1.日時 平成23年8月10日(水)15:00~18:00
2.場所 東京しごとセンター 講堂
3.出席者(五十音順 敬称略)
- (委員)
- 秋元 肇 安藤 研司 石井 康一郎 板野 泰之
井上 和也 指宿 堯嗣 岩崎 好陽 浦野 紘平
大原 利眞 金谷 有剛 坂本 和彦 下原 孝章
土屋 徳之 橋本 光正 向井 人史 若松 伸司 - (欠席)
- 竹内 庸夫
- (環境省)
- 鷺坂水・大気環境局長 粕谷総務課長 山本大気環境課長
手島大気環境課長補佐 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
小林大気環境課長補佐 芳川係長
4.議題
- (1)光化学オキシダント調査検討会の開催について
- [1]光化学オキシダント調査検討会開催要綱について
[2]光化学オキシダントに係るこれまでの経緯について
[3]平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)について
[4]平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告について - (2)光化学オキシダント対策の現状について
- [1]光化学オキシダントに係るこれまでの取組について
[2]光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状について
[3]揮発性有機化合物の排出インベントリについて
[4]光化学オキシダント生成シミュレーションについて - (3)検討会の進め方及びスケジュールについて
5.配付資料
- 資料1-1
- 光化学オキシダント調査検討会開催要綱(委員名簿含む)
- 資料1-2
- 光化学オキシダント対策に係るこれまでの経緯
- 資料1-3
- 平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)
- 資料1-4
- 平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告
- 資料2-1
- 光化学オキシダント対策に係るこれまでの取組の進捗
- 資料2-2
- 光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状
- 資料2-3
- 揮発性有機化合物の排出インベントリ
- 資料2-4
- 光化学オキシダント生成シミュレーション
- 資料3
- 今年度のスケジュール(案)
6.議事内容
議題(1)[1]
- 事務局より、「光化学オキシダント調査検討会開催要綱」について説明があった。
議題(1)[2][3][4]
- 事務局より、「光化学オキシダント対策に係るこれまでの経緯」、「平成19年度光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会(中間報告)」及び「平成22年度次期VOC対策のあり方検討ワーキンググループ報告」について説明があった。
議題(2)[1]
- 事務局より、「光化学オキシダント対策に係るこれまでの取組の進捗」について説明があり、議論が行われた。主な意見は以下のとおり。
- 将来予測はシミュレーションモデルで検討する必要があるが、越境輸送を考慮する広域のモデルと関東や関西などの地域のモデルの相互関係はどうなっているのか。また、地域でのオキシダント濃度は1日あるいは1時間の値であるのに対し、東アジア全体からの移流は時間スケール及び面積スケールの大きい数値を使わざるを得ない点についてどう考えるべきか。
この検討会の課題として、モデルの信頼性や不確実性、モデルに入れるデータの信頼性や不確実性が非常に重要。どういうところの不確実性が今一番問題になっているのか、あるいは何が今後の課題となるのかについて、モデルをやっている方の考えを知りたい。 - 現在のシミュレーションモデルでは、スケールのマルチ性及び時間的なマルチ性はシームレスで表現することができ、東アジア大陸からの越境輸送を考慮しつつ例えば関東域の年間を通した推移や高濃度時のシミュレーションなどが可能となっている。
- シミュレーションモデルの進歩は日進月歩で、現在では越境汚染のように非常に大きなスケールと狭い地域の現象をネスティングという手法で組み合わせることが可能となっている。しかしながら今後も常に最先端の知見を取り込まないと精度が落ちると考えるべき。またモデルには必ず不確定性があり、エミッションやモデルについてまだまだ議論を行う必要がある。
- シミュレーションモデルの説明のときに、どういうデータを使ったか、あるいはVOCをどういう風に分けて行ったのかなどについて詳細に説明してほしい。
- 将来予測はシミュレーションモデルで検討する必要があるが、越境輸送を考慮する広域のモデルと関東や関西などの地域のモデルの相互関係はどうなっているのか。また、地域でのオキシダント濃度は1日あるいは1時間の値であるのに対し、東アジア全体からの移流は時間スケール及び面積スケールの大きい数値を使わざるを得ない点についてどう考えるべきか。
議題(2)[2]
- 事務局より、「光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状」について説明があり、議論が行われた。主な意見は以下のとおり。
- 遠隔地域での測定をバックグラウンドと表現しているが、バックグラウンドとは日本のベースラインとして捉えるのか。遠隔地を日本の影響を受けないとして設定してあるのならば、バックグラウンドと表現するのは混乱する。また、環境省で公表している光化学大気汚染の被害届出数も資料として入れて欲しい。
- データ整理や資料作成にあたっては、海外の影響を見る、長期のトレンドを見る、規制や管理の効果を把握するなど、何を検討するために行った解析なのかという目的を明確にしてデータ整理を行い、検討会資料については資料作成の狙いがわかるよう、目的、使用したデータ及び解析手法がわかるような資料とすること。
- オゾン濃度について、年平均値の推移だけでなく、例えば移流を評価するのであれば3,4月でのプロットや、7,8月のプロットにより現象が確認できると考える。
- 地域的なオゾン生成の観点ではNMHC/NOx比が重要であり、NOx、VOCともに削減が進んでいるにもかかわらずこの比が増加傾向にあることに注目している。データ整理においては年平均ではなく、例えば春季や夏季でも同じ傾向が見られるのか確認する必要がある。
土日には平日に比べNOxの排出が減るためNMHC/NOx比が大きくなるが、このときオゾンの濃度は上昇しているのかどうかを把握することで、VOCを仮想的に削減しなかった時の効果が見える可能性がある。また、NOxが今後どのように変わるかという観点での検討も重要である。 - 光化学オキシダント濃度に関し、60~90ppbの中濃度域は越境輸送の影響を強く受け、これは近年確実に増えている。逆に高濃度域は国内発生源の影響を強く受けるところが多いので、この部分についてはNOx、VOC が削減されれば多少下がってきている可能性がある。したがって60~90ppb、90~120ppb、120ppb以上など、濃度階層別出現頻度のトレンドなどを整理すべき。
- 平均値の算出などデータ集計結果の表示にあたり、例えば日平均値を用いて年平均値を算出したのかなど、集計の過程もあわせて記載すること。また、算出に使用した地域別の測定局数など、基本的な情報も記載してほしい。
- 東京湾地域で平成16年度から21年度まで高濃度日数が減っているが、これはVOC対策の効果の有無を把握する上で重要なデータとなる可能性がある。この間の変化をどう読むか、様々な観点からの解析を検討するなどしっかり整理してほしい。また、平成22年度のデータはできるだけ早く整理すべき。さらに、九州地方のNMHC/NOx比が平成19年度から20年度で急激に変化している点について、測定局数も含め原因を明らかにしてほしい。
議題(2)[3]
- 事務局より、「揮発性有機化合物の排出インベントリ」について説明があり、議論が行われた。主な意見は以下のとおり。
- 国際的にVOCの排出インベントリは不確実性が大きいとされている中で、日本のインベントリは不確実性が小さいと考える。しかしエミッションの不確実性を定量的に把握しておく必要があると思われ、VOC排出抑制専門委員会での議論内容を知りたい。
- 資料2-3におけるVOC排出インベントリは、固定蒸発発生源のみを対象としたものなので、名称を正確に記載しておく必要がある。
固定蒸発発生源のVOC排出インベントリは供給側と利用側の両方からいろいろな角度でデータを集めており相当精度は良いものとなっている。しかしあくまで年間の全国的な発生量であり、地域別の集計の精度は高くなく、当然月ごとや日ごとの発生についてはまったくわからない。主要な発生源については、地域や時期ごとの割合を出すことができるかもしれないがこれまでそのような作業は行っていない。したがってシミュレーションと対応させるためにはもう一段詳しい調査が必要で、インベントリでさらに何ができるのか検討すべき。また、VOC排出インベントリ検討会など、今後どのような場で調査を行うか検討する必要がある。
自動車からのVOC排出量についてはPRTRでかなり詳しく調べており、地域ごとの数値がかなり細かく出るが、固定発生源などはそれがない。シミュレーションでは固定発生源や自動車等移動発生源などからのVOC排出量を個別に足していく必要があり結構大変である。 - VOCの個々の成分について、シミュレーションの結果と実際の大気中の濃度が合うかどうか検証をしなければいけない段階である。VOCの削減効果を見るときにVOCのシミュレーション濃度と実測濃度が合うかどうかというステップを踏むことで、VOC対策の効果と大気オゾンとの関係を解明するひとつのポイントになるのではないか。
物質別オゾン生成ポテンシャル計算結果の表で、物質が特定されているものについては全てMIRデータが得られて計算されているのか確認してほしい。 - MIRは構造と物性が分かれば推計できる。「分類できない石油系混合溶剤」などは生成ポテンシャルの計算をしていないと思うが、これらを単に外すのではなく、平均的な組成から近似する方法があると思うので検討してほしい。
- 自然発生源については次期VOC対策のあり方検討WGでも問題となったが、データの精度を上げるようお願いしたい。
- 日本に生息している植物のデータがあまり測られておらず、非常に不確実性が高い。人為起源VOC排出量を減らした時の注意報レベル発生日数の感度解析を行うと、自然発生源の排出量が低い場合と高い場合とで大きく異なる結果となる。
- 全国の森林が各都道府県にどれくらいあるかという情報はそれなりにある。それらを使って、VOC排出量の原単位を掛けて推計すればもう少し精度の高いデータが得られると思うので是非やってほしい。
議題(2)[4]
- 事務局より、「光化学オキシダント生成シミュレーション」について説明があり、議論が行われた。主な質問及び事務局の回答は以下のとおり。
- 本検討会の中で新たなシミュレーションは行わないと考えてよいか。
- (事務局)今後の調査検討のあり方をとりまとめていただくこととしており、シミュレーションは行わない。シミュレーションを行うための提言をいただきたい。
- 平成15年にVOC削減のオキシダント改善効果を計算した時は、自然発生源の排出量も考慮しているのか。
- (事務局)自然発生源の排出量も一定の考え方で排出量を設定してシミュレーションを実施している。
- 事務局より、「今年度のスケジュール(案)」について説明があり、議論が行われた。主な質問及び事務局の回答は以下のとおり。
- シミュレーションの検討について説明がラフであったため、理解しきれない部分があると思うが、今後どのようなスケジュールで検討するのか。
- (事務局)第2回、第3回の検討会の中に組み込むよう検討する。
以上