環境省大気環境・自動車対策振動対策について振動規制法施行状況調査

平成21年度振動規制法施行状況調査について

平成22年12月24日(金)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
 直通:03-5521-8299
 代表:03-3581-3351
 室長:大村 卓 (内線6540)
 室長補佐:久保 祥三(内線6543)
 担当:木村 仁美(内線6546)


 環境省は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成21年度における振動規制法の施行状況を取りまとめました。

1.目的

 環境省では、振動防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、指定都市、中核市、特例市及び特別区を通じ、振動規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめています。

2.調査結果の概要

(1)振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成21年度末現在、全国の市区町村の70.8%に当たる1,239市区町村であった。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は、平成21年度末現在、全国で125,556件であった。また、同法に基づき届出された規制対象の建設作業(特定建設作業)の総数は、32,250件であった。

(2)振動苦情の状況

 振動苦情の件数は、平成21年度は2,540件で、前年度に比べ401件減少した。
 苦情の内訳をみると、建設作業が最も多く、1,458件(全体の57.4%)、工場・事業場が580件(22.8%)、道路交通が213件(8.4%)等であった。
 前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が316件(17.8%)、工場・事業場に係る苦情が87件(13.0%)減少した。

(3)振動規制法に基づく措置等の状況

 平成21年度の振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は161件であった。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は121件、報告の徴収は44件、振動の測定は61件であった。測定の結果、規制基準を超えていたものは9件であり、改善勧告及び改善命令は行われなかった。この他、行政指導が135件行われた。
 また、指定地域内の特定建設作業に係る苦情は508件であった。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は358件、報告の徴収は76件、振動の測定は84件であった。測定の結果、規制基準を超えていたものは2件であり、改善勧告及び改善命令は行われなかった。この他、行政指導が471件行われた。

3.調査結果の詳細

3-1 振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

(1)地域指定の状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成21年度末現在、全国の市区町村の70.8%に当たる1,239市区町村であった(表1)。

表1 振動規制法地域指定の状況(平成21年度末現在)
全市区町村数 786 23 757 184 1,750
振動規制法地域指定 750 23 426 40 1,239
割合(%) 95.4% 100.0% 56.3% 21.7% 70.8%

(2)特定工場等総数及び特定施設の届出数

 振動規制法に基づき届出されている特定工場等の総数は、平成21年度末現在125,556件で、前年度(125,989件)より433件(対前年度0.3%減)減少している(表2)。また、特定施設の総数は848,609件で前年度(860,091件)より11,482件(対前年度1.3%減)減少している(表3の[2])。
 特定工場等の内訳をみると、金属加工機械を設置しているものが32.0%と最も多く、次いで、圧縮機が31.9%、織機が14.9%の順となっている(表3の[1])。
 特定施設の内訳をみると、金属加工機械が32.6%、織機が29.2%、圧縮機が22.4%とこれら3施設で全体の8割以上を占めている(表3の[2])。

表2 特定工場等総数の最近の推移
平成19年度 平成20年度 平成21年度
特定工場等総数 126,996 125,989 125,556
対前年度比 1,826△  1,007△  433△
(増減率) (1.5%) (△0.8%) (△0.3%)

△は減少を示す。

表3 法に基づく届出件数(平成21年度末現在)
[1] 特定工場等総数
主要な設置特定施設 総数 (%)
125,556 100.0%
金属加工機械 40,234 32.0%
圧縮機 40,092 31.9%
土石用破砕機等 3,975 3.2%
織機 18,652 14.9%
コンクリートブロックマシン等 852 0.7%
木材加工機械 2,543 2.0%
印刷機械 10,444 8.3%
ロール機 717 0.6%
合成樹脂用射出成形機 6,970 5.6%
鋳型造型機 1,077 0.9%
[2] 特定施設総数
特定施設 総数 (%)
848,609 100.0%
金属加工機械 276,659 32.6%
圧縮機 189,723 22.4%
土石用破砕機等 20,130 2.4%
織機 247,638 29.2%
コンクリートブロックマシン等 2,056 0.2%
木材加工機械 4,801 0.6%
印刷機械 37,627 4.4%
ロール機 3,727 0.4%
合成樹脂用射出成形機 60,519 7.1%
鋳型造型機 5,729 0.7%

(3) 特定建設作業の実施届出件数

  平成21年度中の特定建設作業実施届出件数は32,250件(前年度32,744件)であり(表4)、その内訳をみると、ブレーカーを使用する作業が25,189件(同25,831件)、くい打機等を使用する作業が5,406件(同5,931件)の順となっており、これらが大部分を占めている(表5)。

表4 特定建設作業件数の最近の推移
平成19年度 平成20年度 平成21年度
特定建設作業件数 34,807 32,744 32,250
対前年度比 47 △ 2,063 △ 494
(増減率) (0.1%) (△5.9%) (△1.5%)

△は減少を示す。

表5 特定建設作業の届出件数
特定建設作業の種類 届出件数 (%)
32,250 100.0%
くい打機等を使用する作業 5,406 16.8%
鋼球を使用して破壊する作業 778 2.4%
舗装版破砕機を使用する作業 877 2.7%
ブレーカーを使用する作業 25,189 78.1%

3-2 振動苦情の状況

(1)苦情件数の推移

  平成21年度に全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は2,540件であった。これは、前年度(2,941件)と比べて401件(対前年度13.6%減)の減少となり、3年連続の減少となった(図1)。

図1
図1 振動苦情件数の推移

(2)発生源別の苦情件数

 平成21年度の苦情件数を発生源別にみると、建設作業が1,458件(全体の57.4%)で最も多く、次いで工場・事業場580件(22.8%)、道路交通213件(8.4%)、鉄道65件(2.6%)の順となっている(図2、図3)。
 また、前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が316件(対前年度17.8%減)、工場・事業場に係る苦情が87件(対前年度13.0%減)減少した。

図2
図2 苦情件数の発生源別内訳(平成21年度)

図3
図3 過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳

(3)都道府県別の苦情件数

  平成21年度の苦情件数を都道府県別にみると、東京都の624件が最も多く、次いで大阪府が298件、神奈川県が255件、埼玉県が234件、愛知県が181件となっている。振動苦情件数の上位5都府県における合計件数が全体の62.7%に達するなど、大都市を有する地域における苦情が大きな割合を占めた。この傾向は、人口100万人当たりの苦情件数においても同様であった。(表6、表7)。

表6 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
苦情件数 人口100万人当たりの苦情件数
都道府県 件数 都道府県 件数
東京都 624 東京都 48
大阪府 298 大阪府 34
神奈川県 255 埼玉県 33
埼玉県 234 神奈川県 29
愛知県 181 愛知県 24
全国 2,540 全国平均 20

※人口は平成21年10月1日現在の総務省統計局推計人口による。

表7 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況
都道府県 平成20年度 平成21年度 増減 増減率
北海道 57 51 △ 6 △ 10.5%
青森県 10 12 2 20.0%
岩手県 11 2 △ 9 △ 81.8%
宮城県 31 42 11 35.5%
秋田県 18 11 △ 7 △ 38.9%
山形県 14 8 △ 6 △ 42.9%
福島県 11 13 2 18.2%
茨城県 37 29 △ 8 △ 21.6%
栃木県 15 18 3 20.0%
群馬県 38 45 7 18.4%
埼玉県 264 234 △ 30 △ 11.4%
千葉県 187 133 △ 54 △ 28.9%
東京都 708 624 △ 84 △ 11.9%
神奈川県 258 255 △ 3 △ 1.2%
新潟県 56 46 △ 10 △ 17.9%
富山県 12 11 △ 1 △ 8.3%
石川県 15 11 △ 4 △ 26.7%
福井県 13 12 △ 1 △ 7.7%
山梨県 5 9 4 80.0%
長野県 23 13 △ 10 △ 43.5%
岐阜県 28 28 0 0.0%
静岡県 52 51 △ 1 △ 1.9%
愛知県 222 181 △ 41 △ 18.5%
三重県 40 23 △ 17 △ 42.5%
都道府県 平成20年度 平成21年度 増減 増減率
滋賀県 19 22 3 15.8%
京都府 45 38 △ 7 △ 15.6%
大阪府 349 298 △ 51 △ 14.6%
兵庫県 108 49 △ 59 △ 54.6%
奈良県 5 11 6 120.0%
和歌山県 13 4 △ 9 △ 69.2%
鳥取県 5 5 0 0.0%
島根県 2 1 △ 1 △ 50.0%
岡山県 44 34 △ 10 △ 22.7%
広島県 28 34 6 21.4%
山口県 10 6 △ 4 △ 40.0%
徳島県 4 10 6 150.0%
香川県 1 5 4 400.0%
愛媛県 22 11 △ 11 △ 50.0%
高知県 0 1 1 -
福岡県 76 58 △ 18 △ 23.7%
佐賀県 17 10 △ 7 △ 41.2%
長崎県 3 5 2 66.7%
熊本県 14 20 6 42.9%
大分県 6 13 7 116.7%
宮崎県 18 16 △ 2 △ 11.1%
鹿児島県 19 21 2 10.5%
沖縄県 8 6 △ 2 △ 25.0%
合計 2,941 2,540 △ 401 △ 13.6%

△は減少を示す。

(4)規制対象とそれ以外の苦情件数との比較

  平成21年度の工場・事業場に対する苦情総数580件のうち、振動規制法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、161件(全体の27.8%)であった。また、建設作業に対する苦情総数1,458件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は508件(34.8%)となっている(表8)。

表8 規制対象とそれ以外の苦情件数  (工場・事業場、建設作業)
発生源の種類 工場・事業場 建設作業
特定工場等 左記以外 特定建設作業 左記以外
年度 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外
平成20年度 件数 179 17 375 96 667 615 16 1,080 63 1,774
26.8% 2.5% 56.2% 14.4% 100.0% 34.7% 0.9% 60.9% 3.6% 100.0%
平成21年度 件数 161 18 350 51 580 508 17 874 59 1,458
27.8% 3.1% 60.3% 8.8% 100.0% 34.8% 1.2% 59.9% 4.0% 100.0%

3-3 振動規制法に基づく措置等の状況

(1)特定工場等に対する措置等の状況

 振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は161件(前年度179件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査が121件(同145件)、報告の徴収が44件(同46件)、振動の測定が61件(同74件)であった。測定の結果、規制基準を超えていたものは9件(同15件)であり、改善勧告及び改善命令は、前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が135件(同176件)行われた(表9)。

表9 指定地域内の特定工場等振動に係る措置等の状況
平成20年度 平成21年度 増減率
立入検査 145 121 △ 16.6%
報告の徴収 46 44 △ 4.3%
振動の測定 74 61 △ 17.6%
(うち基準超過) 15 9 △ 40.0%
改善勧告 0 0 -
改善命令 0 0 -
行政指導 176 135 △ 23.3%
(参考)苦情件数 179 161 △ 10.1%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(2)特定建設作業に対する措置等の状況

 振動規制法の指定地域内における特定建設作業に係る苦情は、508件(前年度615件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査358件(同433件)、報告の徴収76件(同96件)、振動の測定84件(同137件)であった。測定の結果、基準を超えていたものは2件(同8件)であり、改善勧告及び改善命令は前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が471件(同548件)行われた(表10。

表10 指定地域内の特定建設作業振動に係る措置等の状況
平成20年度 平成21年度 増減率
立入検査 433 358 △ 17.3%
報告の徴収 96 76 △ 20.8%
振動の測定 137 84 △ 38.7%
(うち基準超過) 8 2 △ 75.0%
改善勧告 0 0 -
改善命令 0 0 -
行政指導 548 471 △ 14.1%
(参考)苦情件数 615 508 △ 17.4%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(3)道路交通振動に対する措置の状況

 振動規制法の指定地域内における道路交通騒音の苦情は192件(前年度191件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、振動の測定が50件(同82件)であり、前年度に引き続き要請限度を超えていたものはなかった。また、都道府県公安委員会に対する要請及び道路管理者に対する要請は、前年度に引き続き行われていない。
  なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、都道府県公安委員会に対する同様の措置依頼が12件(同6件)、道路管理者に対する措置依頼が76件(同89件)行われた(表11)。

表11指定地域内の道路交通振動に係る措置等の状況
平成20年度 平成21年度 増減率
振動の測定 82 50 △ 39.0%
(うち要請限度超) 0 3 -
公安委員会への要請 0 0 -
道路管理者への要請 0 0 -
要請以外の公安委員会への措置依頼 6 12 100.0%
要請以外の道路管理者への措置依頼 89 76 △ 14.6%
(参考)苦情件数 191 192 0.5%

△は減少を示す。

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

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