大気環境・自動車対策

平成15年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果について

平成16年9月10日

 大気汚染防止法に基づき、地方公共団体では有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを実施しているが、今般、平成15年度の調査結果について、環境省の調査結果と併せて取りまとめた。
 調査は19物質を対象としているが、大気中の濃度は、概ね横ばい又は低下傾向にある。

  1. 環境基準が設定されている物質(4物質)
    物質名地点数環境基準値
    超過割合
    平均値濃度範囲
    ベンゼン 424 7.8[8.3] % 1.9 μg/m3 0.43〜4.3 μg/m3
    トリクロロエチレン 373 0[ 0 ] % 0.92 μg/m3 0.022〜18 μg/m3
    テトラクロロエチレン 374 0[ 0 ] % 0.38 μg/m3 0.024〜3.1 μg/m3
    ジクロロメタン 374 0[0.3] % 2.4 μg/m3 0.20〜51 μg/m3

    (注)環境基準値超過割合の[ ]値は平成14年度の数値である。

    • ベンゼンは、環境基準値超過地点の割合は7.8%に改善(平成14年度:8.3%)しており、平均濃度も低下傾向にある。その他の物質は、全ての地点で環境基準値を満たしていた。
  2. 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されている物質(4物質)
     
    物質名地点数指針値
    超過割合
    平均値濃度範囲
    アクリロニトリル 340 0[ 0 ] % 0.13μg/m3 0.00081〜1.8μg/m3
    塩化ビニルモノマー 344 0[ 0 ] % 0.066μg/m3 0.0015〜2.2μg/m3
    水銀及びその化合物 253 0[ 0 ] % 2.3 ngHg/m3 0.17〜5.8 ngHg/m3
    ニッケル化合物 268 2.6[2.9] % 5.9 ngNi/m3 0.79〜55 ngNi/m3

    (注)指針値超過割合の[ ]値は平成14年度の数値である。
    ニッケル化合物は、指針値超過地点の割合は2.6%に改善(平成14年度:2.9%)しており、平均濃度も低下傾向にある。
    その他の物質は、全ての地点で指針値を満たしていた。

  3. 環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質(11物質)
    • 全体的に横ばい傾向である。
  4. 今後の対応
    • これまで、ベンゼン、トリクロロエチレン等12物質については、環境省及び経済産業省が策定した「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針」に基づき、平成15年度を目標年度とする事業者団体ごと全国単位の自主的な排出削減計画が策定され対策が進められてきた。
    • また、特にベンゼンについては、固定発生源が相当程度寄与して高濃度となっている5地域(室蘭地区、鹿島臨海地区、京葉臨海中部地区、水島地区、大牟田地区)を対象として、地域単位の自主的な排出抑制の取組みが進められてきた。
    • 現在、平成15年度までの取組みの成果の取りまとめを行っており、その結果に基づき、環境省では、今後の有害大気汚染物質対策のあり方を検討していく予定である。

1.概要

 大気中の濃度が低濃度であっても人が長期的に曝露された場合には健康影響が懸念される有害大気汚染物質については、環境省において、昭和60年度から大気環境のモニタリング調査を行ってきたところであるが、平成9年度から、大気汚染防止法に基づき、地方公共団体(都道府県・大気汚染防止法の政令市)においても本格的にモニタリングを実施しているところである。
 今般、地方公共団体における平成15年度の有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについて調査結果がまとまり、環境省の調査結果と併せて公表することとした。
 なお、調査地点によっては、測定頻度が少なく、年平均値を算出し環境基準値等との比較評価ができないデータもあるが、有害大気汚染物質の大気環境中の濃度を把握する上で貴重な情報となるため、これらの調査結果についても併せて示した。

2.調査方法、対象物質及び測定地点数

(1)調査方法

 「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務の処理基準」(平成13年5月21日環境省制定。以下「処理基準」という。)及び「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(環境省環境管理局大気環境課策定)に準拠して調査を実施した。

(2)対象物質(19物質)

 ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエン、酸化エチレン、アセトアルデ ヒド、ホルムアルデヒド、ベンゾ[a]ピレン、ヒ素及びその化合物、ベリリウム及びその化合物、マンガン及びその化合物、クロム及びその化合物

(3)測定地点

 測定地点の区分については、処理基準に基づき一般環境、固定発生源周辺及び沿道の3種類とする。
 また、平成15年度における3区分全体の測定地点数(環境省及び政令市が実施した測定地点数を含む。)を都道府県・測定対象物質ごとにまとめたものは資料6 平成15年度の測定地点数 のとおりである。

3.測定値の評価

 長期曝露による健康リスクが懸念されている有害大気汚染物質のモニタリングにおいては、原則として月1回以上の頻度で測定を実施し、年平均濃度を求めることとしている。また、ベンゼン等の4物質の環境基準値及びアクリロニトリル等の4物質の環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)も年平均値として示されているところである。したがって、環境基準値及び指針値(以下「環境基準値等」という。)の達成の評価は、月1回以上の頻度で1年間にわたって測定を実施した地点に限っている。
 今回の取りまとめにおいて、別添の個別測定地点の調査結果表の平均値の欄には、当該測定地点における複数回の測定結果の算術平均値を記載したが、調査地点によっては、必要とされる頻度で1年間にわたって測定を実施していない場合があり、この場合には、環境基準値等との直接的な比較はできないことに留意する必要がある。
 また、月1回以上の頻度で1年間にわたって測定していない地点も含め、今回取りまとめたすべての測定地点のデータについてまとめた値を表1 平成15年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要表4 平成15年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要及び表6 平成15年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物モニタリング調査結果の概要の中の括弧内に示したが、環境基準値等との直接的な比較ができないデータも含めた数値であることに留意する必要がある。

4.調査結果の要点

(1)環境基準が設定されている物質

イ ベンゼン

 平成15年度のベンゼンの濃度については、表1 平成15年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要のとおりであった。
 平成9年度から平成15年度の環境基準値超過地点数及び平均濃度の推移を表2 ベンゼンの環境基準値超過地点数及び平均濃度の推移に示す。環境基準値と比較すると、一般環境について236地点中3地点で、発生源周辺について77地点中7地点で、沿道について111地点中23地点で環境基準値を超過しており、合計すると424地点中33地点(7.8%)で環境基準値を超過したが、平成9年度から平成15年度において、全般的に改善傾向にある。また、全国の平均濃度も低下している。

表1 平成15年度ベンゼンモニタリング調査結果の概要

表2 ベンゼンの環境基準値超過地点数及び平均濃度の推移

 平成10年度から平成15年度にかけて継続して月1回以上の頻度で測定を実施した地点におけるベンゼン濃度の推移を表3 継続測定地点におけるベンゼン濃度の推移に示す。環境省及び地方公共団体において、継続して測定を実施した地点は206地点あり、これらの地点における平成15年度のベンゼンの平均濃度は、平成10年度の3.4μg/mに比べ約44%低下し1.9μg/mであった。

表3 継続測定地点におけるベンゼン濃度の推移

ロ トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタン

 平成15年度のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンの濃度については表4 平成15年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要のとおりであった。
 環境基準値と比較すると、すべての地点で環境基準値を下回っていた。
 経年変化を見るため、継続測定地点における平均値の推移を見たところ、表5 継続測定地点における平均値の推移のとおりであり、トリクロロエチレンのみ昨年度に比べると濃度が高くなっているが、全体的には低下傾向かほぼ横ばいにある。

表4 平成15年度トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタンのモニタリング調査結果の概要

表5 継続測定地点における平均値の推移

(2)指針値が設定されている物質

 平成15年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物の濃度については表6 平成15年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物モニタリング調査結果の概要のとおりであった。
 指針値と比較すると、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物はすべての地点で指針値を下回っていたが、ニッケル化合物では268地点中7地点(指針値超過地点割合2.6%)において指針値を上回っていた。
 経年変化を見るため、継続測定地点における平均値の推移を見たところ、表7 継続測定地点における平均値の推移のとおりであり、アクリロニトリル及びニッケル化合物については昨年度に比べると濃度が高くなっているが、全体的には低下傾向かほぼ横ばいである。

表6 平成15年度のアクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル化合物モニタリング調査結果の概要

表7 継続測定地点における平均値の推移

(3)その他の有害大気汚染物質

 その他の有害大気汚染物質については、表9 平成15年度のその他の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の概要のとおりであった。
 経年変化を見るため、継続測定地点における平均値の推移をみたところ、表8 継続測定地点における平均値の推移のとおりであり、昨年度に比べると濃度は7物質高くなっているが、全体的には横ばい傾向である。

表8 継続測定地点における平均値の推移

表9 平成15年度のその他の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の概要

5.今後の対応

 有害大気汚染物質の大気環境モニタリングについては、大気汚染防止法に基づき、国及び地方公共団体が調査の実施に努めることとされており、地方公共団体においても現在本格的な調査が実施されているところである。
 環境省としては、今後とも、有害大気汚染物質の大気環境モニタリングの充実を図るとともに、有害大気汚染物質による大気汚染の健康リスク評価を行い、対策の推進に役立てていくこととしている。
 また、有害大気汚染物質対策としては、中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申)」(平成12年12月)に基づき、平成13年6月に「事業者による有害大気汚染物質の自主管理促進のための指針」を改正し、平成15年度を目標年度とする事業者団体ごと全国単位の自主的な排出削減計画を策定し対応が進められてきた。特にベンゼンについては、固定発生源が相当程度寄与して高濃度となっている5地域(室蘭地区、鹿島臨海地区、京葉臨海中部地区、水島地区、大牟田地区)を対象として、地域単位の自主的な排出抑制の取組の促進を図るなど、対応が進められてきた。
 現在、平成15年度までの取組みの成果の取りまとめを行っており、その結果に基づき、今後の有害大気汚染物質対策の方向性を検討していく予定である。

参考資料(目次)

資料1
モニタリング調査結果の概要(環境基準値等が設定されている物質)【本文中該当部分:4(1)及び(2)】
資料1 モニタリング調査結果の概要(環境基準値等が設定されている物質)(1)
資料1 モニタリング調査結果の概要(環境基準値等が設定されている物質)(2)
資料1 モニタリング調査結果の概要(環境基準値等が設定されている物質)(3)
資料1 モニタリング調査結果の概要(環境基準値等が設定されている物質)(4)
資料2
継続測定地点におけるベンゼンの大気環境中濃度分布の推移【本文中該当部分:4(1)】
資料3−1
ベンゼンの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)】
資料3−2
トリクロロエチレンの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)】
資料3−3
テトラクロロエチレンの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)】
資料3−4
ジクロロメタンの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(1)】
資料3−5
アクリロニトリルの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(2)】
資料3−6
塩化ビニルモノマーの大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(2)】
資料3−7
水銀及びその化合物の大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(2)】
資料3−8
ニッケル化合物の大気環境中濃度分布【本文中該当部分:4(2)】
資料4
継続測定地点における平均値の推移【本文中該当部分:4 】
資料5
環境基準値及び指針値について
資料6
平成15年度の測定値点数
資料7
モニタリングを行った物質の発がん性の評価、評価値等について

資料編

平成15年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果について

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