を強化して、公共工事と環境ということを推進したいと思っています。また、温暖化問題・循環型社会を作るということを考えた時に、それぞれの人がライフスタイルを変えて行く必要があります。それを政府の強制ではなく、国全体がそういう方向に自然に動くようなことができないだろうか。そのためには工夫が必要だと思っています。人のライフスタイルの改革というのは、政府がこうしなさいというようなレベルの話ではない訳です。ある国全体で、国民の一人ひとり、生活者みんなが何か思う動機があって、生活を変えていこうと思っていくことが必要となるので、政府としてはそのための基盤作り、インフラ整備をしていくのが大事だと思っています。環の国づくりの会議の場ではいろいろな話があります。ITと環境をもっと繋げる、それぞれの地域の環境の状況をIT技術を使って把握することなどできるのではないかと考えています。
(質問)先程、公共工事と環境とおっしゃていますが、環境省が前面に出ていき事業官庁のように環境を修復するというような形ではなく、アドバイザーや調査の面で役割を担っていこうということでしょうか。それとも、もっと踏み込んで実際にスコップを持ってやったりすることも想定されているのでしょうか。
(大臣)そこは、これから考えることですが、気持ちとしては意見を申し上げるだけではなく、もうちょっと違うことができるのではないか。そのちょっとが具体的に何になるかは、これから私としても考えていきますし、環境省の皆にも考えてもらいたいと思っています。                    
(質問)ライフスタイルを変えていくために政府がインフラ整備とおっしゃいましたが、インフラというと形のあるものを考えますが。
(大臣)ソフトなインフラということです。日本のあちこちに様々なNGOの方がいらっしゃって、様々な活動をしています。その活動を水平展開することだけでもいろいろできると思います。また、ITを利用していけばもっとできることがあると思います。今は、キチンと考えて申し上げているのではなく、ご質問があったので、夢を語っている部分もあります。しかし、工夫をすればできると思います。社会のソフトなインフラということです。
(質問)破壊された環境の修復ということに言及されました。具体的にお考えはありますか。
(大臣)先日、多摩川の視察をしましたが、地域の住民の方が環境を大事にされてまして、国がハードの部分をやるということと併せて、地域の方々がいろいろなさっているという所でした。たとえば、そういうことを他の地域にも出来ないかと思いますし、また技術開発もありますし、いろいろなことが考えられると思います。
(質問)明日、水俣病の関西訴訟の控訴審の判決があります。これが終われば、環境省として水俣病関係の裁判はすべて終わるわけですが、環境省としては、水俣病問題は過去の問題になりつつあるのではないでしょうか。今後、水俣病問題の教訓を環境行政にどう活かしていくか、国際協力の面等でどうお考えでしょうか。
(大臣)水俣病問題の教訓を今後に活かしていくことはとても大事なことです。環境省としては、既に、水俣病研究センターもありますし、国際会議で経験を語っていただいております。そういう動きは大事で、ずっと続けていかなければと思っています。これは、決して風化させてはいけない、日本における共有するもの、歴史だけではなく現代に意味するものも含めて、水俣病問題はそういう問題の1つだと思います。環境省は決してそれを忘れているとか、風化しているとかはありません。職員一人ひとりの意識を考えても、そういうことは全くないと思っています。   
(質問)再任ということで、前の内閣と比較すると、首相が森さんから小泉さんに変わったことと、女性が2人から過去最大の5人に変わったことでの前の内閣との印象の違いをお聞かせ下さい。
(大臣)小泉内閣はこれからですから、今は業績などについて申し上げる段階ではなく、やるべきことをやっていくということです。森内閣については、今朝も申しましたが、私はやるべきことをやった内閣だと思っています。ITについても、日本新生についても枠組みを作ったということです。それを引き継いで小泉内閣もきちんとやっていくということだと思います。教育問題についても、地球環境問題についても、日本経済の建て直しについてもそうです。始めたことを引き続きやっていくということです。女性が5人に増えたのは、個人としては大変うれしいことだと思っています。また、民間の人が3人なったということも嬉しいと思っております。やはり、様々な意見が反映されるということが必要だと思いますし、違う視点からの考え方が内閣の仕事に反映されるようなこと、それが内閣の責任だと思っています。
(質問)先程の公共事業と環境を進めていくということでは、まず問われるのは有明海の問題ですが、改めてどういうふうに取り組まれるのかお考えをお聞かせ下さい。また、有明海、諫早湾には行かれないのですか。
(大臣)谷津前農水大臣がリーダーシップをとられて、まず、予断を持たずに徹底的に調査をするというこをおっしゃいました。環境省としても環境の保全という立場からできる調査をやらせていただくということで、新年度になってから総合的な調査をやり始めています。これからのことは、その総合的調査の結果を見てからになります。全体として何をやったらいいか、何が必要なのか議論をする必要があると思います。それを今やっています。その結果、コンセンサスが出来た状態で制度化を考えることもひとつの選択肢だと考えています。まずはきちんと調査をするということです。先程も言いましたが、多摩川は公共工事と自然の保全をうまくかみあわせてやっているいい例です。そういう例がもっとつくれるのではないかと思います。それは有明海についても思います。
(質問)具体的に現地へ行かれて地元の方の話を聞くということを考えておられますか。
(大臣)5月1日に水俣へ行きます。現在閣議などの日程がわかっていませんが、うまく時間がとれればその時にでも行きたいと思います。日程上だめでも、国会中なのでなかなか遠くへ行くことができないですが、どこか別の近くの現場にも行きたいと思います。現場主義ですが、もっと知識を蓄える必要があると思っています。
(質問)有明海を見るということでしょうか。それとも諫早の干拓を見るということですか。
(大臣)日程の問題があり具体的にはどこと言える段階ではありませんが、時間の許す限り見たいと思っています。
(質問)有明海を見るということですか。
(大臣)水俣に行くのでそこは見ることになると思いますが、諫早は日程次第です。
(質問)有明海では、地元の方たちが特別立法を望んでいると聞いていますが、それについて意見交換のお考えはありますか。
(大臣)具体的にどういうことが結論として想定できるか、今は調査の段階ですから申し上げることはできません。結論との関係とは別に、常に現場を勉強したいと思っていますので、時間が許せばお話を伺いたいと思っています。
(質問)水俣に行かれる目的はなんでしょうか。
(大臣)水俣へ行くのは5月1日の慰霊祭に出席するためです。
(質問)NGOの政策発表会のことですが、具体的にどのようなテーマでとはお考えですか。
(大臣)夏くらいまでにはと時期的には思っています。対象となる政策分野を絞るかなどはこれから検討してもらおうと思っています。NGOの方は広く環境政策全部を考えている方もいますが、その内の一部についての専門家もいらっしゃいます。どういう切り口で考えたらいいかこれから検討してもらいます。

(了)