大気環境・自動車対策

平成25年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)

平成27年3月31日(火)

 大気汚染防止法第22条に基づき、地方公共団体は有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを行っています。今般、平成25年度の調査結果について、環境省が行った大気環境モニタリングの調査結果と併せて取りまとめましたのでお知らせいたします。

  1. 調査の概要
    有害大気汚染物質(低濃度ではあるが長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある物質)のうち、有害性の程度や大気環境の状況等に鑑み健康リスク等を考慮し、調査しています。
    (1)対象物質(21物質)
    [1] 環境基準が設定されている物質(4物質)
      ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン
    [2] 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)が設定されている物質(9物質)
      アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、マンガン及びその化合物
    [3] 環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質(8物質)
      アセトアルデヒド、塩化メチル、クロム及びその化合物、酸化エチレン、トルエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド
    (2)測定地点
    物質に応じて、226~416地点で測定しています。
    (3)測定値の評価
    長期曝露による健康リスクが懸念されている物質であるため、月1回以上の頻度で1年間測定した地点に限って環境基準及び指針値の達成の評価をしています。
  2. 調査結果の概要
    (1)環境基準が設定されている物質(4物質)
    ベンゼンは1地点で環境基準を超過しましたが、その他の3物質は全ての地点で環境基準を達成していました。
    物質名測定地点数環境基準
    超過地点数
    全地点平均値
    (年平均値)
    環境基準
    (年平均値)
    ベンゼン 416[419] 1[0] 1.1[1.2]μg/m3 3 μg/m3以下
    トリクロロエチレン 369[367] 0[0] 0.53[0.50]μg/m3 200 μg/m3以下
    テトラクロロエチレン 372[369] 0[0] 0.15[0.18]μg/m3 200 μg/m3以下
    ジクロロメタン 365[366] 0[0] 1.6[1.6]μg/m3 150 μg/m3以下

    ※[ ]内は平成24年度実績

    (2)指針値が設定されている物質(9物質)
    ニッケル化合物は1地点、ヒ素及びその化合物は4地点、マンガン及びその化合物は2地点で指針値を超過しましたが、その他の6物質は全ての地点で指針値を達成していました。

    物質名測定地点数指針値
    超過地点数
    全地点平均値
    (年平均値)
    指針値
    (年平均値)
    アクリロニトリル 340[335] 0[0] 0.077[0.080]μg/m3 2 μg/m3以下
    塩化ビニルモノマー 345[341] 0[0] 0.032[0.047]μg/m3 10 μg/m3以下
    クロロホルム 348[334] 0[0] 0.21[0.20]μg/m3 18 μg/m3以下
    1,2-ジクロロエタン 346[347] 0[2] 0.17[0.17]μg/m3 1.6 μg/m3以下
    水銀及びその化合物 261[270] 0[0] 2.0[2.1]ngHg/m3 40 ngHg/m3以下
    ニッケル化合物 276[282] 1[0] 4.3[4.1]ngNi/m3 25 ngNi/m3以下
    ヒ素及びその化合物 273[280] 4[4] 1.7[1.5]ngAs/m3 6 ngAs/m3以下
    1,3-ブタジエン 375[374] 0[0] 0.12[0.14]μg/m3 2.5 μg/m3以下
    マンガン及びその化合物 260[265] 2[-] 25[-]ngMn/m3 140ngMn/m3以下

    ※[ ]内は平成24年度実績

    (3)環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質(8物質)

     調査対象21物質のうち8物質については、環境基準や指針値が設定されていませんが、このうち10年間継続的に測定している地点のある6物質について、その地点の濃度推移を経年的に見ると、クロム及びその化合物、ベリリウム及びその化合物は低下傾向、アセトアルデヒド、ベンゾ[a]ピレンはゆるやかな低下傾向、酸化エチレン、ホルムアルデヒドはほぼ横ばいでした。

  3. 今後の対応

     今後とも、化学物質排出移動量届出制度(PRTR)による排出量データ及び有害大気汚染物質モニタリング調査結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体及び関係団体等との連携の下、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしています。

1.概要

 平成8年5月に大気汚染防止法が改正され、低濃度ではあるが長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある有害大気汚染物質の対策について制度化された。これを受け、平成8年10月の中央環境審議会答申(第二次答申)において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」として234物質、その中でも有害性の程度や大気環境の状況等に鑑み健康リスクがある程度高いと考えられる物質として22の「優先取組物質」がリスト化され、平成10年度から、大気汚染防止法に基づき地方公共団体(都道府県及び大気汚染防止法の政令市)において優先取組物質のモニタリングが本格的に行われている。
 また、上記リストについては、平成22年10月の中央環境審議会答申(第九次答申)において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」が248物質、「優先取組物質」が23物質に見直された。
 今般、地方公共団体が平成25年度に行った有害大気汚染物質の大気環境モニタリング調査結果を、環境省の調査結果と併せて公表することとした。23物質のうちダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき別途モニタリングが行われていること、「六価クロム化合物」及び「クロム及び三価クロム化合物」については、形態別分析方法が確立されていないことから「クロム及びその化合物」として測定していることを踏まえ、最終的に21物質の調査結果を取りまとめている。
 なお、調査地点によっては、測定頻度が少なく、年平均値を算出し環境基準等との比較評価ができない結果もあるが、有害大気汚染物質の大気環境中の濃度を把握する上で貴重な情報となるため、これらの調査結果についても併せて示している。

2.調査方法、対象物質及び測定地点数

(1)調査方法

 「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」(平成13年5月21日環境省策定、平成25年8月30日最終改正。以下「処理基準」という。)及び「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(平成9年2月12日環境庁(当時)策定、平成23年3月最終改正)に準拠して調査を行った。

(2)対象物質(21物質)

[1]
環境基準が設定されている物質(4物質)
ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン
[2]
環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)が設定されている物質(9物質)
アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、マンガン及びその化合物
[3]
その他の優先取組物質(8物質)
アセトアルデヒド、塩化メチル、クロム及びその化合物、酸化エチレン、トルエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド

(3)測定地点

 測定地点は、処理基準に基づき一般環境、発生源周辺及び沿道の3種類に区分されており、物質ごとに発生源からの排出の状況等を考慮しつつ、地域の実情に応じて決定している。
 このため、測定地点数及び3種類の区分の割合は物質によって異なるが、測定地点数については、最小226地点(酸化エチレン)、最大416地点(ベンゼン)であり、測定地点の区分の割合は概ね一般環境が全体の6割程度、発生源周辺及び沿道がそれぞれ2割程度である。

3.測定値の評価

 長期曝露による健康リスクが懸念されている有害大気汚染物質のモニタリングにおいては、原則として月1回以上の頻度で測定し、年平均濃度を求めることとしている。
 また、ベンゼン等の4物質の環境基準及びアクリロニトリル等の9物質の指針値も年平均値として示されている。
 したがって、環境基準及び指針値(以下「環境基準等」という。)の達成の評価は、月1回以上の頻度で1年間測定した地点に限って行っている。
 なお、取りまとめた集計結果の一部については、環境基準等の達成の評価に必要とされる頻度で測定していない調査地点(以下「参考地点」という。)の結果も含めて示している。

4.調査結果の要点

(1)環境基準が設定されている物質

[1]
ベンゼン
 平成25年度のベンゼンの濃度は表1のとおりであり、環境基準と比較すると、416地点中1地点(0.2%)において環境基準を超過していた。
 なお、超過地点については、地方公共団体において発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。
 平成10年度から平成25年度の環境基準超過地点数及び年平均値の推移を表2に示す。
表1 平成24年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要
表2 ベンゼンの環境基準超過地点数及び年平均値の推移
過去10年間継続して月1回以上の頻度で測定した地点(以下「継続測定地点」という。)におけるベンゼンの年平均値の推移は表3のとおりであり、前年度と比較すると、低下しており、経年的に見ると、濃度は低下傾向にある。
表3 継続測定地点(253地点)におけるベンゼン濃度の推移
[2]
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタン
 平成25年度のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの濃度は表4のとおりであり、全ての地点で環境基準を達成していた。
 また、平成10年度からの年平均値の推移は表5のとおりである。
 更に、継続測定地点における年平均値の推移は表6のとおりであり、前年度と比較すると、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンは低下しており、トリクロロエチレンは増加していたものの、経年的に見るといずれも濃度は低下傾向にある。
表4 平成25年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要
表5 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの年平均の推移
表6 継続測定地点における年平均値の推移

(2)指針値が設定されている物質

 平成25年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン 、マンガン及びその化合物の濃度は表7のとおりである。
 指針値と比較すると、ニッケル化合物では、276地点中1地点(0.4%)において、ヒ素及びその化合物では、273地点中4地点(1.5%)、マンガン及びその化合物では、260地点中2地点(0.8%)において指針値を超過していた。その他、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、1,3-ブタジエンは全ての地点で指針値を達成していた。
 なお、超過地点については、地方公共団体において発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。
 また、平成10年度からの年平均値の推移は表8のとおりである。
 更に、継続測定地点における年平均値の推移は表9のとおりであり、前年度と比較すると、アクリロニトリル、クロロホルム、ニッケル化合物、マンガン及びその化合物は増加しているものの、その他5物質は同じか低下していた。
 また、経年的に見ると、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエンは低下傾向、アクリロニトリル、マンガン及びその化合物はゆるやかな低下傾向、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物はほぼ横ばいであった。

表7 平成25年度アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、マンガン及びその化合物のモニタリング調査結果の概要

表8 平成25年度アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、マンガン及びその化合物の年平均値の推移

表9 継続測定地点における年平均値の推移

(3)環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質

 環境基準や指針値のないアセトアルデヒド等の8物質の濃度は表10のとおりである。
 また、これらの物質のうち、継続測定地点のある6物質について、その地点における年平均値の推移は表11のとおりである。前年度と比較すると、アセトアルデヒド、クロム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒドは増加しており、酸化エチレン、ベリリウム及びその化合物は低下していた。また、経年的に見ると、クロム及びその化合物、ベリリウム及びその化合物は低下傾向、アセトアルデヒド、ベンゾ[a]ピレンはゆるやかな低下傾向、酸化エチレン、ホルムアルデヒドはほぼ横ばいであった。

表10 平成24年度のその他の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の概要

表11 継続測定地点における年平均値の推移

5.今後の対応

 平成26年度から改正処理基準に基づく化学物質排出移動量届出制度(PRTR)による排出量データ等を活用した効率的なモニタリングを実施している。ただし、改正処理基準の適用により測定地点数や各測定地点の測定項目数が大幅に変動する場合にあっては、平成26年度から3年を目途に測定地点や測定項目の見直しを行うこととしている。
 今後とも、PRTR排出量データ及び有害大気汚染物質モニタリング調査結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体及び関係団体等との連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしている。

参考資料 (目次)

参考資料1
モニタリング調査結果の概要(優先取組物質21物質)【本文中該当部分:4】 [PDF 156KB]
参考資料2
環境基準等が設定されている優先取組物質の大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)及び(2)】 [PDF 177KB]
参考資料3
年平均値の推移(参考地点のデータを除く)【本文中該当部分:4 】 [PDF 209KB]
参考資料4
継続測定地点における年平均値の推移【本文中該当部分:4 】 [PDF 153KB]
参考資料5
環境基準及び指針値について [PDF 65KB]
参考資料6-1
平成25年度の測定地点数(参考地点のデータを除く) [PDF 63KB]
参考資料6-2
平成25年度の測定地点数(参考地点のデータを含む) [PDF 58KB]

資料編

平成25年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)

正誤表(平成27年5月18日時点)[PDF 10KB]

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