環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)

第5回光化学オキシダント調査検討会 会議録

1.日時 平成24年2月9日(木)14:00~17:00

2.場所 経済産業省別館 10F 1014号室会議室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇   安藤 研司  石井康一郎  板野 泰之
井上 和也  指宿 堯嗣  浦野 紘平  大原 利眞
坂本 和彦  下原 孝章  竹内 庸夫  土屋 徳之
向井 人史  若松 伸司
(欠席)
岩崎 好陽  金谷 有剛  橋本 光正
(環境省)
山本大気環境課長 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
原大気環境課長補佐 芳川係長
(事務局)
ムラタ計測器サービス(株)

4.議題

(1)光化学オキシダント調査検討会 報告書(素案)について
(2)その他

5.配付資料

資料1
光化学オキシダント調査検討会 報告書(素案)
資料2
東京都における光化学オキシダント濃度の経年変化(平成22年度データ含む)
参考資料
光化学オキシダント調査検討会委員名簿

6.議事

芳川係長定刻となりましたので、ただ今より第5回光化学オキシダント調査検討会を開催させていただきます。本日は各委員におかれましては、大変お忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。私は本日司会を務めさせていただきます、環境省大気環境課の芳川と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、岩崎委員、金谷委員、橋本委員からご欠席というご連絡をいただいております。また浦野委員と大原委員は少し遅れるとのご連絡を頂いております。
なお委員等のご紹介、設置要綱のご説明等は省略させていただきます。
本日の資料でございますが、お手元の議事次第に配布資料一覧を掲載しております。資料の確認は省略させていただきますので、もし資料の不足等がございましたら会議中でも結構でございますのでお申し出ください。プレスの関係者の皆様方に、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それではこれ以降の議事進行につきましては、秋元座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

秋元座長皆様、お忙しいところありがとうございます。この検討会も第5回目となりまして、いよいよ報告書の取りまとめに入ることになっております。本日は、事務局から報告書の原案が提示されますので、それについてご議論いただいて、来月に最終回の検討会がございますので、そこで採択という手はずになるように、ご議論をお願いいたします。
それではお手元に報告書の案がありますが、これはかなり厚いので、3つに分けてご説明いただいて、ご議論いただきたいと思います。今日の議題はこの報告書の議論がすべてでございます。最初に第1章から第3章まで、これは過去の経緯を含めて今の現状認識です。それから第4章として今までの過去のデータを揃えたものということです。それから最後の第5章、第6章、これで何が問題か、今後何をすべきかという、その辺の提言が含まれているということになります。それでは3つに分けてご説明いただくということで、まず第1章から第3章について事務局からよろしくお願いします。

山本課長補佐(第1章から第3章までの説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。それでは第1章から第3章まで、1章ずつに区切ってコメントがあればいただきたいと思うのですが、まずは第1章は検討会の目的ということで、何かありますでしょうか。委員の先生方はおそらくこの報告書を事前に目通しいただいているものだと思います。そうでないとこの場で全部読んですぐコメントされるのはちょっと難しいかと思います。ある程度検討されているのでご指摘いただけるのではないかと思います。第1章はよろしいでしょうか。
それでは第2章です。ここでは、この検討会がそもそもVOCの排出抑制をやってきたのになぜオキシダントが減らないのかということから出発しているということで、VOC削減をこういう考え方で決めたということがまとまっていて、これを読むと当時のことが良く分かり、これでは上手くいかないのも仕方がない、という気になります。あまり過去のことを言ってもしょうがないのですが、ここについて何かございますでしょうか。まあ過去の事実を並べているということだと思います。

安藤委員意見としまして、第2章のタイトルがVOC排出抑制制度に関するレビューとなっているのですが、レビューというと違和感を感じます。当時こういう風なことをされたという事実が記載されているのですが、その結果どうであったかというところまでコメントがあるとレビューになるのではないかと思います。しかしながらそこについての考察の部分が何もなかったので、レビューというと何か違和感を感じて、別の言葉の方がいいのではないかと。例えば検証というのはどうかと思います。

秋元座長わかりました。ありがとうございました。事務局はいかがでしょうか。

山本課長補佐確かにレビューといいますと評価するという意味合いも含まれるのが学術的な世界では一般的でございますし、中身を見ていただいて分かりますとおり経過の振り返りですので、表現は変更する方向で考えたいと思います。

秋元座長はい。ありがとうございます。他に第2章に関していかがでしょうか。

大原委員今、ご指摘いただいたことと同じような意見でありますが、同じところで排出抑制制度という言葉を使われておりますが、実質的に記述されている内容は排出抑制制度に使われたシミュレーション手法であり、制度そのものではないと思いますので、ちょっと言葉を変えられた方が適切かと思います。

山本課長補佐今のご指摘もごもっともですので、今、言われました語句も含めましてタイトルを考え直したいと思います。

秋元座長ありがとうございます。他に第2章でご意見ありますか。

井上委員p.9の推計結果のところで夏季と冬季、両方考慮されているということなのですけれど、注意報発令日数という観点でいくと当然夏季だけ扱えば良かったのかなと思いました。冬季だとVOCの排出量が少なくなりますので、VOC limited寄りになるということでVOCの削減効果が高めに出ているということだと思いました。
あともう1点お聞きしたいことがあります。例えばp.13の⑭貝塚市消防局:冬季というものがありますが、測定値が23ppbになっていて、ハイドロカーボンとNOxのところの1.0のところを見ると95とか100になっているのですけれど、これはひょっとして計算値が100で測定値が23というのはその結果をそのまま使っておられるということなのでしょうか。

山本課長補佐詳細な数字の使われ方は、正確を期すため確認しまして、後ほどご回答申し上げます。

秋元座長他によろしいでしょうか。先程少し申し上げたとおり、こういう扱いでは無理があるのではないかということが出てきますが、当時はこういうふうに考えたということだと思います。第2章はよろしいでしょうか。それでは第3章について、これはこの光化学オキシダント調査検討会以外の環境省の検討会や国環研の研究、推進費の研究、日中韓の内外の動きなどですが、何かご質問あるいはコメントはございませんでしょうか。

指宿委員細かい点なのですけれど、p.14の表3-1で、実線と点線で下のほうに実施済みと検討中と書いてあるのですが、矢印が過去で止まっているのは実施済みなのだろうけど、現在以降はまだ実施中だと思いますし、検討中というのは実施を検討中なのか、何か公ではないけれど検討しているのかとかですね、言葉をきちんと定義しないと誤解を生じると思います。

山本課長補佐検討中の点線の矢印の使われ方はおっしゃる通り、第1回の資料で使ったものをチェックせずに使っておりまして、正確になるように修正したいと思います。

秋元座長他にいかがでしょうか。第3章はよろしいでしょうか。よろしいようでしたら第4章に入りたいと思います。それでは第4章のご説明を事務局からお願いします。

山本課長補佐(第4章の説明)

秋元座長はい。ありがとうございました。非常にいろいろなデータがあって、フォローするのが大変だと思いますけれど、順番にいきましょう。最初のところ、p.24~42のまとめの前まで、この辺のところは発生量などの統計データで比較的分かりやすいので、まずそこまでにしましょう。p.42までで何かご質問はございますか。

下原委員p.31の図4.1.2-3のところなのですが、植物由来というところで175万という数字が入っていますが、unknownだと思うので、波線を入れてunknownの方がいいのではないかと思います。

秋元座長この図の一番下の白いところですか。

下原委員白いところに数値が入っていますけれど、実際、この数値というのは変動があって分からないというものだと思うのですが。

秋元座長推定によって誤差が大きいという意味ですね。これは何からとられたかなどはどこかに書いてあるのでしょうか。誤差があるということは書いてありますが、175万トンは何に拠るものでしょうか。環境省の「揮発性有機化合物排出インベントリについて」というもので出されているのが175万トンという意味ですね。分かりました。だから175万トンというのが出ているのだけれど、他の文献ではその倍くらいものもあれば少ないものもある、というのが現状です。そういうものをどういうふうにあわせたらいいかというご質問だと思いますけれど。

山本課長補佐事務局から補足させていただきます。これにつきましてはインベントリ検討会の検討会資料から引用させていていただいているものでして、その会議では国内の植物起源VOC排出量を年間約175万トンという数字を採用して使っているということでございます。

事務局 こちらのデータにつきましてはEAGrid2000の日本の植物起源VOCのデータをすべてあわせたものになっておりますので、平成12年度の推計値そのものになっています。

秋元座長環境省と書いてあるけれど、もとはEAGridですか。

事務局 はい。そうです。

秋元座長それはちゃんと引用元を書いたほうがいいですね。

浦野委員インベントリの検討会は私どもがやっているのですけれど、インベントリは固定発生源中心でやって、ほかのものも参考にということで、引用しているわけです。だから引用の元情報を出して欲しいと思います。

秋元座長元のものを入れておけば、それはこういうふうに推計しているということが分かるので良いと思うのですが、これがオーソライズされた数字になってしまうのはちょっとまずいと思います。

浦野委員インベントリの委員会としては、そこまでは責任を持てません。

秋元座長そういうことになりますよね。ではこのところは一つの数値を挙げるのは結構かと思いますけれど、出典を明記してください。その上で誤差の幅というものが少なくともこれだけあるということは記載されているので良いかと思います。それとマイナーなことで申し訳ないのですが、縦軸の数字が前の方のグラフは千トンの単位ですっきりしているのですが、こことかいくつかのグラフではトンになって多くの0が並んでいるので、これは千トンに統一していただけますか。

山本課長補佐横並びにさせていただきます。

秋元座長年号の方は以前、平成と西暦が混ざっているので非常に分かりにくかったのですが、それは西暦に統一していただいたのでそれは非常に良かったと思います。ほかにどうぞ。

竹内委員p.27のところですけれど、以前いただいた資料ですと下の方がなくて上のほうだけだったと思うのですが、今回下の方が入ったということで、この"変更前"、"変更後"という変更という言葉がちょっと分かりにくいかなというのと、せっかく下のグラフを入れたのですから、それについての何かコメントが左の本文の方に触れられてもいいのかなという気がいたしました。

芳川係長詳細な文章につきましては入れさせていただきます。またこちらの方で検討させていただきまして提出させていただきたいと思います。

秋元座長確かに、平成22年度の二次基準器に対する三次基準器の感度比ということは、はじめてやった時ですよね、従来の各自治体が独自に値付けしていたものを標準のトレーサビリティの取れたUV法に変えた最初のものですよね。ですので"変更前"ではなくもうすこし良い言葉はないですか。そのあとも"変更後"ではなく2回目以降ということですかね。下の方のグラフは1回値付けをした後ということですよね。そこを分かりやすく書いていただくのと、後の方の"変更後"に良くなったということについての説明を入れたほうが良い。p.26にコメントはされていますが、この図のスロープというのはレファレンスに対して過去のものがそれだけの比率で出ていたということ、スロープが1を上回るということは従来高めに出ていたということなのですね。

芳川係長そういうことでございます。

秋元座長10%以下ならいいけど、17%ということとなると注意報の達成率とかそういうものにかかってきますよね。その辺の扱いということについては何か検討というか、今後、どう統計資料を扱うということについては考えておられますでしょうか。

芳川係長少しデータがある分だけでもさかのぼっていこうと思っています。

秋元座長ちょっと過去にさかのぼってこれでやり直したら、トレンドなどがどれくらい変わってくるかというのを見た方が良いような気がしますね。

下原委員p.35の図ですが、今回、この図を修正して欲しいということではないのですが、次回、検討していただきたいということですが、昼間のオキシダント濃度というと普通は5時~20時で集計していますね。それでNMHCは6時~9時になっているのですが、実際にそれはその時間のNMHCが昼のオキシダントに反映されると考えているわけです。しかし、例えば前の日の夜のアルデヒド類がその次の朝のオキシダント類に反映することも報告されています。例えば、福岡であれば普通のオキシダントの上昇は9時~15時までで、この間に上がって下がるというのが普通です。もし、移流があると夕方も夜間も残留することがある。朝方上がるのは別の影響かもしれないし移流の影響かもしれない。そういうときに、昼間を5時~20時と切らないで、例えば9時~17時、17時から夜8時間、夜8時から朝9時までの各8時間毎という形にすると、新たな現象が見えてくるのではないかと思っています。VOC、NMHCの6時~9時に関しても同様です。第3回目の会議で私が福岡の5箇所の測定局での年平均の推移をお見せしました。この時、オキシダント濃度が経年的に上昇していない、むしろ下がっており、他の全国の経年変化と比べると異なっていると言いました。一方、都市部で見ると、経年、上昇しているのですが、私達が大陸からの移流として評価している都市部ではない平野部では下がっているわけです。ここで、例えば、昼間のオキシダント濃度の評価を、従来の5時~20時ではなく、昼間9時~17時で区切って見たとき、夜間のオキシダント濃度は経年的に上昇していました。すなわち、昼間はもしかするとNOxが経年的に上昇していて、Oxの上昇が相殺されて、見かけ上、Ox濃度が下がっているのかもしれない。ですから私の意見としては、今後報告書にまとめられるとき、昼間のオキシダントというときに9時~17時、それから夜間、朝方と組み替えた評価を行うことで、日本のいろいろなところの経年的な傾向が見えてくるのかなと思っています。

秋元座長5時~20時というのは今まで環境省の統計がこういうふうにやっているのですか。確かに今のご意見もあって、後の方で今後どういう風な統計的処理をすべきかということも検討材料として出てくると思うので、今すぐではないとしても昼夜等の切り方をどういうふうにして統計を取るかということを今後再検討するということでお願いしてみると良いかと思います。特にNMHCの6時からというのは、昔はその日の朝のNMHCがその日のオキシダントに効くという考え方でしたが、今では移流の影響などから6時から9時の値を取るというのはあまり意味がないことが分かってきたので、今後は取り方を変えることも頭に入れてください。

大原委員p.29とp.30の排出量の記述で、例えばp.29のNOxについては、固定発生源と移動発生源の中に船舶とか航空機など寄与率が大きいものが入っていないので、全部カバーできる表現にした方が良いというのと、同じような話でp.30のVOCの方なのですが、多分寄与率が圧倒的に小さいということだとは思うのですが、燃料燃焼に伴うVOCもあることはあると思うので、その排出量がすごく少なければあえて図には入れなくても良いとは思うのですが、少なくとも文章の中では少ないということを記述していただきたいと思います。日本以外では燃焼系のVOCの排出量というのは結構大きいので、国際的に見た場合にそこを見逃していると思われるのは問題だと思いますので、そういった意味で記述を追加していただければと思います。

山本課長補佐まずp.29のNOxの資料につきましては、移動発生源のうち、船舶、航空機がないというのは全くご指摘の通りでございまして、こちらの準備不足でご迷惑をおかけしました。自動車のように、毎年データがあるかはお答えできませんが、船舶につきましては港湾統計であるとか、航空機についても類似の社会統計を使いましてある程度把握されているはずですので、何らかの形で反映させていただきます。
それからp.30のVOCのうち、燃料の燃焼由来のものにつきましても定量的なものを把握しまして、グラフに入れるか文章に書くか、あるいは両方にするかという対応をさせていただきます。

浦野委員今、航空機、船舶、それから燃焼についてですが、VOCの発生量はPRTRで推計されています。それに排出係数みたいなものがNOxなりVOCなりで出ると推計がすぐできるのでそれを参考にしてください。
1点気になるのはp.30とかp.31のグラフでは2005年よりVOCインベントリは全体で下がる傾向ですよね。にもかかわらずp.36のモニタリング結果は2006年だけ高くなっています。これは見ると酢酸エチルとトルエンが増えている感じになっているのですけれど、これは何か理由があるのではないかと思うのですが、トレンドとしてここだけ奇異な感じがします。ご確認ください。

秋元座長図を見ると増えているのはアセトンですか。

浦野委員酢酸エチルではないですか、下から4番目ですから。

秋元座長紫が増えていますよね。

浦野委員紫と水色が増えているのではないですか。その少し上の方の紫のn-ブタンも少し増えていますが、どちらにしても、この年だけ増える理由というのはあまりないはずなのですけど、何でこういうことになっているのか、何か測定方法とか測定場所の数とかいろいろなものが変わっていないかということをチェックしていただければと思います。

山本課長補佐ご教授ありがとうございます。まずp.36のグラフの2006年につきましては過去のデータを確認して調査いたします。またVOC排出量につきまして、ご教授ありがとうございました。活用させていただきます。

秋元座長今の図ですけれど、この濃度は全部で53地点の平均ですか。そして各地点ではどれくらいの頻度で成分分析のデータが取られているのでしょうか。

山本課長補佐月1回です。

秋元座長月1回ということは年12回で53地点、それを全部平均した値ですか。全地点、月に1回、ある1日、ある瞬間採取して分析するということですか。24時間の平均を取るわけではないですよね。

浦野委員24時間の平均です。

秋元座長ゆっくり採取するのですか。キャピラリーで。

浦野委員キャニスターで24時間捕集して測ります。

秋元座長24時間捕集するということはどういうことですか。

浦野委員真空瓶などにじわじわととります。ですので一応24時間の平均値とみなされています。ただ地点が全部、ほぼ同じ地点数なのか、あるいはそれが関東に偏っているとか、そうすると全国を示しているかどうかというとその辺は問題があります。

秋元座長一般環境30地点と書いてありますよね。これがどこにあるかは別として、同じ点でとらえているのであればトレンドとして何か出ても良いはずですね。

浦野委員地点が変わらなければですね。あまり細かいことをここで議論してもしょうがないのですが、2006年だけちょっとはねている、逆に言えば2006年から2007年でガタンと減っているので何か理由があると考えるべきなのではないでしょうか。

指宿委員2005年は6月からの測定なのですね。

浦野委員では2005年は除いた方がいいのでしょうか。

指宿委員それがなければ違和感がないのですが。

栗林課長補佐モニタリングにつきましては全国を6ブロックに分けまして、調査を行っております。基本的には毎年同じ地点で計測していると認識しておりますが、ちょっと確認させていただきたいと思います。

大原委員p.56のVOC気象条件を揃えた時のNMHCの平均濃度も同じような推移しているので、ひょっとしたら正しい現象をみているのかもしれません。そのあたりも含めて確認してください。

秋元座長念のためにご確認ください。

指宿委員ちょっと確認なのですが、p.25のあたりで自動測定機の校正の議論があったのですが、KI法で測るのが光化学オキシダントであるというふうに決められていますよね。それでKI法でこれまで自動計測機がいろんな測定局に入ったということだと思うのですが、それとUVを使った測定値の換算はどういうふうにやられたのですか。いつからそのように変えたのか。おそらくUV法で測るのはオゾンしか測れていないので、オゾン以外のオキシダントが測定されないのですよね。そこをどういうふうにしたのかというのを書いておかないと、平成12年から今までの間にどこで変えたということを是非書いておいてほしいと思います。

芳川係長乾式の導入は平成8年ぐらいでして、そのときにオキシダントの大部分はオゾンだということで、オゾンで代用しても大丈夫であろうということの検討がありまして、乾式を導入したということでございます。その辺の経緯も含めて書かせていただきます。

秋元座長書いていただくのは良いのですが、ちょっと注意しなければいけないのは、KI法はオキシダントを測っていますよ、UVはオゾンだけを測っていますよ、だから違います、という変な印象を与えるのはよくないです。つまり今までKI法で測っているのは何かといったら、もちろん概念的にはオキシダントを測っているのですが、オゾンプラスアルファを含めて、きちんと両方が測れているのかというとそこまでの精度がないわけです。だから、測定値を比較すればわかりますが、オゾン計で測った値の方が高くなる例はたくさんあるわけです。本来ならばオキシダントの方が常に高くなければいけないのですが、そうでないということはオキシダント計が両方を合わせたものをきちんと定量的に測れていないということですから、そういう誤差を入れた時に、今はオゾンだけを測っていて、昔はオキシダントを測っていたということをあまり強調しすぎない方が良い。いずれにしても昔オゾンだけを測っていたとしても同じような誤差があったはずですから。つまり、確かにオキシダントと言っていた頃とオゾンと言っていた頃でコンセプトは違うのですが、実際の物理的な数値としては、昔の方はオゾン以外のいろいろなものを含んでいるから高くあるべきですがそうではない。その点をあまり誤解を与えないようにうまく書いていただけると良いと思います。

芳川係長わかりました。ありがとうございます。

浦野委員p.51ですけれど、東京、埼玉等の関東地域のオキシダント濃度のトレンドなのですけれど、120ppb以上という濃度の高いところで、先ほどの説明だと2007年からどこも減っており、だから改善していますというような表現になっているのですけれど、その前のところでもかなりデコボコしていまして、別資料に東京都さんのデータがありますが、それを見ると、東京都の7、8月は2010年にすごく上がっていますよね。ですから安易に下がっているのだというような結論を出すのは非常に危険だというか正しくないと思いますので、これで下がっているのだから効果があったのだというふうに言わない方が良いと思います。

秋元座長はい、ありがとうございます。その点はこれから議論をしたいと思うのですが、その前に、p.42まではこの辺でよろしいでしょうか。

井上委員p.31の植物起源排出量を含めた図ですが、植物起源排出量というのはここに書いています通り、気象条件などによって全然変わって、夏季がものすごく大きくなって、冬はほとんどないというような状況ですので、これでこの本を通して見たいのは夏季の状況なので、夏季の割合を知りたい人が多いと思うのですね。ですので夏季の図を付け足していただくか、注釈なりを付け加えていただく、夏季の場合はもっと植物起源の寄与が多いよということを付け加えていただくと良いかなと思いました。

秋元座長はい。このEAGridのデータというのは月変化というものは出るのですか。

大原委員月ごとに出ています。

秋元座長それを1年足し合わせたのがこの値ですね。これは文章の中に注釈で、月変化が大きく、通年の合計値だと記載して頂ければ良いと思います。いずれにしても見積もりによって2倍くらいの誤差がありますので夏の値をあえてここに出す必要はないと思います。

浦野委員全体のまとめ方の問題なのですけれど、この章では何が足りないとできるだけ書くのですか、それともここは全体として自然由来、植物由来のVOCの情報が足りないと書いて、最後の6章の課題のところでこういうところが今後必要であると書くのでしょうか。今のご指摘のように、オキシダントの推計をすることを考えるとやはり夏場が大事なのです。それは何も植物由来だけでなくてVOCもNOxも全部季節変動をある程度見なければならないのです。そういう季節ともう一つは地域ですよね。シミュレーションの精度をある程度上げようとしたら夏場の関東であるとか、もうちょっと狭い地域とか、あるいは中部だとか九州だとかで自然由来が全然違うわけです。関東と九州では全然違うわけですから。全国でぽっと出てくるところも怪しいのですが、実際にシミュレーションをしようとしたら地域ごとの夏場のデータが必要となります。これは全部課題の方に書くのか、この章に全部そこまで書くのか、いかがでしょう。

秋元座長それは全部課題の方に書くのですよね。

浦野委員そうだと思うので、課題の第6章でしっかりと具体的なものをきっちりと書いていくというふうにしないといけない。この章はあくまでも現状あるデータを並べてこうですよ、足りないことは簡単にまとめて、何が足りないかの細かいことは後ろの課題で、しっかりと書くべきなのかなと思います。

秋元座長そうだと思います。ここは人為起源についてはこういうふうにやってきているということが見えればそれでいいというように考えた方が良いかと思います。ありがとうございます。それではp.42まではこれでいいと思います。それでは浦野委員のご指摘について始めましょうか。p.43以降のまとめのところについてご指摘ください。先程、2008年、2009年が急に下がってきているけれど、いずれにしても2年くらいのもので一喜一憂してはいけないですよね。これは前の検討会でも議論になりましたが、統計的にどういう処理をすべきか、統計的に有意な処理の仕方を今後見つけなければいけないということにも関連してきます。何年分のどういう統計を取れば、本当に増えた減ったという統計的に有意な判定ができるかということにつながると思います。本文でその点を強調しないで2008年、2009年が減ったということを言っているのであれば、減ったことだけを強調しない方が良いというのは浦野委員の言われている通りだと思います。ほかにこのまとめのところでご意見ありますか。

坂本委員いずれにしろ、すべてのデータが点でプロットされているけど、点ではないわけですよね。いろんなものが帯グラフなり折れ線グラフになっていますが、みんなそこには平均値で変動や測定誤差が入ってきて、そういうものを常に考えないで議論をすると、すぐ増えた減ったといった話になるのだけど、そういう誤差や変動を考慮した場合にどのくらいの幅があるのかを考えると、相当長期に渡らないとトレンドとしては見えない形になっていくと思います。

山本課長補佐補足させていただきます。大変失礼いたしました。本来、資料1のp.50、p.51のあたりの2009年すなわち平成21年度までのデータでございまして、まだ全国ベースの2010年すなわち平成22年度のデータは環境省としまして全国規模のデータをお見せできないのですが、今回、資料2の方でちょっとご説明するのが遅くなってしまいましたが、資料2の方で東京都だけでございますが、東京都におかれましては平成22年度、2010年度のデータを公表されておりますので、p.50、p.51の4月、5月と7月、8月を2010年度まで含めたものにしております。ですので、さきほど各先生のご指摘いただきましたけれど、4月、5月におきましても、7月、8月におきましても、それまでは上がっているとか下がっているとかいうのとはちょっと違う傾向が出てきておりまして、まさにおっしゃいましたとおり長期的に見ていかないといけないのかなということでございます。また、この検討会の報告書は平成23年度に取りまとめるものでございますので、最終的にはデータとしましては2010年度までのデータにすべて置き換えます。これにつきましては報告書の中の代えられるデータはすべて2010年度、平成22年度までのデータを使いまして、次回の第6回の検討会ではお示しさせていただきます。

秋元座長はい。ありがとうございます。ちょっと確認なのですが、p.44の図で、地域別の注意報レベル非超過割合ということで、例えば関東地方では数年間にわたって非超過割合が増えているということは良くなっているということですよね。それとp.50、p.51の120ppb以上の濃度ランク別出現頻度というのを見ますと、春と夏とで明らかに傾向が違いますよね。春、4月、5月では関東地域全域でずっと増えていますよね。これは出現頻度が増えているということは逆に悪くなっているということですよね。だけど夏の方は一定か多少減っているということで、p.44のこのグラフは年間での超過割合ということで両方合わせたものを反映しているわけですよね。

事務局p.44は年間のデータです。

秋元座長春と夏とを合わせた場合ではp.44のようになりますということなのですね。

大原委員p.50、p.51は60~119ppbのデータですので見ているものが違うのではないですか。

秋元座長見ているものが違うのですか。p.44は120ppb以上のオキシダント濃度が出現しなかった場合で、p.50、p.51は120ppb以上が出現した割合ですので逆にはならないのですか。赤線は60~119ppbですか。縦軸は120ppb以上の濃度ランク別出現頻度だけど、凡例に書いてあるのは赤線は60~119ppbですね。

浦野委員どちらかというと棒グラフを足したものなのですが、p.50、p.51は出現頻度で、もう片方のp.44は測定局数なのです。

秋元座長こういう統計の取り方は、局数という取り方と頻度みたいなものをひとつの報告書に載せるというのは良くないですよね。

浦野委員ある測定局で何度も超えると頻度が上がるのですよ。何が言いたいのかよく分からないですね。

秋元座長これは行政的に局数というものが大事だからこういう取り方をしているのでしょうか。

浦野委員局数ということは基本的に地点数ですから、ある地点で超えている、超えていないということですし、それはそれで意味があると思うのです。どちらかというと頻度というものが何を意味しているのか分からない。

秋元座長すみません、p.50の赤のグラフは60~119ppb、120ppbは超えていない中濃度のものが増えているということですか。そして夏にはあまり増えていないということですね。これは越境輸送の影響が一番効くのは春だから、定性的にはそういうことを表しているのでしょうね。そうするとp.44と比較してはいけないのですね。

山本課長補佐p.44とp.50、p.51の比較に関連しまして、私どもからしますと、p.44は局数で見た割合でございますが、これにつきましては平成18年以後実施しましたVOC排出抑制の政策の目標としまして、超過局数を減らしますということがありまして、そういう政策の観点からみますと局数での整理ということで、他方、p.50、p.51におきまして、環境データとしてどうかということでみますと1時間値の割り算でもって出現割合を出したいというところで違う使い分けをしているということになります。

秋元座長ありがとうございました。

大原委員2点あるのですが、今、話題になっていたp.50、p.51の赤線の意味なのですが、60~119ppbの値をこういう形で示す趣旨は何でしょうか。逆に分かりにくくしている面もあるのではないでしょうか。中濃度ということは分かるのですが、それをこういったような形で出すことによって何が分かるのかということですね。ちょっと私には良く理解ができません。大勢のご意見に従いますけれど、場合によっては削除しても、あるいは削除ではなくても119ppbで切るのではなくて60ppb以上という整理をしても良いのかなと思った次第です。多分このチャプターで一番重要な図はp.54あるいはp.56の気象条件を固定、限定した場合に環境濃度がどう動いていくのか、どういう風なトレンドを持っているのか、それが気象の年変動の影響を除いた上での排出量の変化に一番近いことを見ているという点において、有効な解析なんだろうと思います。ですので、この検討会では、p.56に示される前駆物質の図の低減によってp.54に示すオゾンの濃度が減っているということを言えるのかどうか、それを共通認識にできるのかどうかを確認することが大事なのだろうと思います。追加のコメントなのですが、p.54と同じような解析を前駆物質についてやられてはどうでしょうか。NOx、NMHCについてこのオキシダントのパーセンタイルに相当する日のNOxとVOCのデータはもちろんあるのですから、それが長期的に変化しているのかどうかということの解析をされたらもう少し何か分かるかもしれないという気がします。

浦野委員第1回目の時に指摘をしたのですが、いろんなデータとかグラフを出すのは、本来、何を知りたいからこういう図を作って結果としてこういう傾向が分かりましたと言わないと。だから先程の説明だと測定局数というのはこういう理由で測定局の変化を見たらこうなったからこうです、あるいは今の60~119ppbというのは、一応環境基準は超えているけれど注意報まではいっていないレベルはどのくらいになっていますかということ、また注意報を超えたのがどのくらいになっていますかということをそれぞれ見ましたということですよね。それはそれで意味があると思うのですが、だからこのようなグラフを作ってみました、その結果、長期的なトレンドとしてはこのくらいのことが分かったけれど、本格的な統計解析はできていませんので今後の課題ですとか、一つ一つのグラフが何のためにこういう解析をして、その結果こういうことが分かった、あるいは分からないということをきちんと書いておかないと、何か類似のようなグラフが並んでどういう解析をしたのか分からなくなってしまうので、是非そのあたりは論理的にすっきりさせてください。

秋元座長ありがとうございます。報告書の図については、私の印象としては、今回の図は浦野委員のおっしゃっている何のためにということを意識して、かなり精査されているという印象はあります。第1回目で出てきた未整理のものとは全然違うと思いますが、確かに説明が不足していますね。それぞれがかなり理由を持って選ばれているので、その理由を丁寧に、こういうことのためにこのようなグラフで、これからこのようなことがわかるという説明がもう少し丁寧にされたらいいのではないかなと思います。特に今の大原委員のご意見があったことに関連して言うと、p.54でパーセンタイルの高いところが減ってきていることの意味をきちんと書いた方がいいのと、それに対して50パーセンタイルは増えていますが、このことと先程のp.50の中濃度のものが増えているということはおそらく同じような意味になると思います。60~119ppbを取るのがいいのかというのは切り方の問題がありますが、おそらくグラフはそういうものを表していて、この項でどこまで言い切って良いか分からないけど、予測としては越境が増えて国内の発生源が減るとまさにこうなるはずです。高いところは減るが、中濃度のところは移流の影響が強く出るのでそこは逆に増えている、ということと定性的には矛盾していない。

浦野委員大原委員がご質問されたことについてですが、この指定した気象条件のときのNOxとNMHCの数値、またどこか移流に関する代表的な地点でのオゾンの変化を見て、それを同じように経年変化を取るとかなり中身が見えてきますよね。そういう解析データをつけていただくと、これはすごく面白いデータですが、パーセンタイルで出ているものとppbで出ているものがどういう関係にあるかというものも含めて、しっかり考察していただくと、このデータは政策評価にかなり有効だと思います。これはモデルではなく実測値ですので説得力があります。それとモデルがどう対応していくかということを今後検証していかなければいけないので、是非これは今後もうすこし解析をして頂くか課題にして頂きたいと思います。

秋元座長ありがとうございます。

板野委員細かいことになってしまうのですが、p.56の図4.1.3-7ですが、ここにNOxとNMHCの経年変化の図があるのですが、一番最初の検討会の時にも出てきましたが、この比率がそれぞれNOxとNMHCの平均値同士の比率を取ったのか、それとも各7時~9時の時刻ごとの比を取ったものを平均化したものなのかによって、おそらくこの比の値は少し違ってくると思うのです。この比率というのはNOx limitedとかVOC limitedとかいうのを分けるのに一般的に使われるものなので、どういうふうにしてとった比率なのかということを注釈としてつける必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

山本課長補佐確かに今までの検討会でご指摘されているものでございますので、このデータの出し方の過程についてはこのグラフとともに確認できるように、注記するようにいたします。

浦野委員もう1点いいですか。p.58で、注意報の発令延べ日数と日射量の関係があって、これは日射量とあまり関係がないような結論みたいな言い方をされましたが、2009年はたしかに少しずれています。また2000年頃も少しずれていますが、全体としてはかなり近いですよね。ということは日射量はそれなりに影響しているといえるが、それ以外の影響因子がでることもある、というのが正しいのではないかと思います。そうしないと、日射量があまり効いていないという話では、夏場で25℃以上、日射量がこれくらいのときという抽出と論理が合わなくなります。論理的に考えるとオキシダントと日射量が無関係なわけはなく、日射量はかなり主要な影響因子であることは間違いないです。逆に2009年がなんでこんなにずれるのかということを検証していくのが正しいのではないかと思います。2009年とか2011年も少しずれていますが、全体で相関を取ればかなり良いのではないでしょうか。その辺の解釈も、ちょっと外れるところがあるから、安易に日射量はあまり影響しないという言い方は適切ではないと思います。

若松委員私は、先程の事務局のご説明はそういったことではなく、2009年頃までは日射量と相関があるけれど、その後はそれ以外の要因かもしれないとおっしゃっていたと理解しました。つまり、日射量とはもちろん関係があるのですが、この図の2008年までとそれ以降との違いをおっしゃっていたような気がしました。

浦野委員これは特に注意報の発令日数なので、全体のオキシダント濃度の話ではないので、高濃度が出るのが必ずしも日射量だけでは説明できなくなってきたという趣旨ですか。

秋元座長私なりに解釈すると、今の浦野委員と若松委員の両方を取り合わせればいいのだけど、日射量だけではないのは間違いないので、いわゆるこの気象条件でオキシダントが出やすいというカテゴリーがp.52にありますよね。こういう高濃度が出るポテンシャルがあるような日数がどれだけ年変動しているかというのを一緒に載せていただくと、かなり日射量とも連動するはずだけどそれ以外のファクターも含まれるから、本当はそれとこの延べ日数が一致してくれるのが一番良いのですよね。だからそういうあたりで2009年とか最近の2、3年は日射量以外のものも含めればかなり出易いという条件になっていたということが見えれば、非常に分かり易いと思います。そのプロットを入れていただけませんか。

浦野委員基本的に日射量と温度と風速を決めているわけなので、これを用いて多変量解析もできるし、いろいろな形で、もしずれている何箇所かを多変量解析をしないまでも、ずれている年は温度が高めであったとか低めであったとか、そういうことがあるのかどうかなども含めて議論をいただいた方が良いかなと思います。急に2009年から傾向が変わったというのも理解ができないかなというのも思いますし、その辺、これも結構大事な数字なので、さらに検討をして、今後の課題を明らかにして頂きたい。

山本課長補佐いろいろとご助言、ご指導いただきありがとうございます。まず解析の取っ掛かりとしまして、一番手っ取り早くデータが取れる注意報発令日数に着目していたところ、近年注目すべきような傾向がありました。今後はおっしゃいましたような注意報発令日数とかそういうものではなく、環境濃度であるとかあるいは日射量などの気象関係につきましても他の環境濃度の解析と整合を取ったような解析をやっていきたいと思います。

浦野委員第6章でそういうことをきちんと全部書いていただければよいかと思います。こういう課題があります、宿題みたいなもの、ここをこうした方が良いなどたくさん出ましたが、それには今度の第6章の今後の調査、検討すべき事項に入ってくると思います。

秋元座長他にありますか。

石井委員お伺いしたいのですが、p.54の図の作り方ですが、この図のデータとしてp.52に気象条件の日数が書いてありますよね。例えば2000年が12日、2001年が12日と。例えば2003年では4日しかないわけですけれど、こういうふうにプロットがたくさん取れるものなのかどうか。例えば98パーセンタイルを取るとすると、かなりデータをずらずらっと並べて上から何番目というものを取りますよね。例えば2003年だと4日しかないわけですけれど、4日ということは4つしかデータがないと思うのですが。

事務局 こちらのデータの整理の仕方ですが、1時間値を利用しておりますが、例えばこの4日間という場合、測定局数は東京都ですと40局ありますが、40局全部の1時間値の4日分のデータを並べて使って、それで98パーセント値を算出するなど、そういう整理をしています。1局1局で98パーセント値を出しているのではなく、全局のデータの1時間値を並べての整理という形でやっております。

秋元座長分かりました。出し方についてもある程度書ける範囲で、あまりテクニカルになるのも問題だけど、疑問を持たれない程度に書いて置いていただければと思います。

向井委員ちょっと教えて欲しいのですが、p.57の図4.1.3-8で八方尾根と関東地方の98パーセンタイル値を比較されていて、比較しているのはいいのですが文章が2008~2009年度の98パーセンタイル値がやや低下しており、となっていますが、これをもって東アジアとかの越境輸送の影響が低下したことが関東の夏季における光化学オキシダント濃度を低下させた一つの要因と、ちょっとおかしな形になっていますが、良く前段を見ると関東の光化学オキシダントは畠山先生の流跡線の図もありますが、南から来ていると説明しているのに対し、八方は関東の北方向にあるので、バックグラウンドで何を示しているのか、本来良く分からないと思います。私は良く理解ができないのですが、例えば南の地点のバックグラウンド値を見ていて、そこは下がって関東側に流れた時に関東も下がっていますねというのなら分かるのですが、関東の北側の八方の高い所の濃度と関東の濃度の比較をここで見せて、ここでこの文章を書くのはちょっと危険かなという気がしたのですが、どうでしょうか。そもそも7、8月のデータを言っているので、東アジア等の、等とは書いておりますが、越境輸送と明らかに何かその人為起源のものを予想させる書き方になっているので、実際はバックグラウンド濃度が何によって決まっているのかわからないのですが、もう少し広い意味の理由を書いた方がいいかなという気がします。

大原委員ご指摘の通りだと思います。前回か前々会の検討会の時に、こういう解析をしたら、というお願いをして、それに対応して解析していただいたものだと思いますが、確かにご指摘のように八方尾根のデータですべて東アジアからの越境輸送というのは危険なので、もう少しブロードな書き方にした方がよろしいかと思います。

秋元座長よろしいでしょうか。では最後にp.65の半球汚染のことで、HTAPのレポートから取られた図が2つ載っているかと思うのですが、ヨーロッパ、北米及び日本で、それぞれずっと増えているような画があるのですが、ヨーロッパのほうは90年代まで増えていて、2000年ぐらいから横ばいになっているようなふうにも見られるので良いのですが、今、国際的に話題になっているのがありまして、この北米の西部というのはカリフォルニアとかオレゴンとかアメリカの西海岸なのですね。そのデータがこういうふうに増えているというのが出されていて、論文にももちろんなっていて、それを引用しているのですが、この増え方が非常に大きくてこの値はアジアのエミッションが増えたことだけでは説明がつかないのですね。それに加えて八方が2倍くらいの増え方になっているのだけど、これも先程のモデルにあったかもしれないけど、非常に大きすぎるのですね。中国のエミッションの増加によって説明されるものと比べて2倍くらいになっており、エミッションが増えたことによる越境輸送が増えたということ以外に何かまだunknownなファクターがかぶっているというのが国際的な判断です。わからないことがありますねということでまとめられていますので、そういうふうに見ていただければ良いと思います。八方も確かに増えているのだけど、最近2年ぐらい減っている図がありましたよね。あれを含めるとちょうど良いぐらいになるのですよね。だからどこまで統計を取るかというのが、10年取るのか8年取るのか、その辺のところがこういうトレンド解析で非常に悩ましくて、1%/年ぐらいの議論をするために、いわゆる統計的に有意なものを取るには20年は必要なのです。だからモデルとか中国のエミッションが増えたことにより増えているということである程度は説明がつくのだけど、それで定量的に説明がつくところまではまだ言い切れないというのが現状と考えた方が良いかもしれません。この辺の記述もある程度そういうものを匂わせられるような記述にしておいた方がよいかもしれません。

竹内委員p.54の図ですが、一定の気象条件ということですが、先程のお話では最終的には2010年まで入るということで、まだ見ていないので申し訳ないのですが、おそらく資料2を見ても分かるとおり、かなり上がると思います。資料2だと全日ですがかなり上がるのが想像できるのですが、そのときにこの気象条件のところで、p.52のところで日射量と風向風速については下限、上限があるのですが、気温だけ上限がない形でやっていらっしゃいます。2010年については過去最高の7月、8月の平均気温ということできています。上限がない条件分けをするとどうしても高くなる傾向があるのかなと思います。ですから2010年だけ急に上がった時に、コメントがしにくいところがあるのかなと思うので、もちろん言い訳は十分できるというところだと思うのですが、その辺をちょっと考慮されたらいかがかなという感想です。

秋元座長はい。ありがとうございました。それでは第4章、よろしいでしょうか。それでは今日、ご指摘いただいたところで、後で気が付かれたこと、具体的には文章をこういうふうにしたら良いとかいう案は事務局に是非送っていただいて、次回までにそういうところを反映できるようにしたら良いかと思いますのでよろしくお願いします。それでは次の第5章から第6章の部分をお願いします。

山本課長補佐(第5章、第6章の説明)

秋元座長どうもお疲れ様でした。中身がたくさんあるので、今日、すべてフォローするのも難しいかと思いますけれど。まず第5章、時間もあまりないので、第6章の方が大事なのでしょうか。第5章は今までの知見の整理といったものなので、書きぶりや何かでいろいろ注文があると思うのですが、特に何が駄目ということではないような気がします。どうしましょうか、第6章を先にやった方が良いでしょうか。ではまず第5章で何か特段、書き加えたり直したりした方が良いようなコメントがありましたら。ではまず第5章の方をあまり時間をかけないで、やってしまいましょうか。

安藤委員第5章の方で1点だけですけれど、p.103の第2段落ですが、ヨーロッパや北米のところで、「両地域における排出量の変化は日本の光化学オキシダント濃度に大きな変動を与えるものではないと考えられる。」とあり、ここまで断定していいのかなと思いますが、如何でしょうか。

秋元座長ありがとうございます。これは私も気になって、この文章は私も変えていただきたい。p.103の最後の段落ですね。これはいわゆる半球汚染とか大陸間輸送の話とかは、今、国際的にはこれで相当動いておりまして、そんなに無視できるものであったら欧米も問題にしないわけですね。だけど値だけを見ると小さいように見えるのだけど、例えば先程のp.99の越境輸送の図でどこからどれだけ来ているかという図で見ても、特に春の場合だと中国から来ているのが12%に対して、北米、欧州、中央アジアも含めますとこれが12.7%と平均的に見ると中国より多いくらいなのですね。これは将来の対策をした時にどうオキシダントが変わっていくかというのを見たときに決して無視してはいけない量だと思います。欧米がNOx、VOCを下げていますよね。だから向こうで発生するオゾンが下がっていますので、そういうものはちゃんと取り込んだ方が良い。だからどれかだけにフォーカスして何が重要、何が重要ではないと最初に振り分けないで、それぞれがそれぞれの少しずつ割合は違うけれど、みんな寄与しているとそういう考え方で今後のモデル解析をやっていった方が良いかと思うのですよね。少なくともその中で行政的に日本が何を対策できるということに集中するのは当然だけど、少なくとも将来濃度予測のようなものに関しては、すべてそういうものを含んだ上での予測をしておいたほうが間違いがないのではと私は思います。ちょっとこの書き振りを少し直していただければと思います。

山本課長補佐私ども勉強不足のところがありまして、ここらあたりは季節別に見るとかあるいは最新の科学的な立場から正確な表現につきまして、ご指導を仰ぎたいと思います。

秋元座長他に第5章いかがでしょうか。よろしければ第6章の方に入ります。これはたくさんいろいろ書かれておりまして、コメントがあるかと思うのですが、今日、できる範囲でコメントをしていただいて、残りは後からメールなりで注文をつけていただいて良いかと思うのですが。

下原委員私はモデルが専門ではないのですが、p.111にモデルの精度向上というものがあるのですが、モデルで精度を上げていくのはすごく難しいと思っています。今のモデルでVOCを30%削減しても予測が合わないというのは、合わないのはどういう原因なのかといったモデルの検証の方が大事だと思います。もちろん、モデルの精度を良くするのは良いのですが、それは非常に難しいと思っています。今あるモデルでいいから、オキシダント濃度が上がる現象を推定してみる。例えば地域によってはモデルが合うところもあるだろうし、期間によっては合うところもある、合わないところもある。それはおそらくオキシダントの生成する要因が大きく違う、そういう風に、モデルをオキシダント生成要因の検証に使う方が、もう少し現実的なのかなと思っています。もちろん精度を上げるのは理想なのだけど、非常に難しいのではと私は思います。

秋元座長大原委員、いかがですか。

大原委員多分2つの側面があって、モデルを改良していくのはマストであろうとは思います。モデルを使う、対策の検討評価に使う必要があるわけですから、それは必要だろうと思います。そしてもう一つは、今ご指摘のようなセンスも大事だろうと思います。両方必要だろうという意味です。

浦野委員まず全体構成なのですが、私としては頭がついていけないのですが、この第6章が、この検討会の一番大事な課題で、一番最初の1ページ目に書いてある「有効なオキシダント対策を立案するために必要な調査研究のあり方をとりまとめた」ものですね。その中でオキシダントの現状がどうなっているかという解析をするために、メカニズムも含めたあるいは越境移動も含めて現状の中身を解析するために適切なモニタリングが必要ですと。それから将来予測をするためには、現状とピッタリ合うシミュレーションはできないにしても、将来予測、政策をとった時にどのくらいどういうふうになるだろうかということを必ず予測しなければならないので、モニタリング結果の解析を含めてシミュレーションでやらざるを得ないですからシミュレーションが大事だということ。当然ながらモニタリングの解析結果とインベントリがある程度充実しないとシミュレーションはできないわけなので、そういう形になる。その全体像をちゃんとそういう形に作らなければいけないですね。それがp.111の図のようにイメージとして書かれているのですが、ここで用語がはっきりしないのですが、オキシダント濃度の現象解明は基本的にはモニタリングの充実、あるいはその結果の解析ということでできることですよね。章立てがそうなっているにも関わらず、この図はそうなっていません。それからもう一つはモデルの精度向上とか書いてあるのですが、モデルはあくまでもモデルであって、モデルを使ってシミュレーションをするので、モデルはこうで、そこにいろいろな条件を入れてシミュレーションをして、シミュレーション結果が現実とどの程度合うかをやるのであって、モデルとシミュレーションというのは必ずしも同じ用語ではないのですね。だからシミュレーションモデルというのと、シミュレーションとモデルというのが別々の用語になっていて、混乱しているなという感じなので、少しすっきりする必要があると思います。それからもう一つp.104から、課題があって次に対処方針というのがあるのですが、対処方針と今後の調査研究では何が違うのでしょうか。最初のp.104の対処方針を見ると、できるものではないとか求められるとか書いてあるのだけど、これは課題なのですか。それとも対処方針なのですか。要するに何を対処するのかということ、すべきなのかということは、本質的に調査研究のあり方の方であって、なぜ必要なのかはこういう課題があるからというのを分けるのなら良いのだけど、課題の話と対処方針と調査研究のあり方が混乱しています。ですから全体としてどういうつながりがあって最終的に調査研究のあり方がこうなるというのが論理的に見えない。それからもう一つ、最後の方にp.114で具体的なことがかなり書いてあるのですが、オキシダント濃度に関する現象解明というよりモニタリングデータの多面的解析と同じことを意味しているにもかかわらず(2)にモデリングシステムの高度化というのがあって、これをオキシダント濃度の現象解明に入れている。章立てとしてよく理解ができないのですが現象解明にモニタリングとモデリングシステムの高度化が入るのですか。

秋元座長はい。では事務局、お答えください。

浦野委員もう一つ。これで想定する成果の例というのは、こういうことをやればこういうことが分かりますよということですから、逆にこういうことを分かりたいからこれをやりますという論理ですよね。これを見ると特徴の把握とか基礎データの把握とか分布の把握とか1時間値の動向とかです。本来、有効な政策決定をするために何が必要なのかというのが最終回答になるわけです。そうすると、1時間値の解析をすることはもちろん必要ですが、有効な対策というのはたとえばVOCの削減対策を固定発生源でどれくらいやったらとか、あるいは自動車がどれくらい改善されたらどのように減ってくるかとか、それをある程度ちゃんと出さないと有効な政策を決められないわけです。ですからあくまでも将来有効な政策を、今すぐ決める必要はありませんが、将来決めるためには対策としてできることがいくつかありうる訳なので、そういうものをした時、しない時、あるいは自然に増える時とかいうのをある程度分かるような基礎情報を調査研究しておきなさいというのが本来ですよね。それの裏付けとして過去のモニタリングデータの解析とかシミュレーションが必要なわけです。そうすると、これを見ていても想定する成果の中に対策との関係が何も出てこないのです。こういう対策が将来的に分かるようになるでしょうというような形のものがないとこの章は成り立たない。その辺をしっかり考えていただきたいと思います。これは以前より大分良くはなり、p.121の6.2.4(2)のこれまでの対策効果と検証というところがあるのだけど、今後の対策の成果の状況が何かしら見えるようにするための調査研究のありかたを示す必要があります。

秋元座長はい、事務局どうぞ。

山本課長補佐3つか4つ御意見を頂いております。まず構成の中で主要課題を3部門で整理して、それぞれ対処方針を記載すること、そのうち対処方針とその後に続く今後の調査研究のあり方、ある意味ではダブるのではないのかということですけれど、確かに当初作成した側の意図としては、課題整理と最後の調査研究のあり方をつなげる部分として対処方針というものを作ったのですが、おっしゃるとおりかなり結果的には対処方針と後段部分の調査研究のあり方の個々のパーツでダブるようなところがございますので、それは構成をすっきりさせるという意味でも対処方針で今回の報告書で書いている個々のパーツにつきましては課題整理の方に入れるものと、後段の今後の調査研究のあり方に書くべきものと、そういう方向で振り分ける方向で考えまして、対処方針という小項目はなくすという方向で考えたいと思います。
それから後段の調査研究のあり方の構成に関しまして、調査研究のあり方の、オキシダント濃度に関する現象解明の中でモニタリングデータの解析はいいのだけれど、それ以外にモデリングシステムの高度化とあるのはちょっと違和感があるというご意見だったかと思いますが、これにつきましては、モデリングシステムの高度化の中のそれぞれを見ていただくと、例えばインベントリの精緻化という中では単に排出量データを精緻化するということに留まらずに、例えば未同定VOCのオキシダント生成寄与とかそういうものにつきましてはオキシダント濃度の現象解明の基本的な部分に結びつく可能性があると思っておりまして、そういう意味で大きな括りの中で現象解明という傘の下でモニタリングデータの解析とモデリングシステムの高度化というものを入れております。これは人によって考え方が違うところかもしれませんが、モニタリングとモデリングにつきましては浦野委員がおっしゃいましたとおり現象をモデル化して簡単にしていろいろな説明解釈ができるようにするということで、ある意味、モニタリング、実際の状況を測定して把握するものの補完的役割を担うという意味からすると、現象解明の大きな傘の下にモデリングシステムの高度化があってもおかしくはないのではないかと。

浦野委員6.1は3つに分かれていて、p.111は3つに分かれているわけですよ。そして現象解明とモデルは別になっているわけですよ。こういう論理構成で全体を進めているのではないのですか。それは相互に影響しあって、相互に評価・検証する関係にはなっているから、当然片方は片方に影響するのだけど、3つに分けたのなら3つに分けて論理構成を作って相互の関係も足すというふうにしないと変です。6.1は3つに分かれていてp.111の図も3つに分かれています。それで6.2の方はモデルのことと現象解明が一緒くたになっている。これは変じゃないですかということです。相互影響があって、片方が片方に影響するのは当たり前なのだけどまとめとして変ではないですか。

山本課長補佐第6章の前半部分と後半部分で構成に矛盾があるということは、何らか対応したいと思います。

若松委員浦野委員のおっしゃる通りだと思いますので、6.1の前段でまとめたモニタリングとモデリングとエミッションインベントリというのは今後のあり方の中でも3つの丸になって、そういったものを使って現象解明なり対策補完をするという流れの方が私もいいかなと思います。

指宿委員今のお二人の意見と同じようなものなのですが。p.111の6.2の文章自体は論理的になっていると思うのですが、図が文章と合っていない。こんな図を入れるから逆にどういうふうになっているのかなと思ってしまうので、そこを変えてそれぞれ3つの柱というのをきちんと書くというのが良いのではないかと思います。

安藤委員p.111の文章と図がずれているのもそうなのですが、下の図も6.1の3要素とまた違っているので、浦野委員がおっしゃるのは、6.1と6.2の構成要素を同じ3要素に合わせろということであって、指宿委員がおっしゃっているのはそういう風な構成要素にするのなら6.2の図の前の文章が論理的になっているからそこの3要素での図にしろという2つの意見だなとみておりました。是非ご検討し、直していただきたいと思います。

秋元座長そういう論理構成というか、その辺だと思いますね。

坂本委員今の話をする場合には当然第1章のところも関係してきて、そこを結論のところとあわせる必要がある。ここよりはもっと大きい話になるのですが、今、ここに書いてあるのはほとんどオキシダントのことについて書いてあるのだけど、ここでやっていること自体がもう一つ大きな問題であるPM2.5にかなり関わることにもなってきます。そういう意味でその辺を横断的に書いたものをどこかに付け加えられないかなという気がしました。

大原委員どう直したらいいのかということで私なりに悩んでいたのですが。すでにご指摘たくさんありましたけれど、報告書全体としてロジックがきちんと取れていないと思っています。今まで出ていなかった意見として、第5章以前と第6章とのつながりがよく見えない、そして多分第5章以前のまとめとして、何が分かったのか、何が分からないのかということをきちんとどこかでチャプターを付けるなり、セクションを付けるなりしてまとめておいて、そのうえで第6章で課題がどうなのだという整理をするとロジックが成立してくるのかなという印象を持ちます。それと6.2.3がちょっと個別的、具体的過ぎてもう少し一般的な表現でも良いのかなと思えるところが多々あるというように私は感じています。方法論の細かいところが結構書き込まれているので、もう少し間引くというか一般的な表現にしても良いのかなというふうに思います。逆に坂本委員からご指摘いただきましたけれど、もっとずっと重要な点が省かれていて、PM2.5対策との一体的な対策効果、手法をどうするのかという話とかですね、あるいは越境汚染対策とのつながりやそれに資するような研究をどう進めていくのかとかですね、あるいは国だけではなく、自治体と連携して研究を進めていかなければいけないわけで、そこをどうしていくのかとかそういった大きな話が全く抜けているので、それを入れ込んだような形で、第6章の再構成をされた方が良いのではないかと思います。

安藤委員それに付け加えてですが、6.2.4にあてるのが良いかはわかりませんが、(1)、(2)に加えて(3)というのを設けてほしいと思う事項があります。今般、第4次環境基本計画でいろいろな案が出されています。その中で大気汚染、特に今回のオキシダント関係が話題に挙げられていると思います。それと整合するよう、基本計画で挙げられている課題についても記載をしておいていただきたいという希望です。

向井委員的外れかもしれないのですけれど、最初の方で過去のシミュレーションの結果で、VOCの削減効率したときのオキシダントの削減量がこれくらいだと何%だと書いてありますよね。現状、いろんなインベントリとかシミュレーションも段々発展してきました、越境輸送の影響も少しありますみたいなことがあって、先程どなたかがまとめを入れたらどうかと言われたこととも関係するのですが、現状どうなのかというのを、つまりモデルで現状、過去の分もやったら一体何%削減なのかといったストレートな回答を求めているのですが、それはある意味現状を表しているはずですよね。実際には、それぞれ不確定性があって、合ったとしても合っていないとしても難しいところがあるのですが、現状がどこまで来ているのかというのが知りたい、書いていただけると嬉しい、という希望です。

浦野委員少し前にお話ししたのですが、あくまでもオキシダント対策をどうするかということをいつも念頭において、具体的にはすぐに決めなくてもいいのですが、どういう政策をするかということを判断するために必要な調査研究をどうするか、というその視点をしっかり書かないと、単にインベントリを精緻化しましょう、モデルを高度化しましょう、そういう一般論を言っていてもしょうがない。SPMは違うかもしれませんが、オキシダントの場合はやはり夏場の特定の地域、例えば関東ならば関東とか中部とかそういうところが大事なので、いろいろなものを時間的・空間的にある程度情報がないとできないわけですね。ただ将来予測というのは気象も全部変わってきますので、今年はすごく暑かったとか寒かったとかありますから。将来予測はあくまでもあるときの平均的な8月の平均気温とかを入れざるを得ないのですね。過去のものは過去データがありますから、どの程度合うか検証することはいいけれど、シミュレーションというのは絶対にピッタリなんて合うことはないですよ。そうはいってもある程度の説明ができる程度の数字を入れ込んだ予測値を出さなければ政策決定できないので、そういう意味では時間・空間をしっかり把握できる情報を極力作っていくということが大事なのです。だからモニタリングデータもそういう解析をしないと年間平均値や全国値だけを出してもしょうがない。場所と時間、季節と言っても良いですが、それからインベントリにしてもほかのものにしても、先程森林との影響にしても時間・空間が入っていないと全国でこのくらいですでは何もシミュレーションができないわけです。特にその辺を意識して、それを発生源別、自動車もあれば工場もあればとそれぞれについて時間・空間をある程度把握できるようにしないといけないわけで、その辺をしっかり書いてほしいなと思います。

石井委員向井委員がおっしゃっていたのですが対策効果の評価に関するところで、対策をしたことに対する評価をきちんとしていただきたいと思います。VOCを3割減らしたという定量的な量があるわけですから、シミュレーションに対しても実質的な感度解析の要因にはなると思うのですね。解析をしっかりすることとそれをシミュレーションで説明付けるということはこの間3割削減したことに対するきちんとした回答になると思うのです。そういうつもりで調査研究の位置付けを持って欲しいと思います。

秋元座長ほかによろしいでしょうか。よろしければ私の方から、皆様のご意見を踏まえてまとめに入りたいと思います。今、最後に皆様から出していただいた意見は非常に重要なことばかりで、最初の第1回の時に申し上げたかと思うのですが、日本で大気環境の政策に対して、いわゆる科学と政策、サイエンス&ポリシー、これに則った形で動いていったはじめての例だと思うのです。そういう意味でかなり試金石なので、いろいろな面できちんと構築されていない部分がある。ですのである部分では今回の報告書もテクニカルな部分にかなり入り込んでいて、細かいところと大筋で浦野委員が言われたようなこと、全体像とのバランスが悪いとか、PM2.5との共通因子をもうちょっと見えるようにしたほうが良いとか、そういうことが上手くきちんと書きこまれていないということは確かに感じられますね。いずれにしても本当のサイエンスから観て、以前の予測がなぜ駄目だったのか、第2章を皆様が読んでいただければあえて言わなくてもなぜなのかというのはサイエンティストであればある程度分かることかと思いますが、そういうことが今後ないようにどうやったらおさえられるかということを、今回はかなり後の方で書き込んでいただいているというふうに理解しています。その上で最後の第6章の書き方については、確かにいろいろな論理構成を含めてかなり見直したほうが良いということだと思います。来月の検討会は何日でしたか、あとで日程が出ると思いますけれど、それまであと1ヶ月くらいなので、それが間に合うかなのですが、特に向井委員や石井委員から出された、以前の予測が駄目だったのは今のモデルを使ったらなぜ駄目だったのかということをどう見せられるのかということについては確かに非常に大事なことなのだけど、これは今までそういうタイプの研究はやられていないでしょう。気象協会でやっているのですか。

大原委員若松委員が座長の委員会で削減対策の効果評価ということで、そのプレゼンテーションを私がやっていますが、この資料の中に入っていないので、その点に関してはそこを入れ込めばよいかと思います。ただトレンド解析などはもちろんしていません。そういった意味での課題はあるのですが、基本的な対策効果の評価についてはモデルで解析しているので、それを入れればよいと思います。

秋元座長やられているのであればそれは入れた方が論理的には分かり易いですよね。

浦野委員大原委員が先程おっしゃったように、第2章から第5章というのがある意味では第6章のための資料編みたいなものなのです。それぞれをしっかりまとめを作って、分かったことと課題を整理して、それを受けて第6章をしっかり作って、第2章から第5章は学術的なものが中心ですよ、それを上手く生かして政策判断するとき、何が必要かということを第6章にしっかり書く事が大事です。

秋元座長そういうことも含めて、今のやられているものでこの中に入れられていないもので皆さん知りたいことがあれば、是非入れられたほうがすっきりすると思うのですが、ただ今日は時間も過ぎているので、具体的にどうするか、事務局の方からやり方をお願いします。

山本課長補佐本日、第6章をはじめ、いろいろ構成に関しましては具体的なご指示を頂きましたので、まず構成を組み替えて内容の充実を図っていきたいと思います。その中で先程出ました平成18年以降のモデルの改善した結果につきましては、材料はあるものの資料作成の時間で間に合わなかったということで、あえてはずしたという意図はございませんので、早急に作業をしたいと思います。それから中身の話に関しまして、安藤委員から頂きました環境基本計画につきましては、まだ決定ではございませんで、大気分野、水環境分野、地球環境分野など重要施策につきまして、中央環境審議会の検討がございまして、オキシダントについては環境基準は環境基準でおいといて、実質的に施策に有効に作用する政策指標の検討を開始しましょうということを盛り込んでおりまして、中身的には1時間値ないしは8時間平均値とかそういうところも素案の中につながってくる内容ではないかと思います。ただ、現時点で基本計画が決定していない中でどういう書き振りをしていくかというところが悩みどころであります。また浦野委員からお話がありましてちょっと答える時間がありませんでしたが、これも対策を想定してどういうふうに書き込むかというところはこれもまたなかなか難しい悩みどころでございますけれど、今年度の検討会の報告書でどこまで書いて、来年度以降、来年度かどうかは分かりませんが、中央環境審議会のステージに対策の議論のあり方審議がされるということを考えて、それを踏まえて、それの前段としてここにどこまで書き込めるのかというのは非常に悩みどころでありますが、ご意見を頂きましたので、より政策決定に有効に使えるような調査研究として書き方を充実させていきたいと思います。

浦野委員誤解のないようにしたいのですが、検討会の報告書に具体的な今後こうすべき対策をいうことを書く必要は全くないですよ。しかし、オキシダントの環境基準を達成率を上げていくことはSPMも含めて命題としてあるわけです。そのために何かしら対策、政策をやる時、どういうことを仮にやれるのか、やれないのか、やったとしたらどれくらい効果があるのかが分かるような調査研究をしましょうというスタンスは絶対必要なわけで、それをはっきりさせてくださいといっているわけです。個別にこういうVOCをもっと規制しろとか、自主削減しろとかいうことは、ここで考える必要はないですよ。誤解のないように。

秋元座長第6章の構成をかなり直すとしても、今後やるべきことの課題、調査研究のあり方というのは報告書で示されて、これを今後実際にそれは実現というか具体的に委託調査なり研究費なりでそういう方向のものを見ていくとそういう感じになるのでしょうか。

山本課長補佐秋元座長のお話で来年度以降のお話は今年度の検討会の成果に基づきまして、短期的にできるもの長期的にできるものもありましょうし、例えば行政で直接できるものもあるし、研究者の方々にいろいろとお願いしなければいけないものもあるだろうし、そういうことも含めまして今後この報告書をどういうふうに来年度以降の施策に活用していくかの目途については次回、第6回の検討会におきまして何らかの形でお示ししたいと思います。

秋元座長ありがとうございます。それでは今日はこの辺でよろしいでしょうか。よろしければ事務局の方にマイクを返したいと思います。

芳川係長ありがとうございました。事務局からでございます。次回の検討会の日程につきましては、現在、会場等の確認中でございますので、決まりましたら改めてご連絡をさせていただきたいと思います。傍聴者等の皆様におかれましては、環境省のホームページにアップさせていただきますのでご覧いただければと思います。事務局からは以上でございます。これで第5回光化学オキシダント調査検討会を閉会いたします。委員の先生方及び関係者の皆様、お忙しいところどうもありがとうございました。

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