環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)

第3回光化学オキシダント調査検討会 会議録

1.日時 平成23年11月2日(水)13:30~17:00

2.場所 経済産業省別館 9F  944会議室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇  安藤 研司  石井康一郎  板野 泰之
井上 和也  指宿 堯嗣  岩崎 好陽  浦野 紘平
金谷 有剛  坂本 和彦  下原 孝章  竹内 庸夫
橋本 光正  向井 人史  若松 伸司
(欠席)
大原 利眞  土屋 徳之
(環境省)
山本大気環境課長 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
小林大気環境課長補佐 芳川係長
(その他)
(株)豊田中央研究所 

茶谷研究員
東京都環境局環境改善部化学物質対策課 

星課長補佐

4.議題

(1)科学的知見の収集について
[1]光化学オキシダントに関するモデル解析((株)豊田中央研究所 茶谷研究員)
[2]オキシダント測定器の校正法について((独)国立環境研究所 向井委員)
[3]九州北部地域におけるOxに係る現状について(福岡県保健環境研究所 下原委員)
[4]大阪市における光化学オキシダント研究と国環研と地環研のC型(II型)共同研究(大阪市立環境研究所 板野委員)
[5]埼玉県(都市域+郊外域)における光化学オキシダントに係る現状について(埼玉県環境科学国際センター 竹内委員)
[6]東京都における光化学オキシダント関連の調査・研究結果((財)東京都環境科学研究所 石井委員)

5.配付資料

資料1
光化学オキシダントに関するモデル解析
資料2
オキシダント測定器の校正法について
資料3
九州北部地域におけるOxに係る現状について
資料4
大阪市における光化学オキシダント研究と国環研と地環研のC型(II型)共同研究
資料5
埼玉県(都市域+郊外域)における光化学オキシダントに係る現状について
資料6
東京都における光化学オキシダント関連の調査・研究結果
参考資料1
光化学オキシダント調査検討委員名簿

6.議事

環境省 芳川係長定刻となりましたので、ただいまから第3回光化学オキシダント調査検討会を開催させていただきます。本日は各委員をはじめ関係者の皆様におかれましては、大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。本日司会を務めさせていただきます環境省大気環境課の芳川と申します。よろしくお願いします。
本日は大原委員、土屋委員からご欠席のご連絡をいただいております。なお、前回同様、委員等のご紹介、設置要綱等の説明につきましては省略させていただきます。また本日の資料でございますけれど、お手元の議事次第の下の方に配布資料一覧を掲載しております。本日も前回同様、資料の確認は省略させていただきますので、もし過不足がございましたら会議中でも結構でございますので、おっしゃっていただけましたらと思います。また、プレス関係の皆様におかれましては、冒頭のカメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、ご了解をお願いいたします。
それではこれ以降の議事進行につきましては、秋元座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

秋元座長それでは第3回目の調査検討会を開催いたしたいと思います。先週に引き続いてのご出席で、お忙しいところありがとうございます。今日は中身も先週の続きでして、今日は全部で6人の方からプレゼンをしていただくことになっております。最初は豊田中央研究所の茶谷さん、その後に国立環境研究所の向井委員、そのあと、自治体から今、委員になっている四名の方にそれぞれお願いすることになっておりまして、福岡県の下原委員、大阪市の板野委員、埼玉県の竹内委員、東京都の石井委員になっております。それでは早速、最初のご発表をお願いしたいと思います。豊田中央研究所の茶谷さん、お願いいたします。茶谷さんは民間の方でおられるのですが、このオキシダント問題、トヨタとしてプロジェクトをもっておられまして、そういう試みの中で、CMAQを使ったモデルシミュレーションをやっておられるので、お話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

茶谷研究員(資料1の説明)

秋元座長はい。ありがとうございました。前回の梶井先生の話とも非常に絡むような話で非常に面白い話でした。まず私から、VOCのシミュレーションと観測が合わない話、お見せいただいているのはAVOC、BVOC、OVOCとまとめた形なのですが、各成分、特に自動車排ガスが主と思われるような成分についても合わないですか。

茶谷研究員スライド22枚目でVOCを示してありますけれど、特に成分で違いがあるというより、アルカン系、直鎖とか、オレフィンとか、アロマ類といったものすべてなかなか合わないということでして、ALK5だけ、これは直鎖の中でも非常に大きな炭化水素ですけれど、これが比較的合っているということを示しているのですけれど、今度は観測の方で大きな直鎖はVOCを把握しにくいという面もありますので、やはり今の時点でどの成分が足りないとかいうことはなかなか難しく、もうちょっと評価しないとなかなか判断は難しいかなと考えております。

秋元座長はい。ありがとうございました。結局、発生源が押さえきれていない、モデルやエミッションの量が少ないということではないかなと思うのですが、そのときに自動車発生源、排ガスみたいな比較的軽いものの場合と、固定発生源からの排出のもの、溶剤とかそういったものの部分と、どっちが足りないのかというのが分かるといいのですが、これを見ると両方とも同じように足りないということですよね。しかし自動車排ガスというのは比較的排ガス中のVOCの量というのは測られていると思うので、そちらに関してはどういう風に原因が考えられますか。

茶谷研究員JATOPでは自動車が主な対象でありますので、一つは推計モデルの方でいろいろ不確実性が残っているということがありますので、それを一生懸命つぶしています。それからVOCの組成に関しても、今まで使っている組成のプロファイルというものが大分古くなってきましたので、新しい車も含めて自分たちでVOCのプロファイルを取るということもやっています。この段階ではまだ反映できていないのですが、それを最終的には本年度最後までには反映させてどうなるのかという評価をやっていきたいと思っています。

秋元座長お願いします。他の方、ご質問をどうぞ。

井上委員どうもありがとうございました。2点ほどお聞きしたいのですけれど、まずVOCの成分濃度がこれだけ過小評価されているということですと、秋元座長の話からもありましたように、VOCがすごく低いということはVOC limited寄りに推定されていることになると思うので、今、仮にこの排出量を使ってオゾン濃度の低減をVOC削減したときにどれくらい減るかということをやれば、相当VOCの効果が高いという風に出ると思うのですけれど、そのあたりに関してご意見をいただければと思います。

茶谷研究員これはまだちゃんと解析したわけではないので何とも言えないところはあるのですけれど、一つ言えますのは我々の方で将来予測等をやってもVOCの削減というものはだいぶ進んできておりまして、NOxの削減というものはこれから車が置き換わってくることでNOxが下がってくるのですけれど、そうするとどうしてもオゾンが上がる方向になる、必ずそういう結果になります。それが本当にそうかというのが今、検証しているところです。それは井上委員がご指摘された通り、VOCが効く方向の計算になってしまっているからなのかどうなのかは、まだ原因がつかめていないですけれど、今のシミュレーションはそういう状況になっています。

井上委員あともう1点お聞きしたいのですけれど、スライド16枚目で植物系VOCを詳しくやろうということでやっておられるみたいですけれど、この図では森林域のところにプロットがされているのですけれど、確かに森林域では多いのですけれど、オゾンの生成という観点からみれば都心とかも結構重要かなという気もするのですけれど、例えば街路樹とかそういったものを押さえるつもりはないのでしょうか。

茶谷研究員基本的な考え方としましては、面積として寄与の高い8樹種に関しては自分たちで押さえて、それの排出量を推計するということをやっておりますが、その他は既存のデータを使って排出量を推計しようとしています。今日、お示ししたデータは確かこれは森林地域で寄与の高い樹種から出た排出量の分布でありまして、もちろん都心部に生えているようなものからの排出された量の推計はしています。

坂本委員今のことに関連して、VOCが合わないというのは発生源の分布が観測をしたところと非常に違いがあるものと、反応性が高いもの、これらの要因を両方持つ成分が割と合い方が悪いような気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。

茶谷研究員自動車に関しましては、3次メッシュ別の交通量的なデータがありますので、相対的な分布はある程度再現できていると思うのですけれど、自動車以外になりますと我々が取っている方法はトップダウンの方法でありまして、都道府県なりそういったものからある活動量を示すような細かい情報を使ってダウンスケールしていくというようなことから3次メッシュまで下げているということなのですが、その段階で本当に3次メッシュの分布というものを再現できているかというものは一つ課題であります。でもなかなか3次メッシュとか細かいスケールでそういう発生源が分布している情報というものはなかなか手に入りにくいですので、ある程度、なんらかの代用するものを使ってやらないといけないと考えています。

坂本委員見ると特にテルペン類だとかオレフィンとかそういったところの一致度が悪いですよね。

茶谷研究員我々の知見からしますと、モノテルペンがどうも植物ではないところでもかなり観測されたりしていまして、それも今、議論になっているのですけれど、人為起源のそういったものも考えていかなければいけないのかなというのはあります。

指宿委員BVOCのところが非常に関心が高いのでそれに関連して、可能性の議論として、反応性とかインベントリの話が出ているのですけれど、もう一つはモデルの中に入っている各VOCとOHあるいはオゾンとの反応データというものの信頼性についてチェックするというのもあるのかと思ったのですが。特に気になるのはバイオジェニックなVOCについて非常に過小評価になっていますよね。これらはオゾンとの反応性が高い物質なので、それがどういう数字が入っているのかとかそういうところが気になるのと、もう一つは反応性という観点で言うと、今、測られているデータは1時間おきですか、たとえば朝早くのデータが取れれば、そこでは反応性を無視してその上でインベントリと分布、インベントリを特に中心として濃度を決めて観測値とモデル値がどうなのかという、そういう特定の条件で比較をするというのが重要なのではないかなと思います。1日の平均値で比較をしても反応性が非常に違っているとデータとして比較する上で非常に誤差が大きくなるので、前提を置いた解析というのもやっていただけるといいなと思っていたのですけれど。

秋元座長反応速度定数に関しては今、成分が分かっているようなメジャーなものについてはおそらくそんなに誤差はないと思います。国際的にデータ集が出ていますけれど、随分レビューがされています。

指宿委員前提で言ったように、可能性として一度チェックしておく必要があると思います。

秋元座長特定のものについては誤差があるものはあるのですが、そこにあがってこない、この前の梶井先生のお話にあったmissing VOCですね、これについてはものが分からなければ観測データも分からないわけでその辺をどのように入れていくか、先程言われたような将来VOCを下げた時にどれくらい感度があるかということにものすごく効いてくるのですよね。だからそこを何か補った形の、いわゆる前回から議論のある不確定性の大きな部分なので、そこを何かで埋めたときに感度がどうなるか、今のままでやったらどうなるかという、そういうあたりが非常に効いてくる気がしますね。それからもう一つはVOC limited、NOx limitedの話に関係するのですが、例えばNOxを下げたならばオゾンが増えるのではないかとか、それはタイトレーションの話なので、そこはメッシュがある程度粗いと必然的にしょうがない部分があって、だからタイトレーションが効くような夜間の部分は外すとか、今、オキシダント問題で一番話題になるのは8時間平均値、日中の8時間の間にどれくらいの濃度になるかということだと思うので、むしろ夜間や冬とか、そういうところは外しての評価の方が今後の議論にはつながりやすいのではないかと思うのですが、いかがですか。

茶谷研究員確かにいろいろいただいたコメントはその通りでありまして、私たちの方でも反応性の議論も始めておりまして、例えば前回お話のあった実測によるOH反応性とシミュレーションのOH反応性を比較してどうかという評価も、今日はちょっと説明しませんが我々の方でも行っています。それでどれくらいの不確定性がありそうかという評価といったものも必要です。これは言い訳になってしまうのですが、JATOPの方ではNO2とかPMを対象としていて、時間値とかそういったものに対する評価というのはまだ不十分だということで、オゾンに関しては時間値とかもっと細かいスケールでの空間分布を見ないといけないということで、これは今後というか、今後もなかなか難しいのですが、我々が残している今後の課題ということになると思います。

秋元座長よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは次の発表をお願いしたいと思います。「オキシダント測定器の校正法について」、向井委員からお願いいたします。オゾンの国際標準というのがありまして、それがアジアでトレーサビリティがなかったのを、国立環境研究所の方でオゾン原器を入れて日本のオキシダント測定器の校正システムを作られてきたというお話だと思いますので、よろしくお願いします。

向井委員(資料2の説明)

秋元座長はい。ありがとうございました。非常に興味深い話をありがとうございました。そうしますとこの基準器で校正した場合に従来のKI標準でやっていたものと比べて数値が低くなるわけですよね。その差は先ほどのグラフにありましたよね、14ページですか、一番大きいもので1.25倍になっていて、多くのもので10%前後高くなっているということですよね。

向井委員スライド26枚目の方が正しいデータなので、常時監視マニュアルが変わった瞬間の値をトレースしようとする場合、現場でこのスケールを元にさかのぼろうと思うと、この点だと1.08くらいなので8%低めに調整したということが分かりますので、校正履歴がずっと残っていれば過去との繋がりも分かるし、もう一つはUV法の方がKI法より精度が良いのでスパン変更の履歴をさかのぼっていくと大きなギャップがあった時の理由付けとかに役に立つはずです。

秋元座長今、新しい基準器でのキャリブレーションは常時監視局のすべてにはまだ終わっていないのですか。

向井委員すべてにいっています。

秋元座長そうするとそれぞれの監視局について、そういう点が分かっているわけですね。

向井委員この時点での感度変化は分かっています。

秋元座長それをどういう風に記録して、今後のデータ収集にどう反映していくかというのについてやり方は決まっているのですか。つまりデータを使う人はある時点で逆はできるわけですよね。

向井委員少しできます。

秋元座長少しといっても10%くらい、場所によるけれど、10%程度変わっているところが多いということだとそれは何らかの形でどこかに記録されて、データ集の中でいつの時点で変わったというのが分かるようになりますかね。

向井委員今回の校正は日本全国同時に変わりましたので、それは問題ないです。2010年からですね。

秋元座長その局が従来と、局ごとに違うわけですよね、局によってどれくらい変わったかというのがどこかに記録されていますかということです。

向井委員局ごとではなく、県ごとに違うということですね。県基準がある2010年の例えば1月に変わりましたということが分かっていますので、すべてのデータと取り込むデータの基準が少しずれているという履歴は残っています。

秋元座長その点は一つの県に対しての値ですね。

向井委員一つの県の基準の値なので。

秋元座長分かりました。それは記録としてデータ集に残りますか。今、Webで公表されているという話だけど、公表されているデータ集ありますよね。

向井委員まだそこまでの情報を追加していくかという話は出てはいないと思います。だけども、なくなってはいけないということです。

秋元座長ユーザーが把握したうえで使えるように是非システム化していただきたいと思います。

浦野委員ppmという単位でものを出すときに基本的にはその温度、その圧力でのppmという理解とですね、圧力温度補正をするということは例えば20℃1気圧換算というわけですけれど、例えば低気圧の時とか高気圧の時とか要するにUVで見るということは圧力温度が変われば当然体積が変わるわけですよね。その辺の解釈がどうも混乱したり誤解されないかなと心配があるのですが、その辺についてはどういう風に考えておられますか。
空気もオゾンも同じように温度変化、圧力変化するわけですから、ppmは変わらないけどUV吸収は変わるわけですよね。

向井委員変わります。

浦野委員測定器の問題とそれから本質的に変わるものがちょっと混同されて、本来、濃度として表示されたり測定するものがいったい何なのかというのがちょっと混乱するような気がするのですが。その辺は、温度圧力補正というのは機械の方の補正ということですか。

向井委員そうです。

浦野委員測定されるものはあくまでもその温度、その圧力でのppmを求められている。

向井委員そうです。モル比とか体積比なわけですから。

浦野委員そういう趣旨ですよね。その辺がちょっと混同しなければいいなと思ってですね。UVの場合は特に当然圧力が下がれば小さい数値になる、でそれが原理的にそうなるという話と測定器が正しくなくなるという話が混同しなければいいなと、その辺の注意が必要かなという気がしましたもので。

向井委員全くその通りで、ppbで表示されているので体積の比なのですね。だけども今の測定器には圧力変化に対する応答が補償されていないものが多いので、そういった圧力温度補償を付けてくださいというのがお願いですね。もう一つの問題はJIS法の表示がちょっと違ってppbでは書いていなくてμg/m3という基準で書いてある、これはヨーロッパではそういう風に書いてあるのですけれど、その辺が若干わかりにくいところがあって、そこも分かりづらくなっています。

浦野委員UVで見る限りは原理的には気圧が下がれば自動的に値が小さくなるはずですよね。それが正しくできていないという意味ですね。例えば0.9気圧になれば吸光度は0.9倍になるわけですね。それが正しく0.9になっていないという意味でしょうか。

向井委員0.9にしないといけないのに圧力温度補正がない場合1で計算をしている。

秋元座長0.9気圧になった時にそのままだとモル濃度とかの絶対量だと0.9に減っているわけですよね。だけどもppmで表すと減らない。だから減っていないところに戻してあげないといけないというそういう補正だということですね。

浦野委員吸光度というかオゾンも絶対量が減りますよ、空気も全部減るわけですから、同じ体積比で減るわけですよね。ppmは変わらないのですよね。

向井委員変わらないです。だから変わらないという風に機械で出してほしいのですけれども、変わらないようには出してくれないのです。下がったら下がったままの濃度として出してしまう、圧力補正をしないので。そういう機械が多いので、それはちょっと今後の課題です。

秋元座長はい、それではよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。続いては福岡県の下原委員の方から九州北部地域におけるオキシダントに係る現状について、これから先ほど申し上げましたように、九州、大阪、埼玉、東京ですね、順次ご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

下原委員(資料3の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。ではご質問をお願いします。

岩崎委員成層圏からの流入、地域生成、越境輸送という風に分けられて解析している、非常に面白い発表だと思うのですけれど、2006年ぐらいからがグラフに示してあるのですが、この3つの起因で議論ができるのは何年ぐらいからなのかということと、最近の傾向でこの3つの理由の中で例えば越境汚染なら越境汚染が最近増えているとかそういう頻度として、そういうような状況の感触を教えていただければと思います。

下原委員成層圏からの流入とか地域汚染とかも十数年前から着目してやっているのですが、特にデータとしてあるのは4、5年ですね。特に硫酸イオンに着目して移流との関係性で1時間ごとの測定を行ったのは2年前からです。ベリリウム-7を中心として成層圏からの落ち込みを計算している人もいるのですが、例えばベリリウム-7濃度が上がって、比湿が上から下まで変わらないような落ち込みがある場合、計算すると25%くらいは成層圏からのオキシダントだという人もいます。しかし、実際の落ち込みはもっと少ないかもしれない。例えば、ベリリウム-7濃度が上がっても、大陸で落ち込んだものが日本の測定サイトに流れ込んでいるのかもしれないので、細かな議論は難しいと思います。現在、大陸からの移流については、気象台からの黄砂や煙霧の報道を基にするしかありません。もちろん実際にはその報道以外にも黄砂、煙霧は来ていますが、移流を議論する時、気象台での黄砂の報道以外を移流の根拠として使用することはできないでいます。経験的な頻度としては、黄砂はもちろん近年、頻発しています。特に、ここ数年の煙霧はものすごくひどい状況です。しかしオキシダントの平均濃度としてはここ数年、福岡県では下がっています。その原因が国内の他の地域と比べて違うというのは逆に言ったら興味深い。移流影響で考えるなら、オキシダント濃度上昇の傾きは地域によって異なるでしょうから、そのあたりに着目するのもいいかなと思っています。福岡県の場合、近くの大陸、中国の影響、北京辺りの影響を強く受けているからなのか、他の日本の地域がグローバルな広域的なアップの部分があるのか、そこはちょっと分かりません。

浦野委員大変いろいろ解析されていて参考になると思うのですが、福岡県でもどこでも同じですが、オキシダント濃度が高いところ、高い日が問題になるのです。つまり春から夏の解析が重要になるということです。例えばスライド30枚目のオキシダント最高値と硫酸イオンの季節別の関係ですが、興味深い図ですが、直線近似で相関係数で議論するのではなくて、例えばオキシダント濃度が仮に60ppb以下のところで区切ってみて硫酸イオン濃度の春と夏だけをみると15μg/m3を超えていません。つまり60ppb以下の低い時は硫酸イオン濃度は高くない。逆に、硫酸イオン濃度が低い時にはオゾンが低くなっているのかというと、そうとは言えないという見方や、オキシダント濃度が100ppbを超えているところは、数は少ないですが逆に硫酸イオン濃度が10μg/m3以下ということは非常に少ないとなっているので、その辺を、少しグループ分けをして、特徴を解析されたらよりいい解析ができるのではないかという感じがしました。特にオキシダント濃度が高い時と低い時など、注意報、警報のレベルの辺で分別して特徴を捉えて、高くなる状態をいかに解釈したり予測するかという方面により力を入れていただければ、お住まいの方にとっても、我々にとっても有効だと思いますので、是非ご検討いただければと思います。

下原委員ありがとうございます。

秋元座長高濃度日の要因というのはある一つの原因だけで高濃度になるわけではないので、例えば越境汚染がいくら多いといっても越境汚染の分は普通は20ppb程度、高くて40ppb程度ですので、100ppbそのものが全部越境汚染というわけではなく、残りの部分は他の要因による濃度も増減していて、例えば成層圏からの流入部分がいつもより10ppb多いとか、他の要因と重なって100ppbを超えたとかそういうケースが非常に多いと考えられます。そうなると、観測から解析されるのは非常に結構なのですが、観測結果だけで振り分けるのは難しいと思うのです。モデルでやると一番分かりやすい。

下原委員やはり成層圏からどの程度流入するかというのは計算しないと無理なので、観測だけでは難しい部分があると思います。

秋元座長成層圏からの流入分というのはせいぜい20~30ppb程度なので、その要因だけで高濃度になるわけではない。だけどそれが積み重なったことにより確かに高濃度になっている日もあり得るし、当然、地域生成と越境汚染などが重なっている日もある。だから、相関だけを取ると確かに越境汚染の分というのがあるのは間違いないとは言えると思いますが、高濃度の要因がすべて越境汚染だということにはならないといえます。一般の方にはそういう誤解があるのですよね。だから上手くメッセージを伝えるようにしていただけると良いと思います。

下原委員あと、前日の濃度の高濃度が次の日に効くとか時間がずれた時には相関になりません。

秋元座長確かにオキシダントって蓄積作用がありますからね。

浦野委員もう一段階進めるときに、当然成層圏からの流入もありますが、大陸からの移流も非常に気にされているので、風向というのは非常に重要なファクターとなりますね。ですので、風向やそれに伴う硫酸イオンがどうかという主要なパラメータをきちんと決定して、一次近似だけではなく多変量解析などもやっていただけると、もう少し見えてくることもあると思います。モデルを計算するのももちろん大事ですが、データからでもできることはまだあるわけですから、貴重なデータをもう一段詳しく解析していただけるとみなさんに非常に役に立つのではないかなと思います。

下原委員オキシダント以外は多変量解析とかいろいろな解析を行っているのですが、今まで、特にオキシダントに着目した解析を行っていません。オキシダントに関しては今後行いたいと思います。

秋元座長はい。ありがとうございました。それではここで一旦、休憩を入れたいと思います。

(休憩)

秋元座長では次のプレゼンをお願いしたいと思います。次は大阪市の板野委員から、大阪市における光化学オキシダント研究と国環研と地環研のC型(II型)共同研究、お願いします。

板野委員(資料4の説明)

秋元座長はい。ありがとうございました。では質問お願いします。

下原委員一つ教えてください。ポテンシャルオゾンの考え方で例えば大阪の大気を大きなボックスと考えて出入りがないといったときに、NO2とオゾンのトータルがポテンシャルオゾンで、そこにもしVOCの排出が増えればポテンシャルオゾンは増える。もし中国からの大気の流れ込みがあればポテンシャルオゾンが上がるかもしれない。拡散があれば下がる。成層圏からの流れ込みがあれば上がる。そういう理解でよろしいですか。

板野委員はい。

下原委員たとえばVOCを30%削減したところに一つ当てはめてみるとか、全国でポテンシャルオゾンだけで比較してみるのもいいと思います。

板野委員私自身はその通りだと思っています。C型共同研究の中でもポテンシャルオゾンの経年変化とかについては実際に全国的に調べております。

金谷委員私も長期トレンドとしてオゾンの変動を見るときにポテンシャルオゾンでトレンド評価することは賛成していて、それによるとスライド18枚目で示されたようについ最近までみると特に、オゾンだけで見たときには評価トレンドが増加しているように見えるがおそらくそれはNOxタイトレーションで蓄積されているものなので、ポテンシャルオゾンで見るとおおよそ横ばいであるということですね。これについて初歩的な質問ですけれども、これは年平均値、つまり全部の季節を含んだものだと思うんですが、やはり、もう少し深く解析するには季節別に見たほうがいいのかとも思います。おそらく報告書では解析されているんだと思いますが、簡単に季節ごとの場合を教えてください。

板野委員C型共同研究の第三期の報告書で確か行ったと思うのですが月別に行っています。しかし、理由は良くわからないんですけれども概してばらばらになってしまいました。ただ、特徴的に面白いこととして、東京都では8月にポテンシャルオゾンの増加傾向が見られたり、大阪市では11月にポテンシャルオゾンが著しく下がったりということがありました。これは非常に解釈が難しくて、確かにデータではそうなっているんですけれども、月ごとにまとめるということに問題があるのかとも思っています。例えば、6月7月8月は梅雨がいつ明けるかによって、年によってもデータの質が変わってきたりして難しいです。特徴的に見られる面白い現象も出てきているということだけお話しておきます。

秋元座長他にいかがでしょうか。

浦野委員地域ごとの状況を収集、解析されていて面白いと思うんですけど、今ありましたように、年ごと、季節ごと、月ごと、と考えがちなんですけど、おっしゃられたように気象条件とかしょっちゅう変わるわけです。ですから、例えば3日ごととか5日ごととかある時間ごとにポテンシャルを出してみて特徴はどうかを出してみる、ということも面白い結果が出るんじゃないかと思いました。人間の感覚の月とか季節に限らなくても。季節の春は何月から何月だ、というのも場所によって、沖縄の春と北海道の春は違うわけですから、もうちょっと地域の特性をみようとしたら数日間とか一週間とかでもいいんですけど。一週間だとさっきあった週末効果があるのであれば平日だけ見るとか。必ずしも月とか季節ににこだわらない解析をした方がいいんじゃないかと思ったのが一つです。
それから地域ごとに統一した解析データ、集積データといったほうがいいかもしれないですが、協力して共通な図を作られる、というのは非常に有効だし、すごく役立つと思うんですけれども、これの解析結果を見ると、集計の仕方を共通にしているということなので、本当の解析、例えば外部から来る越境の影響なのか、その地域の中でのものなのかといったことを解析するにはもう一段違う方法があると思います。さっきのお話にもありましたけれども、その辺について皆さんで議論して、こういうやり方をしたら越境の影響がどのくらい見えるとか自分のところの影響が見えるとか、こういうときには高濃度になるとかがわかるような本当の解析のための方法論というものをぜひ検討して各自治体に共通でそういうものを出していただければ非常に役立つと思います。いまはとにかく値をどのような平均で出すかとか、2%除外値だとか計算の整理の仕方だけなので本当の解析のためのデータ整理の仕方をもう少し検討していただけるともっと役立つという気がしています。たくさんの自治体が協力するのはすごくいいことなので、ぜひそういう点でも議論していただければと思います。

板野委員ありがとうございます。前半のポテンシャルオゾンについて、月平均だけでなく状況に応じた平均のとり方もいいのではないかというのはその通りだと思っておりまして、どういう解析をするかによってケースバイケースで考えたほうがいいというのは重々承知しているつもりです。後半の、データ集計ではなくデータ解析に踏み込んだほうがよいというご指摘なんですが、それについてもその通りなんですが、もちろんやっておりまして、例えば高濃度エピソードの解析ということをやっておりまして、これは自治体ごとではなく地域ごとなんですが、地域ごとにまとまって同じような解析手法を使って例えば高濃度になったときにどういう現象だったか、というのももう少し踏み込んだ解析もしておりますので、ぜひそういうのも含めて参照していただければと思います。

秋元委員では時間もだいぶ過ぎましたのでこの辺までとさせていただきます。ありがとうございました。では続きまして、埼玉県における光化学オキシダントにかかる現状について、埼玉県の竹内委員、お願いします。

竹内委員(資料5の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。ではご質問お願いします。

向井委員オキシダントの経年変化と紫外線量、日射量のところなんですが日射量はそもそも空がきれいになっているということを意味しているんですか。そのように解釈してもよろしいでしょうか。

竹内委員多分そうだろうと思っています。ちょうど2000年ごろの上がっているときにSPMの濃度がかなり急激に良くなってきているというのがありますので、おそらく視程も良くなってきているということがあるとは思っています。ただ、それが即、紫外線量ではなく全日射量としてすべての波長のところでオキシダント生成に関係しているか、というのはわからないところですけれども。

向井委員こういうのも紫外線だったり日射だったりすると、やはり標準の問題が出ますので、こういうデータが出てきたときに確からしいのか確からしくないのか、という議論が出てきますので今後そのあたりも注意してください。

竹内委員はいわかりました。

金谷委員スライド32枚目の左の図で測定された総VOC濃度とモニタリングのNMHCの濃度について相関がよいといえるという話だったのですが、縦軸と横軸の値の単位が違うので濃度ではわからなかったんですけれども量としてNMHCとして測られているもののうちどのくらい個別の成分の結果で説明したのかというものがありましたらお願いします。

竹内委員このスライドは資料としてないものですが、例としてお見せしたいのですが、戸田の例で真ん中が鴻巣で右が寄居なのですが青が非メタン炭化水素、赤が私どもが測っているトータルの炭化水素で、ppmCという同じ単位で計算しなおしたものでございます。戸田についてはかなり説明ができております。他のところも日によってだいぶ違うのですがかなりの部分が説明できているのではないか、というのがここからいえるだろうと考えております。

金谷委員ありがとうございます。

秋元委員定義の、測定方法の問題なんですが、NMHC、ノンメタンハイドロカーボンというのは非メタン炭化水素計でトータルのカーボンを測っており、VOCというのは各成分で測っているということでよろしいですね。

竹内委員はい。VOCのほうは、それぞれの成分で測っているのですが、非メタン炭化水素計のほうはFIDの感度がそれぞれ違いますので、単純に1とはいえないところがありますけれども傾向的には説明できる部分が多いんじゃないか、という解釈でございます。

浦野委員単位の話ですが、オレフィン濃度、パラフィン濃度の単位をμg/m3で出されていますので各成分で分かっているわけで、それにMIRをかけて足し算すると、オキシダント生成ポテンシャルみたいなのが出ますね。それとの相関というのは、濃度は大部分が主要な成分の濃度、例えば芳香族ではトルエンがききますが、その変化がそのままデータ変化に現れるので、合計濃度で出すというのは意味がはっきりしなくなると思います。この合計濃度というのは、オレフィン類、パラフィン類、アルデヒド類、いろいろ出しておられますけど、まだppmCだったらそれなりにカーボン数の大きさが生成ポテンシャルに相関があるとか、いくらか意味が出てくると思うのですがどうしてこのようにされているのか、補足の説明をいただきたい。例えばもう少し違う解析をやっているというのがあればお示しください。

竹内委員今日のところは大雑把な概略だけご紹介しようと思って出してあるんですけれども、個別のものも、全部はなかなかできないので無理なのですが、主だったものについては個別の濃度とオキシダントの関係とか相関なり変化の度合いというのは確認しております。

浦野委員あまり個別に見すぎるとデータが多くなりすぎて良くわからなくなってしまうので、例えばオキシダント生成能の合計値みたいなものとの相関とかだとどうでしょうか。

竹内委員個別にしますと私どものやり方ですとMIRを掛けるかどうかというだけの違いですので単純な濃度でやってもおそらく同じ形だと思うんですけれども、主だったものについてはやっていますが、今日のところはご紹介を省略させていただいた、というところでご容赦願いたいと思います。

秋元座長ありがとうございました、では次に移りたいと思います。最後は東京都における光化学オキシダント関連の調査研究結果ということで東京都環境研究所の石井委員お願いします。

石井委員(資料6 p.1~23の説明)

星課長補佐(資料6 p.24~37の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。最後に見せていただいたハロゲン化VOCの結果ですが他の普通のVOCについても同じようにデータはあるわけですよね。

星課長補佐はい、測定できたものについては一応行っております。

秋元座長この一時間ごとのデータというのは非常に貴重なデータで、いろいろなところで使えると思いますが、モデルの検証だとかのために使わせていただけるのでしょうか。

星課長補佐それは行政でとっているものですから可能なんですけれども、現状としてはなかなか精度の確認が難しいということがあります。ものすごい膨大なデータが出てくるものですが、それを一個一個チェックするのが実はちょっと追いついていないのが現状で、担当としてはもうちょっと精度を上げないと使いづらいという風に思ってます。

秋元座長貴重なデータなのでぜひ活用できればと思うのですが。

指宿委員ホルムアルデヒドのデータは、貴重だと思うんですがフォローできてない部分もあるんでちょっと確認です。一次排出のホルムアルデヒドの量ですが、どのくらいの量なのでしょうか。どういう意味をもっているのかというところで。

石井委員実際の濃度は、特に夏は一次排出じゃなくて二次が増えるので、どのくらい一次排出に対して増えたか、という計算をしてみたということです。だから八王子の結果ではホルムアルデヒドの濃度はそんなに多くないのですが10対1くらいでほとんどが二次生成だということです。都心部ですと1対3くらいなんですけれども、絶対量としては都心部の二次生成のほうが多い、ということです。

指宿委員ちょっと気になったんですけれどもPRTRでホルムアルデヒドの排出量というのが推定されていると思うんですけれども大部分は点源、後は自動車ということで、東京都の中で一次排出としてどのくらいであるというのがわかりますよね。

石井委員私はちょっとそのほうにはタッチしていないので情報がないんですけれども。

指宿委員多分、モデルでこれを使おうとするとそういうデータと比較すれば使えると思うのですが。

秋元座長そうですね。最初の茶谷さんのときの話でホルムアルデヒドにしてもモデルと観測値があわない、ということがあったので一つのガイドラインとして何が押さえられていて、押さえられていないのか、一次排出と二次生成の比率みたいなのがモデルとあっているのか、とか。そういうことに使えるデータになるとおもいます。

指宿委員それを一緒にですね、二次生成の部分をデータとして出していただいて上手に活用できないかな、という風に思って質問したんです。

坂本委員同時測定の切片が、COとアルデヒドでどうなっているか、それがウィークデイでちがうのかとか、夜間ではどうかとかそういうものを解析すればよいですね。

秋元座長それは東京都のほうで石井委員が独自でやられているものですか。

石井委員最初は梶井先生と一緒にやっていて、いまも共同測定のときは一緒にやっております。やっとアルデヒドの濃度は測定器が安定して測れるようになりましたので連続してとっております。

秋元座長この重回帰式の二次生成を推定するようなこういう解析は共同でやられているのですか。

石井委員今うちのほうでCOもオゾンも測っておりますので一応そういうデータセットはとってあって、解析をする用意はしております。

秋元座長ちょっとその手の人とうまくリンクすればお互いにいいのではないかと思うんですけれど。よろしくお願いします。

浦野委員細かい解析は別として、スライド2、3枚目に1992年から1998年くらいでNOxもNMHCもオキシダントも横ばいでそれ以後1998年以降、ずっとNOxもNMHCも減って半分以下になっているにもかかわらず、オキシダント濃度がどんどん上がりっぱなし、と言う非常にクリアな結果が出ておりますよね。東京都としてはこういう風にオキシダントが上がっている理由、いくつか考えられると思うんですが、どういうことと考えておられるのかというのが一つと、0.12ppmを超える高濃度になる地域が変わったり頻度が変わったりしていますけれどもこの辺について高くなるときの理由はいろいろあるとおもうんですが、要するに結果として高くなっているわけであって、さっき言ってたような日照時間とか日射量とかいろいろあると思うんですけれどもその辺の高くなる理由とかね。あるいはそれを減らすためにはどんなことが具体的にはありうるのか、あるいはこうしてほしいとかこういうことがあるというそういうご希望なりお考えがあったら教えていただきたいです。

石井委員4年位前になりますが、東京都で秋元先生に座長をお願いして検討会をいたしまして当面VOCを減らす、要するに大防法のVOC削減とあわせて対策していくことが大事だという結論になりました。大防法の削減目標が今年の3月で最終年度だったわけですけれども、結果を解析して対策を評価するのが非常に重要だろうという風に考えております。

浦野委員産業界なんかは一生懸命NOxを減らし、VOCも減らしているのに、東京都で半分も減っているよ、といっているのにオキシダントがどんどん上がって、我々は何のために努力したのか、という風におっしゃるわけです。ですから行政はそれに答えないといけないと思うわけです。そのときにいったいどういうことが考えられるのか、ということです。特に高濃度のオキシダントが出るときはどういう風にしたら減らしていけるのか、ということを真剣に考えないと、ホルムアルデヒドとの関係がどうこうというのももちろん大事ですけれども基本的にはこの問題を研究されている方、またこの検討会そのものは、高濃度の日をいかに減らすかというために集まっているわけなのでそういう解析をするべきです。ですので、ただこうなりました、ああなりました、こういう関係ありますという話ではなくて、やはりなぜそうなっているのか、どうやったら減らせるのかという方向にぜひとも考えていただいて、もちろん不確定なことはたくさんあるんですけれども、不確定なことも含めてこういうことがありうる、あるいはこういうふうなことが改善されればもっと減るかもしれない、というようなお考えを出していただかないと、データを解析しました、何とかと何とかの関係を見てみましたというだけでは本来の研究の目的が達せられないんではないかと思います。

石井委員確かにおっしゃるとおりです。ただ、秋元先生たちが研究されていてもこの状態なのでこの問題は非常に難しいのだと思います。結局、私はVOCのお話をしましたが、前の検討会でもVOCの削減が大事というまとめで、今回はその対策の効果をどのように評価するかというのが大事だということだと思います。そのためのVOCのデータ整理というか、例えばアルデヒドにしたら排出だけでなくて生成のほうの問題もあるわけだからそういうことも一緒に考えていかなければいけないと思っているわけです。ですから、対策を評価することは、例えば東京都でどう考えるかと言っても行政の人間だけで考えて結論が出るわけでもありませんし、結論が出るとも思いません。今は東京都のデータを提供して、学識経験者の方のご意見を聞いていくようになると思うんです。

浦野委員東京都さんだけに責任を負わせているつもりはまったくないですし、研究者だけとか行政の担当者だけに責任を持っていったりあるいは全部きれいに解析できるという風に考えているわけではありません。しかし、そういう方向に向かって少しでもわかったこと、わからないこと、あるいはこういう風に考えられるとかそういう方向でみんなが行かないといけないと思うのです。難しいからわかりません、とかデータいじってみましたとかいうのをいくら出されても、はっきり言ってしまえば永久にわからないことだと思います。でもそれをこのまま続けていても業界とか国民は納得しないですよ。

秋元座長石井委員ありがとうございました。この検討会はまさにそういうことを議論するためにあるわけで、次回以降、今後どういう風につめていけばいいのか、ということを具体的に取りまとめるということですので、ぜひそこへ生かしていきたいと思います。
じゃぁ、今日のご発表はこれで終わりということで、後は事務局お願いします。

事務局どうもありがとうございました。次回の検討会につきましては11月下旬を予定しており、また改めてHP等でお知らいたしますのでよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございますが、他には特にございませんでしょうか。これで第3回光化学オキシダント調査検討会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

ページのトップへ