大気環境・自動車対策

平成28年度第2回(第8回)風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録

日時

平成28年7月19日 15:59~17:49

場所

中央合同庁舎5号館環境省第2・3会議室

出席者

(座長) 町田信夫

(委員) 沖山文敏、落合博明、桑野園子、塩田正純、橘秀樹、新美育文、矢野隆

(環境省) 高橋水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、江口総務課長、行木大気生活環境室長、木村大気生活環境室振動騒音係主査、出口大気生活環境室振動騒音係主査、山崎大気生活環境室環境専門員

議題

(1) 検討会報告書(案)について

(2) 今後の進め方について

検討会資料一覧

検討会委員名簿

資料1 検討会報告書(案)「風力発電施設から発生する騒音等への対応について」

資料2 今後の進め方について

参考資料

 参考資料1 風力発電施設の騒音への対応について(案)

議事

【行木大気生活環境室長】 それでは、定刻より気持ち早いですけれども、全員おそろいでございますので、ただいまから平成28年度第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を開会いたします。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙にもかかわらず、また大変お暑い中、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、田中委員、佐藤委員、それから船場委員より、ご欠席とご連絡をいただいております。
 本日の会議は、設置要綱に基づきまして、公開とさせていただきます。
 それでは、初めに、事務局を代表いたしまして、水・大気環境局長の高橋より一言ご挨拶を申し上げます。
【高橋水・大気環境局長】 皆さん、こんにちは。水・大気環境局長の高橋でございます。
 本日は、お忙しい中、また連日の猛暑の中でございますけども、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 この検討会、前回は5月でございましたけども、その際には、風力発電所施設からの騒音の評価につきまして、さまざまご議論、ご指摘をいただきました。その後、事務局のほうでも引き続き検討を重ねまして、本日、この検討会の報告書(案)ということで、資料を作成させていただきました。これにつきまして、ご意見を賜ればと思います。
 今日のご議論をもとに、できますれば、報告書(案)ということで取りまとめを、必要な修正も行いまして、公表をし、パブリックコメントをいただくというプロセスに入ることができればと思っております。
 この検討会、平成25年からいろいろとご議論を賜ってまいりました。一つ取りまとめの節目に入ってきているかと思っておりますけれども、引き続き、風力発電施設からの騒音の問題に適切に対処できますよう、ご指導をいただければと思います。
 簡単ではございますけども、ご挨拶といたします。本日はよろしくお願い申し上げます。
【行木大気生活環境室長】 座ったまま失礼いたします。
 それでは、お手元に配付しております資料について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、議事次第が1枚ございまして、そこに配付資料一覧も記してございますが、検討会委員名簿が1枚。それから、資料1といたしまして、検討会の報告書(案)「風力発電施設から発生する騒音等への対応について」。それから、資料2、今後の進め方について(案)。それから、参考資料1といたしまして、パワーポイントの風力発電所施設の騒音への対応について(案)。あと、先生方のみ、中間取りまとめからの変更点につきまして、印をつけたものをお配りさせていただいております。
 それでは、資料の過不足あるいは不備等ございましたら、事務局までお声がけいただければと思います。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 これ以降の進行につきましては、町田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【町田座長】 承知しました。
 座ったままで失礼いたします。座長の町田です。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 まず、議題1検討会報告書(案)についてでございます。
 5月の検討会におきまして、風車騒音の評価の目安となる値、指針のようなものを策定することといたしました。その内容を含めて、本検討会の報告書を作成することとし、事務局で報告書(案)の準備を行ってきました。
 本日は、準備いただいた報告書(案)について議論をしたいと思います。お手元の資料をご覧いただくとわかりますように、分量が多いので、前半・後半に分けて進めたいと思います。
 初めに報告書の前半部分、1章、2章になりますが、事務局より説明をお願いいたします。
【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 では、事務局、木村よりご説明をいたします。座ったままで失礼いたします。
 資料1の前半部分なんですが、まず、資料1につきましては、本検討会の報告書の(案)として、事務局で準備をさせていただきました。本年2月に取りまとめをいただきました中間取りまとめをべースにいたしまして、その後のご議論の内容を追加したものということになっております。本資料の作成に当たりまして、委員の皆様には、事前に、個別にご意見をお伺いしております。
 なお、参考資料1としまして、本報告書(案)の主要部分について記載した資料を作成しております。一部、報告書とは説明順が異なる部分もございますが、参考としてご覧いただければと思います。
 また本日、先生方のみではあるんですけれども、中間取りまとめからの差分を示した資料を配付しておりますので、必要に応じてご参照いただければと思います。ただ、こちらは見え消しになっている関係上、資料1とはページ番号がずれておりますので、ご覧になる際はご注意をいただければと思います。
 それでは、まず資料1、1枚おめくりいただきまして、目次の部分になります。目次としましては、ほとんど中間取りまとめからの変更はないんですが、1カ所、第3章の3-1から3-3の順序を変更しております。中間取りまとめの際は、設置前における調査・予測、それから設置後における調査、評価の考え方という順序で記載をしまして、評価の考え方については今後検討しますという形にしておりました。前回5月の検討会におきまして、評価の考え方についてご議論をいただきましたので、今回の報告書では、3-1で初めの部分に評価の考え方ということで記載をしまして、3-2、3-3で、それぞれ評価の考え方に沿った調査・予測について記載をするという構成にしております。
 では、中間取りまとめからの変更部分を中心に、第1章及び第2章についてご説明をいたします。
 まず1ページ、第1章「はじめに」の部分でございますが、こちらでは、この検討会を行うに至った経緯について記載をしております。中間取りまとめからの大きな変更はありませんので、概要のみのご説明とさせていただきます。
 冒頭部分ですが、再生可能エネルギーである風力発電の導入加速化は、我が国の重要なエネルギー政策であります。風力発電施設からは一定の音が発生しますが、通常著しく大きいものではありません。しかし、もともと静穏な地域に建設されることが多いということから、比較的小さな騒音レベルであっても苦情等が発生することがございます。近年では風力発電事業について環境影響評価の取組が進められているということも考慮しまして、環境省では、平成25年から、主として商業用に用いられる一定規模以上の風力発電施設を対象として、現時点までの知見や風車騒音の評価方法について検討を行ってまいりました。本報告書は、それまでの結果を取りまとめるものですということで記載をしています。
 おめくりいただきまして、3ページからの第2章に移ります。こちらでは、これまでに得られた知見について記載をしています。
 まず、4ページの図2をご覧ください。こちらは中間取りまとめにも記載があったものですが、改めてご説明をいたします。黒く示している部分につきましては、平成22年度から24年度にかけて行われました「風力発電施設等による低周波音の人への影響評価に関する研究」におきまして、全国29の風力発電施設の周辺、計169地点で騒音・低周波音のレベルを測定したものです。また、右肩下がりのラインで、人間の聴覚閾値を示しております。こちらをご覧いただくと、20Hz以下の低い音につきましては、通常、人間の耳に音としては聞こえないというもので、いわゆる超低周波音と呼ばれているものでありますけれども、風力発電施設から発生する音のうち、この超低周波音につきましては、人間の感覚閾値よりも低いレベルであるということがわかります。したがって、風車騒音は、超低周波音ではなく、「聞こえる」音、つまり騒音の問題として議論すべきであるということを示しております。
 続きまして、下の図3では、曝露側の風車騒音のレベルが26~50dB(デシベル)という程度であることが示されています。このレベルは、他の環境騒音と比較してそれほど高いレベルではないということでございます。
 続きまして、5ページに参りまして、図4をご覧ください。こちらは中間取りまとめにはなかったものなんですけれども、前回5月の検討会で参考資料としてお示ししました、風力発電施設やウィンドファームからの距離とそれによる騒音レベルの減衰を示す図です。風力発電施設の規模や測定点との位置関係によって、若干のばらつきはございますが、概ね水平距離が大きくなると音圧レベルが低下するという様子がご覧いただけるかと思います。
 5ページの下の部分、図5では、風車騒音の評価を行う際の指標として、C特性音圧レベルよりも、一般環境騒音の測定に用いられるA特性音圧レベルを用いることが適当であるということを示しております。
 おめくりいただきまして、6ページから7ページの前半にかけまして、こちらでは風車騒音の建物における遮音ですとか予測手法について記載をしております。この部分については、中間取りまとめからの大きな変更はありませんので、説明は、すみません、割愛させていただきます。
 7ページの後半の部分から、(2)風車騒音の人への健康影響に関する研究ということで記載をしております。こちらにつきましては、中間取りまとめの際の情報に、カナダ健康省とオーストラリア国立保健医療研究委員会の報告書等を追加しております。こちらは表1のほうで追加をさせていただいています。これらを含めて整理した結果によりますと、風車騒音のレベルと煩わしさ、いわゆるアノイアンスを感じる程度の間には、統計的に有意な関連が報告されています。特に、風車騒音が35~40dBを超過すると、アノイアンスの程度が上がりまして、睡眠影響のリスクが増大する可能性というものが示唆されています。一方、それ以外の聴力影響、頭痛、耳鳴り等の健康影響につきましては、特に有意な根拠は認められず、風車騒音が人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと考えられるということを記載しています。
 13ページをご覧ください。こちらは、前回5月の検討会の際に、桑野委員より風車騒音とアノイアンスとの量-反応関係について整理するようご指摘いただいたことを踏まえまして、記載をしたものでございます。これまでの研究で、風車騒音は道路交通騒音よりもアノイアンスを引き起こしやすいということが示唆されています。図6は、日本を対象とした研究によります風車騒音と道路交通騒音について、非常に不快と感じた者のパーセンテージでございますが、こちらをご覧いただきますと、風車騒音が非常に不快であるという回答が30%程度となる騒音レベルは、昼夜時間帯補正等価騒音レベル(Ldn)で約60dB、20%程度となるのが約53dB、10%程度は約43dBということになっております。なお、アノイアンスに関連する要因といたしましては、景観への影響など、他の要因が大きく寄与しているということも報告をされているところでございます。
 続きまして、14ページからの2-2に移ります。こちらでは、風車騒音の聴感的な特徴について記載をしております。
 15ページの図7をご覧ください。こちらでは、風車騒音とその他の一般環境騒音などとの周波数特性を比較したグラフを掲載しております。一般に、風力発電施設からは、特に低い周波数の音が発生していると思われておりますけれども、他の騒音源と比較しまして、特に低い周波数の成分を多く含んでいるというようなことはございません。一方、風車騒音に特徴的な音としまして、ブレードの回転面や風向の変化、受音者との位置関係によって騒音レベルが周期的に変動する振幅変調音、スウィッシュ音と呼ばれますが、このようなものが聞こえたりですとか、風力発電施設内の増速機や冷却装置等から、純音性成分を含む音が発生したりすることもございます。これらの音が含まれていることによりまして、騒音レベルそのものが低い状態であっても、耳につきやすく、アノイアンスにつながるという場合がございます。
 16ページからの2-3では、風車騒音に関する諸外国の基準について記載をしております。
 17ページ以降の表2につきましては、前回の検討会でお示しした諸外国の基準とその位置づけについてまとめております。こちらをご覧いただきますと、例えば1番のデンマークですとか2番のノルウェーのように、一定の値を風車騒音の基準としているという例もございますが、そのほか、例えば6番のフランス、それから、ちょっと番号が飛んでいますが、9番のイギリスのように、風力発電施設稼働時の騒音レベルの上昇を、地域の背景的な騒音レベルから一定の範囲内におさめるということを要求している例もございます。
 なお、こちらにつきましては、前回の検討会の際に、塩田委員より、罰則について少し詳細に調査するとよいのではないかというご意見をいただきました。当初、こちらについては、30番のアメリカのジェファソンの事例のみ罰金の制度があるというふうにご説明をしていましたが、その後、事務局のほうで、もう一度調査をしたところ、これまでにわかっている範囲で、ジェファソンを含めまして6例の罰則の制度があるということがわかっております。これらにつきましては、右から4列目の「騒音限度値の設定方法」の欄に記載をしております。罰金のほかに、19ページ、35番の例のように、こちらもアメリカの例ですが、こちらは施設の操業停止命令をするところもあるようです。
 報告書(案)の第1章及び第2章に関する説明につきましては、中間取りまとめからの記載からの差分を中心に今ご説明をいたしまして、一部省略をさせていただきましたが、主なところとしては、以上ということにさせていただきたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 最後にまとめて議論する時間を設けますけれども、今の段階で、確認事項等ございましたら、ご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】 表2は、世界各国の基準だとかガイドラインを比較したもので、非常に詳細に調べられて、非常に有益な資料だと思いますけれども、ちょっと幾つか確認したいところがございまして、一つは、17ページの表2の3番目にスウェーデンというのがございますね、スウェーデンのところのちょうど真ん中辺りに、地域の類型の概要というところですけれども、田園地域の概要として一般の住居地域、それから住宅地域の概要として地方部の暗騒音が低い地域と、こうなっていますけども、これは逆じゃないかなと思うんですけども。
【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、恐らく逆だと思われますので、もう一度、念のため原典を確認した上で修正させていただきます。
【矢野委員】 それから、騒音限度値と評価時間というところ、その表の右から4列目ですけれども、最初の1/3、2/3のところは騒音限度値の位置付けとなっていて、それから3/3のところは騒音限度値の設定方法と、同じといえば同じなんですけども、言葉は統一していただいたほうがいい。昨年、別の検討会で詳細にまとめられた資料がございますので、再度チェックしていただいて、せっかくいい資料をつくっていただいておりますので、できるだけ正確な情報を提供していただけるとありがたいかなと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 それでは、橘委員、お願いします。
【橘委員】 関連して、16ページに、今、一番下のところですけど、「なお、この表における「暗騒音」とは」と、いろいろ書いてございます。「「残留騒音」を意味している可能性がある点に、留意が必要である」ということで、これは今、矢野先生がやんわりとおっしゃいましたけれども、昨年の騒音制御工学会が受けた報告書に、ここは正確にちゃんと書いてございますので、その辺をちゃんと写してください。要するに実質的な残留騒音だということ。外国で測定しているのを見ると、L90を測っている。これはもう明らかに日本語で言う残留騒音、JIS Z 8731で言う残留騒音を意味していると。その辺をもうちょっと、16ページの一番下のところにも明記していただきたいのと、今の表の最後のほうの注のところにもちゃんと記入してください。
 英語の原文ではほとんどbackground noiseと書いてあるんです。このbackground noiseは日本語の場合には「暗騒音」と訳さざるを得ないんだけれども、実質、中身を見てみると、日本のJISで言う「残留騒音」なんですね。時々通過する自動車の音とか、飛行機の音とか、虫の鳴き声とか、そういうものを一切除いて、しーんとしているというか、ノイズフロアとよく言いますけれども、特に音が聞こえなくても、大抵、遠来のいろんな音があるわけですから、そういう状態の残留騒音を対象としているわけです。この表の中でも、その意味を正確に備考のところに書いておいてください。
 それから、ついでに、16ページに出ている風車の導入量のグラフは、ここにあっても何の意味もないですね。これは一番最初に来るか、風車がどのくらい使われているかというので、イントロダクションの本当のイントロだと思う。ついでに。
【町田座長】 ご指摘ありがとうございました。
 何か事務局ございますか。
【行木大気生活環境室長】 ありがとうございます。ご指摘のとおり、修正をしたいと思います。
【町田座長】 落合委員、どうぞ。
【落合委員】 すみません、ちょっと細かい話でよろしいでしょうか。
 15ページの下から3行目のところに、「風力発電施設内の増速機や冷却装置等から、ウィーンといった音が発生する」と書いてありますが、どうも何かこの「ウィーン」というのが違和感がありまして、実際に私なんか現場へ行って、苦情が出ているところに行ってみますと、「ウィーン」じゃないんですね。「ブーン」とか「ウンウン」とか、そういう感じの音です。恐らく低周波音って住民の方は言っておられますが、実際は、この辺りの100数十Hzから200Hzぐらいの成分、純音成分が立っている場合に、それが変動すると非常に嫌な感じがするので、それを多分低周波音とおっしゃっているんじゃないかと思われます。
 冷却装置のほうは、もうちょっと高い周波数だと思いますから、「ウィーン」ぐらいでいいのかもしれませんが、増速機とか、あるいは発電機は、どっちかというともうちょっと低いような、今私が言ったような感じかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 他の箇所との整合性もあろうかと思いますので、チェックをお願いしたいと思います。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 15ページが出ているついでに、風車騒音だけが特に低周波音、卓越した低周波音を含んでいるものではないという例証として、ほかのいろんなグラフ、これも戦略指定研究で測定して、実験に使ったグラフですけども、元の図では騒音の個々の種類と騒音レベルも全部まとめて書いてありますから使っていただいても結構です。
 これを見ると、一番下の黄色の線が風車騒音の何例かですけれども、特に風車騒音だけが低周波が盛り上がっているというわけではないということが一目瞭然だと思いますので。
【町田座長】 ありがとうございました。
 塩田委員、お願いします。
【塩田委員】 塩田です。17ページから19ページにかけて、純音成分のペナルティの数字で、例えば幅で書いてあります。3~6とか、1.54~5だとか、1~6だとかがあります。これらの事例みたいなものはありますか。例えば測定してみて、規制基準値はこうなっているけど、6dB程度のペナルティ値は、こうですよという事例は、載っていましたでしょうか。
【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 今ご指摘いただきました事例のようなものは、今のところ、事務局では確認できていません。
【塩田委員】 イギリスは結構大変ですね。1.54~5という、何か端数が入っているというのはどうしてなのかなと思いましたが、それは何か書いてありましたか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 その辺りにつきましても、資料はあったんですけど、ちょっと今日はお持ちしておりません。
【町田座長】 今のご意見は大変細かいところですので、もう一度、資料の確認をお願いしたいと思います。
 ほかにご意見ございますでしょうか。また後で議論をさせていただきたいと思います。
 それでは、次に進めていきます。
 次は、報告書の後半部分、3章、4章に関わる事項でございますが、事務局から説明をお願いいたします。
【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 では、続きまして後半部分、第3章及び第4章についてご説明をいたします。
 先ほど冒頭にもご説明しましたとおり、第3章の目次は、中間取りまとめから順序を変更しております。
 まず、20ページをご覧ください。
 第3章では、風車騒音の評価の考え方、調査・予測、対応策等についてまとめております。一番初めのパラグラフでは、風車騒音を「聞こえる」音の問題として捉え、評価するということについて記載をしています。また、本報告書では調査・予測の考え方を示すというものでありまして、その具体的な手法につきましては、今後、マニュアル等を作成して、整理することが適当であるこということを記載しております。
 20ページの真ん中から下の部分、3-1につきましては、風車騒音の評価の考え方について、前回5月の検討会でご議論いただいた内容をべ一スとして記載をしております。
 まず、20ページの初めのほうの幾つかのパラグラフにおきましては、風車騒音は通常それほど高いレベルではないけれども、他の騒音と比較して耳につきやすいという特徴があること、それから、もともと静穏な地域に建設される場合もあって、苦情等が発生する事例があるということを踏まえまして、風力発電施設の設置または発電設備の新設を伴う変更に当たりまして、騒音問題を未然に防止するために対策を講じ、生活環境を保全する上での参考として、風車騒音の評価の目安を定めることが適当であるとしています。
 ここで、風車騒音は風力発電施設の規模や風況等により異なること、騒音の聞こえ方は風力発電施設からの距離や地形等によって影響されるということから、全国一律の値とするのではなく、地域の状況に応じた目安ということで位置づけるということが適当であるとしています。
 21ページに参りまして、第2章、2.で整理しましたとおり、風車騒音のレベルと煩わしさ(アノイアンス)や睡眠影響の間には、関連があることまたはその可能性があるということが報告されています。これを考慮しまして、風車騒音の評価につきましては、人の生活環境に影響を及ぼすおそれがある地域におきまして、屋内の生活環境が保全されるように、屋外において昼間と夜間の風車騒音をそれぞれ評価することが適当であるということを記載しています。
 ここで、注にございますとおり、「騒音に係る環境基準」と同様に、昼間というのは午前6時から午後10時、夜間は午後10時から午前6時とすることといたします。
 評価の目安となる値につきましては、地域の音環境の差異を考慮しまして、残留騒音をもとに設定することが考えられます。ここで、Konoらの知見であります騒音レベルが日常の平均的なレベルよりも4~5dB高くなると人はアノイアンスを訴えるという報告などを参考としまして、評価の目安となる値を「残留騒音に5dBを加算した値」とすることが適当であると記載をしております。
 21ページの下の図9に、残留騒音と評価の目安となる値の考え方を示しています。残留騒音は、点線で示していますが、一過性の騒音を除いた地域の背景的な騒音のことです。目安となる値につきましては、実線で示しているレベルでございまして、風力発電施設の稼働に伴う騒音レベルの増加量が、残留騒音から5dBにおさまるように設定するという考え方でございます。
 22ページにお移りいただきまして、地域によっては、残留騒音が30dBを下回るような著しく静穏な環境である場合もございます。そのような場合に「残留騒音に5dBを加算した値」ということで風車騒音を評価してしまいますと、生活環境の保全上必要なレベル以上に騒音の低減を求めることになるというおそれがございます。そのため、地域の状況に応じて、生活環境に支障がないレベルを考慮して、目安となる値に下限値を設定することが適当であるということを最初のパラグラフで記載をしています。
 下限値の具体的な値につきましては、第2章で整理をしました知見より、風車騒音が35~40dBを超過するとアノイアンスの程度が上がり、睡眠影響のリスクが増大する可能性が示唆されているということを踏まえまして、残留騒音が著しく低く、特に静穏を要する地域や、地域において保存すべき音環境がある場合においては下限値を35dB、それ以外の地域においては40dBとすることが適当であるとしています。
 以上の考え方をまとめたものが、22ページの下半分の大きな括弧でくくってある部分になります。
 23ページの図10につきましては、評価の目安となる値のイメージを示したグラフになります。横軸の残留騒音がある程度のレベルを超える地域では「残留騒音に5dBを加算した値」、著しく静穏な環境である場合には「ある一定レベルの下限値」を、それぞれ評価の目安となる値とすることを想定しております。
 なお、この目安は、風力発電の設置等を行う場合に、周辺住民の生活環境への影響を考慮して定めるものでございますが、騒音については感じ方に個人差があり、地域によっては風力発電施設の立地環境や生活様式、住居環境等が異なりますので、その点には留意が必要と考えております。また、評価の目安となる値を超えない場合であっても、地域の音環境の保全に配慮して、風車騒音の影響が小さくなるよう、事業者の方は合理的な範囲で対策を講ずるよう努めることが必要であるというふうに考えております。
 さらに、純音性成分を含む場合のアノイアンスへの影響や、既に風力発電施設が設置されている場合の累積的な影響につきましては、現時点で科学的知見が十分ではありません。これらにつきまして、当面の間は実態の把握に努めるとともに、アノイアンスが大きくなる可能性があるという点にも留意をいただきまして、実行可能な範囲で騒音の影響を回避・低減することが望ましいということで記載をしております。
 以上が3-1になります。
 続きまして、3-2及び3-3では、風力発電施設の設置前における調査・予測と、設置後における調査についてです。調査場所、時期の考え方など、重なる部分がそれぞれございますので、設置前の調査について、主にご説明をさせていただきます。なお、この部分につきましては、概ね中間取りまとめからの大きな変更はございません。
 初めに、24ページの中ほど、①の音源特性の部分に記載してある部分ですが、先ほど第3章の冒頭部分でご説明したとおり、調査はA特性で行うということを記載しています。
 それから、②、③を飛ばしていただきまして、25ページ、④の調査の部分につきまして、何点かご説明をいたします。
 まず、ア.除外音処理をする音につきまして、これにつきましては、近隣を通過する自動車・船舶・航空機等の一過性の音や、定常的には発生しない人工音、自然音等の影響は、残留騒音の測定の際に適切に除外する必要があるということを記載しています。このときに、90%時間率騒音レベル(L90)に2dBを加算することによって、除外音処理を行うことなく残留騒音を推定できるという経験的な知見がこれまでに示されておりますので、この方法で推計をしても差し支えありません。なお、このとき、海鳴りですとか草木のざわめきなど風に伴う騒音につきましては、除外しないというふうに考えております。
 続いて、26ページの調査機器等の部分ですけれども、残留騒音の測定の際には、風がマイクに当たることによって生じる風雑音の影響をできるだけ避けるということが必要になりますので、防風スクリーンの使用が不可欠であろうというふうに記載をしております。
 続いて、27ページにお進みいただきまして、ウの調査地域・地点の部分になります。こちらについては、風力発電施設周辺における住宅等、風車騒音により人の生活環境に影響を与えるおそれがある地域を対象とするということで記載をしています。
 エの調査期間・時間につきましては、測定の時期は、年間の状況を正確に把握するため、風力発電施設が稼働する代表的な気象条件ごととしております。これは原則として四季ごとを想定しておりますが、気象条件の変動が少ない場合など、調査回数を減らすことも可能であるとしています。また、調査につきましては、風力発電施設が安定して稼働する程度の風が吹いている状況で行うこととしています。第3章のほうで、風車騒音の評価は昼間と夜間でそれぞれ行うということで整理をしておりますので、測定も昼間と夜間の時間帯について、それぞれ把握するということにしております。
 その後、28ページ以降の(2)予測の部分、それから3-3、設置後における調査の部分につきましては、概ね重なる部分が多いことと、中間取りまとめからの更新があまりないということで、省略をさせていただきたいと思います。
 1点だけ、30ページの真ん中辺に注があるんですけれども、その注の下から2行目で、「LA90」が、ちょっと表記が乱れておりますので、こちらについては、すみません、修正をさせていただきます。
 続きまして30ページ、3-4.騒音への対応策につきましてご説明をいたします。
 中間取りまとめからの大きな変更といたしまして、まず、31ページをご覧ください。(1)対策技術的な事項の中で、図12といたしまして、さまざまな機種につきまして、定格出力と音響パワーレベルの関係を示した図を掲載しております。定格出力が増加すると音響パワーレベルも上がる傾向にはございますが、同じ定格出力でも音響パワーレベルに違いがあることから、風力発電施設の選定の際、低騒音型の機種を選定するということが重要であると記載をしております。また、純音性成分が含まれるとアノイアンスが高まるという報告もございますので、機種の選定の際には、純音性成分の低い機種を選定するということも重要になってまいります。
 その後に記載しております対策、33ページ以降の対策につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございません。
 ざっとご説明いたしますと、33ページ以降、まず、1)としまして、風力発電施設の機械ですとか筐体に係る騒音低減の取組としてナセルや増速機等に係る事例を、それから34ページ、2)のほうで、空力音に係る騒音低減の取組としましてブレードや予測モデルに関する事例を、それから3)としまして、施設の制御に係る取組として回転翼の制御や自動監視システム等に関する事例を記載しております。
 35ページ以降につきましては、(2)といたしまして、設計・運用的な事項についてまとめております。設計・計画時になされる対策といたしましては、1)ですね、こちらについては、音響データ等の測定やその活用、それから、先ほどご説明したような施設の選定等に係る事例を記載しております。
 36ページ、2)では、設置・稼働後になされる騒音対策といたしまして、機器の交換や回転数の抑制等の事例を記載しております。
 37ページでは、ソフト面での対策といたしまして、関係者間のコミュニケーションについて記載をしております。風車騒音は感覚公害の一つでございますので、風力発電施設の設置事業者、製造事業者、地方公共団体、地域住民といった関係者間でのコミュニケーションが重要です。
 その事例としまして、38ページに、風車騒音に関する説明や地方公共団体との協力等について事例を記載しております。
 39ページから40ページにかけましては、3-5といたしまして、今後必要な取組をまとめております。それぞれ、短期的事項と中長期的事項に分けて、先ほどざっとご説明をしたような対策を進めていく上で必要と考えられることについて記載をしております。こちらにつきましても、中間取りまとめから特に大きな変更はございませんので、詳しい説明は省略させていただきます。
 41ページからの第4章におきましては、本報告書が関係者の方々に活用されて、よりよい取組・対策が行われることを期待するという旨とともに、今後の課題について整理をしております。(1)では、設置事業者・製造事業者による課題を記載しておりまして、この部分につきましては、中間取りまとめからの大きな変更はございません。
 続いて、42ページですが、(2)といたしまして、行政側の課題を記載しております。中間取りまとめからの変更は、大きく2点ございます。
 1点目は、中間取りまとめの際に、洋上風力発電施設について、今後、各種調査を進め、問題点が明らかになれば、その対応策について検討することが必要というふうに記載をしていた部分があるんですけれども、こちらについて、今回は記載をしておりません。今般の報告書(案)におきましては、風車騒音の評価を、人の生活環境に影響を与えるおそれがある地域、つまり受音点側で行うということで整理をしておりますので、これは風力発電施設が陸上にあっても洋上にあっても考え方は同じであるというふうに考えまして、洋上風力について特記する必要はないということで、当該記載部分は削除させていただいております。
 2点目につきましては、42ページの下半分、②の風車騒音の影響・評価に関する事項です。今回までご議論いただきました風車騒音の評価の目安につきましては、今後、知見の集積を図るとともに、必要に応じて見直していくこととするとしております。具体的には、○で記載している4点、「既に設置されている風力発電施設の現地における事後調査の分析結果を踏まえた風車騒音の伝搬等に関すること」、2点目が「純音性成分の評価等の、現時点で知見が不足している風車騒音の人への影響に関すること」、3点目としまして「既に風力発電施設が設置されている地域に新たに別の風力発電施設を建設する場合の騒音の累積的な影響に関すること」、それから、4点目としまして「今後風力発電施設が超大型化した場合の騒音等の影響に関すること」ということで、こちらの4点を、今後、特に知見の集積を図るべき部分というふうに考えて整理をしております。
 また、その後のなお書きの部分でございますが、今後、風力発電施設以外の施設につきましても、静穏な地域における音環境につきまして、検討を行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
 最後に、43ページの(3)なんですけれども、地域住民の理解促進ということで、本報告書を設置事業者等とのコミュニケーションの参考としていただきたい旨記載をしております。
 こちらで本文は以上になるんですが、44ページ以降で参考文献、それから、49ページから50ページにかけまして、本検討会と本検討会に設けられました風力発電施設に係る騒音対策技術等の検討に関する分科会の委員名簿を記載しています。
 また、51ページ以降で、風車騒音に係る技術的な音響用語の解説を記載しております。こちらにつきましても、中間取りまとめの際に整理をいただいたものでございまして、今回、大きな変更はございません。
 少々長くなりまして恐縮ですが、事務局からの報告書(案)の説明は以上とさせていただきます。
【町田座長】 ありがとうございました。
 3章は、風車騒音の評価の考え方、調査・予測、対応策等ということでございました。また、4章は、本報告書の活用と今後の課題ということでございます。説明ありがとうございました。
 それでは、報告書の前半部分を含めまして、これまで事務局からの説明に対しまして、議論をいただきたいと思います。ご意見、ご質問等ありましたら、お願いいたします。
 桑野委員、どうぞ。
【桑野委員】 22ページの括弧の中が、今回の大きな取りまとめと思っていいんじゃないかと思いますけれども、昼夜別というのは今回初めて出てきたと思うんですね。夜間だけでは、やはりまずいことがあるんでしょうか。夜間のほうが静かだと思いますので、それにプラス5dBで安全側の基準になるんじゃないかと思うんですけれども、何か分けて考える根拠というのを教えてください。
【町田座長】 事務局、いかがですか。
【行木大気生活環境室長】 桑野先生、ありがとうございます。
 今のご指摘の点でございますけれども、日本の騒音行政の中では、例えば21ページの注にございますような、「騒音に係る環境基準」などがございますが、そういった環境基準の中では、昼間と夜間とに分けて評価をするということが基本となっております。今般、この報告書(案)を作成する過程で、先生方にも事前にご意見を伺いながら(案)を作成してまいりましたが、事務局の中で、先生がおっしゃられたような観点から、夜間のみを評価の目安とするということも一度考えたということもあるのですけれども、先生方との意見交換の中で、昼間についても基準を設けておくということで、過度なアノイアンスを高めるようなことを防ぐ、生活環境保全上の配慮として必要なのではないかと。ほかの騒音行政の整理の中で、整理の一貫性としまして、昼間の評価もあったほうがいいのではないかというご意見がありました。
 ここでは、評価の目安となる値としまして、残留騒音プラス5として、評価する時間としては昼間、それから夜間と分けます。そういたしますと、必然的に、昼間につきましては、生活活動で、そもそも風車騒音以外の音が高まりますので、結果として、昼間は残留騒音が夜間のものよりも大きいということになってまいります。ということから、昼間・夜間として、この提案しました残留騒音プラス5とすることで、それぞれの音環境の状況も踏まえて、アノイアンスへの対応ができるのではないかということで、このような(案)とさせていただきました。
【町田座長】 桑野委員、何かご意見ございますか。
【桑野委員】 橘先生が何かご意見がおありのようなんですけれども、このことについてでしたら、先にお聞かせください。
【町田座長】 それでは、橘委員、お願いいたします。
【橘委員】 私、個人としては、夜が大事だということは、今までの戦略指定研究でも随分言ってきました。ただ、夜だけ基準を設ければいいということではなかったと思うんです。基準としては、昼夜別なく決めるか、あるいは現実的に、昨年、制御工学会で全国12カ所の測定をやりました。地方、それから一般住宅地、それから工業地帯、やはり昼間のほうが大体5dBから、10dBまでは行っていなかったですけどね、やはり大きいですね。そういうのを見ると、今、室長からお話がありましたように、夜だけを基準を決めるというよりかは、夜・昼決めて、環境行政としては24時間カバーしているほうがいいのではないかと、私、個人は思います。
【桑野委員】 そうすると、今の一般環境騒音と同じように、昼間も夜間も、両方とも基準を、この目安を満たさなければいけないということになるわけですね。はい、わかりました。
 そしてもう一つ、続けていいですか。
 同じところなんですけれども、特に静穏を要する地域ですね、これはどこかに病院とか学校とかという例が書いてあったと思います。しかし、地域において保存すべき音環境がある場合というのは、前に環境省が、環境庁時代だったかもしれませんけれど、保存すべきことが望ましいよと、音環境100選を選定されましたが、何かそういった例をどこかにお示しいただくほうがよいと思います。保存すべき音環境って一体なんだろうとちょっと思ってしまいますので、そのほうがわかりやすいかと思いました。
【町田座長】 保存すべき音環境、ご意見をいただきました。事務局、お願いいたします。
【行木大気生活環境室長】 ありがとうございます。
 今、ご指摘のありました特に静穏を要する地域でございますが、事務局として念頭に置いておりました、先生がおっしゃられました、例えば病院といったようなところ、それから、その地域で保存すべき音環境がある場合というようなところでは、先生が例示してくださいました「日本の音風景100選」、環境庁時代に私どもが選んだものですとか、あとは例えば鳴き砂のようなものに対し史跡だったりとか、国や自治体により特に大事な地域のランドスケープとして保存すべきものを指定してございますので、そういった場合を念頭に置いております。
 この部分に関しましては、おっしゃるとおり例示が必要かと思いますが、例示も、今、私どもで考えておりましたのは、この先、実際にお使いいただく際には、今のようなところをどう適用するのかといったようなところ、あとは、実際に調査の場所を選んだり、時間を選んだりといったようなところで、かなり細かい具体的な技術的なマニュアルが必要かと思っております。ですので、20ページの一番上のところで、そのマニュアルの策定などが適当と書かせていただいているところでございますが、この先、具体的なことをマニュアルとしてまとめる中で、できるだけ例示もたくさん入れていきたいと思っております。
 この報告書は考え方を整理しておりまして、例示を入れ出すと煩雑になってしまったり、この報告書としての読みやすさを阻害する部分もあろうかと思います。できますれば、その技術的なマニュアルの中などでしっかり例示をたくさん書かせていただければと思っているところです。
【桑野委員】 わかりました。特に残留騒音を測定する場所の選定も非常に難しいと思うんですけど、それもマニュアルでお書きになる問題だと思いますので、きちんと、いろんなケースを考えて選定していただきたいと思います。ありがとうございました。
【町田座長】 ありがとうございました。
 それでは、橘委員、どうぞ。
【橘委員】 3章のこの辺りが一番この報告書で一番大事なところではないかと思います。それで、非常に心配をしていたんですが、平成22年度から24年度までの3年間の戦略指定研究、それ以降、それを元データにして、昨年度の制御工学会で受けた、それをフォローする分析、それをやって、つくづく考えて、いろんなことを考えましたけれども、それのバックグラウンドとして、今回のこの内容は非常にうまくまとめていただいていると思います。これはまずいなという、一時そういう時期があったんですけれども。
 ただ、気になるところは幾つかございます。今、お話の出たマニュアルをつくるところには書いておくだけでいいんですけれども、じゃあ、誰が実際にいつつくるんだということもはっきりしておいていただきたいと思います。残留騒音って、実際にそれを測定するのはどうするかというのは結構難しいんですね。それから、マイクロホンの高さをどうするか。それから風速をはかるなんて書いてありますけど、風速だって、何メートルではかるか、結構難しいんです。これIECの規格だとか、ISOの規格でも、その辺についての議論がものすごくされています。そういう問題も考えなくてはいけない。
それから、風車の測定する場合には、やたらなところにマイクロホンを立ててしまうと、マイクロホンに当る風の影響によってこんなに低周波が出てるぞというようなデータがよく出てくるんです。だから、そういうことも非常に注意しないといけない。落合さんなんかも随分苦労されている。そういうテクニカルの非常に難しい問題がございます。だから、このマニュアルをつくるといっても、そのうちつくりますよじゃなくて、かなり計画的にやっていただきたいと思います。我々も技術的にはいろいろ苦労してますからお役に立てることもあるかと思います。
 それからもう一つ、もう一つというか、これが一番大事なんですが、これは前回の議論で、いわゆる環境基準に対して「指針」という言葉も出てきたし、基準に対して「指針」という言葉が出ている。今回、これ15日に送られてきて見て、最初にびっくりしたのは、全部それが「目安」になっている。日本語での「目安」というと、なにかすごく柔らかいいい加減な印象を持ちます。この辺が、これは担当省庁である環境省のお考え一つだと思うんですけれども、我々素人が考えて、「基準」「指針」「目安」、この辺の言葉の使い方をどういうふうに使い分けておられるのか。それからまた、環境行政法、法律みたいなので、新美先生みたいな専門家の方がどういうふうに考えているのか。私、「目安」というのは、特にここで反対するという意味ではございませんけれども、「目安」というのは、英語の辞書を引いてみたら、「スタンダード」「クライテリア」って書いてあるんですよね。「スタンダード」「クライテリア」は今度、逆に日本語に訳すと「基準」とか、そういうことになっちゃうわけです。だから、この内容を英訳したらどういうことになるのか。私自身もそうですけれども、私、学生を抱えていたときにも、これ英語で言ってごらんとよく言ってたんだけど、英語で表現がちゃんとできないというのは、日本語としてもできてないと。その辺が一番、今日お聞きしたかったところです。新美先生にも伺いたいんですけれども。
【町田座長】 引き続き、新美委員、お願いします。
【新美委員】 今の橘先生のお話ですけども、これは言葉の段階からいくと、英語にすれば全てスタンダード、クライテリアになるんですけれども、それにどれだけの強制力を持たせるのかということが一番大事でありまして、ですから、環境基準は、これは行政の目標だということ、施策の目標だということになりますので、少なくとも、これは行政庁にはそれなりの法的な重みというのは出てくると。しかしながら、これを民間に押しつけられるかどうかというと、これは別ですよということになってきますし、それから、行政のガイドライン、指針というのも、これもあくまでも行政が目的とするゴールを達成するために、あれこれと誘導していくというための「目安」ですので、法的な強制力があるわけではありません。
 問題は、それにつけて、どれだけの強力な指導をするのかということだけですので、橘先生がおっしゃったように、言葉を変えただけで弱くなるとか、強くなるということではないというふうに思います。ですから、「目安」というふうに使ったとしても、これはある意味で、これがデフォルトになりますので、ここから外れることについて、どれだけのエクスキューズができるかということに尽きると思うんですね。その際に、行政がそれをどこまで指導していけるかということになるだろうと思いますし、具体的に施策を実行するときに、他の人がそれをどう評価するかという問題になってきます。ですから、法的に直接の強制力はいずれにしてもないというふうに言っていいかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。それでは、事務局、お願いします。
【行木大気生活環境室長】 ありがとうございました。では、橘先生から2点、ご指摘をいただきましたが、まず2点目、評価の「目安」という表現と「指針」という表現のところ、新美先生のご発言もありましたので、事務局から一言ご説明申し上げたいと思います。
 まず、この報告書(案)ですが、環境省としての報告書(案)ということではなく、あくまでこの検討会の中でご議論をいただいたものを、検討会としておまとめいただく報告書(案)としまして、私ども事務局といたしまして、ご意見を踏まえて作成させていただいたものでございます。本日、ここの検討会の資料にかける前に、橘先生からもお話がありましたが、一度、委員の先生方に案をお送りさせていただきました。その際いただいたご意見をもとに、また修正をしまして、本日ここにお出ししているわけでございます。
 先生方にお送りしましたバージョンでは、橘先生ご指摘のとおり、ここの3-1のところでは、今、評価の目安などとしておりますところで、その「指針」という表現を使っておりました。それはどういうことかと申しますと、騒音行政の中で、行政的なさまざまなアウトプットがあるわけでして、今ほど新美先生からのお話がありました環境基準もございますし、あとは、ほかのものといたしましては、「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」というものもございました。それで、前回までの議論の中で、この風車騒音の評価の考え方といたしましては、全国一律の値とするのではなく、風車の聞こえ方というのは、その施設からの距離だったり、地域の地形ですとか、土地利用の状況など、さまざまなことで変わってくるということを踏まえまして、地域の状況に応じて必要な対策を講じ、生活環境を保全するためのものとするのが適当ということで、ここまででご議論をいただいておりました。一度、先生方にお送りしましたバージョンでは、事務局としまして、それを騒音行政の世界で考えますと、「指針」という表現が、わかりやすいかと思いまして、その表現を使わせていただいたところだったのですけれども、その後、そのお送りしました資料に対しまして、本日ご欠席になっております田中先生からご意見をいただきまして、「指針」と書くか「目安」と書くかというところなんですけれども、ここは検討会としてまとめる報告書なので、検討会のマンデートの中で適切な範囲で行うべきということでお話がありました。要するに、田中先生としましては、その行政的なアウトプットの形までこの検討会の報告書の中で規定をするのは適当ではなく、この検討会におきましては、検討の対象といたしまして、風力発電施設から発生する騒音等の調査・予測・評価の手法の検討というところがマンデートでございましたので、その考え方を整理すべきだと。そういったことから、「指針」だとか「基準」といった用語を使うのではなく、考え方を表記すべきだというご意見をいただいたところでございます。それを踏まえまして、今般、この検討会に今お出ししました資料といたしましては表現の仕方を改めているところでございます。
 それから、橘先生のご指摘の1点目、マニュアルの関連でございますが、ご指摘のとおり、マニュアルの作成にはかなり技術的な難易度も高いところで、しっかりとした対応が必要でございます。乏しい予算ではございますが、環境省としてしっかり責任を持って、この検討会の考え方をおまとめいただきました後、その考え方に沿って、すぐマニュアルをつくる作業に取りかかっていきたいと思っているところでございます。橘先生からご指摘がありましたとおり、どこの高さでマイクを設置すべきかといったことですとか、その風雑音をどう除いていくのかといったような、かなり技術的な知見も要るところでございまして、これまでの風車騒音の測定などに関われた専門家の方々にお入りいただいて検討をさせていただきたいと思っております。この検討会にご参画の先生の中で、そういった技術的な知見をお持ちの先生にぜひご協力をいただければ大変ありがたいと思っております。これも技術的に非常に難しい課題ではありますけれども、実際、世の中で、議論いただいております、この報告書の考え方を実際に使っていただくためには、そういった技術的な解説を行った資料がないと、なかなか実際は機能しないというところもあるかと思いますので、非常に大事な課題だと事務局としては受け止めております。
【町田座長】 橘委員、お願いします。
【橘委員】 今の室長のご説明だと、「目安」というご提案があったので、その言葉を使ったというんですけれども、そうであれば、「指針」としたままでもそれほど、先ほどの新美先生のご説明でも、その使い方によるんだということですから、僕らは普通の考え方でいくと、「目安」というとすごくいいかげんな印象を受けちゃうんですよ。これは私だけかもしれませんけれども。何か、やっぱりこれでなきゃだめだぞというほど強くはないけれども、みんながこれを目指していこうよというんだったら「指針」のほうが格好いいんじゃないか、格好いいというのもおかしいけども。「目安」というと、何かぐらぐらぐらぐらしたような印象を、もしそうであれば、法律的にそれほど、行政用語としてそれほど大きな区別がないんであれば、私としては、絶対とは申しませんけれども、「指針」という言葉を使ったほうがいいのではないかと思います。提案です。
【町田座長】 関連ということでよろしいですか。
 矢野委員、お願いします。
【矢野委員】 いや、私も話を聞いてまして、「指針」「目安」って、今こういう騒音のこういう方針を決めるのに、そういう言葉を使われたことはありますかね。「指針」だったら今までも「指針」という言葉がありますし、「指針」と「目安」が本当に変わらないんだったら、ちゃんと、いわゆる「基準」だとか「指針」だとか、一般に環境行政とか、我々の分野でも使われるような言葉を使われたほうがいいのではないかと、私もそのように思いました。
【町田座長】 環境アセスメント上の法令で位置づけられる「指針」と混乱されては困るという、何かそういう意向もあるのではないかなと察しているんですが、事務局、ご回答をお願いします。
【行木大気生活環境室長】 今、町田座長からお話がありましたとおり、田中先生が一つ懸念されておりましたのは、アセスメントの世界では、「指針」という言葉が法令用語として使われているので、そことの整合性で混乱を来してしまわないかというところも大変ご心配になっておりました。すみません、その点、私、ちょっと説明が抜けておりました。
 それで、先日、田中先生とお話して、この報告書の用語としては、その辺りの誤解がないように、だけれども、しっかり考え方を整理してはどうかと。評価の目安という表現は、中間取りまとめの中で課題となっているものが、風車騒音に関する評価の目安等を検討することということでございましたので、それを踏まえた表現なので、この検討会としてのマンデートを考えると、この報告書の中では、それがいいのではないかというご意見をいただいております。
なお、この報告書をおまとめいただけましたら、当然、行政としましては、行政的なアウトプットとして速やかに出していきたいと思っております。資料2-2で後ほど今後の進め方(案)ということでお示しをしているところでございますが、行政的に報告書の考え方に沿ったアウトプットを出す際には、橘先生のご指摘の心配、ご懸念が払拭されるようにしっかり誤解がないような表現で世の中に出したいと思っております。
【橘委員】 ぜひ大和言葉的に濁さないで。
【行木大気生活環境室長】 わかりました。
【町田座長】 では、沖山委員、お願いします。
【沖山委員】 この報告書、よくまとまっていると思います。これに異を唱えるものではないんですが、環境騒音をはかって、基準値とか目標値を決めるということにやや抵抗感を持ってますので、そのお話をさせていただきます。
 昭和47年に公害国会が終わった後で、川崎市の公害規制見直し検討委員会から現状の基準よりも何かほかの方法の規制がないかということがありまして、たとえば騒音規制法よりも厳しい基準あるいは緩やかな基準を設けると、これは上乗せ基準になりますので、これに抵触しない何か良い方法はないかということがありました。実はこの時問題になっていたのは、工場等の新設の際、環境騒音が非常に静かなところでも規制基準をクリアしていればいいんだという考え方は、かえって環境騒音を上げてしまうという問題がありました。それで、昭和47年に川崎市の公害防止条例をつくったときに、騒音規制法と違った騒音規制を考えようということで、静かなところは静かなりに規制しようということで、自治省とよく議論したんですが、騒音規制法の基準がA、B、Cという手法を使っているならば、Dという手法を使えば上乗せにならんという見解がありました。それで、現状の規制基準に環境騒音を加味したらどうかということについて、自治省の見解も、それは騒音規制法の上乗せにならないということで、環境騒音をはかって規制基準を決めるという基準を昭和47年につくったんですね。それを進めておりました。静かなところは普通の騒音規制法よりも、厳しい値になっちゃうんですが、20年たった平成11年になりまして、もう一回見直したときに、担当者がもう疲れましたと言うんですね。疲れましたというのは、自治体が規制基準について環境騒音をはかって、そこの地域の基準を決めて、それで、その規制方法に基づく届け出が出たりするときに、それを規制基準値以下になるかどうかという審査をしなきゃいけない。一々環境騒音をはからなきゃいけないというのは結構大変なことなんですね。それで、届け出をする事業者と、それから役所がはかった環境騒音値が違うと、これがもめるんですね。大体、事業者のほうは多目に、高目に出てきますから、常識的にね。そうすると、我々がはかったのとこの地域は違うよという話になって、もう一回はかろうかとか、はかり直すとかという話になります。そういう積み重ねが結構負担になってました。そういう意味では、環境騒音をはかって、そういう目標値を決めるというのは大変疲れることだという経験をしているものですから、できればそういうことのないほうがいいなと思うんですが、今回のこれはこれでいい方法だと思います。
 ただ、地方自治体の人が、はっきり申し上げまして、「残留騒音+5」という「残留騒音」という言葉を当然、その騒音・振動を担当している人は知ってなきゃいけないんですが、今の実態を考えると、残留騒音って何だろうという自治体の方が非常に多いんだろうと思います。そうすると、残留騒音はこうだと、それからL90プラス2が残留騒音だよといっても、ちゃんとした説明をしないと納得しないんじゃないかなと思います。先ほど、いろいろな先生方がマニュアルをしっかりつくりなさいと。まさにマニュアルをしっかりつくるんですが、今までの通常のマニュアルと違って、もっと易しく、もっと厳しく、そういうマニュアルをつくらないと、自治体の人たちには難しいと思います。、それから、これはアセスに使うのですが、苦情処理になったときにもこれを使うことになろうかと思います。これはアセスのための目標値ですよというふうに掲げましたけれどもね。そうすると、コンサルのような実務者と地方自治体の担当者と、なかなか意見が合わないことが想定されます。その辺のことを踏まえてマニュアルをつくっていただきたいという、そういう意見です。
【町田座長】 ありがとうございました。
 それでは、落合委員、お願いします。
【落合委員】 今の残留騒音のところの話なんですが、残留騒音、これは季節によっても、場所によっても随分違ってくると思います。例えば海沿いの地域ですと、海の方向から風が吹いているときは波音がするでしょうし、山のほうから吹いてくるときはしないと。季節によっても変わってきますし、例えば平地でも、後ろに林があるところ、ないところ、あるいは林があっても、広葉樹のところですと夏と冬でまた違うというようなことがあって、なかなか基準が難しいと。これはどういうふうに運用されていこうと考えてられるのか、もしお考えがあったら教えていただきたいと思います。
【町田座長】 四季ごとで評価の目安値が変わるんではないか。そういうご質問だと思いますが、いかがでしょうか。
 事務局、お願いします。
【行木大気生活環境室長】 ありがとうございます。今の落合先生のご指摘のところでございますけれども、まず、残留騒音につきましては、その場所ですとか季節でも状況が違うというのはおっしゃるとおりで、この報告書の中で、27ページの調査期間・時間のところで考え方は書いているところでございますが、年間の状況を正確に把握するため、風力発電施設が稼働する代表的な気象条件ごとで、原則としては四季ごとと。ただ、気象条件の変動が少ないなどの理由で、四季ごとに調査を行わなくても、音環境の把握ができる場合は調査回数を減らすことができるとしているところでございます。実際は、ここまででも話が出てきておりますが、そのマニュアルの中でしっかり考え方を具体的に書いていくということかと思いますけれども、落合先生がおっしゃられましたとおり、場所によっても随分状況が違う。それは、風力発電施設がしっかり稼働する時期で、その周辺の風、風況はどうなのか、どういう方向から吹いていくのか、その吹いてくる方向は、林だったり、海だったり、音環境に影響するどんなものが周りにあるのかということを考えながら実際は調査をしていくことが大事になっていくと思います。その辺り、しっかりマニュアルの中でわかりやすく、先ほど沖山先生の話にもありましたが、理解をするに当たってわかりやすく、という意味で易しくつくっていきたいと思っております。
それから、そのマニュアルをつくるということに加えて、特に地方自治体の方に正しくご理解いただくというところも非常に大事かと思いますので、説明会なども開催をして、しっかりご理解をいただくための努力をしていきたいと思っております。
【町田座長】 塩田委員、お願いします。
【塩田委員】 蒸し返しになったら申し訳ないですが、評価の目安となる値というのは、これは行政用語でしょうか。あるいは指針というのは行政用語でしょうか。というのは、先ほど室長は、この報告書は検討会が報告書として出すという話ですと、この検討会の委員は、いわゆる環境省の立場からすると、有識者を集めたということですね。有識者というと、学術的なことをやっているということで、例えば橘先生のところでは学術的なベースで調査をやり、実験をやりということですから、学術的な用語としてこの用語を言うのであれば、よく言われている推奨値、英語で言うとrecommendationだと思いますが、例えば推奨値をこういうようなことでやれば、検討会でこれを推奨しますと。それを受けて、推奨された値をどのように判断するかは環境省の立場ではないかと思うわけです。この部分は、これまでいろいろ現場で実験をしたり、その実験値をベースにして、最終的にこのようにしたほうが良いのではないですかということを、この検討会の総意として環境省に提案をすると。その提案をした内容の結果が、この検討会の報告書になるのであれば、最初から行政用語を使う必要もないと思うのですが、そこら辺はどうなのでしょうか。
【町田座長】 事務局よろしいですか、お願いします。
【行木大気生活環境室長】 塩田先生、ありがとうございました。私の説明の言葉が足りなくて混乱を招いていて申し訳ございません。
 先ほど申し上げたかったのは、この報告書は環境省としての報告書ではなく、本日お集まりの検討会の先生方の、検討会としての報告書の案として、事務局としてご準備させていただいたものです。今回、検討会のメンバーに入っていただいている先生方は、ご指摘のとおり有識者ということで、この問題に関連するさまざまな専門的な知見をお持ちの方々にメンバーとしてご参画いただいているところでございます。ただ、その有識者という言葉の意味は、必ずしもアカデミアという訳ではございません。例えば沖山先生のように、長年、地方自治体で地方行政のご経験をお持ちの方も、そういった意味での専門家でございます。ですので、必ずしもここでお使いいただく言葉は学術用語で構成しているというつもりでもございません。多分、そこはむしろ専門用語とは少し違う、よりわかりやすいといいますか、学術的な意味では砕けたような表現もあって、それがゆえに、最後に専門用語としての解説も参考としてもつけているところでもございますが、必ずしも学術用語を使っているわけではないというところでございます。
 それから、田中先生のご指摘があったところは、この報告書の中で記載すべき範疇は、あくまでもこの検討会の設置要綱で定められておりますマンデートの中にとどめるべきで、そこで決めた考え方をもとに、環境省が行政としてアウトプットを出していってほしいと。ですので、ここの報告書で使う用語は、この検討会としての考え方をわかりやすく解説をするという言葉にとどめるべきで、先ほどもお話しさせていただきましたが、例えば「指針」という言葉を使ってしまいますと、環境影響評価の世界で法的拘束力を持つ、その世界で「指針」という言葉は使われていますが、その辺りとの混同が生じてしまうと、ここでの考え方、わかりやすさを阻害してしまうというところを今のところご懸念されていたところです。
先ほど橘先生に対して申し上げましたのは、この報告書での表現は、先生方のご議論も踏まえておまとめいただくんですけれども、最終的に私ども、この報告書を受けて行政としてアウトプットを出していくときには誤解のない、大和言葉のような、曖昧な表現ではなくて、その性格もはっきり伝わるような用語をしっかり行政として責任を持って選んで、アウトプットとして出していきたいと思っております。
【町田座長】 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 ここで町田先生を座長としてやっているこの会というのは、局長の諮問で開かれている検討会ですよね。これは有識者というのか、学識経験者を中心として組織をして、そこで今議論をしてまとめている。そうすると次の段階として、普通の環境基準なんかだと、今度、中央環境審議会の専門委員会ができて、そこで諮問があって、それに答えて、環境基準がパブリッシュされる。この風車に関しては、この検討会で議論している報告書がパブリックコメントを経てオープンにされた後、これは行政的にはどういう手順で進んでいくのか。あるいは、この報告書が実質的に、効力というのはおかしいけれども、何かアセスメントのときのかなり重要なリファランスになるのか。単なる専門家が集まって議論した結果だけですよ、それにすぎませんよということになっちゃうのか、そこが今聞いていると非常に心配になってきたんですけれども。次のステップはどうなるのか。
【町田座長】 事務局、お願いします。
【行木大気生活環境室長】本日、開催要綱を資料としておつけしていればよかったんですけれども、この検討会は、学識経験者等のうちから水・大気環境局長が招集する者をもって構成するということで、先生おっしゃられました、つまり水・大気環境局長の諮問する検討会でございます。この後、どのように進んでいくかということでございますけれども、もし今ご議論いただいております報告書(案)の内容でご異論がないということになりますれば、全国一律の基準ではなく、その地域の状況に応じた目安が適当というご判断でございますので、そうしました場合、今、私ども事務局として考えておりますのは、例えば「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」を参照といたしまして、水・大気環境局長からの通達という形で、自治体の方々に周知をさせていただくということを考えております。追って、そのスケジュールなどは資料2でご説明させていただければと思っております。
【町田座長】 ほかにご意見等ございましたらお願いします。
 桑野委員、どうぞ。
【桑野委員】 大変マイナーなことなんですけれども、42ページの今後の課題の①のところの二つ目のパラグラフに、「風力発電施設に対する騒音苦情については、騒音レベルの高さや音の性質だけではなく」という表記がございますけれども、この高さって、騒音レベルが高いとか低いとか普通に使われているんですけれども、高さという言葉だけを捉えますと、音のピッチですね、高い音とか低い音とか、そんなふうにもとられてしまいますので、単に「騒音レベルや音の性質」とするか、あるいは「騒音レベルの値や音の性質」というふうにちょっと言葉を変えていただければと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。まさにそのとおりだと思います。
 ほかにご意見ございますか。橘委員、どうぞ。
【橘委員】 25ページの除外音処理のところで、既設の風車はもう回っているものとして残留騒音に含めるというようなことがないようにすべきです。これはなかなか行政的には難しい面もあると思いますけれども、できている風車はもう残留騒音なんだというふうにやってしまうと、累積的にどんどん大きくなっていってしまう可能性があります。これはぜひどこかに明記していただきたい。
 それからもう一つは、どこだったけな、風車騒音の特徴である振幅変調音、シュワッシュワッという音は、イギリスの「Good Practice」の報告書なんかにも書いてありますけれども、これはもう風車騒音の特徴だから、それを踏まえた上で基準値を決めるという考え方をとっています。それに反して、純音性成分というのは機種によって随分違いがある。これはdBA、いわゆる騒音レベルで評価しても、それほど違わないんだけれども、聞いた感じは著しく違うということがありうる。昨年の請負業務の報告書にもまとめてございますけれども、国によってはイギリス、ドイツもそうだったかな、tonal audibilityというのを細かく分析して、それによってペナルティーを決めていくという方針を取っています。騒音レベルが例えば35だったとしても、純音成分が出ていたら38とみなすぞというような、そういう定量的な評価の仕方を決めているんですね。それを去年の受託研究のときに、日本で何かできないかなと思って、実は戦略指定研究の続編として今、聴感実験もやってるんです。しかし、残念ながらtonal audibilityの値によってペナルティの値を決めるだけの知見が不足しているので、今の段階でそれを決めるのは難しい。
 だから、この間、行木室長にもご意見を聞かれたときにお願いしましたけれども、やはりこの純音性成分については純音性成分を出さない機種をなるべく選択するような、行政的誘導、それからインセンティブを何かつける。それをぜひどこかに明記しておいていただきたい。純音性成分が非常に気になるということは事実ですから、絶対にそういうことが起こらないような指導的な、定性的な記述で結構ですからどこかに盛り込んでください。ぜひお願いしたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
【行木大気生活環境室長】 橘先生、ありがとうございます。今ご指摘の累積影響のところ、それから純音性成分の対象というのは、どちらも非常に大変な、重要な点だと思います。現在お示ししております報告書の中で、まず、23ページのところ、3-2、設置前における調整・予測の直前のパラグラフでございますけれども、純音性成分を含む場合の煩わしさ、それから、既に風力発電施設が設置されている場合の騒音の累積的な影響に関して記述をしておりまして、これらの場合につきましては、把握に努めるとともに、その煩わしさが大きくなる可能性があるという点にも十分留意をし、実行可能な範囲で騒音の影響を回避・低減することが望ましいと、まず記載しております。
 それから、31ページでございますが、先ほど、資料説明の中でも触れさせてはいただいておりますけれども、機械に、風力発電施設のメーカーの違いで同じ定格出力でも音、音響パワーレベルが随分下がるということ。それから、純音性成分に関しましては、既にIEC61400-11などで、その測定の方法は国際的にも比較があるところですので、そういったものでしっかり確認をして、より騒音レベルが低い機種を選定することが重要であるということを記しております。
【町田座長】 ありがとうございました。
 今、後半部分について議論をいただいておりますが、前半部分で先ほど言い残したこと等ありましたら、ご発言をお願いしたいと思います。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 エディトリアルなんですけれども、22ページの一番大事な、大きな括弧でくくってある一番大事なところの評価の目安、この「目安」というのはさっき議論しましたけど、となる値と書いてあります。※で「ただし」と、その後、ここでは要らないんじゃないですか。「ただし、残留騒音が著しく低く」というところまで3行は、これは前にも書いてあるし。こういうのは簡潔なほうがいいと思うんです。
 それから表現として、22ページの上から3行目、「生活環境保全上必要なレベル以上に騒音低減を求めることになるおそれがある」、これ「おそれ」というんですかね。「求めることにもなり得る」でいいんじゃないですか。「おそれ」という言葉は裏に何かあるなという感じ。そういうようなところが幾つかありますんで、ここで全部やっているとあれなんで、どうしようかな。
【町田座長】 議論の時間もありますが、括弧内のご指摘はわかりましたでしょうか。よろしいですか。
【行木大気生活環境室長】 確認でございますが、括弧内のところは、「ただし」から「おそれがある。そのため、」までは繰り返しなので要らないということでございますね。はい、承知いたしました。
【橘委員】 だと思います。参考までです。
【町田座長】 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 デンマークで10Hzから160Hz、要するに低周波音領域のA特性をつけた音圧レベル、LpALFと略しているやつで量ですが、それで室内で20dBを限度とすると書いてあります。この点について、戦略指定研究の分析データで160Hzまでに切って、dBA計算したLpALFの値と、オーバーオールのdBAとを比較すると約7.5dBの差があることが分かりました。当然、周波数を上の方へ広げれば値は大きくなる。デンマークの低周波音のA特性音圧レベルというのは、普通のdBAでいけば、室内27.5dBということになる。そのぐらいに抑えなさいと言ってることに相当するということ。参考までです。
【町田座長】 はい、ありがとうございました。
 ほかに、ご意見よろしいですか。
 評価の目安となる値について、また、そのベースとなる残留騒音の計測等々、さまざまな観点からご意見をいただきまして、ありがとうございました。今後の報告書の扱いについては次の議題とも関連いたしますので、事務局から議題(2)今後の進め方について、まず説明をお願いいたします。
【木村大気生活環境室振動騒音係主査】 では、事務局より資料2につきまして説明をいたします。
資料2、今後の進め方についてということで、1枚紙なのですが、今年度の第1回の検討会を5月に、第2回の検討会を本日7月19日に行い、ご議論をいただいたところでございます。これで委員の皆様のご了解がとれますれば、この後、約1カ月間、パブリックコメントを行いたいと思っておりまして、その後、本年度、第3回の検討会を秋ごろに開催したいと思っております。こちらでパブリックコメントの結果につきましてご報告をいたしまして、最終的な報告書の取りまとめということで、今のところ考えてございます。
本日のご議論の中でも何度か出てきました測定評価マニュアル、それから、発出の形態につきましては、今後、環境省におきましてマニュアルの策定を進めること。それから、どのような形態で行政的に発出するのかということにつきましては、また内部で検討させていただきまして、適切な形で公表するということにさせていただきたいと思っております。
簡単ではございますが、以上です。
【町田座長】 資料2について説明をいただきました。ありがとうございました。
 この内容について、確認事項、ご質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 43ページを見て、地域住民の理解促進というところですね。すごく大事なのは、今日いろいろ議論した「目安」だとか「下限値」という言葉が出てきましたけれども、風車をつくると音はある程度聞こえますよということを理解してもらう必要がある。風車はつくりますが、音は全く聞こえませんよというんでは嘘になる。聞こえるけれども、この程度に抑えますと。地域住民の中には、人によっては聞こえること自体がけしからんという方もいらっしゃるし、非常にセンシティブな人もいますし、それから、見えるだけでも嫌だという人もいます。だから、何とかやらせてよねという理解じゃなくて、やっぱり再生可能エネルギーを使っていかなきゃいけないんだ、これから原子力ばっかりに頼っていられないんだとか、我々の使っているこの電気がこうやってつくられているんだとか、あるいはもうちょっと現実的に、これが回っているお蔭で我々、電気代がどのくらい安くなっているんだとか、これは非常に打算的に聞こえますが、こういうことを理解してもらう必要があると思います。だから、きれいごとばっかり言わなくて、エネルギー政策上風車を作ると必ず音は聞こえます、だけど、それをこの程度に抑えるんですというようなところで理解を得ないといけない。聞こえません、大丈夫ですというような説明の仕方で理解を求めようとしても無理だと思います。やっぱり環境省としても、エネルギー政策的な意味合いでの理解を求めていく必要があります。それを何とかうまくやっていただきたいと、ぜひお願いしたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございます。評価の目安となる値の考え方、大変大事な点だと思います。
 もう一点、事業者と住民とのコミュニケーション、大変難しいところもありますが、大変重要な点でございます。
 ほかにご意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
(なし)
【町田座長】 ありがとうございました。先ほど事務局から説明がありましたとおり、本日、議論をいただいた報告書(案)は、今後、パブリックコメントを行いまして、広く国民の皆様からご意見をお伺いすることとなります。
 本日いただいたご意見につきましては、大変難しい点もございましたが、座長の責任において、報告書(案)への反映について事務局と相談をし、パブリックコメントを開始したいと思います。パブリックコメントを行う報告書につきましては、座長の私に一任していただけますでしょうか。お諮りしたいと思います。
(はい)
【町田座長】 ありがとうございます。
 では、本日のご意見を反映した報告書(案)をパブリックコメントの対象とし、パブリックコメントの終了後に改めて、本検討会として報告書の修正案について議論をしたいと思います。
 それでは、本日の議題は以上でございます。
 進行を事務局にお返しいたします。ありがとうございました。
【行木大気生活環境室長】 本日は活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。報告書(案)につきましては、パブリックコメント開始の際、委員の先生方にはご連絡をさせていただきます。
 先ほど橘先生からお話があったところでございますけれども、風車騒音について正しくご理解いただくためにも丁寧なご説明するのは非常に大事なことと思います。風車からは音は出ると、超低周波音も出ると。だけども、それは普通の環境騒音と大きな違いがあるものではなく、また、国内外の文献でも健康影響についてもここまでわかっていると。問題となるアノイアンスを一定程度抑えるということをしていただくための目安をしっかりとつくっていきたいと、このように考えているところでございます。
 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、先生方にご確認をいただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、またご確認いただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、次回の検討会の日程につきましては、先ほど説明もさせていただきましたが、パブリックコメントの後、秋ごろを目途としております。改めて委員の先生方には追ってご予定をお伺いさせていただきたいと思います。
 それでは、これにて本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。