大気環境・自動車対策

平成25年度大気汚染状況

1.測定局の概要

 平成25年度末現在の測定局数は、全国で1,895局であり、内訳は一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)が1,478局(国設局を含む。)、自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)が417局(国設局を含む。)となっています。                                   

2.主な大気汚染物質の濃度測定結果の概要

(1)二酸化窒素(NO

 環境基準達成率は、一般局では100%であり、平成18年度から8年連続ですべての測定局で環境基準を達成しました。自排局では99.0%で平成24年度(99.3%)とほぼ同水準でした。 自動車NOx・PM法の対策地域における環境基準達成率についても、一般局では8年連続で100%、自排局では98.6%で平成24年度(98.6%)と同水準でした。 また、年平均値の推移については、一般局、自排局とも近年ゆるやかな低下傾向がみられます。

(2) 浮遊粒子状物質(SPM)

 環境基準達成率は、一般局で97.3%、自排局で94.7%(平成24年度一般局:99.7%、自排局:99.7%)であり、一般局ではやや低下、自排局では低下しました。 自動車NOx・PM法の対策地域については、一般局で96.4%、自排局で92.3%(平成24年度 一般局:100%、自排局:100%)の達成率であり、一般局ではやや低下、自排局では低下しました。  また、年平均値については、一般局、自排局とも近年ほぼ横ばいで推移しています。

(3) 光化学オキシダント(Ox)

 環境基準達成率は、一般局で0.3%、自排局で0.0%(平成24年度 一般局:0.3%、自排局:0.0%)であり、達成状況は依然として極めて低い水準となっています。  また、昼間の日最高1時間値の年平均値については、近年ほぼ横ばいで推移しています。 光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するための指標※を用いて、注意報発令レベルの超過割合が多い地域である関東地域や阪神地域などの域内最高値の経年変化をみると、近年、域内最高値が低下しており、高濃度域の光化学オキシダントの改善が示唆されています。

※光化学オキシダント濃度8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値の3年平均値

(4) 二酸化硫黄(SO

 環境基準達成率は、一般局で99.7%、自排局で100%(平成24年度 一般局:99.7%、自排局100%)であり、近年ほとんどすべての測定局で環境基準を達成しています。

(5) 一酸化炭素(CO)

 環境基準達成率は、一般局、自排局とも100%(平成24年度 一般局:100%、自排局100%)であり、近年すべての測定局で環境基準を達成しています。

(6)微小粒子状物質(PM2.5)

 環境基準達成率は、一般局で16.1%、自排局で13.3%(平成24年度 一般局:43.3%、自排局:33.3%)であり、一般局、自排局ともに低下しました。 PM2.5については、長期基準(年平均値15μg/m3以下)と短期基準(1日平均値35μg/m3以下)の両者を達成した場合に、環境基準を達成したと評価しています。 長期基準の達成率は、一般局で218局(44.3%)、自排局で58局(32.0%)であり、平成24年度に比べ低下したものの、測定局が100局を超えた平成23年度以降の変動の傾向は明らかではなく、全測定局の年平均値は横ばいで推移しています。一方、短期基準の達成率は、一般局で80局(16.3%)、自排局で24局(13.3%)であり、平成23年度以降では最も低くなりました。平成25年度は、7月、8月に光化学スモッグ現象が多く発生し、大気中で二次的にPM2.5が生成して日平均値が高くなった日が全国的に多く、また、2月に風が弱いなどの気象条件により、関東地域を中心に日平均値が高くなった日が多くありました。これらの要因により、短期基準が非達成となった日が多かったことから、環境基準の達成率が低下したと考えられます。

 また、PM2.5の成分分析は、全国152地点で実施されました。このうち、通年(四季)で成分分析が行われた地点は115地点であり、その内訳は一般環境81地点(平均濃度:18.3μg/m3)、道路沿道28地点(平均濃度18.5μg/m3)、バックグラウンド6地点(平均濃度15.9μg/m3)でした。 成分組成については、道路沿道では、有機炭素及び元素状炭素の割合が他の地点よりやや高いほか、バックグラウンドでは、硝酸イオン、元素状炭素の割合が低く、硫酸イオンの割合がやや高くなっていました。

3.今後の対応

 環境省においては、本調査結果を踏まえ、環境基準の達成・維持に向けて、工場・事業場からのばい煙排出対策、自動車排出ガス対策、低公害車の普及等を引き続き総合的に推進していきます。 PM2.5については、平成27年3月に、中央環境審議会の微小粒子状物質等専門委員会において、国内における当面の排出抑制策の在り方について中間取りまとめが行われたところであり、PM2.5の原因物質である各種の大気汚染物質について、排出抑制対策の強化を検討・実施するとともに、総合的な対策に取り組む上で基礎となる現象解明、情報整備等に取り組み、その進捗状況に応じて追加的な対策を検討することとしています。

 光化学オキシダントについては、原因物質である窒素酸化物や揮発性有機化合物の排出抑制対策を進めてきており、近年、関東地域等において、高濃度域の光化学オキシダント濃度の低下傾向が見られています。光化学オキシダントは、微小粒子状物質対策と共通する課題が多いことから、PM2.5の排出抑制対策の検討と併せて有効な対策の検討を進めています。

 国際的には、第17回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM17)の合意に基づき、三カ国の政策対話の下、対策に関する科学的な研究、大気のモニタリング技術及び予測手法、に関する二つのワーキンググループを新たに設置することが決定され、地域の大気環境改善のため三カ国の協力を強化することとしています。また、日中の自治体間で協力を進める都市間連携協力事業について、より一層協力を進めることとしています。