環境省大気環境・自動車対策振動対策について振動規制法施行状況調査

平成17年度振動規制法施行状況調査について

平成18年12月26日(火)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
        (直通03-5521-8299)
        (代表03-3581-3351)
 室長  内藤 克彦  (内線6540)
 補佐  藤本 正典  (内線6543)
 担当  田中,村橋,迫越(内線6546)


 環境省は,全国の都道府県等の報告に基づき,平成17年度における振動苦情の状況及び振動規制法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。

(1)振動苦情の状況
 振動苦情の件数は,平成17年度は3,599件(前年度3,289件)で,前年度に比べ310件(約9.4%)増加した。
 苦情の主な発生源別内訳を見ると,建設作業が最も多く2,184件(全体の約60.7%),工場・事業場が782件(約21.7%),道路交通が316件(約8.8%)等であった。
 前年度と比較すると,建設作業に係る苦情が252件,工場・事業場に係る苦情が13件,道路交通に係る苦情が12件増加した。

(2)振動規制法の施行状況
 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は,平成17年度末現在,全国の市区町村の約67.5%に当たる1,244市区町村であった。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は平成17年度末現在で全国122,460件(前年度121,204件)であった。特定工場等に対する法に基づく立入検査は158件(前年度176件)行われた。この他,行政指導が195件(前年度209件)行われた。
 また,同法に基づき届出された建設作業(特定建設作業)の総数は32,680件(前年度31,064件)であった。特定建設作業に対して法に基づく立入検査は542件(前年度510件)行われた。この他,行政指導が719件(前年度671件)行われた。

1.目的

 環境省では,振動防止行政の一層の推進を図るため,毎年度,全国の都道府県,指定都市,中核市,特例市及び特別区を通じ,振動に係る苦情の状況,振動規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い,その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)地域指定の状況
  振動規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は平成17年度末現在1,244市区町村で,全国の市区町村数の約67.5%に相当する。(表1)

表1 地域指定の状況(平成17年度末現在)

(2)振動苦情の状況

[1] 苦情件数の推移
 平成17年度に全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は3,599件であった。これは,平成16年度(3,289件)と比べて310件,約9.4%の増加となる。(図1)


                    図1 振動苦情件数の推移

[2] 都道府県別の苦情件数
 苦情件数を都道府県別に見ると,東京都の899件が最も多く,次いで大阪府が386件,神奈川県が378件となっている。振動苦情件数の上位5都府県における合計件数が全体の約62.6%に達するなど,大都市を有する地区における苦情が大きな割合を占めた。(表2,表3)

[3] 発生源別の苦情件数
 苦情件数を発生源別に見ると,建設作業が2,184件(約60.7%)で最も多く,次いで工場・事業場782件(約21.7%),道路交通316件(約8.8%),鉄道78件(約2.2%)の順となっている。(図2,図3)
 また,平成16年度と比較すると建設作業に係る苦情が252件,工場・事業場に係る苦情が13件,道路交通に係る苦情が12件増加した。

表2 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)

※人口は平成17年10月1日現在の総務省統計局「平成17年度国勢調査結果」による

表3 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況

△は減を示す  


図2 振動に係る苦情の内訳


図3 過去3か年の苦情件数の発生源別内訳

[4] 規制対象とそれ以外の苦情件数との比較
  工場・事業場に対する苦情総数782件のうち,法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは,約27.0%の211件であった。また,建設作業に対する苦情総数2,184件のうち,同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約36.3%の792件となっている。(表4)

 表4 規制対象・非対象別苦情件数  (工場・事業場、建設作業)

注)特定工場等とは,特定施設を有し,法の規制対象となる工場・事業場をいう。

(3)規制の状況
 (3)-1工場・事業場に対する規制の状況

[1] 特定工場等及び特定施設の届出数
 振動規制法に基づき届出された特定工場等の総数は,平成17年度末現在122,460件(平成16年度121,204件)で,前年度より1,256件増加している。(表5)
 また,特定施設の総数は841,165件(同849,823件)となっている。
 特定工場等の内訳を見ると,金属加工機械を設置しているものが約33.2%と最も多く,次いで,圧縮機を設置しているものが約29.3%,織機を設置しているものが約15.9%の順となっている。
 特定施設の内訳を見ると,金属加工機械が約32.8%、織機が約31.5%とそれぞれ全体の約3分の1を占め,次いで圧縮機が約20.2%の順となっている。(表6)

表5 特定工場等数及び特定建設作業件数の最近の推移

△は減を示す

表6 法に基づく届出件数(平成17年度末現在)

[2] 法に基づく措置等の状況
 指定地域内の特定工場等に係る苦情211件(平成16年度214件)に対して,平成17年度中に行われた振動規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収34件(同38件),立入検査158件(同176件),振動の測定77件(同99件)であった。振動測定の結果,規制基準を超えていたものは19件(同34件)であり,改善勧告は1件(同0件)行われ,改善命令は行われなかった(同0件)。
 また,振動防止に関する行政指導が195件(同209件)行われた。(表7)

表7 指定地域内の特定工場等振動に係る措置等の状況

  (3)-2特定建設作業に対する規制の状況

[1] 特定建設作業の実施届出件数
 平成17年度中の特定建設作業実施届出件数は32,680件(平成16年度31,064件)であり,その内訳を見ると,ブレーカーを使用する作業24,570件(同22,704件),くい打機等を使用する作業が7,133件(同7,048件)の順となっており,これらが多くを占めている。(表5,表8)
 
表8 特定建設作業の届出件数

 
[2] 法に基づく措置等の状況
 指定地域内の特定建設作業に対する苦情792件(平成16年度723件)に対して,平成17年度に行われた振動規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収120件(同72件),立入検査542件(同510件),振動の測定179件(同141件)であった。振動測定の結果,基準を超えていたものは10件(同7件)であった。なお、改善勧告、改善命令は前年度同様行われていない(同0件)。
 なお,振動防止に関する行政指導が719件(同671件)行われた。(表9)

表9 指定地域内の特定建設作業振動に係る苦情件数及び措置等の状況

(4)道路交通振動に対する措置の状況
 指定地域内の道路交通振動の苦情288件(平成16年度277件)に対して,振動の測定は130件(同109件)行われており,要請限度を超えていたものは2件(同1件)であった。また,道路管理者に対する要請及び都道府県公安委員会に対する要請は前年度同様行われていない(同0件)。
 なお,これらの振動規制法に基づく措置のほか,道路管理者に対する協力依頼等の措置が156件(同178件),都道府県公安委員会に対する同様の措置が25件(同17件)行われた。(表10)

表10 指定地域内の道路交通振動に係る措置等の状況

3.考察

 振動に係る苦情の件数は前年度より増加しており、平成11年度以降の増加傾向が続いている。また、平成17年度の振動苦情件数が依然として都市圏に集中している。
 特定建設作業である「くい打機等を使用する作業」、「ブレーカーを使用する作業」の届出が顕著に増加しており、都市圏における解体・建設作業の増加が苦情増加の原因と推察される。
 今後,人口が密集している地域における建設作業のより一層の振動低減を誘導する施策の在り方について検討する必要がある。

ダウンロード用PDFファイル[42KB]