環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)

第1回光化学オキシダント調査検討会 会議録

1.日時 平成23年8月10日(水)15:00~18:00

2.場所 東京しごとセンター 講堂

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇  安藤 研司  石井 康一郎  板野 泰之
井上 和也  指宿 堯嗣  岩崎 好陽  浦野 紘平
大原 利眞  金谷 有剛  坂本 和彦  下原 孝章
土屋 徳之  橋本 光正  向井 人史  若松 伸司
(欠席)
竹内 庸夫
(環境省)
鷺坂水・大気環境局長 粕谷総務課長 山本大気環境課長
手島大気環境課長補佐 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
小林大気環境課長補佐 芳川係長

4.議題

(1)光化学オキシダント調査検討会の開催について
[1]光化学オキシダント調査検討会開催要綱について
[2]光化学オキシダントに係るこれまでの経緯について
[3]平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)について
[4]平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告について
(2)光化学オキシダント対策の現状について
[1]光化学オキシダントに係るこれまでの取組について
[2]光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状について
[3]揮発性有機化合物の排出インベントリについて
[4]光化学オキシダント生成シミュレーションについて
(3)検討会の進め方及びスケジュールについて

5.配付資料

資料1-1
光化学オキシダント調査検討会開催要綱(委員名簿含む)
資料1-2
光化学オキシダント対策に係るこれまでの経緯
資料1-3
平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)
資料1-4
平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告
資料2-1
光化学オキシダント対策に係るこれまでの取組の進捗
資料2-2
光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状
資料2-3
揮発性有機化合物の排出インベントリ
資料2-4
光化学オキシダント生成シミュレーション
資料3
今年度のスケジュール(案)

6.議事

環境省 芳川係長定刻となりましたので、ただいまから光化学オキシダント調査検討会を始めさせていただきたいと思います。本日は委員の皆様、関係者の皆様におかれましては、お忙しい中、またお暑い中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。私、本日司会を務めさせていただきます、環境省大気環境課の芳川と申します。よろしくお願いいたします。それでは検討会に先立ちまして、環境省 鷺坂水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。

環境省 鷺坂局長環境省 水・大気環境局長の鷺坂でございます。委員の皆様方におかれましてはお盆前のお忙しい中、また大変お暑い中、本検討会にご参画いただきましてありがとうございます。また日頃より環境行政、特に大気環境行政にご指導、ご協力賜っておりますことに、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。光化学オキシダントにつきましては、近年、注意報の発令域の広域化という現象が見られておりますし、それと共に全体的な濃度につきましても若干増えており、若干心配な面もあります。平成21年度、一昨年度でありますが、環境基準の達成状況について見ましても、一般局、自排局ともに極めて低い水準で推移しておりまして、また今年度4月には高知県で観測史上初めて光化学オキシダントの注意報が発令されたというような事態もあるわけでございます。環境省ではこれまで光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会ということで、平成19年度に今後の課題ということで中間報告を取りまとめさせていただいておりまして、そのための施策というものを推進してきたところではあります。特にVOCの排出量削減ということで光化学オキシダントの前駆物質であるVOCの排出量削減につきましては私共もいろいろ規制とか自主的な取り組みをお願いいたしまして、平成21年度においては平成12年度比で42%削減ということで、平成22年度までに3割削減するという目標をかなり上回る状況で達成しておりまして、そういった中でSPMの環境基準につきましてはご案内のように劇的に改善されているといったことがあるわけでございますけれども、光化学オキシダントにつきましてはそういった対策にもかかわらず、依然として改善が見られない、こういう状況でございます。従いまして今回、先生方にお願いいたしまして、検討会を立ち上げさせていただいたわけでございますけれど、光化学オキシダントに関する新たな科学的知見を収集し、そういった中で今後必要とされる対策を見据えた調査研究のあり方等について検討したい、このように考えているところでございますので、是非お集まりの先生方におかれましては専門の立場から幅広くご審議、ご検討いただきますようお願い申し上げまして、この検討会の立ち上げにあたりましての私からのお願いとご挨拶にさせていただきたいと思います。またよろしくお願いいたします。

環境省 芳川係長続きまして、本日の資料ですが、お手元の議事次第1ページ目の下に配布資料一覧を掲載させていただいております。本日は、資料の確認は省略させていただきたいと思います。もし資料の不足等がございましたら会議中でも結構ですのでお申しつけいただきましたら配付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは次にまいりたいと思います。本日は第一回目の検討会でございますので、委員の先生方のご紹介をさせていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、お手元の資料1-1にございますとおり、本問題に係る学識経験者等17名から構成させていただいております。本日ご欠席の委員も含めてご紹介させていただきたいと思います。五十音順にご紹介させていただきます。
(紹介は省略)
続きまして、環境省水・大気環境局の職員についてご紹介させていただきたいと思います。
(紹介は省略)
以上で委員及び環境省職員のご紹介を終わらせていただきます。
なお、鷺坂局長は別件により途中退席させていただきますのでご了承の程をよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして検討会の座長についてでございますが、資料1-1 光化学オキシダント調査検討会開催要綱の「2.検討会の運営(1)構成及び運営」の[2]におきまして、「検討会に座長を置き、座長は事務局の指名により定める。」とさせていただいております。つきましては、事務局より前回検討会の座長を務めていただきました秋元委員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、事務局から、プレス関係者の皆様にお願いですが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
それでは、これ以降の議事進行につきましては、秋元座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

秋元座長ご指名でございますので、座長を務めさせていただきます。先程、局長の方からご案内がありましたように、何年か前に光化学オキシダント・対流圏オゾンの検討会というところで中間報告というものをまとめさせていただいたのですが、今回はそれの延長と考えておりまして、より最近の知見を加えてこの問題をどういう風に考えていったらいいかということをまとめさせていただけたらと思います。
本日は3時からで通常の2時~5時と違って、開始が遅れておりますので、5時半までの予定なのですが、非常に資料もたくさんございますので、もしかすると多少延びるかもしれませんが、6時までには終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは早速議事の1に入りたいと思います。議事の1は「光化学オキシダント調査検討会開催要綱について」ということで、事務局からご説明をお願いいたします。

環境省 山本補佐(「光化学オキシダント調査検討会開催要綱について」(資料1-1)の説明)

秋元座長ありがとうございました。それではこの開催要綱について何かご質問はございますでしょうか。

岩崎委員2ページの検討事項について、オキシダントの環境基準自体の問題についても含めて議論するということでよろしいでしょうか。

秋元座長事務局の方からお願いします。

環境省 粕谷課長環境基準の担当を総務課の方で行っておりますので、私の方からお答えさせていただきますが、環境省では別途、光化学オキシダントの健康影響の知見、毒性学ですとか疫学、そういった知見を集めまして、そういった点での専門家の先生にチェックしていただいておりますので、総務課としてはこの場においては環境基準の見直し自体についてはご検討いただかないというつもりでございます。

秋元座長ありがとうございました。オキシダントの環境基準の問題は前からいろいろ問題となっていて、いずれ考えなければいけないのですが、この検討会では範囲が大きすぎるので扱わないということとさせて頂きたいと思います。その他、ございませんか。

浦野委員今のご意見にもあるように、こういう場でこれだけの人が集まると、どうしても基準とか対策のほうに頭が行ったり、意見が出るのですけれども、この検討会は、それのための基礎となる調査・研究のあり方を検討するのだということ。ですから対策そのものとか、基準そのものは別に議論を行うということで、この検討結果を踏まえて調査等を行った後に議論をする、そういうことでよろしいですね。その辺、皆さん、最初にコンセンサスを得ておかないと、どうしても今の基準値とか、規制項目とか、管理方法等だとかという話に議論がいってしまう可能性があります。そういうものは頭の中に描くとしても、あくまでもここはそのための調査・研究をどうするかということだと確認をさせていただきたい。

環境省 山本課長委員のご指摘の通りでございます。対策ということは中環審や専門委員会を立ち上げるなどいろいろな方法論があるかと思いますが、それはこちらで得られた知見を踏まえてまた検討していくという体制で行きたいと思います。

秋元座長ではそういう理解で進めたいと思います。
よろしいでしょうか。それでは次の議題、議事1ですが[2]、[3]、[4]について、これをまとめて事務局の方からご説明お願いいたします。

環境省 山本補佐(「光化学オキシダントに係るこれまでの経緯について」(資料1-2)の説明)

秋元座長ありがとうございました。それでは引き続いて、資料の1-3について説明お願いします。

環境省 小林補佐(「平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)について」(資料1-3)の説明)

秋元座長ありがとうございました。では引き続いて、資料の1-4について説明お願いします。

環境省 栗林補佐(「平成22年度揮発性有機化合物(VOC)対策のあり方検討会報告書について」(資料1-4)の説明)

秋元座長ありがとうございました。それではただいまの資料1-2から1-4までこれまでの経緯と過去の報告書につきまして何か質問はございますでしょうか。細かい中身の話はこれからの議事でいろいろ検討することになるかと思いますが、経緯などについて何かございましたらお願いします。

下原委員資料1-4のp.3図2.2を見ますと、平成12年度から21年度までのNMHCのグラフがありますが、やはり自排局の方の下がりが大きいですね。それはやはり車の排ガスの対策の影響が多分大きいからでしょう。VOCの排出量の削減の効果が一番効くのは一般局のほうで見るべきですから、一般局のほうにも車の排ガスの削減対策が効いている可能性もあります。それで、VOCを3割削減したことが一般局にどこまで効いてきているのかということは、現段階ではちょっと分からないのではないかと思います。それとSPMが削減できたということですが、オキシダント濃度は依然として上がっていますね。全体的に、オキシダントの90ppb以上の頻度については下がってきているのですから、突発的にオキシダント濃度が高くなる事実は、この資料の見た感じでは、やはり、特に突発的に移流という形で下駄を履かされている、それによってオキシダント濃度が高くなる現象があることを裏付けているのだろうというのが私の感想です。あと、もう一つですが、オキシダント注意報発令レベルを超える、超えないということであまり議論をするのではなく、オキシダント濃度がある程度以上に上がっていること、例えば、90ppb以上とか100ppb以上あるいは80ppb以上とデータをいくつかに区分して分けて、その発生頻度としてどうなのかということが大事でしょう。注意報発令のレベルを超えたか超えないかというのは風が強かったりすると変わるのですから、あまりここにこだわらない方がいいのかなというのが私の感想です。

秋元座長ありがとうございます。今、下原委員から出されたご意見はおそらくこれから次の議題あたりで具体的に検討することになるかと思います。自動車の排気ガスと固定発生源からのVOCとそれから自然発生源からのVOCというのは非常に大事でして、その辺をきちんと把握していくことが大事だというのは今後の議論になるかと思います。今のクライテリアの問題も私自身、関心がございまして、注意報の回数で評価するというのは良いかどうかというのはこれもまた後での議論かなと思いますのでよろしくお願いします。
よろしいでしょうか。本日の本題の議論に入りたいと思います。議題の2の方ですね。「光化学オキシダント対策の現状について」ということで、これも[1]、[2]、[3]、[4]とありますが、これは1つずつご紹介いただいて、それについてご質問を受けたいと思います。それでは最初の「[1]光化学オキシダントに係るこれまでの取り組みについて」事務局からのご説明をお願いします。

環境省 山本補佐(「光化学オキシダントに係るこれまでの取り組みについて」(資料2-1)の説明)

秋元座長ありがとうございました。まずは取り組みの進捗状況ということのご説明だったのですが、この資料について何か質問ございますでしょうか。

浦野委員特に将来予測はモデルでいろいろ検討せざるを得ないわけですけれど、モデルの場合、越境移動を考えるような広域のモデルと日本での各地域、特に高濃度で出る関東とか関西、あるいは海外からの越境の多い九州、そういう特定地域の高濃度が出るときを予測するモデルというのはかなり違う。違うけれども広域のものも入れ込まなければならなく、地域ごとのかなり詳しいものもやらなければならない。そこの間のモデルの相互関係は今どの程度進んでいるのか、つながる格好になっているのか、あるいはそこをどうつなげるようになっているのか、現状ではどうなのか、課題は今後、検討するとしてその辺の見解はいかがでしょうか。

秋元座長ありがとうございました。今のご質問は委員会の方でもかなり重要なことと思いますけれど、実際にモデルをやっておられる大原委員の方から答えていただきたいと思います。

大原委員お答えします。今、モデルはかなり進んでいまして、今、ご指摘のあったようなスケールのマルチ性それから時間的なマルチ性はシームレスで表現できるようになっています。ですから例えば先程の資料1-2に出ておりますけれど、環境省が進めているVOCと浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの生成に係る調査検討会で作っているようなモデルにおきましても東アジアスケールの大陸からの越境輸送も考慮しつつ、例えば関東域における光化学オキシダントの年間を通した推移あるいは高濃度時の状況などシミュレーションできるようになっています。

浦野委員月平均値とか年平均値とか季節変動とかいうレベルでは良いと思うのですけれども、現実のオキシダント濃度は日ごとあるいは時間ごとに出てくるわけで、そうすると地域のモデルはかなり詳細な条件を入れなければいけない。東アジア全体などから移流してくるものは入れるべきデータがかなりラフというか、時間スケールあるいは面積スケールの大きい数値を使わざるをえないので、モデルはつながったとしても入れるべきデータが全然質が違う格好になるんじゃないかと思うのですけど、その辺についてはどう考えたら良いのでしょうか。

秋元座長それでは私の方から大原委員を補足する形で今の質問に答えたいと思うのですが、今、言われたようなある特定地域の日々の濃度の変動を予測するというと、化学天気予報というものがあるのですけれど、そういうものであるところまで予測できる。日々の予測には越境汚染のような非常に大きなスケールの現象とかなり狭い地域の現象とをネスティングという手法で組み合わせることは現在可能になっております。広いスケールのものも良く取り込まれるようになって来ていますので、かなり狭いところのものであってもそれなりの計算資源と労力をかければかなりのところまでいくようなレベルになってきたという風に考えたら良いかと思います。ただモデルはかなり日進月歩でして、ほんの数年ぐらいの間にどんどん進歩していますし、何年か前の知見だと大分違うということもあるかと思いますので、今後とも本当の意味での最先端の知見を取り込んでいかないと精度が落ちると考えればいいかと思います。

浦野委員もちろん皆さん一生懸命やっておられるのでかなり進んでいるというのは良く分かるのですが、これからさらにどう調査研究するのかがこの検討会の主なる目的なので、どこに課題があるかということでモデルの問題と、モデルに入れるデータとしてどの程度信頼できるデータが得られるのかというのが非常に重要だと思うのです。それらがうまくセットされてはじめて信頼度が上がってくるわけで、モデルだけしっかりできても入れるデータがあやふやなら結果があやふやになるわけですから、その中でどの辺が今、残っているというか重要な課題として認識するべきなのか。全部上手くいきますという話なら検討しなくてもいい話になってしまうのですけど、その辺の認識はどうなのでしょうか。

秋元座長おっしゃるとおりだと思います。ただモデルというのは必ず不確定性というものがあってそこをきちんと押さえるのが重要で、まさにエミッションの問題などはそうですし、そういう意味ではモデルの方もまだまだすべきことは当然あるわけで、その辺の不確定性に関する議論はやっていく必要があると思います。ほかによろしいでしょうか。

環境省 山本補佐事務局からですけれど、私ども専門家ではございませんのでモデルの内容の詳細については残念ながらお答えできませんけれど、モデルにつきましてはどう活用するのが非常に大事だと考えておりまして、先ほどご説明した中でも今後の検討のポイントとしまして、濃度データとかVOC排出インベントリと並べましてシミュレーションの活用に関する様々な観点からの検討というようにしておりまして、そういう意味で活用と書かせていただいております。

浦野委員一般的な話は特に言われなくてもいいわけで、例えば不確実性を減らしますとか活用方法を考えますというのは当たり前のことです。そういうことではなく、これだけ集まって今後議論していくわけなので、どういうところの不確実性が今、一番問題になっているか、あるいは何が今後の課題となるのかについて、モデルをやっている方はどう思っているのか。我々モデルをやっている側ではないところからもいろいろ意見があると思うのだけれど、まずモデルをやっている方がどの程度不確実性のところでどういう認識なのか。例えばVOCインベントリを私はやっているのですが、年間の排出量をやっているわけです。だから月々の排出量は分からないのです。ましてや毎日なんて分からないわけです。ですからどこら辺を一番精度を向上するときの課題と考えているのか、あるいはもともとできないこともあるわけです。毎日のVOCの排出量なんて誰も分からないわけです。だからある程度平均化してやるしかないわけなので、できないことをできるというとおかしなことになるので、その辺をどういう風に考え、その不確実性を認識されているのか、具体的な課題、大きな課題はどこなのですか、という質問なのです。

秋元座長このあとの議論の中で、2-3ですかね、揮発性有機化合物の排出インベントリとか生成シミュレーションについて、この辺の中で当然、今、指摘のあったようなことについては議論していくことになるかと思います。

指宿委員今の座長のまとめで良いかと思います。結構、往々にして、モデルの結果がポンと出て、そこで合っている、合っていないという議論になってしまう。モデルの説明をされるときに排出量あるいは地域特性というかインベントリを含めてどういうデータを使いましたとか、あるいはVOCのタイプをどういう風に分けてどういう風にやったのかというそういう細かい点をきちんと説明していただいた方が我々の側も理解が進むし、じゃあどういうところに問題が残っているのかというそういう議論も進むと思うので、そういう風にやっていただきたいと思うのですが、それは座長も今おっしゃられたので賛成です。

秋元座長まさにおっしゃる通りでございまして、私自身そういう風に思っています。それではよろしいでしょうか。

大原委員モデルを使っている立場から一言言わせていただきます。基本的にどこかにモデルの結果を出すときには多かれ少なかれ必ず前提条件、計算条件、どういうデータを使ったのかというのは出しているつもりです。もしそのようなご指摘があるならば具体的にこういった点がまずいといったご指摘をいただいた方が有意義だと思いますので是非よろしくお願いします。
また資料2-1に対してなのですけれど、非常に細かい点ですがいくつか気づいた点がありますので、指摘させていただきたいと思います。上から3段目ぐらいの前駆物質の観測データの充実等に関してですが、実施事業内容の1段目のNOxについてはと書いてありますが非メタン炭化水素についても測定、公表されているのですから、それもきちんと書き込んでおくべきではないでしょうかというのが一つ目です。それから下から5段目くらいのインベントリのところですが、“全国51地点で測定したVOC観測データを用い、シミュレーションを実施”というのは、これはどういうシミュレーションをどこでされたのでしょうか。それからもう一つ、一番下のTF HTAPのところで、全球モデルと東アジア域モデルの有効な連携を検討中というのは具体的には何を意味されているのか、この辺を事務局から教えていただきたいと思います。

秋元座長事務局いかがでしょうか。

環境省 栗林補佐環境省で毎年、VOCの測定を全国的にやらせてもらいまして、今年度も数ブロックに分けてやらせていただいております。それで得られた観測データを用いまして、資料2-4のところで説明させていただきます。オキシダントの生成シミュレーションで活用させていただいております。

浦野委員「VOC」といったときに、測っているのは有害大気の19物質をVOCと言っているのか、非メタン炭化水素もVOCというのか。インベントリではもっと何十種類とやっているのですし、モデルでどのくらい使うかというのもあるので、「VOC」と一括で言うと何を意味しているのか分からないので、その辺ははっきりさせていただけますか。

環境省 栗林補佐環境省で測っているのは19物質でございます。

秋元座長それはそうなのですが、今のご議論はこの後の[3]のところで具体的な議論になるかと思います。いろいろなものがたくさん出てくるのですが、例えばオゾンの影響に関してそれが全部使えるのかどうかとか、ここで言うVOCというのはこの検討会のオキシダントの観点からのVOC、だけど本来VOCの規制というのは有害大気汚染物質とかそういうことから始まっているわけで、その辺を大原委員が言われるようにどこかで整理しておいた方が良いかなと思います。
この表についての大原委員のご質問のうちの2つ目についてはお答えありますか。

環境省 山本補佐不勉強な状態のまま、ぼやっとした書き方をしてしまいまして恐縮でございます。誰がやっているのかということを明確にしないまま書いてしまいまして、先生方からご指摘いただければありがたいですが。

浦野委員インベントリの方で先程ご質問のあった、“シミュレーションを実施”と書いてあるのですが、シミュレーションはしていないのではないですか。私の感じでは観測データの経年変化とインベントリの経年変化がどのくらい対応するかというのと、東京都の実測値などとインベントリとの関係のチェックはしたけど、シミュレーション計算とかそういうものはしていないのではないかと思うのですが。していますかね、指宿委員もいるのですが。

指宿委員していないと思います。

浦野委員していないですよね。インベントリの観測データによる検証はしているけど、それは簡単な検証で、特にVOC観測データを用いたシミュレーション、51地点とかなり具体的に書いてありますけど、これはインベントリとは関係ないところでやっているというわけです。

大原委員オゾンのシミュレーションを5年間かけてやられている中で、関東と大阪を対象として計算されているので、その地域の中に含まれている観測データについてはシミュレーションの結果と観測データを比較したといったようなことなのではないかと思います。もう少し正確に記述した方が良いのではないかと思います。
それから一番下のHTAPについては少なくとも例えば英語版HTAP中間報告書に日本の研究者なりかなり多くの人が貢献したといったような記述を書いておいていただいた方がうれしいと思います。

秋元座長それでは大分時間も経ちましたので、取り組みの経緯、進捗これについてはこの辺でよろしいでしょうか。それでは[2]の方からかなり具体的なデータの議論になりますので、そこが一番重要だと思います。それでは「[2]光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状について」、これについてのご説明を事務局からお願いいたします。

環境省 小林補佐(「光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状について」(資料2-2)の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。それではオキシダントの前駆物質であるNOx、VOCのトレンドなどの実測データのご紹介だったのですが、全体的にご説明にあったように、関東でも関西でも九州でもNOxもVOCも下がっている、だけどもオキシダント濃度は上がり続けている。それから先ほど最後に説明があった、関東、関西、九州を比べると西の方が増加率が大きい、具体的に数値的なところを見ていただきますと、6ページ、11ページ、16ページの濃度の増加トレンドの直線回帰の線が出ていますけれど、関東だと0.5ppb/年、関西だと0.6ppb/年、九州だと0.7ppb/年という風にきれいな傾向がみられます。0.5ppb/年ということは10年間で5ppb増える、20年間で10ppb増える、そういうオーダーだということを意味しているという風にお考えいただければと思いますが、それではご質問をどうぞ。

安藤委員2つほど教えていただきたいことがあります。一つは参考文献31ページに書かれている中の中西先生のものとVOC対策あり方検討WGが参考に挙げられておりますが、それは具体的にどれを指しているのか、前の方の資料として使われている場所がどこにあたるのかを教えていただきたい。それからVOC対策あり方検討WGの報告書は先程見させていただいたのですけれど、その中に書かれているもののどれを引用されているのでしょうか、ということを教えていただきたいと、これがまず1点であります。

秋元座長事務局いかがでしょうか。

環境省 小林補佐お答えいたします。最初に出典の方で下の方のVOC対策あり方検討WG、こちらの方は2ページ目の図1-2、こちらの図でございますけれど、資料の1-4にも掲載ございました表と同様のものとなっております。中西先生のものにつきましては4ページの下の点線の枠内の参考に引用、記載しております。

安藤委員ありがとうございました。最初のVOC対策あり方検討WGが引用されていて、これが1-2ということなのですけれど、これを先程見させていただいた報告書の中から読み取ってみると、この検討WGで審議したというかそういう内容ではなくて、環境省さんが平成23年1月24日に発表されたデータだと思いますので、孫引用よりかは原典引用にされた方が良いかと思います。それから中西先生の部分のところに関しては参考のコラムのようなものなので、ちょっと扱いを他のものより環境省さんのいろいろの参考文献であるのと同列に扱うことはできないのではないかと思いますので、ちょっと外すということまでは言いませんが、同列ではない扱いで書いておいていただいた方が良いのではないかと思います。

環境省 小林補佐ご指摘ありがとうございます。検討させていただきます。

安藤委員それから第2点目の方、もう一つなのですが、29ページの遠隔地域におけるオゾンの測定をされたEANETのデータですけれど、遠隔地域はバックグラウンド地域ということの考え方をされているものですよね。

秋元座長バックグラウンドという言葉は今、非常に注意して使わないといけなくて、あまりバックグラウンドという言葉は使わない方がいいのではないかということが最近言われています。ベースラインというような基準であるというところがあるのですが、もう一つは越境輸送を捉えやすいところというような観点から遠隔地域を選んでいるということでございます。

安藤委員後者の話であれば、傾向は分かったのですが、ここでバックグラウンドということを言っているとなると、光化学オキシダントのベースラインというニュアンスで使われているのだろうと思うのですけれど、そう言い切っていいのだろうかというところに一つ疑問があって、お聞きしたかったところであります。それからもう一つは、もしそのバックグラウンドが、ベースラインという考えを取られるのであれば、次の図の3-2であるとか図の3-3のところで出てきている図があるのですけれど、これをベースラインだと考えると前の方で使われている各地域の地域的なものとか全国平均とかとある意味どう違っているのかを比較できる。そうすると例えば大阪であるとか東京とかそういった地域の変動は、この遠隔地と同じ変動しかしていないのではないかと見えると思います。ゆえに資料2-2の29ページで遠隔地域のオゾンとしているものはバックグラウンドと言ってよいのかということなのですけれど。

秋元座長EANETを担当しているのは私どもの研究所なので、その立場からお答えしますと、ここに選ばれているEANET局の遠隔地域という意味は、日本からの排出量の影響をあまり強く受けないところを選んでおります。ということは先程ちょっと申し上げたように越境汚染とかそういうものの影響を受けた場合にどうなっているかというような基準点として使えるのではないかというようなところを選んでいます。季節変化が非常に似ているということは、遠隔地域でない関東、関西などでもある種の似たような季節変化、春に高くなって夏に低くなるとかそういう傾向がみられるとお考えいただいても良いかと思います。ただ絶対値などの参考として遠隔地域は注意報を超えることはないわけで、そこで日本の影響が加わっているところと加わっていないところの比較、というような見方をしていただければいいのかな、と思っております。

安藤委員そうですね、分かりました。ただまとめられた冊子の中で、遠隔地域の部分をバックグラウンドにおける実態評価を目的という風に書かれるのはいかがなものかなとちょっと思いますが。

秋元座長先程ちょっと申し上げたようにバックグラウンドという言葉は非常に混乱するのであまり使わないほうが良いのかなと気がしますけれど、この点について事務局何かありますか。

環境省 山本補佐バックグラウンド地域という言い方は相対的なものでして、インパクトに対してバックグラウンドという言い方をしますので、その言い方で言いますとインパクトが国内の発生源でありまして、その国内の発生源の影響を受けていないという意味でバックグラウンド地域という使い方をしております。そういう前提付きでの表現でありますので、その点をご理解いただけたらと思います。

秋元座長ちょっと混乱しやすい言葉なので、注意が必要かと思います。ほかにございませんか。

井上委員ちょっとお聞きしたのですけれど、先程の図のところですけれど、遠隔地域におけるオゾン濃度で平成12年から21年を見ていきますと、九州とか関東とかに比べて上り加減が明瞭に見えないような気がするのですが、そうするとこれは日本の排出量の影響を受けない地域濃度は上がっていない、なのに日本では上がっているということでその原因は日本にあるという風に捉えてしまうのですが、そう捉えてよろしいのでしょうか。

秋元座長このEANETの年度解析についてはいろいろ議論があるところで、今までいくつかの解析がされているのですが、増加傾向のあるところもあるのですが、確かにあまりはっきり見えないところもある。

浦野委員いろいろご質問が出ていると思うのですが、このデータそのものは現状ということで、データそのものを並べてあるわけですけれど、見る側は何の解釈をするためのデータなのかという風に考えるわけです。データそのものは数字、実測値の解析結果ですけれど、月平均などで解析するわけですから、解析をするということはなんらかの使える情報を得たいと考えるわけです。そういうことで言うと、昼間の1時間値というのは基本で考えていて、それを年平均とか月平均とか最高値とかがあって、それをまた地域ごととか、または年ごとで見ているわけです。そして年平均なんていうのは大きなトレンドは分かるけれど、被害と結びつく細かいことは分からないわけですよね。ですから月平均で何を評価するのかとか、最高値で何を考えるのかということをちゃんと整理をされて、解析する必要がある。例えば海外の影響を見るときにはどういう風に見ていくか、長期のトレンドを見るときに何を見るのかをはっきりするべきです。それから本来、規制とか管理の側からすれば、昼間の1時間値の最高値が極力低くなる、要するに被害が出にくくなるということが大事なので、そのあたりは警報の出る、あるいは注意報の出る日数とか局数を減らすというのが目的で、それが減ってくるというのは大気環境行政としては良いわけですよね。ですから、そのときにはそういう昼間の1時間値の最高値のトレンドがどうなっているのか、例えば0.12ppm以上の日数とか局数がどうなっているのかというのが非常に重要なわけです。一方、海外の影響とか見るときには、もうちょっと違う角度で見なければいけない。だからこのデータをどういう目的でこの数値を解析した結果、こうなっていますという形に整理してほしい。全部並んでいて、日平均が出ているとかと思うと、月平均が出ていたり、最高値も出ている、それもまたずっと昔からのデータが並んでいるのもあるし、それを何年かまとめていたり、地域でまとめていたりする。数字は分かるのだけれど、何が言いたいのかということを一つ一つ見ると、非常に分かりにくいんですよ。ですから数字を並べるのではなく、大気環境管理なり、あるいはその影響を見るという目的から何と何のデータが必要、だからこういう解析をして整理しましたという資料を出していただきたい。もう一つ、一箇所だけ気になるところがありまして、5ページの図2-1ですけれど、ここだけが平成22年度があるんです。この図の赤い関東を見ますと、それまで下がってきて良くなってきたのかなと思っていたのに、22年度でポンと赤が戻っているんですね。ところが他の解析は平成21年度で終わっているのです。ということは22年度になるとまたトレンドが変わっちゃうのではないかということが心配なのですが、これだけなんで22年度があって、他は全部21年度までなのかということが良く分からないのですが、どうなっているのですか、何か間違っているのですか。

秋元座長最初のご質問はとりあえずおいといて、単純な方でなんでこれだけ22年度があるかという簡単なお答えをお願いします。

環境省 芳川係長申し訳ありません、注意報発生日数につきましては、年で集計させていただいておりますので、22年のデータというのは22年の1月から12月までのデータを整理していますので、そのデータにつきましては集計させていただいております。

秋元座長横軸全部年度になっているけど。

環境省 芳川係長(図2-1の横軸は)年ということにさせていただいております。濃度になりましたら、年度で集計させていただいておりますので、1年遅れになりますので、現在集計中ということでございます。

秋元座長だからこの図2-1の横軸は調査年度と書いてあるのが間違いなのではないでしょうか、調査年なのではないでしょうか。

環境省 芳川係長調査年です。申し訳ありません。

坂本委員そうすると他のものと並べてみたときに、年と年度を統一しておかないと。

浦野委員例えばその下の図(図2-2)はずっと下がっているところで終わっている、東京湾地域のデータですが、ずっと下がってかなり良い方向に行っているのかなという風に見えるのだけれど、上の図(図2-1)を見るとポンと上がっている、なんでかよく分からないのですが。

秋元座長おそらく22年度を入れると下の図もポンと上がるのではないですか。かなり良い並行関係にありますよね。

浦野委員まあその辺についてデータを並べるだけでなく、解釈のためにどういうデータでどういう解釈するのか。

秋元座長浦野先生の最初の方のご質問について、事務局は何かコメントありますか。

浦野委員目的ごとに整理をして、こういうことを解析するためにこういうデータを使って、こういう結果ですというようにやって欲しい。

環境省 小林補佐目的を明確にしたデータにあった資料の提出についてはまた検討させていただきたいと思います。

下原委員今の目的の議論に関することなのですが、30ページの図3-2のような1年間の平均を載せるのではなくて、例えば移流で見るのであれば3、4月でプロットしてみる、あと、7、8月でプロットしてみるというような形で評価するともっとクリアに現象が確認できるのではないかと思っています。

秋元座長ありがとうございます。

金谷委員ちょっと観点変えますけれど、地域的なオゾンの生成の観点では、まとめていただいたNMHC/NOxというのが重要なデータになっていると考えております。気になるのは28ページの図2-29のあたりで地域別あるいは全国平均のこの比の増加傾向というものが示されておりまして、年平均値で見ていますので夏から冬からいろいろなものが含まれているのかと思いますが、私の経験上、夏、東京ではこの比が10~15ぐらいになるのが一番オゾンを作りやすいようなレベルになるわけです。それにややちょっとずつ近づいていっていて、NOxもVOCも少しずつ減らしたにもかかわらず、比が微妙にこちらにシフトしているということが少し気になっているところでありまして、一つの質問は、年平均ではなくて例えば春とか夏とかそういった季節に同じような傾向が見られているのか、そういった解析がされているのかということが一つと、もう一つは極端にNOx、VOCが土曜に、日曜日にはずいぶん変わるということが、具体的にはディーゼルによりNOxのエミッションが土日は減るから、比が上がるわけですけど、そういうときにオゾンの上昇が見られているかということを良く見ることによってVOCを仮想的に削減しなかったときの効果というものが見える可能性があるわけですね。そういった解析をもう少し詳しくされるといいのかな、と思います。その辺に関しては、さらに言うとNOxの傾向が今後どのくらい変わりそうだからというような観点での検討も重要なのではないかと思います。

秋元座長ありがとうございました。今日、2-2で出していただいているデータの解析というか定量の仕方以外に例えば今あったような、こんな風な解析なりプロットなりをしたら良いのではないか、というようなことを、今、要望を出して、今後の検討会でそれを出していただくことは可能ですか。

環境省 芳川係長ご意見をいただいた方が今後も大変役立つと思いますので、ご意見をいただければと思います。

秋元座長他の方ももしあれば貴重なご意見ですし、こんな図を作って欲しいというものがあれば、お願いいたします。私自身から先に言わせていただきますと、注意報が出るか出ないか、例えば日数とかそれで議論が大分進んできているようなのですね。昔のVOCの規制検討会でも。だけど、例えば12ページの関西の注意報の例ですけれど、0.12ppm以上の時間数とか0.12というある値で区切った日数とか時間数とかはものすごく年変動が大きいわけですよね。だからこれではとてもじゃないけどトレンドは見られないのではないかという気がします。むしろ平均の濃度に直したときに、もう少し上手く見られるのではないかなという気がしまして、例えば濃度の年平均値がでているわけなのですが、例えば濃度階層別に資料1-4の6ページでこの図はちょっと面白いなと思っていたのですが、過去10年間について濃度階層別に60~90ppb、90~120ppb、120ppb以上というところでそれぞれの濃度のトレンドがどうなっているかというのを見てみれば良いのではないかと思います。というのはこの図が本当だとすると、高濃度のところは減っていますよね、90ppb以上のところは、平成12年度に対し20年度は。しかし60~90ppbのところは逆に増えている、これは少なくとも定性的には越境汚染の影響と国内のVOC、NOxの削減との兼ね合いで、こうなってくれることはある程度予測しやすいですね。輸送の影響を強く受けるのは60~90ppbの中濃度域ところで、これは確実に増えていると思うのです。逆に高濃度のところは日本自身の排出の影響を強く受けるところが多いので、そういうところはNOx、VOCが下がっていれば多少下がってきている可能性はあるということがありまして、これが本当かどうかは分からないけれど、そういう目で濃度階層別のトレンドを見ていただくともっと分かりやすいのかなと、またそのほうが安定性があると思うのです。高濃度のところが日平均的にある程度減っているのかどうか、増え方が少ないのではないかなということが見えるかなと思っています。

指宿委員もっと基本的な要求なのですが、例えばNMHCの年平均濃度の図でも、これは1日平均値、6時~9時の3時間のNMHC濃度の平均値をさらに年平均値にしたのか、そういう由来というか中身を書いていただきたいと思います。それを後で教えていただければと思います。これが午前中のNMHCの値で、1日平均値でないとするとNOxで割る意味があるのかというか意味が変わってくる可能性がある、それが一つです。
あと測定局数云々というのが、例えば日本全国であれば1000いくつだなというのは常識的に知っていますが、地域別に書いてある図を見ると測定局数が書いていない。例えば九州では非常に少ないかもしれないし、関西でも関東に比べると数が少ないかもしれない、そういうベースとなる数字は数値として必ず入れていただきたい、それを出し直してもらいたいと思います。
そういう意味では最後に大きな議論の対象になった、バックグラウンドのオゾン濃度の年平均値とは何なのか、というのもやはり書いておいていただきたいと思います。
全体的に各図についてきちんと概要というものを書くというのが必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

大原委員比較的細かい指摘が3点あります。5ページの図2-2ですが、東京湾地域で平成16年度から21年度まで高濃度日数が減っている、これは多分VOC対策の効果があったのかどうかということを把握する上でも非常に重要なデータになる可能性があるという意味において、個々に着目した解析を何かできないかなとさっきから考えていたのですが。良いアイディアはないですが、少なくとも先程秋元先生がおっしゃられたような濃度ランク別にこの間の変化をどうやって読むかというあたりについてはしっかりと整理していただきたいという風に思います。
それから22年度はどうなったのかできるだけ早く知りたいというところであります。
もう一つは、25ページ目のところで先程指宿先生からもご指摘ありました点に関係するのですが、25ページの図2-24でNMHC/NOxの比が19年度から20年度で急激に変わっていますね。多分測定局が少ないから特定の測定局の影響を拾っているのではないかなという風に思いますので、是非測定局数を書いていただきたいと、あとこの原因は何なのかということをもう少し明確にしていただければと思います。

安藤委員お願いが一つです。図をもう一つ足して欲しいというお願いなのです。本調査検討会の開催の目的は今後の必要とされる対策を見据えた調査検討であるというように理解しています。そのために大防法で今後、法規制されたり対策というのを企業側としてはいろいろ考えていくということがあります。大防法のもともとの目的である健康被害の低減というのがあったかと思いますので、オキシダント等の大気汚染による健康被害の状況のデータというのが確かあったと思います。それは環境省のほうで、いろいろなところで出されているデータがあると思いますので、患者発生数を年度別に書いた図を一つ足していただきたい。

秋元座長これはかなり大きな問題だと思うのですが、まさに環境基準の策定なども絡んでくるようなオゾンの健康影響、これをどういう指標で出せるのか、疫学調査その他の部分になると思うのですが、この検討会の中で出せるものなのか、別途お考えになるのか。

安藤委員平成22年度次期VOC対策のあり方検討WG報告について(資料1-4)の5ページの下のほうの図のところに「平成21年度大気汚染状況について」というところと「平成22年光化学大気汚染の概要」という中に被害届出状況というデータが毎年出されていますので、これで十分だと思います。

秋元座長分かりました。被害届であれば比較的簡単ですね。

環境省 小林補佐被害届けの状況につきましては、毎年まとめているものがございますので、資料の方はすぐ用意できるかと思います。

秋元座長ではすみませんが次のVOCの検討の一つの大きなテーマなので、そちらにあまり時間がなくなってしまうのも困りますので、次の「[3]揮発性有機化合物排出インベントリについて」、このご説明を事務局お願いします。

環境省 栗林補佐(「揮発性有機化合物排出インベントリについて」(資料2-3)の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。今日の一つのメインテーマですのでどうぞ。

浦野委員このインベントリ、私がまとめ役でやったのですが、最初にお断りをしなければいけないのは、あくまでも固定発生源のインベントリを調べたものなので、それを一番最初に断るか、タイトルに固定発生源からの揮発性有機化合物の排出インベントリと書いてほしい。その他からの発生量は参考値として一応出ているということにしないと、これだけ見ると、全体のインベントリがあるかのように誤解もされてしまいます。その辺、言葉の注意をちゃんとしていただいて、そのほかはこうですという風にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

環境省 栗林補佐ご指摘ありがとうございました。

大原委員国際的に見てVOCの排出インベントリの不確実性はすごく大きいと言われていて、その中で日本のインベントリというのは不確実性は小さい、非常に緻密に積み上げられて推計されているので、小さいと思うのですが、この会議の冒頭にご意見ございましたけれど、エミッションの不確実性をある程度、定量的に把握しておく必要性があると思います。難しいとは思うのですが。把握しておく必要があると思うのです。そういった点から、検討会で何か議論があったのかどうか、教えていただきたいと思います。
それから先程浦野先生からご指摘いただいた、固定発生源という枕詞をつける件ですが、私もそう思いますが、多分、固定蒸発であって、燃焼系は対象外ですので、固定蒸発発生源の方がより正確ではないかと思います。

浦野委員不確実性ということですけれど、このインベントリは各業界のご協力を頂き、また自治体の協力も頂いて、VOCを供給する側と利用する側と両方からいろんな角度からデータを集めているので、ご指摘にあったように全体としては精度をかなり上げている、ただし不明分が若干ありますけれど、不明分をかなりつぶしてきておりますので、相当精度は良いと思います。ただし、あくまで年間の発生量、全国的な発生量です。年間の全国的な精度はかなり上がっている。しかし、地域別については、PRTRの対象物質の中のVOCの合計量で配分などをしていますので、今は精度はあまり高くはない。それは目的にあっていないということですね。当然ながら月ごとや日ごとの発生についてはまったく分からない。ですからオキシダントとの関係を考えれば、オキシダントのできやすい時期が主な対象で、主としてこの時期の精度を上げたいとすれば、その部分だけ一生懸命取り出して、精度を上げることは可能ですけれど、もともとインベントリ委員会はそのようなものを頼まれていないし、議論にもなっていないので、年間のデータをいかに正確に出すかというだけです。ですからオキシダントのシミュレーションとかと対応させていくには、さらにできることがあるのか、ないのかということも含めて検討する必要があります。主要な発生源というのは塗料などいくつかあるわけなので、全部の精度を上げるのは難しいとしても、主要な発生源、これだと発生源品目になりますが、それについて例えば業界の協力を得て地域ごとの割り振りを考えられないこともないかもしれない。あるいは時期ごとの割合というのもおよその四季位で分けるとか、あるいは1月2月は少ないとかおよその推定はお願いすればある程度はできるかもしれません。ただ、今までそういうことは一切していないということです。

秋元座長今のことに関連して確認なのですが、3ページの物質別の排出量がございますね。それと5ページには県別の発生量があるのですが、これは各県について3ページのようなものが出ていると考えてよろしいでしょうか。

浦野委員各県で物質別は出ていないですね。PRTR対象物はもちろん出ていますが、それに比例させて物質ごとといっても、PRTR対象物はかなり種類が少ないですからね。VOC排出インベントリは百何物質やっていますので、それを物質ごとにPRTRに当てはめることはできないので、平均的に見れば同じ組成で数字を配分している格好になりますが、かなり不確実です。シミュレーションに入れるとすれば、もう一段詳しい調査が必要で、主要なものについては地域別を入れる、主要な発生源は主要な物質ごとに地域ごとの特性を調べ、PRTRデータを参考にしながらやっていくことはできるかと思います。それらは今のインベントリの検討会でも検討課題ではない。だからどこでやるのか、インベントリ検討会の方に課すのか検討する必要がある。

秋元座長それでは私の方から、今、インベントリのほうでこういうものが出されて、これをモデルでオゾンにつなげる時に、本当はまずVOCだけについてインベントリのデータと実際の大気濃度とかがシミュレーションに合うかどうかというのをしなければいけない段階だと思うのです。だけどそういうのは意外と難しいし、成分ごとのモニタリングの話が最後の方に東京都と埼玉県の話がありましたけど、どういうデータがあるのか、成分ごとの実測データとシミュレーションで照らし合わせることが可能なデータなのか、その辺が一つポイントになるかと思いますね。オゾンに関して言うとVOCやNOxがそれぞれのものが全然合わないのにオゾンだけ合わせるということはなかなか問題ですよね。オゾンの方が逆に合いやすい、VOCの方が逆に個別には合わないというケースは今までさんざんあるのですが、VOCの削減効果を拾おうというときにやっぱりVOCの濃度が合っていないと本当はブラックボックスになってしまう。もしできればそういうステップを踏むことがVOCが対策で減っているということがその通りに大気オゾンに反映されているのかその辺が一つポイントになるかと思いますが。

浦野委員大気濃度の測定、モニタリングの場合は、やはり自動車の影響というものを非常に大きく受ける、自排局は特に影響を受けるのですが、この自動車からの排出量はPRTRの方でかなり一生懸命やっています。道路ごと、地域ごとに全部積算しているのです。それを集計して最終的に全国の量を出している。ですから元に戻れば地域の情報が得られます。どこの地域の主要な道路の、例えば東名高速のどこからどこまでの区間にどのくらいの走行量、どんな自動車が走っていて、どのくらいの排出量なのかなどから全部積み上げています。ですから東京都の地域、どこの地域など指定した地域で集計することは可能なのです。物質も自動車から出る主要なものについては一応原単位が出ていて、どのくらいの走行速度で何km走ったらどれくらい出るという風に積算していますから、そういう意味では自動車の方は地域ごとの数値が結構な精度で出せるのです。一方、固定発生源の方はそれが出ない。ただ一番最初の方のご質問にもありましたけれど、測定しているデータは地表面に近いところで測定しているので自動車の影響を大きく受けているのです。シミュレーションでは、自動車の影響と、その他の固定蒸発源とか、燃焼とか、そういうものからのVOCをそれぞれ別に足していかないといけないので、結構大変だと思います。

秋元座長それともう一つ光化学活性の議論の関連で言うと、7ページにMIRをかけ合わせた生成ポテンシャルの計算結果がなされていて、その中にMIRデータが得られないVOCの割合というのが25%ぐらいというのがあるのですが、これと3ページの表の一番下の方に”特定できない物質”とか”分類できない石油系混合溶剤”とかいうものがありますよね。これとの関連なのですが、7ページの方でいうMIRが得られないVOCの割合というのはあくまでVOCの中身が分かっていて、MIRデータがないものだけと考えて良いのかどうか。そうだとするとそれにプラスして特定できないものというのはだいたい20%ありますよね。それとこちら(MIRデータが得られないVOC)の25%を足すと40%ぐらいは評価の対象となっていないという状態になってしまうのだけれど、どういう風に理解していけばよろしいのでしょうか。

"環境省 栗林補佐7ページ目のところの表の下のほうですが、MIRデータが得られたVOCの排出量、これ平成20年度ですと697,000t。それからMIRデータが得られないVOCの排出量これが215,000tくらい。それを足しますと、全VOC排出量ということで912,000tであり、この912,000tというものとご覧いただきました3ページ目のところの平成20年度のところの一番下、こちら918,000tということで若干数字が違っていますけれど、これは7ページ目のVOCの排出量の推計が21年度にやったときの結果ですので、若干その後修正がありましたのでちょっと数字違いますけれど、この数字をご覧いただきますと同じ数字ですのでいわゆる特定できない物質も含めた91万何千tのうち、7ページに書いてあるMIRデータが得られたVOCの排出量の割合は75%程度という風に考えております。"

秋元座長例えば平成20年度のデータを見ますと、3ページの表で特定できないものの下の2つを足し合わせるとだいたい21万tぐらいになって、これはMIRデータが得られないVOCとほぼ一致しますよね。だとするとここにあるVOCの中身の分かっている物質については全部MIRデータが得られて計算されていると考えて良いですか。

環境省 栗林補佐これらの物質とMIRデータのある物質について、全部見比べてはおりませんけれど、確認させてもらいたいと思います。

浦野委員これを誰が計算したか分かりませんけれど、MIRというのは構造が分かって、物性が分かれば推計値も出るのですよね。だから多分主要な化合物については出るんじゃないかと思っているのですが。その辺、どうされたかを確認してください。
もう一つ、”分類できない石油系混合溶剤”などは、たぶん計算されていないと思うのですけれど、平均的な組成は分かるのですね。例えば脂肪族の炭化水素類の混合物だとか。だいたい平均炭素数がいくつというのも分かるので、個別の成分まではわからないけれど、概略は分かります。だからこれをまったくポンと外してしまうのではなくて、脂肪族炭化水素の炭素数いくつとみなしてやるという方法を取ればもっとオゾン生成能が出てくると思います。というのもシミュレーションをするときも、そういう方法を使わざるを得ないのですよね。これはあくまでも年間のポテンシャルですけれど、地域とか月ごとにやるとしてもそういう数字が必要になるので、分類できないとか書いてありますけれど、近似する方法があると思うのでそれを検討してください。

岩崎委員この資料の8ページなのですけれど、図1-6のところで自然発生源の値が非常に大きいですよね。これは前の”あり方WG”のところでもかなり問題になったのですけれど、この精度がきちんとできているのかとかですね、あるいはこれがシミュレーションの方にどのように生かされているのかとか、もちろん中身のことについてある程度相関データとかあるのでしょうけれど、あまりにもデータが大きいのでこの辺のところの精度、これ自身をもう少し上げて欲しいと思います。まあ反応が早くてあまり影響しないということであれば、そういうことも含めてこの辺のところの精度がきちんとしないといかに固定発生源の精度を上げても移動発生源の精度を上げてもこの辺のところが最後に心配になりますので、自然発生源の精度をできるだけ上げるようにお願いします。

井上委員自然発生源については本当に不確実性が高いというのはどこの世界でも言われておりまして、ましてや日本に生息している植物のデータというのはまだあまり測られていないと思うのです。それで非常に不確実性が高いと。それでこの自然起源の排出量の不確実性がかなりあるわけですけれど、その低いのと高いのをモデルに入れて人為起源のVOCを減らした場合に注意報日数がどれくらい減るかというのを予測すると、推定結果が全然違うのですね。その辺は去年に大気環境学会誌に投稿しておりますので、是非読んでいただけたらうれしいのですけれど、そういうこともありますので自然起源はどこかでやって欲しいと思います。VOCインベントリの対象が固定発生源ということは分かりましたので、どこか別のところでも結構ですし、実際資料2-1でインベントリのところ、国内対策等の更なる推進のところで自然起源VOCを含むと挙げられておりますので、どこかでやっていただけるのだと思っております。

浦野委員これも前に環境省の方とかお話ししたのですけれど、全国の森林が各都道府県にどれくらいあるかというのは、CO2の吸収源としての問題もあるので、それなりに情報があるのです。主要な樹木の種類もあるんですよ。全国植生地図というのも横浜国立大学の宮脇先生らのグループが全部やっていましてかなりデータがあるんです。そうすると実際の日本の都道府県ごとでもいいし、市町ごとでもいいですけれど、森林の状態というのは把握できるはずです。それに樹木ごと、樹木も若いものと年取ったもので違うのですが、一応樹木の年齢別もある程度データがありますし、そういう数値に、海外の例えば同じヒバならヒバのこれぐらいの年齢の木ならVOCはどれくらい出すというのは、そんなに日本と極端に変わらないと見て、推算することが可能だと思います。そういう推計をまじめにやるべきだと提案したこともあるのですが、まだ全然手付かずにいるみたいで、是非これはやって欲しい。他に情報源がありますし、森林関係の農水省のデータもありますし、いろんなところで情報があります。そういう情報をきちっと使って地域ごとに樹木の種類と本数とか何トンとかと、発生原単位をかけて推計すればもうちょっとましなデータが得られる、怪しげな数字をずっとそのまま使わなくても済むのではないかなと思います。

秋元座長この問題はかなり大きな問題なので、すぐに解決するのか分からないけれど、少なくとも先程井上さんが言われたような感度解析的なことは非常に重要だと思いますね。
この辺で次の「[4]光化学オキシダント生成シミュレーションについて」こちらに移りたいと思いますので、事務局の方お願いいたします。

環境省 栗林補佐(「[4]光化学オキシダント生成シミュレーションについて」(資料2-4)の説明)

秋元座長ありがとうございました。今日、お作り頂いた資料についてはディスカッションもあるし、考え方そのものの問題もあるのですか、まず一つ確認したいのですが、今回の検討会の中では新たなシミュレーションはやらないと考えてよろしいですか。

環境省 山本補佐はい、おっしゃるとおりです。今後の調査検討のあり方をとりまとめてていただくということですので、具体的に今年度のこの検討会の中で例えばこういう設定条件でシミュレーションを動かすとかそういうことは考えておりません。たとえば、こういうシミュレーションをやるべきという例えばそういうご提言をいただくということでございます。

秋元座長もう一点は、今のご報告があって、特にこの最近のものですね、これはどこでやられたものでしょうか。先程ちょっと東アジアの云々というので国環研のものを使ったという話があったのですが、国環研の大原委員のところから境界条件を提供しているのか、何らかのディスカッションが行われているのか、まずこれはどこでやられたのですか。

環境省 栗林補佐これは環境省の業務委託でございまして、資料1-2でご説明させていただきました揮発性有機化合物、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの生成に係る調査検討会、平成18年度から5ヵ年にわたってやられているものでございます。この報告書を整理したものでございます。

秋元座長そこは大原委員が座長をやられた検討会ですね。で、これにはWRF-CMAQと書かれていますね、これは国環研のモデルとの整合性というかこの辺は何かやられたのか。どういう風な扱いになっていますか。

大原委員国環研のモデルは東アジアスケールのモデルで、WRF-CMAQではありません。あくまでもここでは境界条件として使っているということで、WRF-CMAQを選択したのは現時点として一番良いモデルだからです。

秋元座長大原委員が入っているのなら間違いはないかと思いますが、ということは越境輸送による東アジア全体の濃度上昇というのは考慮されていると考えてよろしいですか。

大原委員しています。

秋元座長ちょっと時間の問題があるのでおそらくこれは今日議論したらなかなか終わらないと思うのですが、シミュレーションをどういう風に今後やるべきかという議論は次回以降にやると考えてよろしいですよね。

向井委員最初のVOC削減によるSPM及び光化学オキシダントの改善効果を計算されたとき、VOCの削減量という設定があるのですけれど、このときのVOCというものはどういうものなのかを教えていただきますか。例えば全部入っているとか、自然起源が入っているとか。

環境省 山本補佐固定発生源からのVOC削減が必要だということから、平成14年当時のシミュレーションでも固定発生源からのVOCの総量30%削減するということでシミュレーションが行われております。

向井委員そのときの削減は固定発生源からのVOCですけれど、オキシダント生成に使っているVOC例えば環境中のVOCに関してはどういう条件で入れたのでしょうか。

環境省 山本補佐固定発生源以外のVOCをどういう風に考慮したかということですか。それにつきましては対策を予定している固定発生源以外のVOCの部分も当然シミュレーションの中で排出量の条件として考慮しております。その中で当然自然由来のVOCもある一定の考え方で排出量を設定してあるシミュレーションを実施しております。

秋元座長当時、ずいぶん前ですよね、平成15年頃ですよね、いろんな意味であまりにもプリミティブでその当時30%削減すれば注意報発令レベルを超えない測定局数が90%になると、これは今から思えばあまりにもワイルドな推定だったと思います。ちょっとこれに意味があるとは今の時点では思えません。だからむしろ過去のものはともかく、今の時点で最善のサイエンスを使ったときにどういう風になっていくだろうかということを新たにやり直すという考えがよろしいのではないかと思います。そういう考えでよろしいですかね。過去のものに捉われない方が良いと思うのですね。

安藤委員このシミュレーションの資料2-4の3段、21ページの図をみているのですが、ここで使われている測定値2001年度、2005年度、2007年度とあるのですが、これを例えば月平均値というのは先程あった1日の最高値の1時間平均値のことなのか、どういう風な平均値と捉えられているのか教えていただきたいと思います。

大原委員これは普通の意味での月平均値です。

安藤委員最高値の1時間値の平均とかそういうのではなく。

大原委員全部の月平均を取っております。

安藤委員分かりました。だとすると、資料2-2の30ページの遠隔地のところの数値というのと比較できるのだろうと思って見ているのですが、関東全域で出ている月変動値の幅と、例えば小笠原であるとか、そういった海のところにある数値とあまり変わらないような感じがしてしまうのです。関東地区全域で人為起源というものというよりここで変動しているのは自然起源ではなかろうかなという気がしてしまうのですが。

秋元座長オゾン濃度の絶対値の比較という話ですか。全部の月平均値を取った場合には、特に都市部ないしはルーラルなところでは夜間は非常に低くなります。だから平均値はそういう意味ですごく下がるのです。逆にリモートなところは昼夜ほとんど濃度差がないので、平均値としては高くなります。だから昼間の最高値とかそういう形で比べないと単純に全部見ちゃうとむしろ汚染地域のほうが低いな、という感じになるのはよくあることです。

安藤委員先程指宿先生から指摘があったようにここで書いてある平均値という定義をしっかりしてもらっておかないと、資料2-4のほうの月平均の定義もはっきりしておかないと、誤解もあるだろうと思います。

秋元座長それでは6時になりましたのでこの議論は次回以降も、今後シミュレーションどのようにすべきかということはやっていけるかと思いますので、今日はこの辺で打ち切らせていただきたい思います。それでは今後の進め方、議題3になりますが、検討会の今後の進め方のスケジュールについて事務局からお願いいたします。

環境省 山本補佐(「今年度のスケジュール(案)」(資料3)の説明)

秋元座長ありがとうございました。ということで次回、次の2回は外部の委員の方も含めていろいろとご意見をいただくということなので、第4回目の委員会、これがかなりポイントになるかと思いますので、今日出していただいたご意見、なかでも特にこういう解析というかデータの整理をしてほしいとかそういうのがあったら事務局、どこかにそういう要望を出していただいても良いかと思いますが。

環境省 山本補佐分かりました。それは非常に有益なことと思いますので、後ほど私どもの方から意見の集約の仕方とか各委員の先生方にご案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

秋元座長よろしくお願いいたします。ということで、シミュレーションどういうものをやるべきか、どういうデータ解析をしたらいいかということをお願いします。
それではほかに特にこのスケジュールの点でご質問ございますか。

浦野委員シミュレーションの方の説明自体がかなりラフなので、理解しきれないことがたくさんあるので、これを11月までに途中で議論することはまったくないのですか。11月の時点で問題点をいきなり指摘する。将来、政策決定するとき予測しなければいけないので、シミュレーションにかかるわけですよね。それについてまだみなさんよく理解できてないのではないかと思うのですが、その辺はどうされますか。先ほど、今度検討するのですよねと言っていましたが、このスケジュールだとどこに出てくるのかなと。

秋元座長第4回だけではこなしきれないという意見についてですよね。

環境省 山本課長第2回か第3回の中に組み込むように検討いたします。

秋元座長ほかによろしいでしょうか。

環境省 芳川係長それでは第1回光化学オキシダント調査検討会を閉会いたします。

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