大気環境・自動車対策

平成18年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果について

平成19年11月30日(金)

 大気汚染防止法に基づき、地方公共団体では有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを実施しているが、今般、平成18年度の調査結果について、環境省の調査結果と併せて取りまとめた。
 調査は19物質を対象としているが、大気中の濃度は、概ね横ばい又は低下傾向にある。

  1. 環境基準が設定されている物質(4物質)
    物質名地点数環境基準
    超過割合
    平均値濃度範囲
    ベンゼン 451 2.9[3.9] % 1.7 μg/m3 0.40~4.5 μg/m3
    トリクロロエチレン 397 0[ 0 ] % 0.90 μg/m3 0.0045~13 μg/m3
    テトラクロロエチレン 399 0[ 0 ] % 0.31 μg/m3 0.0075~6.4μg/m3
    ジクロロメタン 388 0.3[ 0 ] % 2.8 μg/m3 0.18~180 μg/m3
    (注)環境基準超過割合の[ ]値は平成17年度の数値である。

    ○ ベンゼンは13地点(前年度:18地点)、ジクロロメタンは1地点(前年度:0地点)で環境基準を超過したが、その他の2物質は、全ての地点で環境基準を満たしていた。

  2. 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されている物質(7物質)
    物質名地点数指針値
    超過割合
    平均値濃度範囲
    アクリロニトリル 380 0[ 0 ] % 0.11 μg/m3 0.0075~1.4μg/m3
    塩化ビニルモノマー 377 0[ 0 ] % 0.078μg/m3 0.0029~4.0μg/m3
    水銀及びその化合物 302 0[ 0 ] % 2.2 ngHg/m3 0.73~4.8 ngHg/m3
    ニッケル化合物 317 1.6[0.9] % 5.6 ngNi/m3 0.57~38 ngNi/m3
    クロロホルム 363 0[ - ] % 0.23 μg/m3 0.0060~3.0μg/m3
    1,2-ジクロロエタン 365 0.5[ - ] % 0.15 μg/m3 0.0045~4.6μg/m3
    1,3-ブタジエン 398 0[ - ] % 0.23 μg/m3 0.0065~1.5μg/m3
    (注)指針値超過割合の[ ]値は平成17年度の数値である。
    (注)クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエンの3物質については、平成18年11月に新たに指針値が設定された。

    ○ ニッケル化合物は5地点(前年度:3地点)、1,2-ジクロロエタンは2地点(昨年度:指針値未設定)で指針値を超過したが、その他の5物質は全ての地点で指針値を満たしていた。

  3. 環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質(8物質)

    ○ 大気環境中の濃度は、全体的に概ね横ばいである。

  4. 今後の対応

    ○ 環境省においては、今後とも、PRTRデータ及び有害大気汚染物質モニタリング結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体との連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしている。

1.概要

 大気中の濃度が低濃度であっても人が長期的に曝露された場合には健康影響が懸念される有害大気汚染物質については、環境省において、昭和60年度から大気環境のモニタリング調査を行ってきたところであるが、平成9年度から、大気汚染防止法に基づき、地方公共団体(都道府県・大気汚染防止法の政令市)においても本格的にモニタリングを実施しているところである。
 今般、地方公共団体における平成18年度の有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについて調査結果がまとまり、環境省の調査結果と併せて公表することとした。
 なお、調査地点によっては、測定頻度が少なく、年平均値を算出し環境基準等との比較評価ができないデータもあるが、有害大気汚染物質の大気環境中の濃度を把握する上で貴重な情報となるため、これらの調査結果についても併せて示している。

2.調査方法、対象物質及び測定地点数

(1)調査方法

 「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」(平成13年5月21日環境省制定、平成17年6月29日改正。以下「処理基準」という。)及び「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(環境省水・大気環境局大気環境課策定)に準拠して調査を実施した。

(2)対象物質(19物質)

イ 環境基準が設定されている物質(4物質)
ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン
ロ 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されている物質(7物質)
アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,3−ブタジエン
ハ その他の有害大気汚染物質(8物質)
酸化エチレン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ベンゾ[a]ピレン、ヒ素及びその化合物、ベリリウム及びその化合物、マンガン及びその化合物、クロム及びその化合物

(3)測定地点

 測定地点の区分については、処理基準に基づき一般環境、固定発生源周辺及び沿道の3種類とする。
 また、平成18年度における3区分全体の測定地点数(環境省及び政令市が実施した測定地点数を含む。)を都道府県・測定対象物質ごとにまとめたものは資料6のとおりである。

3.測定値の評価

 長期曝露による健康リスクが懸念されている有害大気汚染物質のモニタリングにおいては、原則として月1回以上の頻度で測定を実施し、年平均濃度を求めることとしている。また、ベンゼン等の4物質の環境基準及びアクリロニトリル等の7物質の環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)も年平均値として示されているところである。したがって、環境基準及び指針値(以下「環境基準等」という。)の達成の評価は、月1回以上の頻度で1年間にわたって測定を実施した地点に限っている。
 なお、取りまとめた集計結果の一部については、環境基準等の達成の評価に必要とされる頻度で測定を実施していない調査地点を含めて参考として示したものもある。

4.調査結果の要点

(1)環境基準が設定されている物質

イ ベンゼン
 平成18年度のベンゼンの濃度については、表1のとおりであった。平成9年度から平成18年度の環境基準超過地点数及び平均濃度の推移を表2に示す。環境基準と比較すると、一般環境について247地点中0地点で、発生源周辺について86地点中3地点で、沿道について118地点中10地点で環境基準を超過しており、合計すると451地点中13地点(2.9%)で環境基準を超過したが、平成9年度から平成18年度において、全般的に改善傾向にある。また、全国の平均濃度も低下している。
 なお、超過地点については、発生源の調査、排出抑制指導等の措置が講じられている。また、自動車からのベンゼンの排出については、ガソリン中のベンゼン含有率について規制しているところであり、排ガス中の炭化水素排出量について順次規制を強化してきていることから、今後車種代替とともにベンゼンの排出量も減少することが見込まれる。

表1 平成18年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要

表2 ベンゼンの環境基準超過地点数及び平均濃度の推移

 平成10年度から平成18年度にかけて継続して月1回以上の頻度で測定を実施した地点におけるベンゼン濃度の推移を表3に示す。環境省及び地方公共団体において、継続して測定を実施した地点は181地点あり、これらの地点における平成18年度のベンゼンの平均濃度は、平成10年度の3.5μg/m に比べ約50%低下し1.7μg/mであった。

表3 継続測定地点におけるベンゼン濃度の推移

ロ トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタン
 平成18年度のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの濃度については表4のとおりであった。
 環境基準と比較すると、ジクロロメタンで1ヶ所、環境基準超過地点があったが、他はすべての地点で環境基準を下回っていた。
 経年変化を見るため、継続測定地点における平均値の推移を見たところ、表5のとおりであり、平成17年度と比べると平均値は増加していたものの、長期的にみると改善傾向にある。なお、超過地点については、発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。

表4 平成18年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要

表5 継続測定地点における平均値の推移

(2)指針値が設定されている物質

 平成18年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、1,3−ブタジエンの濃度については表6のとおりであった。
 指針値と比較すると、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、水銀及びその化合物、1,3−ブタジエンはすべての地点で指針値を下回っていた。1,2−ジクロロエタンでは、365地点中2地点(指針値超過割合 0.5%)において、また、ニッケル化合物では317点中5地点(指針値超過地点割合1.6%)において指針値を上回っていた。なお、超過地点については、発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。

表6 平成18年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、1,3−ブタジエンのモニタリング調査結果の概要

 経年変化を見るため、継続測定地点における平均値の推移を見たところ、表7のとおりであり、全体的には低下又は横ばい傾向である。

表7 継続測定地点における平均値の推移

(3)その他の有害大気汚染物質

 環境基準や指針値のないアセトアルデヒド等の8物質については、表9のとおりであり、全地点の平均値の推移は、ほぼ横ばいであった。なお、ヒ素及びその化合物において、過去の測定値と比べて濃度の高い事例があったが、それを含め継続測定地点における平均値の推移をみたところ、表8のとおりであり、全体的にはほぼ横ばい傾向であった。ヒ素及びその化合物が高い濃度で検出された事例については、発生源の調査、排出抑制の指導等の措置が講じられている。

表8 継続測定地点における平均値の推移

表9 平成18年度のその他の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の概要

5.今後の対応

 有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについては、大気汚染防止法に基づき、国及び地方公共団体が調査の実施に努めることとされており、地方公共団体においても現在本格的な調査が実施されているところである。
 環境省としては、今後とも、有害大気汚染物質の大気環境モニタリングの充実を図るとともに、有害大気汚染物質による大気汚染の健康リスク評価を行い、対策の推進に役立てていくこととしている。
 これまで有害大気汚染物質に係る排出抑制対策としては、中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申)」(平成12年12月)に基づき、平成15年度を目標年度とする事業者団体ごと全国単位の自主的な排出削減計画を策定し対応が進められてきた。またベンゼンについては、固定発生源が相当程度寄与して高濃度となっている5地域を対象として、地域単位の自主的な排出抑制の取組を促進してきたところであるが、これらの取組の結果を中央環境審議会大気環境部会有害大気汚染物質排出抑制専門委員会において平成17年6月に整理・評価した結果、これまでのように業界単位等での削減取組を実施するのではなく、自主管理計画を通じて確立された枠組み等を活用し、個別事業者のそれぞれの責任のもとでの自主的な排出抑制や地方公共団体と事業者との連携による地域主体の自主的な取組へ移行することが適当である、という結論が得られた。
 上記を踏まえ、環境省においては、今後とも、PRTRデータ及び有害大気汚染物質モニタリング結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体との連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしている。

参考資料 (目次)

資料1
モニタリング調査結果の概要(環境基準等が設定されている物質) [PDF 125KB]【本文中該当部分:4(1)及び(2)】
資料2
継続測定地点におけるベンゼンの大気環境中濃度分布の推移 [PDF 126KB]【本文中該当部分:4(1)】
資料3−1
ベンゼンの大気環境中濃度分布 [PDF 30KB]【本文中該当部分:4(1)】
資料3−2
トリクロロエチレンの大気環境中濃度分布 [PDF 32KB]【本文中該当部分:4(1)】
資料3−3
テトラクロロエチレンの大気環境中濃度分布 [PDF 31KB]【本文中該当部分:4(1)】
資料3−4
ジクロロメタンの大気環境中濃度分布 [PDF 33KB]【本文中該当部分:4(1)】
資料3−5
アクリロニトリルの大気環境中濃度分布 [PDF 32KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−6
塩化ビニルモノマーの大気環境中濃度分布 [PDF 32KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−7
水銀及びその化合物の大気環境中濃度分布 [PDF 32KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−8
ニッケル化合物の大気環境中濃度分布 [PDF 90KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−9
クロロホルムの大気環境中濃度分布 [PDF 33KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−10
1,2−ジクロロエタンの大気環境中濃度分布 [PDF 32KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料3−11
1,3−ブタジエンの大気環境中濃度分布 [PDF 33KB]【本文中該当部分:4(2)】
資料4
継続測定地点における平均値の推移 [PDF 471KB]【本文中該当部分:4 】
資料5
環境基準及び指針値について [PDF 61KB]
資料6
平成18年度の測定地点数 [PDF 112KB]

資料編

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