環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成27年度)

平成27年度第2回光化学オキシダント調査検討会会議録

1.日時 平成28年1月15日(金)10:30~12:30

2.場所 サンシャインシティ文化会館7階704・705号室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇   板野 泰之  井上 和也  浦野 紘平  大原 利眞
小野 和則  金谷 有剛  坂本 和彦  紫竹 益吉  竹内 庸夫
橋本 光正
(欠席者)
指宿 堯嗣  岩崎 好陽  星  純也  向井 人史  若松 伸司 環境省水・大気環境局大気環境課

瀧口課長、伊藤課長補佐、小林課長補佐、水島係員
(事務局)
一般財団法人 日本気象協会

4.議題

(1)これまでの検討内容と対応状況について
(2)シミュレーションモデルの構築・改善について
(3)シミュレーションモデルを用いた解析について
(3-1)シミュレーションモデルを用いた国内の光化学オキシダント濃度に影響を与えると推測された要因の解析
(3-2)NOxおよびVOC排出量の削減効果の検討(感度解析の実施)
(4)その他

5.配付資料

資料1
これまでの検討内容と対応状況について
資料2
シミュレーションモデルの構築・改善について
資料3
シミュレーションモデルを用いた解析について

参考資料1
平成27年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱
参考資料2
平成27年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)―議事録
参考資料3
平成27年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)―議事要旨
参考資料4
シミュレーションモデルの改善に関する参考資料
参考資料5
シミュレーションモデルを用いた解析に関する参考資料

6.議事

事務局

定刻になりましたので、浦野委員はまだお見えになっておりませんけれども、ただいまから第2回平成27年度光化学オキシダント調査検討会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
検討会に先立ちまして、第2回検討会は実は12月に開催予定でご案内させていただいておりましたけれども、事務局の準備不足で延期させていただきまして本日に至った次第でございます。委員の皆様には大変ご迷惑をおかけしましたことをおわびいたします。
ここで、事務局方の環境省水・大気環境局大気環境課長が是澤様から瀧口課長様に替わられましたので、ご紹介いたします。

瀧口課長 よろしくお願いします。

事務局 本日の委員につきましては、若松委員、向井委員、指宿委員、星委員が所用によりご欠席、さらに岩崎委員が風邪のため欠席という連絡をいただいております。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第
座席表
資料1  これまでの検討内容と対応状況について
資料2  シミュレーションモデルの構築・改善について
資料3  シミュレーションモデルを用いた解析について
参考資料1 平成27年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱
参考資料2 平成27年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)―議事録
参考資料3 平成27年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)―議事録要旨
参考資料4 シミュレーションモデルの改善に関する参考資料
参考資料5 シミュレーションモデルを用いた解析に関する参考資料
別添としまして、平成26年度光化学オキシダント調査検討業務の報告書がお手元にあると思います。過不足はございませんでしょうか。
それでは、これ以降の議事進行を秋元座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

秋元座長 皆さん、おはようございます。遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。
今年度は全体でこの検討会は3回ということで、今日は第2回目で、3月ごろに第3回が開かれるかと思います。今日の議題はお手元にありますように1、2、3とございます。一番中心になるのは「シミュレーションモデルの構築・改善について」という2番目の議題ですが、今までの検討内容と対応状況の経過報告をまとめていただいたものを最初に議題(1)でお願いしたいと思います。

議題(1)これまでの検討内容と対応状況について(資料1)

事務局 それでは、議題(1)「これまでの検討内容と対応状況について」を説明させていただきます。資料1をごらんいただければと思います。
ここでは第1回検討会における主な論点と第2回検討会における対応状況について整理いたしました。表1-1に整理しております。
まず、第1回検討会における議題ですが、大きく3つありまして、1つ目が光化学オキシダント調査検討について、2つ目が平成26年度の解析結果について、3つ目が平成27年度の解析計画についてという3つの議題がございました。それぞれについて論点の概要及び第2回検討会における対応状況についてまとめております。
まず、議題1についてですが、論点といたしまして、シミュレーションモデルの再現性の目標水準の設定と、2つ目に現時点のシミュレーションモデルの性能の把握という論点がございます。
論点(1)については、概要といたしまして1つ目、シミュレーションモデルの最終的な目的はそれを用いて対策検討を行うことであるため、対策検討のために使うことができると考えられる再現性の目標水準を設定いたしております。論点(2)については、構築したシミュレーションモデルについて(1)で設定した再現性の目標水準の達成状況の観点から評価を行い、現時点のシミュレーションモデルの性能を把握する必要があるとなっております。これらに対して第2回検討会では、作業部会において改善作業を実施したシミュレーションモデルについて、第1回検討会で提示した再現性の目標水準に対する達成状況について確認しております。
続きまして第1回検討会における議題2に関しては、解析に用いる格子間隔が論点となっております。概要といたしまして、地域スケールでのさまざまな排出対策に関する検討を行うためには、適切な空間分解能を持ったシミュレーションを行う必要がありますが、平成26年度の解析結果から判断すると60kmのモデルの精度が高い傾向が見られたため、まず60kmモデルを使って検討を行うことを提案しております。また、意見といたしまして、60kmと10kmのどちらのモデルを用いて解析を進めていくか、根拠を明らかにする必要があるという意見が出されました。
これに対しまして対応状況としては、60kmと10kmの精度の比較を(1)の再現性の目標水準の達成状況の点から実施しております。その結果、10km計算値の精度が高い傾向が見られたため、今年度は、広域スケールを対象とした解析は60km格子で実施し、地域的なスケールを対象とした解析は10km格子で行うこととしております。その根拠については資料2でご説明いたします。
最後に議題3は平成27年度の解析計画についてです。論点の概要といたしまして、削減目標や目標達成のための対策シナリオについて検討する上で、議論のベースになるようなアウトプットを今年度の解析で提示することが望ましいという意見が出ております。これに対して、今年度は光化学オキシダント濃度に影響を及ぼすと考えられる要因について、3つの視点からの解析及びNOx・VOC排出量の削減効果の検討(感度解析の実施)を行うことを考えております。
次のページに行きます。平成27年度の調査検討項目としては[1]~[4]を予定しております。フロー図を3ページの図2-1に示しております。
まず、[1]といたしまして、シミュレーションモデルの構築・改善を行っております。今回行う項目は青枠で囲った項目、平成26年度に実施した項目は赤枠で囲った項目になります。当初、今年の解析計画として青枠の項目を考えていたのですが、作業部会等でこのような解析も行ったほうがいいという提案があったこと、もしくは検討会で明確にフロー図はわかりやすくしたほうがいいという意見を反映いたしまして若干前回と変えております。その部分については網掛けで示しております。
まず、シミュレーションモデルの構築・改善によって出た結果について、精度目標の達成状況の確認を行いました。
その後、[2]シミュレーションモデルを用いた国内の光化学オキシダント濃度に影響を与えると推測された要因の解析、及び[3]感度解析の実施を行っております。
本検討会の議題においては、右に矢印で示しておりますが、議題(2)が[1]の議論になります。現在の進捗といたしましては精度目標の達成状況の確認を行っております。議題(3)といたしまして、シミュレーションモデルを用いた解析方法について議論したいと考えております。
図2-2は、今回の解析、検討会における議題についてまとめております。詳しくは資料2のほうで説明しますが、シミュレーションモデルの構築・改善におきましては、気象モデル(WRF)、化学輸送モデル(CMAQ)、排出インベントリについて改善を行っております。それについて60km格子で計算を行っております。また、10km格子の計算においても3点示したような改善を行っております。
これを基にトレンドの再現性の確認、精度の検証、他のモデルとの比較を行いまして、[2]シミュレーションモデルを用いた解析、及び[3]NOx及びVOC排出量の削減効果の検討について、オレンジ色で示したような検討を提案しております。
点線以降は来年度以降の解析ですが、予定といたしまして、長期計算を60km格子、10km格子ともに行い、精度の比較を行った上で、対策の方針、検討について進めたいと思っています。これについては10km格子の計算結果を対象に実施することが望ましいと考えております。
5ページにまいります。作業部会の開催状況と今後の予定ということで図3-1に示しております。前回検討会が行われましたのは平成27年9月4日でございました。その後、解析作業部会を4回実施しております。当初は2回の実施予定だったのですが、再現性向上のためのモデルの設定状況の確認及び計算結果等について詳細な検討を行った結果、4回実施しております。
また、今年度の予定に関してですが、第1回検討会において、検討会としての報告書は次年度以降作成することが確認されましたため、当初、報告書(案)の検討のために設定した第4回検討会は開催しないこととしたいと考えております。今年は第3回検討会を最後の検討会にしたいと考えております。
以上で説明を終わります。

秋元座長 ありがとうございました。全体説明にこの時点でご質問はありますでしょうか。
後でも出てくると思いますが、これをごらんいただいても作業部会を4回も非常によくやっていただいてありがとうございました。よろしいでしょうか。

浦野委員 大分よく整理されてきたと思うんですが、言葉の問題ですけれども、「オキシダント濃度に影響を与えると推測された要因」と書いてあるんですけれども、これは厳密に言うとものすごくいろんなものが影響してくるわけです。その中で主な要因をピックアップしているという理解ですよね。だから、強いて言えば「主な要因」と書いたほうが。「要因」と言うと漠然としていてものすごくいろんなものが挙がってくる。

秋元座長 今のは1ページ目のところですか。

浦野委員 1ページ目とか3ページ目。あと、3ページ目の、前回の進捗と今年度やることの、「精度目標の達成状況の確認」という言い方になっているんですけれども、精度目標というのは必ずしも絶対的なものではありませんよね。これで達成できないとなったら何もそこから先へ行かなくなってしまう。基本的には現状のベストなものでやったときの精度がどの辺になるか、「精度レベルの確認」みたいなもので。
精度目標というのは絶対的なものではないし、そこで目標が達成できないという結論はあり得ないわけです。ですから「精度目標の達成状況の確認」というよりは「精度レベルの確認」というほうがよろしいのではないでしょうか。どうでしょうか。目標を立てて、それを絶対に達成しているか、あるいは目標自身がいいか悪いかという議論をすると切りがなくなる。現状のベストな目標レベルを確認するというほうが、言葉として内容的に合うのではないでしょうか。

秋元座長 「精度レベルの確認」に変えることはよろしいですか。「精度目標の達成状況」もレベルの確認の一部に入るということですよね。後で今の精度レベルがどのぐらいのものかというのは皆さんはっきり目に入ると思いますので、言葉はそういうふうにしてください。
ほかによろしいですか。では、経過報告はこのぐらいにして、議題(2)「シミュレーションモデルの構築・改善について」、この部分の説明を事務局からよろしくお願いします。

議題(2)シミュレーションモデルの構築・改善について(資料2)

事務局 資料2「シミュレーションモデルの構築・改善について」を説明いたします。
まず、「平成26年度のシミュレーションの課題、対応方法および改善結果」というタイトルでまとめております。それに先立って、先ほどの話にもあったと思うんですが、シミュレーションモデルの再現性の目標水準についてご説明したいと思います。
第1回検討会において、オキシダント対策の検討に用いることのできるシミュレーションモデルのおおよその再現性の目標水準として、以下の4項目を設定しております。シミュレーションモデルにはさまざまな不確実性が含まれるため、実測との差が生じることは避けられません。そのことを考慮し、シミュレーションモデルの改善は、当目標水準を目指して実施することとしました。
①Ox、NOx、NMHC(非メタン炭化水素)の過去のトレンドの再現。②Ox新指標。これは2年前の検討会で提案された指標でございます。日最高8時間値の年間99パーセンタイル値の3年平均値での再現性が数十%以内。③NO2の日平均値の再現性が数十%以内。④主要VOC成分の再現性が50~200%。
続いて、新指標統計値について整理しております。新指標の定義は、「日最高8時間値の年間99パーセンタイル値の3年平均値」という値を取っております。ただ、これは年間の場合でして、暖候期(4~9月)を対象とした場合は、日最高8時間値の年間99パーセンタイル値の3年平均値と暖候期98パーセンタイル値の3年平均値がおおむね一致することが、平成25年度における解析結果で明らかになっております。このことから、本解析ではシミュレーションの計算は暖候期(4~9月)を対象に行っておりますので、測定値と計算値を比較するにあたっては、新指標相当値といたしまして、日最高8時間値の暖候期98パーセンタイル値の3年平均値で比較しております。
2ページにまいります。ここでは平成26年度のシミュレーションの課題、対応方法及び結果ということで、まず課題について主なものについて整理しております。その後、各課題についての対応方法及び対応結果について取りまとめております。
まず課題(A)といたしましては、東アジア領域(60km)の計算結果ですが、遠隔地モニタリングサイトの中で、隠岐、小笠原といった観測点についてO3再現性が低いという傾向が見られております。これを課題(A)といたしました。
課題(B)ですが、東アジア領域の計算結果について、O3の月平均濃度は、東アジア領域の計算も関東・九州地域ともに過大傾向が見られました。また、O3の新指標相当値のトレンドの再現性についても、関東・九州地域ともに低く、NO2の月平均濃度を見ると関東・九州地域では過小という傾向が見られ、埼玉県内の4地点で観測したデータを対象に主要VOC成分について再現性を確認したところ、低い成分が見られております。それぞれについては参考資料4に記載しております。
課題(C)は、関東・九州の10kmの計算結果について示しております。1つ目、O3の月平均濃度及び日最高濃度は過大という傾向。また、O3新指標相当値のトレンドの再現性は低め。NO2の月平均濃度は過小であり、VOC成分については10kmにおいても低い成分が見られております。
これについて、それぞれの課題ごとに、対応方法、目的及び結果等について整理しております。
また、平成27年度の計算ですが、格子間隔60kmの計算については、過去10年間のトレンドの再現性を含む評価を行うために2001~2010年の10年間の暖候期を対象としております。一方、格子間隔10kmの計算については、O3やO3の前駆物質の再現性評価を行うことを目的として、気象的に異常年ではなくNMHCの測定データが存在する2009年の1年の期間を対象として計算をしております。
4ページに移ります。課題(A)といたしまして、東アジア領域の計算結果で遠隔地モニタリングサイト(隠岐、小笠原)の地点の再現性が低いという結果が得られたのですが、これに対する対応方法といたしまして、境界値データをMOZARTからCHASERに変更するということで対応いたしました。
目的といたしましては、データの不連続性を解消するのが主な目的となっております。不連続性については、MOZARTについては2003~2010年のデータが入手可能ですが、2003~2006年と2007~2010年でデータが不連続になっております。また、2001~2002年についてはデータの入手ができませんので、2003年のデータを適用しております。一方、CHASERについては2001~2010年で連続したデータを利用できるということで、不連続性の解消が可能になると考えられます。
境界値データをCHASERに変更するにあたって、CHASERの再現性を把握することを目的として、CHASERとMOZARTの精度の評価を行っております。これについては参考資料4の5章に比較の結果を載せております。この結果から、新しく採用しようと考えておりましたCHASERのほうがMOZARTよりもO3再現性が高いということが確認できましたので、CHASERを境界値データとして用いることといたしました。
適用した結果ですが、遠隔地モニタリングサイトのうち、測定値と計算値の時間値を対象とした相関係数の評価を行っております。これは図1-3に示しております。この図から特に夏季(7~9月)における相関係数を算出したところ、O3の再現性が向上したと考えられました。隠岐は日本付近に近いということもありまして、日本付近のO3の再現性が向上しているということが示唆されております。一方、小笠原については隠岐のような再現性の向上が見られておりません。また、昼間について月平均濃度を算出したのですが、隠岐、小笠原ともに顕著な改善は見られませんでした。それぞれの図については5~6ページに示しております。
7ページ、課題(B)にまいります。課題(B)につきましては、東アジア領域の計算結果について先に説明したとおりでございます。
これらの課題に対する対応方法といたしましては2つ対応いたしました。1つ目は、植物起源VOCについて気象条件を反映したMEGANによる計算値を適用いたしました。2つ目として、東アジア領域の日本付近のインベントリをREAS2.1からJEI-DBに変更しております。
それぞれの目的ですが、1つ目、対応①アですが、気象条件や昼夜によって変化する植物起源VOC排出量をより正確にモデルに反映させること。2つ目は、日本国内の人為起源排出量について、時間変動を含めより正確な排出量をモデルに反映させることを目的としております。
結果ですが、1つ目は、O3の月平均濃度の再現性は関東・九州ともに向上は見られませんでした。月平均濃度が過大である理由として、夜間の濃度低下の再現ができていないこと(NOタイトレーション効果の再現が十分でないこと)が考えられました。これについては図1-6に時系列を示しております。測定値に対して、青色の計算値が夜間の濃度低下を再現できていないという傾向が見られております。
2つ目、O3新指標相当値のトレンドの再現性は、図1-7を見ていただければと思うんですが、2007~2009年以降、平成26年度(灰色)の計算ですと、測定値(黒線)と比較すると期間の後半部分が下がっている傾向が見られるんですが、平成27年度(青色)の改良の結果、再現性が向上し、全体的に区間を通してトレンドの再現性が向上したと判断いたしました。
また、新指標相当値について、ポテンシャルオゾン(PO)を用いた解析を図1-8で行っております。この理由ですが、O3は、NOによるタイトレーション反応によって一次的に消失することが知られており、O3のみの解析ではその特性を十分に理解することはできません。タイトレーション反応によるO3の減少を打ち消すために、POを対象に新指標相当値を用いて算出しております。なお、PO算出には、7ページ下から2行目に示したような式を用いております。
その結果、図1-8からPO新指標相当値と測定値の差は、O3新指標相当値とO3測定値との差と比べて小さくなっている傾向が見られております。新指標相当値については、O3よりもPOを対象としたほうが精度は良いという結果になっております。
また、PO新指標相当値のトレンドの再現性についても、O3と同様、対象期間後半の精度が向上したことで、期間を通じてトレンドの再現性が向上したと考えられます。
8ページ2つ目のポツですが、NO2の月平均濃度の再現性については関東・九州ともに向上は見られませんでした。
主要VOC成分の再現性については、関東地域において向上した結果が出ております。これは9ページの図1-9の結果を見ていただきたいと思います。主要成分の再現性は、後ほど2.5.のほうでどのような解析を行ったか説明しております。埼玉県内の4地点で春と夏の2季節で昼夜において16事例に分類した測定値がありますので、それに対する計算値で測定値と計算値の比を取りまして、その比がどのような大きさであるかということで計算値の成分ごとに並べたものです。
図1-9で見ますと、緑色の成分が目標水準を満たすようなものになります。これについて、主要VOCの成分といたしましては★印を付けたのですが、これに着目いたしますと、緑の部分が増えた物質がございまして、関東地域において再現性が向上したと判断いたしました。
続いて10ページにまいります。課題(C)についてですが、これは関東・九州領域(10km)の計算結果を対象とした課題になります。これに対する対応方法としては、10kmを対象にした具体的な対応は行っていないですが、60kmを対象とした対応①ア及び対応①イによる東アジア領域の計算精度の向上によって関東・九州領域の境界値の再現性が向上することで、10km計算値の再現性の向上につながると考えられました。
結果といたしまして、10kmの計算は2009年の関東地域のみを実施しております。それぞれ結果について示しましたが、O3の月平均濃度の再現性については、関東地域において顕著な向上は見られておりません。一方、O3の日最高濃度の再現性については、図1-11に示しましたように、MPAという指標を用いまして評価した結果、向上した都県が多く見られています。
MPAにつきましては11ページの脚注で示しましたように、最高値に関して測定値と計算値の差を測定値で標準化した値になっております。値が0に近いほど測定値と計算値の差が小さく、再現性が高いと考えられる指標です。2015年の計算値を見ますと、MPAの値が0に近づいている都県が多くなっており、再現性が向上したと判断いたしました。
10ページの3つ目のポツですが、NO2の月平均濃度の再現性については、関東地域において顕著な向上は見られませんでした。
最後に主要VOC成分ですが、計算の成分であるARO1、ARO2という成分については大きな向上は見られなかったのですが、ALK4、HCHOといった物質の再現性は向上しております。
これまでが課題と対応結果になります。
12ページにまいります。ここでは他モデルとの比較を行っております。解析の目的といたしましては、ほかのモデルとの比較を行うことで平成27年度に構築したシミュレーションモデルの計算結果の妥当性について評価することを目的としております。
作業部会の中で提供いただいたデータについて比較しておりまして、各モデルの設定条件については表1-4にまとめております。比較したものはO3の月平均値及びNO2の月平均値について、関東及び九州を対象に整理しております。
結果ですが、関東地域について図1-14~図1-15、九州地域について図1-16~図1-17に示しております。濃度について見ますと、平成27年度の計算結果は提供された計算結果の濃度と同レベルであり、月の濃度変動についても同様な傾向が見られました。
以上のことから、平成27年度に構築したシミュレーションモデルは、O3及びNO2の月平均濃度については現在の研究レベルのモデルと同様の再現性を有していると判断いたしました。
15ページですが、シミュレーションモデルの改善のまとめということで、以下にまとめております。
まず、東アジア領域の計算では、O3の相関係数の評価から、隠岐における再現性が向上し、日本付近のO3の再現性が向上していることが示唆されております。また、O3新指標相当値のトレンドの再現性の向上及び主要VOC成分についても、再現性が向上したと判断いたしました。
関東領域(10km)の計算では、O3の日最高濃度の再現性が向上しております。主要VOC成分については、ある成分について再現性が向上したのが確認されました。
また、月平均濃度については、他モデルとの比較の結果等から、月平均値について最新の研究レベルのモデルと同等の再現性を有していることが確認できております。
モデルの課題は1.6.にまとめております。平成27年度に構築したモデルについては、前年度の結果と比較すると全体として再現性の向上が図られましたが、O3の月平均濃度や新指標相当値の絶対値がまだ大きいという課題等が残っております。
これらの課題については、研究レベルにあるものを含めて、以下のような要因が影響しているものと考えられ、課題解決に向けては、これらの要因について分析を行うとともに、改善に結び付くと考えられる知見をモデルに反映させていくことが必要と考えます。
ここまででモデルの再現性水準の確認については終わりまして、16ページから達成状況について整理いたしました。先に説明いたしましたように、目標水準①~④の達成状況について整理しております。
Ox、NOx、NMHCの過去のトレンドの再現ですが、NOxについてはNO2を対象に評価しております。これは、一般的に都市域においてはNO濃度が高くなる傾向が見られることや測定局の多くが都市域に位置すること等を考慮して、平均的な濃度で測定値と計算値を比較することを目的として、NOではなくNO2を対象に評価することで空間代表性を確保しております。また、NMHCについては、モデルにおける成分(14成分)に対応した係数を成分の計算濃度に乗じて算出しております。
1つ目、Ox濃度のトレンドで図2-1に示しております。これは各年の暖候期(4~9月)の平均値を示しております。左の図が計算値の絶対値、右が2001~2010年の暖候期平均値をさらに平均した値に対する比を示しております。これによりますと、関東地域につきましては2002年以降の上昇トレンドをおおむね再現しております。図2-2に示しました九州地域につきましては、2009年までの上昇トレンド及び2010年の下降トレンドを再現しております。
引き続いてNO2濃度のトレンドの説明に移ります。これは図2-3及び図2-4をごらんいただければと思います。図2-3、関東地域については下降トレンドを再現しております。10年間の濃度低下率についても計算値、測定値でおおむね等しいという結果になっております。九州地域についても関東同様下降トレンドを再現しておりまして、濃度低下率についてはほぼ等しいとなっております。
18ページ、NMHC濃度のトレンドですが、関東地域について図2-5ですが、比で見ますと下降トレンドを再現しておりまして、10年間の濃度低下率はおおむね等しくなっております。この傾向は九州地域にも該当いたしまして、濃度低下率を見ますとおおむね等しくなっております。
19ページにまいります。新指標統計値の再現性ということで、先に説明いたしましたように、日最高8時間値の暖候期98パーセンタイル値の3年平均で比較しております。また、新指標相当値は3年平均値を対象にしているのですが、それを算出する前段階の単年の統計値を図示することで、単年度の統計値についても再現性評価を行うことといたしました。また、NOタイトレーション効果を考慮したPOの新指標相当値の評価も行っております。
60kmの計算については10年間行いましたので、新指標相当値としては2001~2003年平均値から2008~2010年平均値を対象に評価しておりますが、10kmの計算については2009年しか行っておりませんので、2009年単年の日最高8時間値の暖候期98パーセンタイル値を対象に評価しております。
20ページをごらんいただけますでしょうか。図2-7に新指標相当値の図を載せております。この図の見方ですが、測定値が黒色、計算値が青色になっております。実線が3年平均を行った新指標相当値、点線が単年度の値となっております。青い丸で書きましたのが10kmの2009年を対象とした計算値となります。測定値の黒と、計算値の青色を比較するという感じになります。
まず60km計算値についてですが、測定値と比べると全体的に過大でありまして、その範囲は+26~+37%。POを対象にした新指標相当統計値につきましては、全体では過大ですが、その範囲は+12~+20%ということで、測定値との差が小さくなっております。
トレンドのほうですが、2004~2006年以降の下降トレンドの再現がおおむねできています。単年の統計値について見ますと、2003年の濃度低下、翌年の濃度上昇、2009年の濃度低下、翌年の濃度上昇といったトレンド変化の再現が確認できました。
10kmの計算値については、2009年の丸になりますが、60kmの計算値と比較すると測定値に近い値であり、+12%になっております。POについては21ページの図2-8ですが、+6%という結果になっております。
九州地域の60km計算値を対象にした新指標相当値の再現性ということで、同様の解析を行っております。これを見ますと、図2-9、O3の新指標相当値については全体的に濃度が高く、その範囲は+25~45%。次のページになりますが、PO測定値を対象にした比較におきましては+16~30%過大になっておりました。3年平均値を算出する前の単年の統計値につきましては、2007年の濃度上昇、2008年の濃度低下、2009年の濃度上昇といったトレンドの変化について再現しております。
23ページにまいります。ここではNO2の日平均値の再現性について評価しております。評価は、NBと申しまして表2-1に示しました指標を用いて評価しております。この指標は測定値と計算値の差を測定値で標準化した値の和となっております。この指標を用いて評価した結果を図2-11、及び九州については図2-12に示しております。
関東地域を対象としたNO2の日平均値の再現性の評価は、NO2については過小であり、その範囲は-45~-39%。60km計算値については2009年に着目すると41%過小で、10km計算値については34%過小ということで、10kmのほうが測定値との差が小さくなっております。
九州地域につきましては、関東と同じ過小ですが、その範囲は60%程度という結果になっております。
24ページ、主要VOC成分の再現性ということで説明させていただきます。主要VOC成分の再現性評価は表2-2に示すような測定地点における測定値を対象に行っております。また、測定物質はモデルにおける成分ごとに分類、集計しておりまして、表2-3に示しましたが、測定物質に対応してモデルの成分分類が行われていますので、成分分類によって精度を検証しております。なお、本解析は埼玉県内の限られた地点及び期間を対象とした評価でありますので、関東全域における傾向を示したものではございません。
比較の方法ですが、測定値と計算値について各成分の平均値を、4~6月、7~9月の昼間と夜間でそれぞれ算出いたしました。その値について計算値と測定値の比を算出し、それを評価の対象としております。この作業によって、モデルにおける成分ごとに、地点数が4、季節が2、昼夜が2ということで、16事例について比が求められます。評価は、この比が「過小(0.5以下)」「再現性の目標水準を満たす(0.5以上2.0以下)」「過大(2.0以上)」のどのカテゴリーに分類されるかで実施しております。
60kmの計算値2009年及び2010年の結果を図2-13に、10km計算値2009年の結果を25ページの図2-14に示しております。図2-13を見ますと、年によって傾向の異なる成分が見られるのですが、2010年に着目すると、主要VOC成分のうちARO1は過小の事例が多いのですが、その他の成分は再現性の目標水準を満たす事例の緑色が多数を占めていることがわかります。また、図2-13より、10kmの計算値ではARO1、ARO2、ETHEといった成分については過小の割合が多いのですが、その他の成分は再現性の目標水準を満たす事例が多数を占めていることがわかります。
26~27ページに再現性の目標水準の達成状況をまとめております。
①につきましては、Ox、NOx、NMHCの過去のトレンドの再現ということで、過去のトレンドはおおむね再現、平均濃度については、Oxが過大、NO2及びNMHCは過小という傾向が見られております。
また、新指標の再現性が数十%以内ということについて、関東地域は10年間のトレンドはおおむね再現しており、単年度の変化傾向についても再現しております。絶対値については過大評価ですが、単年度の評価では約10%の過大評価となっています。これは10kmの計算結果になります。また、九州についても関東と同様の傾向になっております。
NO2の日平均値の再現性が数十%以内については、関東地域ですべての年で数十%の過小評価になっておりますが、九州については関東に比べますと大幅な過小評価という結果になっております。
4つ目、主要VOC成分の再現性が50~200%についてですが、2010年の評価事例では、過小な成分はありますが、ほかの成分はおおむね目標水準を満たしております。2009年の評価事例については、10kmも同傾向ですが、ETHE、ARO1、ARO2については全体的に過小ではありましたが、他の成分はおおむね目標水準を満たしておりました。
27ページでは60km計算値と10km計算値の再現性について評価しております。比較については目標水準②~④を対象に実施しております。①トレンドの再現については、格子間隔60kmの計算は2001~2010年を対象としておりますが、10kmの計算は2009年のみを対象といたしましたので、目標水準といたしまして②~④について整理いたしました。
②新指標での再現性に関しては、60kmと10kmを比較すると10kmのほうが測定値に近い傾向がみられました。この傾向はNO2の日平均値についても見られました。④主要VOC成分については、60kmの場合、ここに示す3つは過小の事例が多いのですが、その他の成分は目標水準を満たしております。10kmの場合でも60kmと同じように過小の物質は共通ですが、目標水準を満たす事例の割合としては10kmのほうが高いということで、トータルで考えますと10kmの計算値の再現性が高い傾向が見られております。
最後に補足といたしまして、平成27年度のシミュレーションを最終的にどういう条件で行ったかをまとめております。昨年と比較して変更になった点及び、60km計算は10年間、10km計算値は2009年といった補足についても示しております。この条件に従って計算等を行っております。
以上で説明を終わります。

秋元座長 ありがとうございました。では、中身についてご議論をいただきたいのですが、その前に、作業部会をやっていただいた大原さんから、何かコメントというか全体的な印象なり何なりございますか。

大原委員 ありがとうございます。最初にまずもってご報告しておきたいと思いますけれども、作業部会のメンバーは私とこの場におられる井上委員、金谷委員、ACAPの黒川さん、JARIの森川さん、環境研の永島さん、電力中央研究所の速水さん、この7名で進めさせていただきました。大体3カ月間ですが、非常に精力的に時間をかけて、皆さんにご協力いただいてモデルの改善に向けて尽力していただいたと理解しております。作業部会の座長の立場から、この場をおかりしてまずはお礼を申し上げたいと思います。
それと同時に、事務局にもかなり負担をおかけしたと考えています。この間、非常に時間をかけて丁寧に作業していただいたと理解しております。お礼を申し上げたいと思います。
その上で、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。全体的には事務局からご説明いただいたとおりだと理解しております。それを補足するといったような意味で3点ほどコメントしたいと思います。
まずは8ページ目であります。トレンドの再現について図1-7で示されております。全体的に結構いいところまでいっているなと感じているところではありますが、とはいえ、まだ、例えば関東地域のO3新指標相当値ですとか、その次のページのPOの同じ新指標相当値の図にありますように、測定値との間の乖離が結構大きいです。POでも15ppbぐらいなので、そうすると光化学反応性が高過ぎるということだろうと思います。
その原因についてはまだ十分によくわからないというのが正直なところでありますけれども、これについては今後、課題として引き続き検討していく必要があるのではないかと思います。
あるいは、図1-7の右下の図で九州地域のトレンドの図があります。POについても同じような傾向を示していますけれども、必ずしも測定値で示されているような長期的な増加傾向がきちんと再現できているとまでは言えない。21ページの図2-9の左側を見ていただくとわかりますように、とりわけ2008年のところで測定値とモデルの計算値の値もかくっと落ちている。測定値に比べてその落ち方が大きい。なので、ここの部分が3年平均を取っても引っ張っているような印象を持ちました。
なので、例えば2008年がなぜこうなっているのかなというチェックは引き続きする必要があるのではないか。そういったような課題が依然としてまだあると考えております。
それから13ページ目であります。作業部会に参画していただいている委員の方にご協力、ご尽力いただいて、それぞれの研究者が計算した結果を持ち寄っていただいて、簡単なモデルの相互比較をしました。その結果、この検討会で動かしているモデルがほかのモデルと同じぐらいの水準であることがわかったということであります。
それでいいのかどうかというのはさておいて、少なくとも今の研究レベルで使っているようなモデルと同等の性能を有していると言えるとは思います。ただ、やはり幾つかまだ本当ならばやらなくてはいけないところがありまして。これは月平均濃度だけの評価なので、例えばO3新指標に相当するような高濃度のところではどうなのか、あるいはVOCがどうなのかといったようなあたりは、もしできればこんなセンスで評価できるといいなと。作業部会では時間的な制約もありそこまではできなかったところではありますけれども、今後の課題かなと考えております。
もう1点、27ページ目のまとめですが、一番最後のVOCのところです。成分ごとに見た場合にETHEとかARO1、ARO2がかなり過小であると。もしできればですけれども、これらの成分の主要な発生源が何なのかを見ていただいて、これらの成分が共通して過小になる発生源がないのか、もうちょっと踏み込んだような評価、解釈ができるといいなと感じました。
コメントとしては以上ですけれども、この場で事務局にお答えいただきたいのは、統計値の計算の方法について補足説明していただいたほうがいいかなと思います。例えば8ページ目等でO3新指標に関して地域的な統計値の値が出ています。これはどうやって出したのかという説明、あるいは後のほうにNO2の地域平均、関東の平均とか九州の平均とかが出ていたと思いますが、それらをどうやって出したのかということを説明していただきたいです。
というのは、O3新指標については、地域内の測定局の新指標の平均値で出すという考え方もあるし、地域内の測定局をすべからく並べてみて、その上で98%値を計算するという方法もあるだろうと思います。
それから地域の平均値についても、測定局があるモデルのメッシュだけを対象にしたのか、そうでなくて、モデルのほうですけれどもその対象地域のすべてのメッシュにおける平均値で計算したのか。多分、結果が変わってくると思いますので、この場で説明していただければと思います。以上です。

秋元座長 ありがとうございました。作業部会に一生懸命やっていただいたおかげで、精度レベルがどの程度かがよくわかったという意味で、問題点が明らかになったということは非常に大きな進展だと思います。どうもありがとうございました。
最後に大原さんから質問された点を、簡単に事務局のほうでお答えいただけますか。

事務局 60kmと10kmで計算値の統計の仕方は異なっております。60kmにつきましては、格子間隔が大きいので、関東に該当するメッシュ、個数で言うと9メッシュを対象に、それを計算値といたしまして新指標相当値等を出しております。一方、10kmの計算については、測定値を含むメッシュを1対1で抽出いたしまして、それを対象として新指標相当値等を算出しております。

秋元座長 地域平均値を取るときに、測定メッシュを取ったのか、あるいは測定されたメッシュでないところも計算のほうは取ったのかというのは。

事務局 それについては、60kmについては格子間隔が大きいので測定値が含まれる場所等の関係はないですが、10kmについては測定値がある場所のメッシュを対象にしか解析しておりません。ないところのメッシュの計算値は含まれていないです。

秋元座長 それはそれでいいんですか。それとも、すべてのメッシュの平均値も含まれたほうがよろしいですか。

大原委員 いや、メッシュはあるところだけ。
もう1つ質問したんですが、わかりにくかったのかもしれません。新指標の98%値を計算するときに、測定局ごとに新指標を出してそれを平均したのか、それとも地域内すべてのメッシュのデータをずらっと並べてそのうちの上位の98%値のような計算をされたのか。それは多分違いますよね。

事務局 この解析で行いましたのは、それぞれの計算値のメッシュに対して98パーセンタイル値を算出しております。1つのメッシュについて1つの98パーセンタイル値が出まして。

大原委員 それを平均したものですか。

事務局 そうです。

大原委員 もし地域内の高濃度の状況を新指標が示すということであるならば、場合によっては地域内のどの測定局で出現しようが、地域内でその上位の2%に相当するところを評価するという考え方もあり得ると思うんです。検討していただけますか。

秋元座長 ありがとうございました。それでは、ほかの委員の方からどうぞご質問をお願いします。

浦野委員 今回も非常に丁寧に作業部会も事務局も頑張ってやっていただいて、相当いろいろなものがはっきりしてきたと思います。
先ほどもフローのところで申し上げましたけれども、シミュレーションモデルの再現性の目標水準が1ページ目に書いてあるんですが、目標水準というのはある意味、この程度でしょうがないなと仮置きしたものですよね。これと比べて実際にどうだったかを検討してまとめたのが26~27ページですよね。
ですから先ほどのように、仮置きの目標水準は仮置きとして書いていただいていいですけれど、達成状況というよりは、再現性レベルの確認結果ですよね。そういう表現にしたほうがいい。達成できていない、過小評価だとかいろいろ書いてあると、これはだめだみたいに見えてしまう。「目標」というよりは1つの指標として、判断レベルとして仮置きしたものだということを明確にすることと、26ページは再現性レベルの確認結果という形にする。
そういう意味でこれが非常に大事なわけで、ここで現状ではどうなっているかということが書いてあるんですけれども、26ページの①や④で過大とか過小傾向とか書いてあるんですけれども、ほかのところは数十%とか何%と具体的な数字が入っていたりする。せっかくこれだけいろいろ調べたのですから、このモデルでこういう計算をしたらおおよそ何%、20%程度過大とか30%ぐらい過小とか、あるレベルを書いていただいたほうがいい。「おおむね」とか「過小」とかだけ書かれるよりは、せっかくやられたので具体的な数字を10%単位ぐらいでもいいと思うんですけれど書いていただいたほうが、成果としてよく見える。
今、現状はこういうレベルですよというのが、例えば数十%とか、例えば50~200%というのはすごい差があるみたいですが1/2と2倍ですよね。それで見たときに、おおむね目標水準達成というより、例えば何%以内ぐらいに達成しているというふうに書くと、200%も違いがあるという計算ができるというようにわかる。具体的な数字をできるだけ書けるところは書いていただくと、現状の計算はこんな感じですというのがよくわかると思います。これはぜひそうしていただきたい。
もう1つ、現状はこれで進まざるを得ないですけれども、大原委員が今後さらに検討すべき課題を幾つもおっしゃっていただいて、まだ改善の余地は当然あるわけなので。ご指摘のあった今後これをさらに再現性を向上するための課題的なものを、どこかでまとめて箇条書きにでもしていただけるといい。現状はこれだけいいと思われるという結果ですが、それからさらに良くするにはどういうことが考えられるというのがあると、非常に成果としてよくまとまると思います。
あと1つ、また言葉の問題ですが。シミュレーションの方も皆さん慣習的に使っていると思うのでやむを得ないですけれど、「再現性」という言葉です。再現性というのは、何か同じようなことをやったときにどのぐらいのばらつきがあるか、幅があるかを見るものです。これは実測値と計算値と全く違うものを比較しているので、計算を条件を変えて再現してみるというのとは違うわけですよね。
だから「再現性」という言葉の定義をどこかに。ほかの言葉があればいいですけれども、皆さん再現性という言葉で使っておられるだろうと思うので。しかも、再現性というのは実測値と計算値の一致レベルのことを言っているんですよね。ところがその一致レベルを見るときに、比で見たり相関係数で見たりいろんな見方をしているんですね。それが全部「再現性」という表現になっている。
ですからその辺を整理して、再現性と何となく言ってしまうけれども中身がよく見えないということもあるので、「再現性」という言葉の大きな定義をどこかにきちんと書く。ここでは再現性を例えば相関係数で見たとか比で見たとか明確にして、こういう結論になったというふうに言ったほうがいいです。
何十%違うと言ったときに、比で言うときに分母は実測値を取ると思うんですね。それに対して計算値が100%違うとか50%、20%違うとかなる。その辺の再現性が数十%というのは、実測値と計算値の比を取ったときに例えば0.7~1.3というような意味ですよね。その辺は明確に定義しながら議論したほうが誤解はないし、成果が明確に見えると思います。

秋元座長 ありがとうございます。その点はおっしゃるとおりだと思うので、その辺の言葉の定義は今後はっきりさせて用いるようにして下さい。
今おっしゃったうち最初の点は、精度レベルというか精度目標というのか、目標をあえて何%以内と決めたのは、委託事業をやる上で何となく目標があってそれがどこまでいったかは示したほうがいいというご配慮なのかなと思ったんだけれども。実際上は単に何%以内で合っているとかどの程度合っているとかそういうことであって、目標を達成したかしなかったかというのはそんなに大きな問題ではないという理解でいきたいと思いますので、今後のまとめのときにお願いいたします。
ほかの方、何かございますか。

金谷委員 私も作業部会に出させていただいている者で、モデルシミュレーションが改善されていく経緯を見させていただいたという立場でもあります。VOCに関して今日のご報告は、主なところということで人為起源の物質の再現性に関してまとめの中で随分取り上げていただいています。一方で、自然起源のほうの改善に関しても作業部会の中で随分と議論して対応してきたという経緯があります。特に削減し得るのは人為起源だということで、その両方ともバランスよく再現しているかどうかという観点が重要になるので、そのことに関してもこの作業部会で進めてきたことと、実際どういう現状にあるのかに関して少しまとめておくのも必要なことの1つかなと思います。
資料2の中で言いますと、7ページの課題(B)に対する対応ということで植物起源VOCに対する新たな取り扱いに関して簡単にご説明があったことや、その他、12ページで他のモデルと比較しても同じような扱いになっていること。あるいは結果としては25ページにISOPと書いてあるイソプレンの再現性が恐らくほかの人為起源の物質と、やや過大評価になっているケースが多いのかもしれませんけれども、それなりのレンジには入っているということが一つ重要なポイントになり得るかなと思います。そのときに、もちろん過大評価の割合がどのくらいの範囲、ちょっと高いかもしれないというようなことに関しては今後注意をしていく必要があるということが、皆さんの共通理解になっていることが重要かと思いました。
事務局のほうから、特にこのイソプレンの再現性に関して、現状に関して、もう一度簡単に取りまとめていただけるとありがたいですけれども。

秋元座長 どうですか。イソプレンが過大になるというのは、MEGANのモデルに従うとこうなったということですか。

事務局 個別に見るとまだまだ再現が足りない部分はあります。ご指摘いただいた植物起源の過大傾向があるというのはわかっているんですけれども、本文にも書いていますが、VOCについては測定データ自体が限られています。今後の解析の中で、ほかにもいただいているデータが幾つかありますのでその辺も含めてもう少し解析をして何とか本年度中に取りまとめたいと思っております。

秋元座長 植物起源は測定のほうの問題もあるかもしれないですね。ほかにご意見は。

坂本委員 今のVOCのところですが、測定値と比較して過大・過小というのがもし測定値に合う方向になったらもう少しいいところへいくのかどうなのかという点も考えてみる必要があるのかなと。
もう1つ、イソプレンや何かですと、測定値がどういう時間帯でどういう平均値で出ているかによって、もともと相当過小評価だった可能性もある。ただし、イソプレンを相当濃度上げた場合にO3のほうに効くとどうなるのか。その後の反応までも考えての話にはなると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。そういう形ではまだ見ていないと思うんですけれども、そういう検討もしていただく必要があるのではないかと。

秋元座長 ほかによろしいでしょうか。私なりにこのデータを見せていただいて感じたところをまとめてみたいと思うんですが。
まず、昨年度の解析結果から10kmモデルのトレンドの再現性が低いため60kmを使ったほうがいいのではないかと今年度初めに申し上げました。そこのところは今回やってみたらば、前に10kmのときがおかしいというのはバグがあったか何かで、そこが修正されてちゃんとやれば10kmも合うようになったということが1つ。
問題点は、NO2が過小評価になるとかO3が過大評価になるとか、60kmでも10kmでも共通だというのが非常にはっきりした。VOCの問題も昨年から随分議論されてきて、個別にエミッションの問題、測定の問題があってさらに検討が必要ですけれども、特に今回新しい問題としてNOxの問題とO3の過大評価の問題がはっきりしてきた。
しかも、それがこの委託事業の中で使っているモデルだけでなくて、ほかの研究者がやっておられるモデルもすべてほとんど同じだという、これはびっくりしたんですが。マルチモデルを使うというのは1つのポイントだけれども、いくらマルチといってもみんな同じモデルを使っているとこういうことになるのではないかという印象なんですね。
つまり、すべてがWRF、CMAQを用いているという点が共通です。CMAQのバージョンが違うのは1つありますけれども、ほとんど残りは同じ。そうなると、それぞれの方のチューニングの問題はあるだろうけれども、例えばO3でいえば13ページ。日本の排出の汚染の影響がないような隠岐とか小笠原。小笠原はアクセプタブルかなと思うけれども、隠岐は夏が高くなる。それはすべてのモデルで共通だということですよね。
関東と九州の比較は13ページに出ていますが、要するに夏のO3が関東でも九州でもものすごくオーバーになる。隠岐で既にそうなっているということだと思うんですね。小笠原はかなり落ちるのでいいですけれども。その辺が、O3の絶対値が合わないということの1つの原因かなと。
もう1つは、NO2がものすごく過小評価になっていて、POに直すとある程度の補正は効くけれども、それでもなおかつ、大原さんが言われたように、15ppbぐらいですか、そのぐらいオゾンの光化学活性が過剰に評価されている。NOの問題以外にそういうことがある。それがすべて共通である。ほかのモデルでも恐らくそうだし、10kmでも60kmでも共通だという、そういうことがはっきりしてきたので、それをどうするか。特にO3の絶対値がここまで合わないというのは意外だったんですけれども。
夜間のO3が合わないというのは、タイトレーションのNOが低過ぎるとO3がなくならないのでオーバーエスティメートになる。これは理屈がわかるけれども、昼間でもかなり過剰評価になっている。光化学活性が過剰評価になっているということだと思うんですけれども。その辺を何とか課題として解決しないと、来年度の最終目標に達しないのかなという気がしました。
今この段階で提案していいのかどうかだけれども、WRF、CMAQ以外のモデルというのは比較できるものはないんでしょうか。日本全体で言うと、私の知っている限りだと、WRF、CMAQ以外のものは、WRF/ChemというJAMSTECの滝川さんが使っているのがあったり、気象研の梶野さんが使っているRAQMがあったりします。その辺がWRF、CMAQとは違う素性のモデルなので、そういうもので今のNO2の過小評価の問題、O3の過大評価の問題、特に夏のO3濃度が下がりきらない問題、その辺がこのモデルと違うかどうかを本当は知りたいですね。
昨年、これを始めるときにマルチモデルというのを申し上げた記憶があって。気象協会でやられるにしても、1つのモデルだけでこうなりますというのでは困るので、少なくとも2つ以上のものを比較してくださいと。気象協会の中ではこれ以外の全然違う素性のモデルで使えるというのはないのでしょうか。

事務局 社内で研究開発レベルでは、WRF/ChemとCAMxというモデルを使用したことはございます。

秋元座長 今回の同じ条件で半年分ぐらい回してみるというのはあり得ないですか。

事務局 作業時間との兼ね合いで、少なくとも今年度は厳しいと考えています。

秋元座長 来年度の初めでもいいけれども、今後の作業の課題というところで具体的にはまとめていけばいいと思うんですけれども、そんなことを感じました。
それでは、ほかの方は。

竹内委員 参考資料のほうですけれども、35ページ以降にモデルと測定値の比較が幾つか出ていまして、NMHCについては久我山の比較が出て、このモデルが低いということはよくわかるんです。けれども久我山以外、太田とさいたま市衛生研究所についてはNMHCを測っていないところでやっているので、参考資料として出されても測定値と計算値の比較ができないと思うんです。ここを選んだ理由は何ですか。

秋元座長 事務局、いかがですか。

事務局 おっしゃるとおりでございます。地点の選定については、過去のO3を解析対象にしていた業務で用いていた経緯がございましたので選んでしまいました。今後注意いたします。

秋元座長 どうされるんですか。

事務局 NMHCを測っているほかの地点で検証を行いたいと思います。

秋元座長 測っているところですね。ほかにどなたか。

浦野委員 幾つかのモデルで今ご指摘があったような絶対値が合わない理由で、反応式そのものを考え直す必要があるかもしれないというのが1点。
それと同時に、計算に用いているインベントリのNOxあるいはVOCの発生量自身がいろいろなものから使わざるを得ないですけれども、その信頼性というか、それ自身が本当に事実かという話です。それから、98パーセンタイル値について暖候期に限った値を算出しているわけで、そこのところのインベントリがうまく使いこなせているのかということももう一度確認したほうがいいです。
年間平均でいくわけにいかないし、昼間と夜で発生量が同じかというと違う。それから、いろいろ届け出ているVOCのインベントリとかNOxの排出量が実際どの程度の信頼度があるのかを再度見て、シミュレーションの信頼度と元のデータの信頼度と両方見るようにする。シミュレーションモデルだけではなく、計算の用いている入力データもよく確認したほうがいいです。

秋元座長 その辺に関しては、今日はご説明がなかったと思うけれども、国内のエミッションインベントリを、昨年度のあまり時間変化がないREASのエミッションインベントリから、今年度は日変化や何かの入っているインベントリに直しているんですね。それは今の浦野さんのご指摘の線に沿った形でいいほうになって、それによって前よりも多少良くなった部分が確かにあるんですね。
ただし、今のO3のオーバーエスティメートの問題は、決して高濃度の98パーセンタイルのところだけではなくて、そうでないときにも同じように共通して起こっているようなんですね。そのような根本的なところを確認した上で高濃度である98パーセンタイルのところをさらによく合わせるようにというふうに、2段階にいかないと、高濃度のところだけ着目して改善を図ろうとしても今の段階だと無理だなという印象があるんですけれど。
VOCは先ほど大原さんからもご指摘があったけれども、特にアロマティクスの1と2が過小評価というのはまずいです。あれは25ページの表を見ると、トルエン、キシレン、この辺のアロマティクスは、非常に反応性のある、O3に効いてくる人為起源のハイドロカーボンなので、ここがもし測定値と常に合わないのであれば、エミッションのほうをあえて増やしてでも合わせてみないとよくないかなと。
ただ、今は過小のほうが問題になっているので、それを増やすとさらにO3が増える方向になるので全体を解決するのは容易ではないけれども、1つずつつぶしていくしかないかなという気がします。

大原委員 一般論としては座長がおっしゃるとおりだし、浦野先生がおっしゃるとおりだと思いますけれども、この検討会でどこまでやるのかということに関してはやはり慎重にならないといけないと思います。前回の検討会で議論になったように、最終的なこの検討会の目標は政策に資するような結果を出していくことだと思いますので、それを見据えた上で、検討していくということが大事です。作業部会として精いっぱいここまでやってきたと考えておりますので、今、座長とか浦野先生が言われたことをまともにやろうとすると、また長い時間がかかることは目に見えておりますので、そのあたりはご考慮いただきたいと思います。

秋元座長 よくわかります。
それでは、議題(2)はこのぐらいにして議題(3)に移りたいと思います。シミュレーションモデルを用いた解析について、事務局からご説明をお願いします。

議題(3)シミュレーションモデルを用いた解析について(資料3)

事務局 資料3についてご説明いたします。ここではシミュレーションモデルを用いた解析について説明しております。
まず、「はじめに」ですが、シミュレーションモデルについては先ほどご説明しましたような結果となっております。今年度の解析はこの結果を踏まえ、1段落目の最後の3行目、広域スケールを対象とした解析は60km、地域的なスケールを対象とした解析は10kmで行いたいと考えております。
また、[2]オキシダント濃度に影響を与えると推測された要因及び、NOx、VOC排出量の削減効果の検討(感度解析の実施)項目として、以下ご説明いたします。
1ページ目は、長いタイトルですが「シミュレーションモデルを用いた国内の光化学オキシダント濃度に影響を与えると推測された要因(前駆物質排出量の減少、越境大気汚染の増加およびNOタイトレーション効果の低下)の解析」についてです。
①~③のうち、今年度は①と②についてシミュレーションモデルを用いた解析を実施し、光化学オキシダントの高濃度域に及ぼす影響について評価したいと考えております。
③NOタイトレーション効果の低下については、今年度の結果から、60kmの計算においてはNOタイトレーション効果を適切に評価することが難しいと判断されました。また、10kmの計算値を対象とした2009年の関東の解析結果を見ましてもNOxは全体的に過小であり、また、タイトレーション効果による夜間のO3濃度の低下が適切に再現されないことが示唆されております。以上のことから、NOタイトレーション効果の低下の影響の解析については次年度以降、モデルの精度向上に取り組むとともに、10km格子による10年分の計算結果を対象にPOとO3についての評価を行った後、POとO3の濃度差に着目した解析を行うことで対応したいと考えております。
3ページ目に移ります。今年度行うと考えております解析について説明いたします。まず、「2.1. 光化学オキシダント前駆物質濃度の影響の解析」では、国内の高濃度域の光化学オキシダント濃度の変化に対して、これまでの大気汚染物質排出抑制対策がどのような影響を与えたか明らかにすることを目的としております。
シミュレーションの設定条件について表2-1に示しました。ここではケースA、ケースBを設定いたしまして、国内の蒸発起源のVOCの発生量を変化させてケースA、ケースBを比較することとします。ケースBは2009年を基準として、仮に国内固定蒸発起源からのVOC排出量が2001年のままであったらO3の濃度がどうなるかというような解析になります。
この解析におきましては地域的なスケールを対象としていますので、関東領域10km格子における計算結果を対象に解析を行い、また、異常年検定において気象的に平年値であると判定された2009年を基準年に設定したいと考えております。
評価の方法といたしましては、高濃度域に着目いたしまして、日最高濃度の月平均値及び日最高8時間値の暖候期の98パーセンタイル値をそれぞれケースA、ケースBで求め、2009年(基準年)の計算値と比較してどの程度差分が大きくなっているかで評価したいと考えております。
4ページ、越境大気汚染の増加の影響の解析では、解析の目的といたしまして、2001年から2009年までの東アジア域の排出量の変化が国内のOx濃度に及ぼす影響の程度を把握いたします。
シミュレーションの条件設定といたしましては、表2-2に示したとおりでございます。東アジア大陸の大気汚染物質排出量を2001年にした場合をケースCとしまして、ケースA、ケースCについて、日最高濃度月平均値及び日最高8時間値の暖候期98パーセンタイル値を対象に評価を行いたいと思います。
なお、越境大気汚染は広域スケールを対象としておりますので、60km格子における計算結果を対象に行いたいと思います。また、気象年といたしましては、先ほどの解析と同じように2009年を基準年と設定しております。
5ページにまいります。ここではNOx及びVOC排出量の削減効果の検討(感度解析の実施)という解析を行いたいと思います。今後の国内の発生源対策を検討する上で、NOx削減とVOC削減のどちらがOx濃度に対する感度が高いかを把握することを目的としております。
シミュレーションの設定条件は表3-1に示したとおりです。条件は4ケース設定いたしまして、国内人為起源VOCと国内NOxの排出量について、2009年の排出量に対してそれぞれ半分にした場合を組み合わせて実施したいと思います。ケースDについては国内人為起源VOCを半分にした場合、ケースEについては国内NOx排出量を半分にした場合、ケースFについては人為起源のVOC及び国内NOxそれぞれを半分にした場合を考えております。
この解析につきましては、地域的なスケールを対象としておりますので、関東領域の10km格子における計算結果を対象に行いたいと思っております。気象年についても2009年を基準にしたいと考えております。
評価の方法は、先の解析と同様にそれぞれ高濃度域の統計値を求めまして、ケースAを基準としたケースD、E、Fそれぞれの統計値の差分を対象に評価したいと考えております。
以上で説明を終わります。

秋元座長 ありがとうございました。これは今年度これから残りのところでやる作業、解析ということですけれども、ご質問、コメントがありましたらどうぞ。

浦野委員 こういうことをやってくれると非常にいいことなんですけれども、評価の方法なんです。先ほどからあるようにO3濃度の絶対値がなかなかシミュレーションで合わない、しかしトレンドは比較的合うので、差で取らないで比で取ったほうがいいのではないかと思うんです。比が何割減ったとか増えたとか。そうすると現状からの推定もできる。絶対値自身で差を取ってもあまり意味がはっきりしない。比で取って評価されたほうがいいと私は思います。

秋元座長 現時点ではそれをやってみたほうがよさそうですね。ほかに。

坂本委員 VOCを1/2にするというのは、中身は全然考えないで、すべてが1/2になるという仮定ですか。

秋元座長 人為起源のものだけをということですね。

事務局 人為起源のVOCについてすべて半分に。

坂本委員 例えば計算をするときにO3生成係数と平均濃度を掛けて大きく効くからあれでやったというわけだけれども、そういったところについては全然配慮はしないんですか。どうせやるのだったら、そういったケースがあったほうが意味のある話になる気がするんですけれども。

事務局 もう少し詳細な対策検討となるとその辺も必要になってくるかと思うんですが、今年度についてはまずはVOC全部を半分にした場合で感度を見るというのを優先してやりたいと思っています。

秋元座長 今年度は大まかな傾向を把握するということだったと思うので。ほかに。

板野委員 前駆物質排出量の減少の検討をするのに60kmメッシュのモデルを使って検討するということですか。

事務局 60kmを用いるのは越境汚染で、前駆物質については関東領域10kmを対象に行う予定です。

板野委員 わかりました。

秋元座長 ほかの委員の方はよろしいでしょうか。今年度は前から申し上げているとおり特にこの検討会としての報告書というのは出さないということで、次回に今年度できたことをまとめはしてもいいけれども、冊子にするようなものは出さない。業務報告書は出されるでしょうけれども。そういう理解にしたいと思います。
ということでシミュレーションモデルを用いた解析、今日議論いただいたこれも結果を見ると解釈なり何なり問題があって、この後の最終検討会1回だけで片がつくのかということはあるけれども、今年度はすべてコンシステントになるように説明しきらなくてもいいという理解で、あと検討会は1回としたいと思います。
以上で今日の議題は終了いたしましたけれども、ほかに何か議題なりこの機会にご意見、コメントがございましたら。よろしいですか。よろしければ本日の検討会はこの辺にして、マイクを事務局にお返しします。

事務局 本日は長時間ありがとうございました。先ほど来出ていましたが、第3回の検討会については一応3月中旬を考えておりますので、また委員の皆様に日程の調整をさせていただきたいと思っております。
本日の検討会はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

以上

ページのトップへ