大気環境・自動車対策

平成22年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)

平成24年2月24日

 大気汚染防止法第22条に基づき、地方公共団体では有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを実施しています。今般、平成22年度の調査結果について、環境省が行った大気環境モニタリングの調査結果と併せて取りまとめました。調査は21物質を対象としています。

  1. 環境基準が設定されている物質(4物質)
    物質名測定地点数環境基準
    超過地点数
    全地点平均値
    (年平均値)
    環境基準
    (年平均値)
    ベンゼン 425[436] 0 [1] 1.1[1.3]μg/m3 3 μg/m3以下
    トリクロロエチレン 392[404] 0 [0] 0.44[0.53]μg/m3 200 μg/m3以下
    テトラクロロエチレン 379[388] 0 [0] 0.17[0.22]μg/m3 200 μg/m3以下
    ジクロロメタン 396[406] 0 [0] 1.6[1.7]μg/m3 150 μg/m3以下

    ※[ ]内は平成21年度実績

    環境基準が設定されている4物質すべてが、すべての地点で環境基準を満たしていました。

  2. 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されている物質(8物質)
     
    物質名測定地点数指針値
    超過地点数
    全地点平均値
    (年平均値)
    指針値
    (年平均値)
    アクリロニトリル 339[362] 0[0] 0.072[0.079]μg/m3 2 μg/m3以下
    塩化ビニルモノマー 352[362] 0[0] 0.055[0.066]μg/m3 10 μg/m3以下
    クロロホルム 353[361] 0[0] 0.19[0.21]μg/m3 18 μg/m3以下
    1,2-ジクロロエタン 358[363] 0[3] 0.16[0.17]μg/m3 1.6 μg/m3以下
    水銀及びその化合物 280[294] 0[0] 2.0[2.0]ngHg/m3 40 ngHg/m3以下
    ニッケル化合物 295[300] 0[1] 4.0[4.2]ngNi/m3 25 ngNi/m3以下
    ヒ素及びその化合物 276[280] 3[4] 1.4[1.5]ngAs/m3 6 ngAs/m3以下
    1,3-ブタジエン 390[406] 0[0] 0.14[0.16]μg/m3 2.5 μg/m3以下

    ※[ ]内は平成21年度実績

     ヒ素及びその化合物は3地点で指針値を超過しましたが、その他の7物質はすべての地点で指針値を満たしていました。

    (注)年平均値は、月1回、年12回以上の測定値の平均値です。

    (注)東日本大震災の影響等により、測定地点数が減少しています。

  3. 環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質(9物質)

     21物質のうち9物質については、環境基準や指針値が設定されていませんが、継続的に測定が行われている地点の濃度推移を経年的に見ると、ベリリウム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物は減少傾向でした。その他、アセトアルデヒド、クロム及びその化合物は緩やかな減少傾向、酸化エチレンは横ばいでした。

    ※塩化メチル及びトルエンは、測定年数が少なく、条件に合致した測定地点が存在しません。

  4. 今後の対応

     環境省においては、今後とも、PRTRデータ及び有害大気汚染物質モニタリング結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体及び関係団体等との連携の下、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしています。

1.概要

 平成8年5月に大気汚染防止法が改正され、低濃度ではあるが長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある有害大気汚染物質の対策について制度化がなされた。これを受け、平成8年10月の中央環境審議会答申(第二次答申)において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」として234物質、その中でも有害性の程度や大気環境の状況等に鑑み健康リスクがある程度高いと考えられる物質として22の「優先取組物質」がリスト化され、平成10年度から、大気汚染防止法に基づき、地方公共団体(都道府県及び大気汚染防止法の政令市)において優先取組物質のモニタリングが本格的に実施されている。
 また、上記リストについては平成22年10月の中央環境審議会答申(第九次答申)において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」として248物質、「優先取組物質」として23物質に見直されたところである。
 今般、地方公共団体における平成22年度の有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについて調査結果がまとまり、環境省の調査結果と併せて公表することとした。23物質のうちダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき別途モニタリングが実施されていること、「六価クロム化合物」及び「クロム及び三価クロム化合物」については形態別分析方法が確立されていないことから「クロム及びその化合物」として測定していることを踏まえ、最終的に21物質の調査結果を取りまとめている。
 また、第九次答申における見直しにより新たに優先取組物質として追加された「塩化メチル」及び「トルエン」については、平成24年度より全国的なモニタリングを実施する予定である。
 なお、調査地点によっては、測定頻度が少なく、年平均値を算出し環境基準等との比較評価ができないデータもあるが、有害大気汚染物質の大気環境中の濃度を把握する上で貴重な情報となるため、これらの調査結果についても併せて示している。

2.調査方法、対象物質及び測定地点数

(1)調査方法

 「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」(平成13年5月21日環境省策定、平成23年7月1日最終改正。以下「処理基準」という。)及び「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(平成9年2月12日環境庁(当時)策定、平成23年3月最終改正)に準拠して調査を実施した。

(2)対象物質(21物質)

環境基準が設定されている物質(4物質)
ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン
環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)が設定されている物質(8物質)
アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン
その他の優先取組物質(9物質)
アセトアルデヒド、塩化メチル、クロム及びその化合物、酸化エチレン、トルエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物

(3)測定地点

 測定地点は、処理基準に基づき一般環境、発生源周辺及び沿道の3種類に区分して設定されている。
 測定地点数及び3種類の区分の割合には物質によって差があるが、測定地点数については最小214地点(酸化エチレン)、最大425地点(ベンゼン)であり、測定地点の区分の割合は概ね一般環境が全体の6割前後、発生源周辺及び沿道がそれぞれ2割程度である。

3.測定値の評価

 長期曝露による健康リスクが懸念されている有害大気汚染物質のモニタリングにおいては、原則として月1回以上の頻度で測定を実施し、年平均濃度を求めることとしている。また、ベンゼン等の4物質の環境基準及びアクリロニトリル等の8物質の指針値も年平均値として示されているところである。したがって、環境基準及び指針値(以下「環境基準等」という。)の達成の評価は、月1回以上の頻度で1年間にわたって測定を実施した地点に限って実施している。
 なお、取りまとめた集計結果の一部については、環境基準等の達成の評価に必要とされる頻度で測定を実施していない調査地点(以下「参考地点」という。)のデータも含めて示したものもある。

4.調査結果の要点

(1)環境基準が設定されている物質

ベンゼン
 平成22年度のベンゼンの濃度については、表1のとおりであり、環境基準の超過地点はなかった。
 平成10年度から平成22年度の環境基準超過地点数及び年平均値の推移を表2に示す。
 なお、自動車からのベンゼンの排出については、ガソリン中のベンゼン含有率について規制しているところであり、排ガス中の炭化水素排出量について順次規制を強化してきていることから、今後車種代替とともにベンゼンの排出量も減少することが見込まれる。
表1 平成22年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要
表2 ベンゼンの環境基準超過地点数及び年平均値の推移
 過去10年間継続して月1回以上の頻度で測定を実施した地点(以下「継続測定地点」という。)におけるベンゼン濃度の推移を表3に示す。環境省及び地方公共団体において、継続して測定を実施した地点は217地点あり、これらの地点における平成22年度のベンゼンの年平均値は、平成13年度の2.4μg/m3に比べ50%低下し1.2μg/m3であった。
表3 継続測定地点(217地点)におけるベンゼン濃度の推移
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタン
 平成22年度のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの濃度については表4のとおりであり、すべての地点で環境基準を下回っていた。
 また、平成10年度からの年平均値の推移は、表5のとおりである。更に、継続測定地点における年平均値の推移は表6のとおりであり、いずれも前年度と比較して年平均値は低下しており、濃度は低下傾向にある。
表4 平成22年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要
表5 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの年平均の推移
表6 継続測定地点における年平均値の推移

(2)指針値が設定されている物質

 平成22年度の アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン については表7のとおりであった。
 指針値と比較すると、ヒ素及びその化合物では276地点中3地点(1.1 %)において指針値を上回っていた。その他、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、1,3-ブタジエンはすべての地点で指針値を下回っていた。
 なお、超過地点については、発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。
 また、平成10年度からの年平均値の推移は表8のとおりである。更に、継続測定地点における年平均値の推移は、表9のとおりであり、前年と比較して年平均は7物質で低下しており、水銀及びその化合物は同じであった。また、経年的に見るとアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエンは低下傾向であり、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物は横ばいであった。

表7 平成22年度アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエンのモニタリング調査結果の概要

表8 平成22年度アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエンの年平均の推移

表9 継続測定地点における年平均値の推移

(3)環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質

 環境基準や指針値のないアセトアルデヒド等の9物質については、表10のとおりであった。また、継続測定地点における年平均値の推移は表11のとおりであり、前年と比較して年平均は6物質で低下しており、ベンゾ[a]ピレンは同じであった。また、経年的に見ると、ベリリウム及びその化合物、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物は減少傾向であった。その他、アセトアルデヒド、クロム及びその化合物は緩やかな減少傾向、酸化エチレンは横ばいであった。

表10 平成22年度のその他の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の概要

表11 継続測定地点における年平均値の推移

5.今後の対応

 有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについては、大気汚染防止法に基づき、国及び地方公共団体が調査の実施に努めることとされており、地方公共団体においても現在本格的な調査が実施されているところである。
 環境省においては、今後とも、PRTRデータ及び有害大気汚染物質モニタリング結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体及び関係団体等との連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしている。

参考資料 (目次)

資料1
モニタリング調査結果の概要(環境基準等が設定されている物質)【本文中該当部分:4(1)及び(2)】[PDF 109KB]
資料2
環境基準等が設定されている優先取組物質の大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)及び(2)】[PDF 110KB]
資料3
年平均値の推移(参考地点のデータを除く)【本文中該当部分:4】[PDF 40KB]
資料4
継続測定地点における年平均値の推移【本文中該当部分:4】[PDF 35KB]
資料5
環境基準及び指針値について[PDF 81KB]
資料6-1
平成22年度の測定地点数(参考地点のデータを除く) [PDF 13KB]
資料6-2
平成22年度の測定地点数(参考地点のデータを含む) [PDF 13KB]

資料編

平成22年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)

正誤表 [PDF 328KB] (平成25年5月16日時点)

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