大気環境・自動車対策

平成27年度第3回(第6回)風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録

日時

平成28年1月5日(火) 15:00~17:00

場所

環境省 第2・第3会議室

出席者

(座長) 町田信夫

(委員) 沖山文敏、落合博明、佐藤敏彦、塩田正純、橘秀樹、船場ひさお、田中充、新美育文、矢野隆

(環境省) 高橋水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、江口総務課長、行木大気生活環境室長、百瀬大気生活環境室長補佐、松戸大気生活環境室振動騒音係長、出口大気生活環境室振動騒音係主査

議題

(1) これまでの議論の中間とりまとめについて

(2) その他

検討会資料一覧

資料1 風力発電施設から発生する騒音等への対応について 中間とりまとめ(案)

資料2 風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会開催要綱(改正案)

議事

【行木大気生活環境室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから平成27年度第3回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を開会いたします。
 委員の皆様方におかれましては、本当に、新年早々、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日、桑野委員より、体調不良のため急遽ご欠席というご連絡をいただいております。また、佐藤委員より、遅れてご参加とのご連絡をいただいております。
 本日の会議は、設置要綱に基づき、公開とさせていただきます。
 それでは、お手元に配付した資料について、ご確認をさせていただきます。
 議事次第がありまして、まず資料1、風力発電施設から発生する騒音等への対応について、中間とりまとめ(案)。それから、資料2、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会開催要綱(改正案)。
 以上でございます。資料の過不足や不備等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 これ以後の進行につきましては、町田座長にお願いをいたします。
【町田座長】 改めまして、新年明けましておめでとうございます。
 座長の町田でございます。
 早速ですが、議事に入らせていただきます。
 まず、議題(1)これまでの議論の中間とりまとめについて。事務局から資料のご説明をお願いいたします。
【百瀬大気生活環境室長補佐】 そうしましたら、改めまして、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 それでは、私のほうから、資料1につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。少しお時間をいただきまして、少し長くなるかと存じますが、ご容赦いただければと思います。
 本資料につきましては、事前に委員の皆様からのご意見をいただいております。改めまして、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 可能な限り、先生方のご意見を反映しておりますけれども、一部やはり調整の過程で反映していないところもあろうかと存じます。その点につきましては、後ほど改めてご議論させていただければと考えております。
 それでは、説明に移りたいと思います。
 まず、表紙をおめくりいただければと存じます。
 表紙の裏には目次がございます。
 目次で、構成といたしましては、「はじめに」ということで、背景を記載させていただきまして、2.として、これまでに得られた知見ということで、各種研究や諸外国の基準などを記載させていただいております。3.といたしまして、風車騒音の調査・予測及び評価手法、対応策等ということでございまして、本中間とりまとめのキーになる部分になります。また、4.として、本報告書の活用と今後の課題ということでまとめてございます。5.として参考文献を列記させていただきまして、参考として、先生方の名簿や風車騒音に係る音響用語の解説を掲載させていただいております。
 それでは、中身の説明に入らせていただきます。
 まず1ページ目をご覧いただければと思います。
 1ページ目には、「はじめに」ということで背景を書いてございます。
 風力発電施設につきましては、再生可能エネルギーの中でも風力による発電は、大気汚染物質や温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることからエネルギー安全保障にも寄与できる重要な低炭素の国産エネルギー源の一つであり、日本の「エネルギー基本計画」においても、大規模に開発できれば発電コストが火力並であることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源として位置づけられてございます。
 そういった背景のもと、現在では、平成26年までに2,034基が導入されてございまして、今後、さらに4倍近くに増加することが予想されてございます。
 一方で、風力発電施設は、風を受けブレードを回転して発電する構造上、一定の音が出ますので、発生する音は非常に大きいものではありませんが、風向風速等の気象条件が適した地域を選択する必要性から、もともと静穏な農山村部に建設されることが多いため、比較的小さな騒音レベルであっても苦情等が発生している事例がございます。
 そういった中で、アセス法の施行令も整備されてございます。
 そういった背景を踏まえまして、本検討会では、風力発電施設の設置事業者・製造事業者の皆様、行政、地域住民等の関係者の皆様の参考となるように、風車騒音の特徴や受音側の影響に関するこれまでの知見を取りまとめ、風車騒音の環境影響に関しまして、調査、予測、評価手法について整理・検討をいたしまして、それを整理したものを3ポツに記載してございます。また、これらを踏まえて今後の課題というのを4.で記載させていただいております。
 それでは、3ページ目をお開きいただければと思います。
 3ページ目からは、「これまでに得られた知見」ということで、各種なされていた研究等の知見を整理させていただきました。
 まず、1点目といたしまして、風車騒音の実態と環境影響に関するこれまでの研究等の知見ということで、(1)風車騒音に関する物理的な実態の研究等をまとめさせていただいております。
 騒音の実測調査といたしまして、平成22年度から3年間かけて行われました戦略指定研究の結果をまとめてございます。
 グラフを使ってご説明させていただきます。次のページをお開きいただければと思います。
 4ページ目の図2でございますが、こちらは、全国29の風力発電施設周辺の164地点における風車騒音の周波数特性の分析結果となってございます。横軸は周波数で、縦軸が1/3オクターブバンドの音圧レベルとなってございます。こちらの黒で記載されています、太くなっていますのが、これが風車騒音の音圧レベルということになります。
 これを見ますと、超低周波音と言われます20Hz以下の音に関しましては、Moorhouse他による限界曲線よりも下回っているということでございまして、これを見ますと、20Hz以下の音は聞こえない、または感じないといったレベルであると。また、20Hz以上の音につきましては、こちらの限界曲線を超えてございますので、こちらの20Hz以上の音につきましては聞こえるということが確認されております。これらを踏まえますと、風車騒音は、超低周波音による問題ではなく、聞こえる環境騒音として議論すべきではないかという知見がまとめられてございます。
 また、図3といたしまして、風力発電施設周辺における等価騒音レベルと対照地域における95%騒音レベルの比較をしたグラフを掲載しています。このグラフを見ますと、黄色で描いておりますのが風力発電施設周辺のデータとなってございますが、こちらが約25~50dBで、また、その背景の対照地域の音でございますが、こちらは約15~35dB程度となってございます。これを見ますと、ほかの環境騒音に比べて、それほど高いとは言えませんが、耳に聞こえるレベルであり、一般にきわめて静穏な地方部に立地する風力発電施設周辺の居住地域では深刻なわずらわしさを引き起こす可能性がある、という知見としてまとめられてございます。
 また、5ページ目をおめくりいただければと思います。
 5ページ目でございますが、図4には、A特性音圧レベルとC特性音圧レベルとの比較をしております。この結果を見ますと、C特性音圧レベルよりもA特性音圧レベルのほうがラウドネス評価に適しているということが明らかになったということでございます。したがいまして、風車騒音の評価には、一般環境騒音と同様にA特性音圧レベルを主要な評価尺度として用いてよいという知見としてまとめられてございます。
 また、戦略指定研究とは別でございますが、5ページ目の後段に、落合先生の文献を引用させていただきまして、屋内外の音圧レベル差について記載させていただいております。こちらによりますと、風車の騒音につきましては、窓を閉めた状態の場合につきましては、内外音圧レベル差が11~18dBと。やや特殊なケースでございますが、玄関扉を開放した状態でのレベル差は7dB程度ということでございまして、こちらのデータというのは、ほかの騒音と比較して風車騒音の屋内外のレベル差が小さいということを示しているということでございます。
 続きまして、6ページ目をお開きいただければと思います。
 こちらには、騒音の予測手法について、ISOの方式とNEDOのマニュアルで記載されております2手法について、その特徴を整理させていただきました。
 まず一つ目のISOにつきましては、騒音発生源の音響パワーレベルを用いまして、騒音の減衰について一定の周波数のオクターブバンドごとに個別に計算いたしまして、最終的にオーバーオールの等価騒音レベルを求めるといった予測手法となってございます。
 また、2点目の②ということで、風力発電のための環境影響評価マニュアル(第2版)、こちらがNEDOマニュアルに記載されているものでございますけれども、こちらは、風力発電施設を点音源としてモデル化いたしまして、風力発電機の製造事業者等から示される音響パワーレベルを用いて予測するといった方式となってございます。
 続きまして、6ページの一番下の(2)ということで、少し話が変わりまして、風車騒音の人への影響に関する研究について整理してございます。
 人への影響に関しましては、国際的にもいろいろ注目をされておりますが、風車騒音とわずらわしさの間には統計的に有意な関連が繰り返し報告されているということでございます。
 次のページに移らせていただきます。7ページ目をお開きいただければと思います。
 7ページ目に、さらに、1行目からですけれども、一方で、20Hz以下の超低周波音と健康等への影響については、今のところ明らかな関連を示す知見は見当たりませんでした。また、景観を汚されたことへの感受性等がアノイアンスに大きく影響するといった知見もみられてございます。これらの風車騒音の人への影響に関する研究のうち主なものについて表1として例示させていただきました。
 8ページ目をご覧いただければと思います。
 8ページ目には、その主な研究を例示として挙げてございます。
 例えば、カナダ保健省につきましては、アノイアンスは、風車騒音が35dB以上になると統計的に有意に増加という知見等が書かれてございます。
 また、矢野先生の論文では、風車騒音とアノイアンスについて量反応関係が得られたと。
 また、桑野先生らの知見では、風車騒音は交通騒音に比較してよりわずらわしさを感じやすい、ということが記載されてございます。
 また、橘先生の論文では、20Hz以下の音の寄与は極めて小さいと。被験者が訴える耳障りな音といたしましては、振幅変調音によるものが顕著であった、というような知見がまとめられてございます。
 続きまして、9ページ目をお開きいただければと思います。
 9ページ目からは、風車騒音の聴感的な特徴ということでまとめてございます。
 まず、聴感的な特徴といたしまして、一般に騒音に関する苦情というのは音の大きさ自体が原因になることが多いということでございますが、風車騒音に関しましては、元来静かな地域に設置されるといったこともございまして、元々地域の騒音が大きい地域と比べて感知しやすい、聞こえやすいと。また、風力発電施設から発生する低い周波数の音への懸念、また、風車騒音の音の性質などに特徴が見られております。
 まず、立地環境と周辺環境ということでございますが、風力発電施設は、風況を踏まえまして十分な風速を確保できる地域に設置する必要がございますので、結果的に、山間部など、残留騒音が極めて低い地域に設置されることが多いという特徴がございます。そのため、風力発電施設からの音のレベルは比較的低くても、小さくても、風力発電施設停止時の背景的な騒音レベルが小さいために感知しやすく、気になりやすいという特徴があるということでございます。
 10ページ目をお開きいただければと思います。
 10ページ目の上の図5は、骨子でもお示しさせていただいた図でございますが、特定騒音、総合騒音、残留騒音、暗騒音について図式化したものでございます。こちらにつきましては、後ろの参考のほうにも詳細な説明をしてございます。
 また、(2)ということで、発生する音の特徴・性質についてまとめてございます。
 風力発電施設は、他の施設から発生する騒音と比較いたしまして、より低い周波数の騒音が発生していると一般に思われてございますが、2-1.で示しましたとおり、20Hz以下の音に関しては、音圧レベルが聴覚閾値を超えるものは確認されておらず、また、次のページの図6にも示してございますが、他の様々な騒音の実測値と比較いたしましても、風車騒音で特に低周波数成分の騒音の卓越が見られるわけではないということが明らかになってございます。
 次のページの11ページ目をご覧いただければと思います。
 11ページの図6でございますが、こちらの一番下のオレンジで示している図が風車の騒音になりますけれども、ほかの騒音に比べても、特に低周波数成分が多いといったような、卓越したようなものが見られないということがわかるかと存じます。
 また、2-1.で示しましたとおり、風力発電施設のブレードの回転に伴い、騒音の大きさが周期的に変動する振幅変調音が発生いたしまして、これがわずらわしさにつながると。また、これとは別に、風力発電施設内の変速機や冷却装置等から、純音性の周波数成分が発生するということがございます。このような純音性成分が含まれているとわずらわしさが著しく高まるということがございます。
 次のページをおめくりいただければと思います。
 次は2-3.ということで、風車騒音に関する諸外国の基準等ということで記載させていただいております。こちらの内容は、骨子とほぼ同じ内容となっておりますので、説明は省略させていただきたいと思います。
 続きまして、14ページ目をお開きいただければと思います。
 14ページ目からは少し話が変わりまして、今までの知見を踏まえまして、風車騒音の調査・予測及び評価手法、対応策等について整理をしてございます。
 こちらにつきましては、2.で示しました知見を踏まえますと、風車騒音は、20Hz以下の超低周波音の問題ではなく、"聞こえる"環境騒音としてとらえるべきものであり、A特性音圧レベルを測定することを基本とする、と書かせていただいております。そのような前提の上、ここでは、風力発電施設の設置前・後に、主に風力発電施設の設置事業者様を想定いたしまして、行っていただくべき調査・予測及び評価の手法をとりまとめてございます。また、今後の課題というものも明らかにさせていただいております。
 注といたしまして、「超低周波音」について少し補足を加えてございます。
 国際的な動向も踏まえまして、環境影響評価法におきましては、現在、主務省令では、「騒音」と「超低周波音」という用語を使ってございまして、「低周波音」という用語を用いないとしてございます。
 これらの状況を踏まえまして、本報告書では、20Hz以下の音を「超低周波音」と記載いたしまして、それ以外の音につきましては、20Hz~100Hzまでの音も含んだ音を「騒音」と表記することとしてございます。
 14ページ目の中身に入っていきたいと思います。
 まず、3-1.といたしまして、設置前段階における調査・予測及び評価の手法について、記載しております。
 こちらにつきましては、実際、その残留騒音を測定いたしまして、それをもとに、ISOやNEDO式の予測手法等を用いて、その土地の風車の音を予測するということになりますが、具体的な手法について、以下のところで記載をしております。
 まず、調査の手法ということでございますが、こちらにつきましては、三つに分けて記載しております。一つは音源特性でございまして、二つ目が伝搬特性、そして三つ目が受音点の状況ということでございます。
 15ページ目をお開きいただければと思います。
 15ページ目は、例えば①でございますが、音源特性に関する調査に当たっての留意事項について記載してございまして、例えば純音性の周波数成分の有無など、そういったものを留意点として書いてございます。
 また、②の伝搬特性といたしましては、例えば反射や吸収、回折現象など、そういったものを把握するなどの留意点を記載させていただいております。
 また、③といたしまして、受音点の情報について留意事項を書いてございます。例えば学校、病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設の配置の状況や住宅の配置の概況など、そういった留意事項を記載させていただいております。
 続きまして、16ページ目をお開きいただければと思います。
 ④は、具体的な手法について書いてございますが、重要なところなので、少し時間を割いてご説明させていただきます。
 その地域の音環境の状況といたしまして、残留騒音を測定するということでございますが、残留騒音で、括弧で、すみません、少し文字が抜けてございますが、訂正させてください。「適切に除外音処理した暗騒音」ということでございます。事務局のミスで、大変申し訳ございません。「適切に除外音処理した暗騒音」ということで、お願いいたします。
 こちらにつきまして、「残留騒音」と裸で書いてしまいますと、各種、皆様の誤解を招くといったご指摘もございまして、より、皆様にご理解いただけるように、「適切に除外音処理した暗騒音」という記載を併記させていただいております。
 では、実際に除外音処理すべき音といったものは何なのかということでございますけれども、風力発電施設は、山間部など比較的静穏な地域に設置されるということを踏まえまして、受音点の元々の騒音レベルを適切に把握するために、除外音処理すべき音というのは以下の①、②、③であるということで記載しています。
 なお、風力発電施設は、風が吹いている状況で稼働するものでありますので、葉が摺れる音などの風に伴う騒音といったものは除外しない、と書かせていただいております。ただし、風が騒音計のマイクに当たることによって生じる「風雑音」は取り除くということで書いてございます。
 まず、一つ目の除外すべき音ですが、例えば通常は発生しないような人工音ということでございまして、こちらは、例えば近隣を通過する自動車の音や航空機騒音などの一過性の騒音といったようなものとか、古紙回収車などのスピーカーを使った移動販売等のそういった音、といったものが挙げられます。
 また、2点目といたしまして、平常でない自然音ということでございますが、カエルやカラス・セミ・秋の虫など動物等の鳴き声等、そういったものを書いてございます。
 また、3点目といたしまして、測定による付加的な音ということで、測定音に対する話しかけとか、測定を見つけての自転車ブレーキ音など、そういったものも取り除く対象として書いてございます。
 続きまして、イ.調査機器等でございますが、ここには、具体的な調査機器について掲載をさせていただいております。
 17ページをご覧いただければと思います。
 17ページには、図4といたしまして、橘先生たちの研究で使われました、12面体の各面にネットを張った二次防風スクリーンの写真を掲載しております。こういったものも活用できるということで、ご紹介をさせていただいてございます。
 また、17ページのウ.調査地域・地点ということでございますが、風力発電施設の立地が決定している地点に加えまして、その周辺の住宅など、特定の音源の局所的な影響を受けず地域における平均的な騒音レベルを評価できると考えられるような地点を選定する必要がある、ということで書いてございます。測定につきましては、建物外部で地面を除く反射物から3.5m以上離れた場所で行うということでございまして、こちらの3.5mといいますのは、一般の騒音とか、そういったものの騒音マニュアルと同じ記載とさせていただいております。
 続きまして、調査期間・時間でございますが、年間の状況を正確に把握するため、風車が稼働する代表的な気象条件ごとに調査を行う、ということで書いてございます。
 次のページをおめくりいただければと思います。
 18ページ目の一番上でございますけれども、1回の調査期間は、気象条件の影響による騒音の時間変動特性を考慮した上で、適切に期間を定める必要があると。風は吹くときと吹かないときがあり測定値が安定しないということを踏まえまして、原則、調査は3日以上ということで書かせていただいております。また、昼間と夜間の時間帯について、それぞれ把握すると。また、測定は、原則調査期間内においては連続で行うということでございます。
 続きまして、(2)予測手法でございますが、こちらでは、2.でも紹介させていただきましたISOとNEDOの方式による予測手法について少し触れてございますが、それぞれ特徴がございまして、例えばISOは、NEDO式と比較いたしまして、詳細な条件を組み入れることができますが、予測計算がやや複雑でございます。また、山間部に設置する際等、地表面からの反射の影響が問題となる場合に反射率をどのように算定するかといったようなことが課題となります。一方で、NEDO式に当たりましては、ISOと比較いたしまして、簡易に使用できますが、気象影響などの考慮が困難となります。したがいまして、これらを用いる場合には、これらの特性について十分に留意する必要があるということで書いてございます。
 続きまして、②の具体的予測手法ということでございますが、こちらにつきましては、風力発電施設の音響パワーレベルを基に、今ご紹介申し上げましたISOやNEDO式などの騒音の伝搬予測手法を用いまして住居等のある受音点における騒音レベルを求めまして、現地調査により測定した地域の残留騒音を加味いたしまして、予測値を求めるということになります。残留騒音につきましては、原則といたしまして等価騒音レベルを用いることになりますが、道路交通騒音など、一過性の騒音の除去はなかなか難しいという状況もございますので、90%時間率騒音レベルや95%時間率騒音レベルを測定いたしまして、その結果に2dB程度を加算することによって等価騒音レベルが推定できますので、これについて紹介させていただいております。
 今申し上げたことは、19ページの上段にかけても記載をしてございます。
 この方法によりますと、煩雑な除外音処理をしなくても安定した結果が得られるということで、記載をしてございます。
 続きまして、(3)ということで、評価手法について書いてございます。
 評価手法でございますが、通常、騒音の影響を評価する場合には、設置前の現状を調査いたしまして、施設から発生する騒音によって、地域の騒音にどの程度影響を及ぼすかを評価するということになってまいります。評価に当たりましては、騒音の影響につきまして「実行可能な範囲内で回避され、又は低減されているものである否か」の検討や、「国又は地方公共団体によって環境の保全の観点からの基準又は目標が示されている場合には、これらとの整合がはかられているか否か」ということについて検討を行うこととなります。
 回避・低減に係る評価について、2段落目に書いてございまして、また、基準等の整合性に係る評価については、19ページの3段落目に記載をさせていただいております。
 続きまして、20ページ目をお開きいただければと思います。
 これらの評価の結果、影響の回避・低減が不十分と判断されるような場合には、再度検討していただき、実行可能な範囲内で騒音への対応策を講じていただくと。また、近隣に同様の風力発電施設を設置する場合には累積影響についても可能な限り配慮する、ということで記載をさせていただいております。
 続きまして、3-2.では、設置後段階における調査及び評価の手法を記載してございます。
 1点目は調査手法ということで、(1)調査手法でございますけれども、これらについて、調査地域・地点、また、イ.として調査期間・時間といったものを書いてございます。イ.の調査期間・時間の3段落目をご覧いただければと思いますが、風車騒音は風況によって大きく変化し、稼働・停止を繰り返すことが多いということでございますので、測定は風力発電施設の稼働状況を踏まえた、適切な時間帯に行う、と書かせていただいております。一例といたしまして、10分間の時間平均レベルを測定いたしまして、代表値とするという方法を挙げさせていただいております。
 21ページ、次のページをご覧いただければと思います。
 (3)ということでございますが、評価方法としては、事後調査の結果と予測結果とを比較いたしまして、予測値の検証を行うとともに、現実の状況について評価を行うということでございます。
 続きまして、3-3.騒音への対応策でございますが、このパートでは、本検討会のもとに設けられました風力発電施設に係る騒音対策技術等に関する分科会でご議論いただきまして、このときに、設置事業者の皆様や製造事業者の皆様からヒアリング等をさせていただいて、事業者の皆さんが今後対策の参考となるような具体的な事例について整理をさせていただきました。
 まず、1点目として、対策技術的な事項ということでまとめてございます。
 少しおめくりいただきまして、23ページ目をご覧いただければと思います。
 23ページ目には、機械等に係る騒音低減の取組ということで、表としてまとめてございます。例えばナセルにおきましては、固体伝搬音に対する機器対策といたしまして、低振動型機器を使用するとか、増速機につきましては、メンテナンス・修理による低振動化を行う。また、コンバータ、冷却ファンの関連では、サイレンサーを設置するなど、そういったような取組や、実際にやられているような事例というのが見られてございます。
 続きまして、24ページ目をお開きいただければと思います。
 24ページ目では、空力音に係る騒音低減の取組といたしまして、表としてまとめてございます。
 1例といたしまして、例えばブレードに関しましては、先端のナイフエッジ化や、ツイストバックの導入等による低騒音化といったような取組が見られました。
 また、3)ということで風車制御に係る騒音低減の取組でございますが、例えば風車回転翼の制御ということで、周速を抑制することなどにより騒音の低減を図るというような取組の事例もございました。
 続きまして、25ページ目をお開きいただければと思います。
 25ページ目では、(2)ということで、設計・運用的な事項ということでまとめてございます。
 1点目としては、1)ということで、設計・計画時になされる騒音対策ということでまとめてございます。1例といたしまして、音響データ等の測定状況ということで、機種別及び風速別に音響パワーレベルを測定するといったような事例が見られてございます。
 また、26ページ目をご覧いただければと思います。
 26ページ、2)でございますが、設置・稼働後になされる騒音対策ということでまとめてございます。1例といたしまして、風力発電施設の機器の交換ということでございまして、風力発電施設の設置事業者と製造事業者の間で頻繁に打合せを行って、不具合等が確認された場合は新たな部品が開発され次第、すぐに交換を実施するといったような取組も実施・検討されているということでございます。
 続きまして、27ページ目をお開きいただければと思います。
 27ページ目には、関係者間のコミュニケーションについて書いてございまして、関係者間でのコミュニケーションを推進していくことが重要であると。具体的な事例ということで、次のページから表にまとめて記載をさせていただきました。
 28ページをお開きいただければと思います。
 例えば、具体的な1例といたしまして、騒音等に係る説明ということでございますが、関係機関の皆様と協力して、超低周波音等の適切な説明を案件ごとに繰り返し実施する、といったようなものが挙げられております。また、現地の地方公共団体との協力ということでも例がございまして、施設設置計画におきまして、地方公共団体の長から、地元住民に対して設置に係るメリットやデメリットの説明をしていただき、総合的に判断をしていただくといったような事例もありました。
 続きまして、29ページをご覧いただければと思います。
 今、3-3.でお示ししました対応策に関しまして、今後さらに必要と考えられる取組についてお示しさせていただきました。
 1点目といたしましては、対策技術的な事項ということで、一つは、短期的な事項ということで、例えば風力発電施設の固体伝搬音やブレードの空力音などにつきまして、導入可能な対策などの対策とか、騒音低減効果の整理や適切な情報発信といったものを記載させていただきました。
 また、中期的事項といたしましては、音の性質に着目した技術対策などを挙げさせていただいております。
 (2)といたしまして、設計・運用的な事項ということで、こちらも短期的な事項として、例えば個別施設におけるデータの収集・蓄積というのを図りまして、風力発電施設のスペックの設定における騒音等に係る情報整理などを挙げさせていただいております。
 また、中期的事項といたしましては、関係者間での継続的に環境対応を深めていただくということが重要であるということで、記載をさせていただいております。
 続きまして、30ページをご覧いただければと思います。
 こちらは、関係者間のコミュニケーションということで、こちらも短期的事項として、例えば、より一層の環境保全対策を中心とした研究の促進を進めるといったようなことを書かせていただきました。
 また、中長期的な事項といたしましては、安価で取り扱いやすく利用しやすい技術や対策の検討というのを挙げさせていただきました。また、風車騒音のわずらわしさは何らかの恩恵を被る住民間では低いということもございまして、風力発電施設の設置に対する受容性が上がることも踏まえた検討が必要であるということも記載をさせていただいております。
 以上が、3.の調査・予測手法の関連でございます。
 続きまして、31ページ目をご覧いただければと思います。
 こちらは、今まで書かせていただいた内容を踏まえまして、本報告書の活用と今後の課題ということでまとめた章となってございます。
 まず、31ページの2段落目でございますが、本報告書が関係者間におきまして技術的な調査事項に限らず、関係者間のコミュニケーション等のソフト面の対応を含め活用され、よりよい取組・対策が行われることを期待したい、と書いてございます。
 1点目として、(1)ということで、設置事業者・製造事業者の皆様による活用と課題ということで、まとめて書いてございます。
 その中で、例えば設置事業者の皆様と住民の皆様の円滑なコミュニケーションを推進するための各種ツールの開発などといったことを課題として、記載をさせていただきました。
 31ページの一番下の(2)行政による活用と課題ということでございますが、こちらにつきましては、地方公共団体の皆様が設置事業者の皆様や住民に対する対応をする時に適切に活用していただくといったようなことを書いてございます。
 32ページをお開きいただければと思います。
 また、行政側の今後の課題ということで、大きく二つ挙げさせていただいております。
 1点目といたしましては、風力発電施設の技術・運用、普及啓発等に関する事項ということでございまして、こちらにつきましては、例えば、苦情に適切に対応できるようマニュアル等を整備・反映など、そういったものを挙げさせていただきました。また、洋上風力につきましても、現時点では知見が不十分でありますので、今後、各種調査を進め、問題点が明らかになればその対応策について検討することが必要である、ということを書いてございます。
 また、②ということで、風車騒音の評価の考え方ということで、こちらは、骨子でも少し触れさせていただいておりますが、改めて記載をさせていただいております。
 まず、平成24年度に環境省が実施しました調査業務におきまして、35dBとするなどの提案がなされてございます。
 一方で、農山村部であっても海沿いであり暗騒音が高い地域であれば、風車が工業地帯に設置されるような場合もございます。
 また、風車の機種によっては、その発生騒音の中に卓越した純音性成分を含むというような事例もございます。このような場合には、A特性音圧レベルの増大はわずかでも、交通騒音等に比較してわずらわしさを感じる人が多くなる傾向にございまして、風車騒音の評価の中で十分注意する必要があると。
 また、静穏な地域におきましては、騒音発生施設周辺の宅地の立地や開発状況などの風車特有のわずらわしさの捉え方等について、総合的に議論を行っていくという必要がございます。この点に関しましては、風力発電施設に限らず静穏な地域に立地する全ての騒音発生施設を対象に検討する必要がございまして、今後、諸外国の事例・制度等の調査といったものについてさらに精査を進め、我が国における静穏な地域での音環境の評価のあり方について、調査・検討を実施する必要がある、ということでございます。
 次のページの33ページ目に移っていただければと思います。
 33ページの一番上から4行目のところですが、上記の点に留意いたしまして、振幅変調音など風車特有の問題、時間や地域における差異などを考慮いたしまして、地域ごとの音環境の状況を踏まえた風車騒音の評価水準等について、早急に検討していく必要があるということで記載をさせていただきました。
 また、(3)としては、地域住民の理解促進ということで記載をさせていただいております。
 中身については以上でございますが、続きまして、次のページからは、34ページにおきましては、参考文献を整理させていただきました。また、35ページでは、参考1といたしまして、先生方の名簿。また、36ページでは、参考2といたしまして、分科会の名簿を入れさせていただいております。また、37ページ以降でございますが、参考3といたしまして、音響用語の解説ということで、例えば先ほど少し触れさせていただきました、「残留騒音」などの解説や、「デシベル」といったような言葉や、「A特性」、「C特性」など、そういったことについても少し解説を加えてございます。
 1点だけ、本日、桑野先生が急遽ご欠席になられた関係で、先生のご意見を一つご紹介させていただきます。
 一番最後の42ページでございますが、「閾値」について解説を加えておりますが、これにつきまして、1行目の記載がやや曖昧ではないかというご指摘を賜りまして、こちらにつきましては、音響用語辞典から先生からご紹介をいただいておりまして、例えば、「間隔を生じる最も小さな刺激値」というような表現で、用語辞典では書かれてございまして、これらを参考として、今後考えたいと思います。
 少し長くなって大変恐縮ですが、以上、私からのご説明でございます。どうもありがとうございました。
【町田座長】 ありがとうございました。
 中間とりまとめ(案)全般についてご説明をいただきました。
 それでは、ただいまの説明に対して、これから議論をいただきたいと思います。
 なお、質疑等につきましては、議論も多いことでございますので、三つに区切らせていただきたいと思います。区切りを先にご紹介いたしますと、目次のところにございますように、「1.はじめに」と「2.これまで得られた知見」を最初の区切りとさせていただきます。それから、「3.風車騒音の調査・予測及び評価手法、対応策等」を二つ目の区切り。それから、三つ目の区切りとしては、「4.本報告書の活用と今後の課題」でございます。最後に全体質疑を行いたいと思います。
 このような段取りでこれから議論をお願いいたします。では、初めに、報告書(案)の1ページから13ページまでの内容について、質問やご意見等ございましたらお願いいたしたいと思います。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 これは1、2だけでなくて、全体を伺っておかないと、表紙を見ると、「1月」というのは、今月パブリッシュするわけですか。要するに、これに絡む、風車騒音に絡む環境省としての取組は、どういうふうな段階で進めていくのか。こういうマニュアルの正式なものが次の段階で出るのか、あるいは、どういう形で風車騒音の環境アセスメントの基準みたいなものが環境省でつくられるのかどうか。あるいは、そのための委員会みたいなものが組織されるのかどうか。この辺を伺っておかないと、この報告書の位置づけがはっきりしないので、どこまで注文をつけていいか、わからない。
【町田座長】 橘委員のご意見について、環境省からお願いいたします。
【行木大気生活環境室長】 橘先生、ありがとうございます。
 表紙、「28年1月」と書いてありますが、これは事務局の希望でございまして、私どもといたしましては、たくさん課題はあろうと思っておりますし、引き続き検討しなければいけないことはたくさんあると思っておりますので、引き続き、この検討会でまた先生方とご議論させていただきたいと思っておりますが、現段階でわかっていること、現段階において課題と整理されていることにつきましては、一度、中間とりまとめということでまとめて、公表させていただきたいと思っているところでございます。
【橘委員】 その後はどうなんですか。
【行木大気生活環境室長】 その後については、例えば、今回、今後の課題とされている点で、風車騒音の評価水準などが大きな課題となっているところですが、この課題の検討を引き続きやっていきたいと思っておりますが、この課題、例えばその評価水準などにつきましては、結論を出す前に、風車から発生する音の実態などについて整理をして、ご議論いただくための材料を整理していくということが必要になっております。
 例えば、前回の検討会の中でも、風車の設置を検討されている場所での騒音の状況は、地域の分類を含めて整理をすることなどが宿題としてご指摘いただいたところでした。私ども今、取り組んでいるところでありますが、まだ作業に時間がかかっておりまして、少し時間をいただいて、そういった検討の材料となりますものも用意させていただいた上で、この先の議論は進めさせていただければと思っております。
 私どもとしましては、急ぎ準備を進めていきまして、年度が変わったころにはまた続きの議論が始められるように用意をしていきたいとは思っているところではございますが、一旦ここまでの議論のまとめということは、できましたら、この検討会からそう遠くない範囲で公表できるようにさせていただければと思っております。
【橘委員】 例えば、具体的に環境アセスメントをやっている地方自治体の審議会みたいなところにこれが渡されても、これで一歩進めるかどうか。はっきり言えば、やっぱり難しいという、まだはっきりしない状況にあるわけで、アセスメントをアクセレレートするわけにもなかなかまだ行かないのではないか、そんな印象があります。
 大分内容はインプルーブされたとは思うんですけど、住民とよく話し合いなさいと言ったって、やっぱり基準がないと何ともしようがないわけで、今までのマスコミその他の影響で、住民は、いくら超低周波音は聞こえないと言っても、納得はしないと思います。
【町田座長】 評価水準等、今後検討する事項は多々ありますけれども、これまで議論した中での中間とりまとめという位置づけになろうかと思いますが、その点を踏まえて、これからご議論をお願いいたしたいと思います。
 いかがでしょうか。
 塩田委員、どうぞ。
【塩田委員】 この報告書で明らかになったのは二つですね。風車騒音がわずらわしさと関係があったということと、超低周波音成分の存在はほとんどなかったと。これは、今まであやふやだった部分が明らかになったということでは評価できると思います。
 その中で、実は、長期的な曝露によるわずらわしさが、疾病のほうにつながっていくのかどうかというのが最大のポイントになってくると思いますが、そのところは実際まだわかってないわけですね。今まで、まだ明らかになっていないですよということは文章で書いてありますが、どういう内容がよくわかってないのか、例えば具体的に書けるようなものがあるのであれば、少し中に記載してもいいのではないかと感じがしたわけです。
 というのは、明らかになった部分のところを納得している方もいるだろうと思いますが、まだ、そこのちょっとあやふやな部分については何かあるんじゃないかと思われると、そういうふうにならないような形でできるのであれば、そうしていただけるほうがいいのではないかなと、ちょっと感じました。
【町田座長】 ありがとうございました。
 わずらわしさについては、資料の8ページの表1に、風車騒音の人への影響に関する主な研究というものの記載がございますけれども、わずらわしさ(アノイアンス)については、例えば矢野委員が言及されましたように、量反応関係が得られたという知見もあるわけでございます。
 一方、超低周波音につきましては、橘委員を始めとする戦略指定研究におきまして、超低周波音は関係しないという知見が得られたということは、皆さん、納得される点だろうと思っております。
 また、長期的な問題については、疾病等にどのように関連あるかという点は、別途研究がなされているかと思います。若干紹介をお願いできますか。
【百瀬大気生活環境室長補佐】 どうもありがとうございます。
 まず、8ページ目にも少し触れさせていただきましたが、例えばカナダ保健省におきまして、2ポツの「また」以下に風車騒音によるアノイアンスは、自己申告による健康影響や客観的指標と統計的に有意な関連がみられた、というような知見も出ているようでございます。
 いずれにしましても、先生ご指摘の点も踏まえまして、健康影響に関する更なる知見というのは精査していく必要があると思いますので、少しお時間いただきまして、今後も知見を整理していきたいと考えております。
【町田座長】 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 今、騒音制御工学会のほうでっていますけれども、その中で、デンマークの耳鼻科の臨床医のグループがまとめた100以上の広範囲の論文をレビューした文献の整理をしているところです。概要は、風車騒音はアノイアンスや睡眠影響の原因となっていることは確かだが、直接的な健康影響を示すエビデンスはないということです。
【町田座長】 ほかにご意見ございましたら、お願いします。
 田中委員、どうぞ。
【田中委員】 せっかくの機会ですので、2点。1点目は、今のご発言と重なるところがありますが、具体的には、6ページからです、風車騒音の人への影響に関する研究というのがありまして、ここに明確に、これまでの研究では超低周波音と健康等との影響については、明らかな関連を示す知見は見当たらなかった、このように明記されております。
 そこで、人への影響というワーディングといいますか、使い方と、健康等への影響という使い方があって、これは注意深く、恐らく書き分けられているんではないかなと思うんですね。
 先ほど塩田委員がおっしゃられたように、人への影響というのは、階層が何段階かあって、気になるという、アノイアンスということになるんでしょうか、気になるレベルから、アノイアンスというのはいらいらするとか、そういうところまで広がるんでしょうか。さらに、苦情を言いに行く、あるいは苦情として発言するレベルにまで。あるいは最終的には健康にかかわってくる。睡眠障害等が生じてくる。ということで、つまり騒音が、人への影響を及ぼすといったときに幾つか階層がある。そのことは意識しておいたほうがいいかなと思います。
 その上で、最後の結論のところにも関わりますが、風車騒音の環境への影響、あるいは重大な環境影響といったときに、何を注目するか。アノイアンスというところに注目するのか、あるいは健康影響なのか、あるいは、その中間の苦情なのかということですね。そこのところをどう考えるかということが、重要な評価の基準なのではないかと考えますので、ぜひ前段の前さばきのところで、人への影響といったときに、どういう考え方、レベルがあるかということを整理しておいたらどうか、というのが1点目です。
 2点目は、1ページの「はじめに」のところで、このレポートが書かれる背景、あるいは趣旨が書かれておりまして、4段落目です。「そのような中、平成24年10月に」と、こうなっており、「しかしながら」というところです。「風力発電施設から発生する騒音等の調査、予測及び評価に関しては、風力発電施設特有の事象を十分に考慮した手法がなく、その整備が求められている」とありますが、十分に考慮した調査予測評価の手法がない、というように言い切っていいのかどうかというのは、少し気になります。恐らく風車騒音に関する、人への影響ですか、そういうことに対する知見の集積とか分析が十分でなかった。あるいは、それに関するデータの集積であるとか、そういうことが十分でなかったことであって、これは、調査や予測、評価の手法は手法としてこれまできちんとやってきただろうと思うんですね。
 ということで、もちろん、十分な手法でないと言い切ってもいいかもしれませんが、それなりに、今までの方式のもとで一応やってきた。しかし、新しい知見もどんどん積み上がってきた中で、そうした手法を改善する、リニューアルしていく必要があるんだ。そういう問題意識で今回取り組むということではないか、と考えますので、この点は慎重に記述された方がよいかなと思いました。
 以上、2点です。
【町田座長】 ありがとうございました。
 人への影響については、階層があるということですね。影響という言葉自体はちょっと強く感じますけれども、刺激を受けると人間には反応が表れる。必ずしも、反応イコール影響と考えられないというような点もあります。
 それから、2点目のご発言でございましたけれども、1ページの調査・予測、評価に関する手法ですね。手法に関しては何か、環境省からご発言ございますか。
【早水大臣官房審議官】 ご意見ありがとうございます。
 確かに、健康影響のところについては、いろんな影響がありますので、健康への影響、また、人への影響といいますか、そこは整理したほうがわかりやすいかなと思います。
 1ページの「十分に考慮した手法」というところは、例えば、何回も出てきますが、風車騒音特有の、静かなところに立地するとか、スウィッシュ音が出るとか、見える場合と見えない場合と違うとか、そういったいろんな、風車のみに特に出てくるといいますか、留意しなきゃいけない事項が幾つかあると思いますので、そういう点の考慮がまだ十分でない、要するに、通常アセスでやられている騒音とかの評価方法がそのまま使えないんじゃないかというところに起因しているということがありますので、それを3章で整理してもう少しまとめようとしたというところかと思います。そこはそういう意味で書かれていると思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 上のほうがむしろ問題で、1ページの、田中先生ご指摘のより1行か2行上で、「風力発電施設を対象とした環境影響評価に関する手法等について一定の検討・取りまとめがなされてきた」、これを読んだとき、何の取りまとめがなされたのかなと、こちらのほうがむしろクエスチョンがついているんです。
 アセスの方法が何かできたような感じに受け取られてしまうのではないか。まさにそれがないのが今、問題なので。
【田中委員】 これは私の方から補足させていただきます。私もここに関わったものですから。
 アセス法改正が行われて、風力発電施設が新しく対象事業として位置づけられた、改正アセスで位置づけられたときに、環境アセス法に関わる基本的事項の取りまとめを行いました。風力発電施設に対する環境影響評価の基本的事項の検討をした。そのことが、「一定の検討・取りまとめがなされてきた」というところに含意されているんじゃないかと思います。その場合には、確かに、風車の騒音そのものは深くは検討されていませんでした。
【橘委員】 要するに、風車騒音がアセスの対象として取り上げられた、ということですね。
【田中委員】 そうなんです。そういうことが、この記述の背景にあると思います。
【町田座長】 新美委員、お願いします。
【新美委員】 私も、田中先生がおっしゃられたように、サイコソマティックな分析というのは今、随分進んでいますし、画像処理なんかも出ていますので、人に対する影響と健康影響というのは、ある意味で連続線上になりつつあるということですけれども、その辺の扱いは慎重になる必要があるだろうというふうに思います。
 それからもう一つは、12~13ページ、これも地域分類をしておるんですけれども、これは各国を見ますと、田園地域と工業地域、ドイツなんかは田園地域と工業地域、同じ値で、住宅だけ低くなっているとか、いろんなバリエーションがある。田園など静穏なところは低くなっているんですけれども、国によっては高くても構わんというような数値になっております。
 こういうことを見た場合に、そもそも田園地域とはどんな定義でやっているのか。各国によって違っているんじゃないかという感じがいたしますし、その辺り、地域という名前だけじゃなくて、どういう定義でこういう区分けをしているのかを見ておかないと、我が国でやるときも、どうしたらいいのか、同じ尺度ではかれない可能性がありますので、この辺をちょっと目を通しておいていただくとありがたいなというふうに思います。
 以上です。
【町田座長】 ありがとうございました。
 地域類型について、その内容をもう少し精査したらどうかというご意見かと思います。
【橘委員】 まさにご指摘のとおりなんですね。これをまとめたのは私なんですけれども、そこまで詳しいディフィニションというのはないんですよね。それから、全部英語で書かれていますから、例えばruralと書いてあるだけで、何て訳そうかなと。「田園」というと、何かベートーヴェンの「田園」みたいな感じで、のどかな感じがするんですけど。それから、北欧なんかはレクリエーション施設を一番厳しくしている。キャンプ地だとかが一番厳しいんですね。そういうふうに文化、生活の違いがありますから、非常に難しい。
 それから、国によっては人口密度で地域をまた分類している。だから、おっしゃるとおり、日本にはどれを適用すればよいのか、ということです。日本は、例えば地域類型1、2なんて書いてありますけれども、あれと対応させるというのは非常に難しいですね。こうじゃないかなというぐらいしか。
 
【町田座長】 落合委員、どうぞ。
【落合委員】 補足が一つですけれども、5ページに私の文献を入れていただいているんですが、内外レベル差のところですね。風力発電施設から発生する騒音は、従来の環境基準のもとになっているデータに比べて、内外レベル差が小さいというのも一つの今回の結果だと思いますが、ここで私の文献を載せていただいているんですが、橘先生なんかがやられた戦略研究の結果におきましても、同じような傾向が得られております。
 それからもう一つ、低周波音と言われるけれども、低周波音の影響、超低周波音の問題ではないよという結果が得られておりますけれども、それでは何なんだということになろうかと思います。実際に私が現場に行って聞いた感じですと、200Hzぐらいの純音性成分、苦情者の方が言われているのはそういう音だったと。ある場所ではそうだったんですが、今後の課題として、低周波音と言われたようなものは何なのかということについても検討していただければと思います。
 以上です。
【町田座長】 ありがとうございました。
 船場委員、どうぞ。
【船場委員】 今の落合委員のご発言で、私も落合さんが書かれたという内外レベル差の話のところで、これ、とても大事な内容だと思うんですよね。ただ、この書き方ですと、屋内外のレベル差が小さいことを示しているというところで終わってしまっていて、これはどうしてなんだろうなと読まれた方は疑問に思うと思うんですね。それと、屋内外のレベル差が小さいということは、対策を何か考えようとしたときに、より難しいんだなと。普通の騒音よりも、もうちょっと考えなきゃいけないんだなというところまでは想定すると思うんですけれども、なかなか、その先に進みにくいのかなというところがあって。何かもう一言、書いてあげないと、かなり不親切なんじゃないかなという印象を持ったんですね。これ、どうしてなのかというあたりは、落合先生に聞いてしまうことになるかと思うんですが、どうなんでしょうか。
【落合委員】 道路騒音なんかですと、A特性設定をかけますと、主な周波数が700Hzぐらいなんですけれども、風車騒音の場合は400Hzぐらいで低いほうに成分が多いんですね。そういう関係で、低いほうが遮音性能がよくありませんので、それできいてくるということになります。
【船場委員】 そうですね。そうだろうなと思ったんですけれども、その辺も少し書いてあげてもいいのかなという気はいたしました。
【町田座長】 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 騒音に係る環境基準では、内外レベル差は25dBを設定していますけど、風車の場合、まだ、これからの議論ですけど、戦略指定研究でやった測定の結果では17dBぐらい。今、おっしゃったように相対的に低音成分が大きいので、遮音性能は低くなります。デンマークでは、室内の200Hzまでの低周波音に特性を掛けたLPALFというような室内の基準を設けているんですね。ただ、これは計算での予測を前提としており、実測は考えていないようです。日本は騒音計を持って走り回るというセンスが非常に強いですから、そのまま真似はできない。
【町田座長】 ありがとうございました。内外レベル差、将来の評価水準を決める上で大変大事な点になるかと思います。これは家屋構造等、いろいろありますけれども、スタンダード的な値というのが決まりそうなんでしょうか。橘委員にコメントいただければと思います。
【橘委員】 守るべくは室内の騒音の状態ですね、間違いなく。だけど、室内の騒音というのは、マイクロホンを突っ込んで測定するということは不可能。「ちょっとすみません、今晩一晩、マイクロホンを入れさせてください」なんて言えませんよね。一晩ならともかく、1週間なんてとてもできない。だから、屋内の状態が重要であることはわかっているんだけど、モニタリングは外でやらざるを得ない。ハウスフィルタという概念でモデル化しておいて、外が幾らだから中は幾らになっているはずだと。そういう形でやらざるを得ない。
それから、室内の音圧レベルは、物理的にマイクロホンの置き場所でものすごく変わってしまいます。一種の共鳴器の中をはかっているようなもので。だから、測定法を決めるというのはISOでも随分やっていますけれども、なかなか決まらない。そこで、人の居住している一般的な位置で我々も測定しているわけで、その結果から遮音特性をモデル化した上で、屋外の値から屋内の値を推定するわけですそうせざるを得ない。そのために、ハウスフィルタのモデルをつくっておく必要がある。我々も、戦略指定研究の結果からモデルを提案しています。ここには引用されていませんけれども。
【町田座長】 ありがとうございました。
それでは、時間も少し押しておりますので、一旦ここで最初の区切りは終わらせていただきまして、次の区切り、「3.風車騒音の調査・予測及び評価手法、対応策等」について、ご意見、ご質問等ございましたらお願いいたしたいと思います。14ページから30ページでございます。
沖山委員、どうぞ。
【沖山委員】 風車のアセスをやるのに迷うところが、ここにありますように、ISOの予測手法とNEDOの手法とあるんですね。片一方は自由空間の距離減衰、それから片一方は半自由空間の距離減衰なんですね。これが非常になかなかわかりにくいんで、例えば、この委員会では、もう少し具体的に、ただ両方の比較をするというんじゃなくて、もう少し予測手法について推進する、この委員会でまとめるということが可能かどうかということをお伺いしたいと思います。
【町田座長】 将来、調査研究的なことができるかどうかということでしょうか。
【沖山委員】 そうですね。
【行木大気生活環境室長】 検討させていただきたいと思います。ただし、技術的に時間も必要ということと、あと現段階で、それに関連する予算がない状況にあります。今後の課題として知見を集めていきたいと思いますが、具体的に何をいつまでということは、にわかにはお答えできず、少し検討させていただきたいと思います。
【橘委員】 これは前にもお話ししたと思うんですけれども、これはいろんな意見があると思うんですけど、環境省はアセスメントは責任を持ってやるべきだけれども、予測法まで環境省がつくる必要は全くないと私は思っています。例えば、道路交通騒音の予測モデルは国交省のマニュアルとして示されている。例外的なのは、昔、新幹線の予測法を環境省が鉄道総研に委託してモデルをつくったことがあります。
それから、アセスメントにおける予測法というのは、極論をすれば、事業者が開発してつくったっていいわけですよね。何も官製のモデルでなくてもいいわけです。その中で、比較的信頼性があるというのでISOの9613が使われている。それから、北欧なんかではNord2000というモデルを使っている。だから、どこのモデルを使わなきゃいけないということはないんじゃないか。場合によっては、力量のある事業者がコンサルタントに予測式をつくらせて、こういう予測式でやったんだというので、出してきてもいいんじゃないかと。それを審査する能力があるかどうかは別ですけどね。だから、環境省が予測式まで準備してあげるという必要はないんじゃないかと思います。
【沖山委員】 わかりました。そのとおりなんですが、事業者として、どういう評価手法をつくろうかというときに悩むのが、その辺なんです。それで、何かうまい指針がないかなと思っているんで、期待したのは、ここでは評価値を検討するんだということであれば、ある程度の予測式のほうについても何か少しのそういうものが加わってもいいではないかという思いがあって、お話をしています。
【橘委員】 さっき言った道路交通騒音ですけど、マニュアルとしては国交省が出しているけれども、中身は音響学会が開発したものなので音響学会式などと言われていますけれども。それで、音響学会式でやったんだから何が文句あるかみたいな話になっちゃうわけですよね。本来はそうじゃいけない。官製のモデルになると、みんなが共通して使える、コンピューターさえいじれる人だったら誰でもできるという良さはあるんですけれども、それ以外は許さないみたいなことになるし、大変まずいと思います。その辺が難しいところですね。

【町田座長】 ありがとうございました。
田中委員、どうぞ。
【田中委員】 2点ございまして、14ページと16ページです。14ページ、一つは上から2行目に「聞こえる環境騒音」と。これは、戦略研究のほうで、こういう表現がされたということは前に出てきているんですが、「聞こえる環境騒音」というワーディングが、これまた割とひねった言い方ですね。環境騒音というのは、ある地域の環境の中にある風車の音が聞こえるというような、そういうものを対象とすべきだ、捉えるべきだという趣旨だと思いますが、騒音というのは、そもそも聞こえることが前提になっているとか、いろいろ考えると、あえてこういう表現で記述する必要があるのかどうかと思ったところです。つまり、騒音問題として捉えるんだと。含意は20Hz以下の超低周波の問題ではなくて騒音問題だということが、ここでの表現の意図ではないかと思います。この言い方がいいのか、少しご検討いただいたほうがよろしいかなと考えました。これが1点です。
2点目は16ページのところで、これは考え方のところです。つまり、これは現況調査の話、特に④のところです。具体的な調査手法です。ここで書いていることは、ある意味、騒音の場合には、残留騒音、適切に除外音処理した暗騒音を測定すると。そうすると、私も専門でないのでわかりませんが、ある騒音の、一定の時間帯の中の相当程度は除去されて、この書き方ですと時間帯ではどのぐらいなんでしょうか、2割ぐらいが除去されるんでしょうか。ある種の異常値として計算されたものを除去して、その水準のものを地域の騒音レベルにする。その音環境のレベルを測定する。それを、事前調査としての現況であるというふうにみなしましょう、という趣旨だと思います。
これは、例えば大気環境とか水環境を考えたときに、ほかの環境要素との関係で考えたときに、ある種の除外をすることは当然あると思うんですね、異常値であったり、あるいは、近隣で特異な例えば野焼きのようなことがされていて、それで大気がある種の汚染がされている。そういったときに、それを現況値にしてしまうのはよろしくないので、一定程度そういうものは除去します。その上で、ある種の現況値、現況水準を決めるわけです。このときは、この表現の内容、除外する騒音の扱い方ですと、日常的な一般的な音環境よりも、かなり静かな状態を想定したものを測定することになるように思うんですが、それでいいのかどうか。ほかの環境要素はどうなっているのかなと疑問に思ったものですから。これは、ほかの環境要素との関係で、どうなっているかということをお尋ねをしたいなと思ったところです。
以上2点です。
【町田座長】 ありがとうございました。最初のご意見は、14ページにございます「聞こえる環境騒音」という表現についてですね。2点目は残留騒音についてでございます。
橘委員、どうぞ。
【橘委員】 こういう表現は私が最初にしたんで、そういう誤解を招くんですけれども、風車騒音の場合には、聞こえないけれども体に悪い低周波だというような言われ方をよくするんですね。それを何とか払拭したいという思いが、こういう言葉になったわけです。
【田中委員】 そうですね。わかります。前の「超低周波の問題ではなく」というのと対になっているんですね。十分に意味はわかります。
【橘委員】 田中先生の二つ目のご質問については、私も、ここの表現はもう一回整理したほうがいいと思います。ついでにいいですか、委員長。
通常は発生しない人工音というんだけど、近隣を通過する自動車の音、これは通常発生しているわけですよ。だから、ここは全部整理し直したほうがいいと私も思います。ここで細かくやっていると時間を食うんですが、どうしましょう。
音の場合は、カラスが鳴いたとか、夜中に何かがあって車がたくさん走ったというようなときに、LEQをそのまま図ると値がばっと上がっちゃうんですよ。だから、さっきの話じゃないけど、田園地域、ルーラルなところでは、夜、非常に長い時間帯にわたってはシーンとしているわけですね。もちろん遠来のいろんな音が来ていますよ。だけれども、ほとんど一定の30dBAか、あるいは、それ以下ぐらいです。近くを通る車の音やカラスの鳴声など全部入れちゃうと、暗騒音としてはとんでもなく大きな値になっちゃう。
風車騒音というのは、静かなときにシュワシュワシュワシュワと聞こえてくる。近くを車が通ったら、ているときなどには聞こえなくなってしまう程度のレベルです。そのような静かな時に風車騒音が問題になっているわけだから、ここで言うresidualな残留騒音をベースにすべきだということです。多くの国でもそういう考え方に立っている。
【町田座長】 この除外音処理というのは技術的問題も含みますので、もう少し内容を細かく書くということになりますでしょうか。あるいは、マニュアル的に示すようなことも必要かと思います。
【橘委員】 この残留騒音レベルの測定方法についても、現在、日本騒音制御工学会で実測データに基づいて検討しているところです。
【町田座長】 検討会の報告書と前後しますね。
【橘委員】 報告書は年度末なので、この中間報告より後になってしまいます。具体的には、L90をはかればいいんです。そんなに難しい話ではないんです。L90は、カラスが鳴いていようが、車が時々通ったぐらいではほとんど影響されませんので。
【町田座長】 時間率騒音レベルかLAeqかと、そういうところの議論になるかと思いますけど。
【橘委員】 LAeqをちゃんとはかろうとすると、レベル記録をずっと見ていて、ぴゅっと来たら、これは何だというのでヘッドホンで聴いてみて除外すべき音かどうかを判断しなければならない。これはすごく大変です。
【町田座長】 このような静穏環境の騒音測定というのは、やはりマニュアル的なものを将来、考えないといけないということにつながっていくんじゃないかと思います。
どうぞ、矢野委員。
【矢野委員】 この報告書は、これまでの状況をまとめられて、ざっと読んで全くひっかかるところはなかったんですけれども、細部については言葉の問題とかが少しありますのでコメントさせていただきますと、最後、橘先生が言われました通常は発生しないというのは、私もおかしな言葉だなと思いまして。これはどういうことですかね、定常的には発生しないとか、そういうようなことかなと。
それから、その下の平常でない自然音、これも何かおかしな言葉で、天候だとか季節に由来する、もしくは季節に関わるといったような、そういう自然音という言い方のほうがいいんじゃないかというふうに思いました。
それから、前のページの15ページなんですけれども、②の伝搬特性のところで、4行目なんですけれども、反射、吸収、透過、屈折、回折とありますけれども、透過って、どういう状況を想定されているんですか。その後の説明には透過というのはないんですけれども、風車音が伝搬するところで透過の現象ってありますか、具体的に。と思いました。なくてもいいんじゃないかなということですね。そんなところかな。
【町田座長】 環境省、お願いします。
【行木大気生活環境室長】 先ほど、田中先生、それから橘先生のご議論のあった調査方法のところについては、表現ぶりを、今の矢野先生のご指摘も参考にさせていただいて、わかりやすい自然な表現に改めたいと思います。
1点、ここに書いてある内容なのですけれども、今の①通常は発生しない人工音としているところです。冒頭の近隣を通過する自動車の音や航空機騒音など一過性の騒音という部分がありますが、これを除きますと、基本的に、ここに書いてあることは一般環境の騒音環境基準をはかる際の測定マニュアルの表現を使っております。どの部分を評価するのかというところは、この検討会の後の議論でとても大事な点になっていくと思いますので、事務局からの今の段階での提案としては、まず今の近隣を通過する一過性の騒音というところを一旦外させていただいて、通常の騒音のはかり方と同じ書き方にさせていただいて、この後、何をどう除外していくかといったあたりを引き続き議論させていただくということとさせていただいてはどうでしょうか。
【橘委員】 というか、実は、私、案を出したんですけど無視されちゃった。一過性の騒音だけ、もう一つつけ加えればいいじゃないですか。
【田中委員】 そういう項目をですね。
【橘委員】 そうそう。あとは、そんなにまずいことは書いていない。
【町田座長】 一過性の騒音については、別途項目として挙げるということになるかと思います。
落合委員、どうぞ。
【落合委員】 今、除外音の話ですけれども、遠くを通っている車は背景的な騒音になると思います。こういうところは、たまにしか車が通らないところに設置される場合が多いので、苦情を言われる方のご意見を聞きますと、車はいつも通っているからあまり気にならないんでという方もいらっしゃると。ということで、そういう一過性の騒音をうまく除外できればいいと思います。
それに関連して、20ページから21ページにかけて事後調査のお話が出てきますけれども、事後調査の測定するときに10分間のLEQを測定するということなんですが、実際にこれを自治体の方なんかがやられる場合に、なかなか除外音処理が難しいと思われます。ということで、例えば、L90であるとかL95とかをベースにした方法を検討いただければと思います。
それから、純音性成分の有無につきましても、IECとかJISの方法というのはなかなか煩雑ですので、簡略的な1/3オクターブバンド音圧レベルを使った方法等を今後の課題として検討していただければいいんじゃないかなと思っております。
以上です。
【町田座長】 ありがとうございました。
塩田委員、どうぞ。
【塩田委員】 先ほど矢野委員からも話がありましたけど、15ページの伝搬特性のことですが、これは伝搬特性というより、基本的に音の物理現象です。こういう現象がありますよというのを実は紹介しているわけです。18ページに予測手法に当たっての留意事項が書いてありますが、結構大変ですと。予測するにはやや複雑で、音の回折とか吸収だとか、現実的に数値を入れて、実際、予測しなくてはいけないので、計算することになるでしょう。実際、そういうデータが少ないわけですよね。ですので、あまり私は踏み込まないほうが良いのではないかなと、文章的に。
具体的にやるのであれば、環境影響評価で今行っている技術ガイドに任せて。ここでは風車騒音の長距離伝搬に関する音響現象はこのようなことがあって、実際に予測する場合にも留意する。
というのは、基本的にはわかりませんと言っているわけです。結構、きめの細かい超過減衰があるけど、非常に複雑でわからない。わからないというのは、データがないからと思うのですが、そこには、あまり複雑に踏み込まないほうが良いのではないかなと思いましたが、いかがでしょうか。
【町田座長】 今、頂きましたご意見は、結局、本検討会で将来的にまとめる報告書といいますか、その内容を、どうあるべきかという根幹の部分に触れるご意見というように伺いました。
橘委員、ご発言ございますか。
【橘委員】 もう時間がなくなってきて、まずいなと思っているんですけど、ちょっとテクニカルなところをばっと言いますから。きょうは5時まででおしまいですか。そうすると、大事な点だけ。
14ページ。下のほうに調査手法とございますけど、そこから上2行目、風車騒音というのを風車稼働時の騒音としないといけないと思います。風車騒音だけを測定することはできず、必ず暗騒音も含めた値しかはかれないんですね。風車騒音だけというのは、計算はできるんだけど、実際に測定することはできない。
それから、次の15ページの5行目から6行目、「音響パワーレベルのオーバーオール値」と書いてありますけれども、これは全てIECの規格によればA特性オーバーオール値。それから、「1/3オクターブバンド音圧レベル」というような言葉が抜けています。
それから、そのページの真ん中からちょっと下に、今、いろいろ議論が出ていた地表面というのがありますけれども、「河川や湖沼等」と書いてある。これから洋上が非常に大事になってきますね。洋上をどうするか。洋上の反射というのはどうなっているんだろうか、今、非常に熱く議論されていますので、ここに何も書いていないというのもちょっと寂しい。
それから、17ページの下から8行目、「風力発電施設の立地が決定している地点に加えて」と、これは決定じゃなく、計画ですよね。
19ページ、これは非常に大事なところで、19ページの(3)評価手法と書いてあって、ここを環境省さんのほうでも、本当にもう一回じっくり考えてくださいとお願いしたいんですけれども、まさに、これを決めることが必要なわけですよね。今、求められているわけです。ところが、これを読んでも何も書いていないわけです。我々も含めての責任だけれども。
それから、3行ぐらいで、「国又は地方公共団体によって環境の保全の観点からの基準又は目標が示されている場合には」とありますけれど、これが全くないわけでしょう、今。
それから、下から3行目で、「現況の環境基準を含む既存の基準値との整合性」と書いてあるんですけれども、これも何を指しているのか。
それから、いわゆる騒音に係る環境基準、夜中、45dBを持ってくるというのは、これはまずいということは、もう何回も議論しているわけで、45dBを言っているのだと思われてしまうと、また混乱を起こしちゃう。要するに、風車騒音に関してはまだ日本には基準値はないわけですよ。それをこれから議論しなきゃいけないと言っているわけで。なのに、何か基準値と照合させればいいみたいな書き方をしているのは大変まずいと思います。

【町田座長】 ありがとうございました。
田中委員、どうぞ。
【田中委員】 今、橘先生がご指摘の19ページのところで、私も、ここは難しいなと思いつつ、何回も読んでいて、線も幾つも引いてあるんです。
ちょっと留意しておいたほうがいいのは、評価手法の第1パラグラフは一般論で、つまり騒音の影響、これは環境への影響ですか、事業による環境への影響、インパクトを評価する場合には、二つの考え方があるという、その総論を述べられたというふうに理解しました。つまり、それはBAT、実行可能な範囲での回避・低減が図られているかという、実行可能な技術です、技術が導入されているか。それからもう一点は、国や地方公共団体が、これは基準、環境基準や環境目標のようなものを持っている場合には、それとの整合が図られているか。こういう二つの原則論があるよと。その上で、風車問題の特殊性から、以下、第3パラグラフにつながっていくんだと思います。
ここで考えなければいけないのは、下から二つ目のパラグラフのところに、「事業実施による環境への影響をどこまで回避又は低減しているか」とあります。この場合に、今度は環境への影響という、つまり、より広い概念にですね。影響というのは、大きく分ければ環境への影響と人体への影響がある。環境基準の中に、人の健康または生活環境の保全という、この二つの要素が含まれていますが、ここでの表現では、生活環境のほうに影響のとらえ方がシフトしているような印象があります。この報告書では、それまでの表現は人への影響というのを論調として持ってきたんですが、この箇所では、こういうキーワードになっているので、これでいいのかどうかというのは再度、見直してくださいということです。
それから、二つ目の指摘は、下から2行目です。「受音者にどの程度影響をおよぼしているかを適切に判断することが難しい場合もある」とあります。これは、橘先生ご指摘のとおりなんですが、つまり環境基準との対比だけでは判断が難しいでしょうということですよね。そこで考えなければいけないのは、さっき言った騒音による人への影響のレベルというのはさまざまにあって、アノイアンスのレベルから苦情が出るレベル、それから健康影響が出るレベル。そう考えると、風車の影響として本当に評価すべきは、どこのところを守るのか、どのレベルを保全の対象にするのかということまで遡って考えておく必要がある。これは環境行政として、保全の内容としてあるわけです。
健康への影響は、これは絶対的に回避しなければいけない。苦情も、できれば回避したい。アノイアンスはどこまで許容するか。そういうある種の段階論があるんだろうと思うんですね。そこのところの考え方を整理するということが本来の、ここでの役割だろうと思いまして、これは次の段階で、改めて考え方を整理するということだと思いますので、そういうことを射程において、もう一回、表記の仕方、表現の仕方を再整理していただいたほうがいいんではないかというのが印象です。結論としてきちんと述べられないんですが、ここはもう少し丁寧に書いたほうがいいんではないか、というコメントにさせてください。
【町田座長】 ありがとうございました。
それでは、次の区切りに入っていきたいと思いますが、31ページから34ページにの「4.本報告書の活用と今後の課題」についてご議論いただきたいと思います。
橘委員、どうぞ。
【橘委員】 30ページの一番下の3行、外国では風車に何か投資をしているんですかね。風車からメリットを受けている人というのがいる場合には、苦情が一切出ないという統計データが出ていますけれども、日本の場合には、あまりそういうことはないと思うので、この下3行は要らないんじゃないかと思います。あるいは、そういうインセンティブで、そういう制度をつくるんならいいんですけれども。
【町田座長】 ご意見として承ってよろしいでしょうか。環境省どうぞお願いします。
【行木大気生活環境室長】 この文章は、これまで検討会の議論中で、こういった事項も重要であるという、ほかの先生からのご指摘も踏まえて記載をしております。諸外国の文献でこういった知見があることは事実です。検討会での合意として削除ということであれば、それは構いませんがいかがでしょうか。
【橘委員】 いや、あめを与えれば黙るだろうみたいにとられると、まずいなと思っただけです。
【町田座長】 そのほかにご意見等ございますか。
沖山委員、どうぞ。
【沖山委員】 さっき橘先生がおっしゃったように、将来、ガイドラインとかマニュアルというお話なんですが、いずれにしても、これが公表されると、これを引用して、例えば、地方自治体で技術マニュアルを検討しているとか、そういう部門の人たちが、これを読んで引用しようかという形になろうかと思うんですが、将来、マニュアルをつくるよとか何か、そういうのがはっきりここに述べてあれば、もう少し安心できるんじゃないかなと思うんですが、どうなんでしょうか。
【町田座長】 今のご意見につきまして、何か環境省からございますか。
【行木大気生活環境室長】 先生、今の部分は、3ページの関係者間のコミュニケーションに特化してということでしょうか。それとも、もう少し風車の評価方法全般について。
【沖山委員】 風車の全体。今後の課題ということだから。今、議論は今後の課題に入ったわけでしょう。だから今後の課題として、そういうことも発言をさせていただきました。
【行木大気生活環境室長】 申し訳ありません。ご質問の趣旨の確認なんですけれども、風車の評価手法などについて、もっと具体的なマニュアル的なものを用意していくべきということでよろしいでしょうか。それとも、コミュニケーションの部分だけでしょうか。
【沖山委員】 今後の課題ですから。これが公表されると、ホームページに出ますね。そうすると、風車の技術指針はどう記載されているんだろうと地方公共団体も、それから民間のコンサルも、これを期待して読むわけですよね。それで、これが出ると、ある程度引用してマニュアルをつくったりなんかするということが考えられるんですよね。ですから、将来、もう少し、もっと具体的なマニュアルを、環境省としては、これをもとにして考えていますということがきちっと述べられていれば、引用するほうも安心するかなと思ったんですが。
【行木大気生活環境室長】 失礼いたしました。ありがとうございました。本日のご議論の中でも、例えば、除外音処理をどこまで行うべきなのかとか、純音性成分を簡易に確認するためにはどうすればいいのかという、より具体的な手法を検討していくことが必要というところもご指摘をいただいております。現場の方が対応される際に参考となるような事項、わかりやすく説明したものを先々用意していきたいと思います。
【町田座長】 どうぞ、橘委員。
【橘委員】 それに絡んで、33ページの上から4行目からの1段落目、これは非常に大事なところだと思うんですけど、「上記の点に留意しつつ」何々「評価水準等について、早急に検討していく必要がある」と。客観的に淡々と書かれているんですけれども、「誰がやるんだい」と言われそうな感じ。早急に検討しますというのか、どこかで検討するでしょうというのか、はっきりしない。
これが、今、沖山さんが言われたように、こういうところが近い将来まとまって、環境省から出せますよというような一種のアナウンスであれば、読んだ人も、まだはっきりしていないけれど、そういうのが将来、決まるのだなという期待になるわけです。
【行木大気生活環境室長】 評価水準のところが非常に重要な課題となっておりまして、冒頭でも橘先生のご質問に対しても発言させていただきました。私どもとしましては、この検討会で引き続きご議論をいただければと思っております。
 この中間とりまとめですが、検討会の中間的な報告書としておまとめいただければと思っておりますので、例えば、「本検討会において」と記載させていただくとか、よりわかりやすい書き方で、主語を明らかにする工夫をさせていただきたいと思います。
【町田座長】 田中委員、どうぞ。
【田中委員】 2点ありまして、1点目は今のところ、そちらを先に。33ページ、一つは「静穏な地域での音環境の評価のあり方」という、この2行目から3行目にかけてですが、まさに先ほどご議論があった除外音処理のあり方を想定されているだろうなと思います。特に風車等が立地しやすい静穏な地域での音環境のあり方というときに、「評価」という用語を入れないほうがいいのではないか、と一瞬思いました。この箇所は測定のあり方とか、把握のあり方とか、そういうことを意図しているなと思いました。評価というのは何かインパクトがあって、影響評価というように、ここではこういう文脈で使ってきていると思いますので、音環境の把握のあり方とか、分析のやり方とかということかもしれませんが、そのようにワーディングを持ってきたほうがいいのではないかと思います。
 それから二つ目は、まさに今議論があった風車騒音の評価水準等について、この評価水準というのが、またこれが新しい、ここだけこういう表現が出てくると思うのですが、これがいいのかと微妙なところで、風車騒音の評価の、まさにここはあり方にしておいたほうがよろしいのではないかなと思いますが。
 以上はキーワードの使い方です。
 それからもう一つは、31ページのところです。前に戻りますが、冒頭の書き出しのところです。これも「はじめに」のところと申し上げたのと、割と文脈は、発言の趣旨は一致しているのですが、「これまで風車騒音に関して風の影響等も考慮した調査・予測及び評価の手法は整備されていなかったことから」、風の影響も考慮した手法は確かに整備されていなかったかもしれませんが、こういうふうに断定的に記述しないほうがよろしいのかなということです。先ほど発言しましたように、知見の集積が十分でなかったとか、手法について、知見の集積が十分ではなかったとか、そういうことではないかなと思います。それなりの手法をもって、これまで影響評価に活用されてきたのだろうと思いますが、新しい知見のもとで、さらにこれを改善していく必要がある。そういう趣旨をにじみ出したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【町田座長】 文章表現をもう少し考えたらどうかということになるのかと思いますけれども。
【早水大臣官房審議官】 第2点については、前の表現との整理が必要かと思います。
 第1点でご指摘のあった、33ページの2行目の「評価」という言葉と、それから6行目の「評価水準」という言葉ですが、6行目は、前回議論をいただいたと思いますけれども、例えば基準とか、指針とかとはなかなか書きにくいので、値だということを示すために、「評価水準」という言葉を選んだところです。「評価のあり方」というと、もう少しコンセプトみたいな表現になるので、値を決めるということがわかるように、一応ここでは書いたということです。
 それから、その前の上から2行目の「評価」、ここはなかなか難しいところです。調査・予測の部分も入ると思いますけれども、静穏環境で、どの部分の騒音をどう考えたらいいか、みたいな話があるので、評価まで含むのかなと思います。
 ただ、一方で、オーバーオールな静穏な環境での評価のあり方までできないと、風車の話が解決しないというのは、これはまた、ちょっとまずいなということもありまして、「上記の点に留意しつつ」と書いたのでありますが、ここで意図しているのは、調査・予測だけではなくて、評価を含めてなので、広い意味で「評価」としたものです。もう少し考えてみますけれども、意図としてはそうだということを、とりあえずご説明しておきます。また、もう少し検討したいと思います。
【塩田委員】 31から32ページにかけて、風車騒音の評価が書いてありますが、静穏地域の音環境について、実は書いてあります。私は風車騒音よりも、静穏地域の音環境のほうが大きい気がするのです。そういう地域に風車をつくるという話なので、ここの部分は、静穏地域の音環境というのを1項目出して、その部分については、外国の調査も踏まえながら、33ページの上に書いてあるような評価のあり方について、やっていきますよというようにしたほうがいいのではないかなと。
 というのは、橘先生もずっと言っていました風車の設置場所は、里山地区とか、丘陵地のところに設置されることが多いわけですが、だけど、風車騒音だけではないですね。静穏地域の音環境というのは、もっと大きな話だと思いますので、もう一つ出されて、今後の課題の中に入れられたらいいのではないかなと思いました。
【町田座長】 ありがとうございました。それでは、議論の時間の限りもありますので、全体を通じて何かございましたら、お願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。
【塩田委員】 先ほどから評価の部分については、基準をどうするかという話も含めて、環境アセスメントを実施する立場からすれば、基準値をオーバーするかしないかというのが最大のポイントになると思いますので。中間報告なので、最終的な報告に持ち込めるような文書の書き方ができないのかなという気がしました。
【橘委員】 私から新美先生に質問があります。法律的な話で。日本には騒音規制法があり、発生源に対しては縛っている。一方、保全目標としての環境基準があり、在来線鉄道の新設・大規模改良の際の、いわゆる指針値という形で出しているのもある。いろいろなグレードがある。風車騒音などの場合に、どういうやわらかさのものが出せるか。これを越したら営業停止みたいなものは、とても出せないと思うのですけれども、どう考えていけばいいのか。やはりこれは議論をしていかないと、どういう性格のものをつくっていくのか、非常に曖昧模糊とした文書だけで出すわけにもいかないし、やはり具体的な数値で出さないといけない。あるいは考え方をはっきり出さないといけない。
【新美委員】 これは今、田中先生のご議論にも重なるのですけれども、人とそれから健康影響、いろいろ違いがありますので、人に影響するといっても、まさにアノイアンスのレベル、どのレベルになるかというのは簡単にいきませんので、環境基準という手法がとれるかどうか、一律にというのは、私は疑問に思っています。
 一つヒントになるのは、私はこの辺、もう少し報告書、あるいは今後の作業に必要だなと思うのは、風車騒音については、騒音レベルだけではなくて、視覚的なものもあるとか、いろいろな要素が絡んでくるということになりますと、それに対する、これが望ましい値だというのは、受音者との関係で決まってくる、相対的なものにならざるを得ないのではないかと思うわけです。
 そういう意味では、対策の中で、騒音を低減するためには、どこまでBATでやったのかという評価と、それとあとは、そのことを前提に、地域住民との間できちんとした、ある意味で合意があるかどうかということで決めていかざるを得ないのではないかと。その中の一つとして、先ほどあったように一定のメリットがあるということがあれば、ある程度の緩やかな値になるのではないか。そういう議論をしていかざるを得ないのではないかなと思いますが、そういった意味では、法律というのは、何か害を加えない限りは、何らかの歯どめをかけるというのは非常に難しいと思います。
【橘委員】 さっきの表もありましたように、各国では、一応目安は数値で示されているわけですね。フランスなんかでも、ノイズ・エマージェンス、これは英語に直していますけれども、要するに普通静かなところで、風車が回り出したら騒音レベルも大きくなって、音が当然聞こえてくるわけですが、それの上限を決めておこうと、一応、国として決めているわけですね。それがどのくらいの強制力を持つのかはわかりませんけれども。静かさというのは地域によって違うので、それに応じた限度の決め方を統一しておいたほうがいいのではないかということです。工業地帯などでは、もともとかなりうるさいわけですから、むやみに厳しい限度を絶対値で決めても意味がない。
 それから、住民との対話でうまくやりなさいといっても、これは今までだって無理だったわけです。
【新美委員】 それはそのとおりですけれども、問題は、外国の例を見ていきますと、これは基本的には、人に聞こえるか聞こえないかで違って、ドイツなどはルーラルなところで高くても構わない。というのは、ドイツの田園地帯というのは、およそ人が住まない。そういう区分けがはっきりしているものですから、高くても構わないと思うのですね。
 ところが、日本の場合にそういう地域があるのか。ほとんどない。そうすると、みんな住宅地と同じレベルでやってしまえということになるかもしれない。
 外国などで、静かにしなければいけないというのは、ある特定の施設であったり、政策的にこれは守りたいという政治的な決定が決定があったときだけしか、恐らく厳しくしていないのだろう。人に聞こえるか聞こえないかが、一番のポイントになるのではないかという気がするのです。
 ですから、客観的に、これがアノイアンスの許容レベルだというのは、まず、アノイアンスそのものは主観的なものですから決めようがない。
【橘委員】 だから変化量を見て、イニシャルなレベル、要するにここで言う残留騒音のレベルに対して、風車ができることによって、どのくらい上がるか。それをどの程度に抑えるか。それが問題で、それはそれぞれで話し合って決めなさいといっても、無理だと思います。
【新美委員】 それは無理。やはり、どこかから平均値を出さなければいけないのですよ。その知見は、我々には今ないと思うんですね。
【町田座長】 これらのご意見に関連して、佐藤委員、コメントお願いできますか。
【佐藤委員】 関連しているかどうかわかりませんが、この報告書の最後のほうに、最新の知見をまとめてあるので、これを参考にしてという文章がありますけれども、私が関連するところで言うと、6ページが風車騒音の人への影響に関する研究ということでまとめいただいているのですが、この中に、主なものについて、表1に提示するということで、カナダ保健省と、あと国内からの文献ということで三つ出されています。
 最近、風力発電に関する健康に関する文献というのは結構多いのですね。ここ数年で何十と出ている中で、主なものといったときに、なぜこれが主なものにしたのかというところは、ちゃんと述べておかないと、恣意的に思われても仕方がなくなってしまう。国内の文献を優先したということであれば、そういうことになろうかと思いますけれども、結論はどっちにしても変わらないのですけれども、これだけを書くと、見る人によっては、恣意的と捉えかねないので、この辺は注意されたほうがよろしいのではないかと思います。
【橘委員】 これは、先ほど先生はいらっしゃらなかった時にお話ししましたが、騒音制御工学会でもう少し詳しく調べています。
 それからもう一つは、環境総合推進費で石竹先生のグループが、まさに疫学的な調査をやっているので、それでかなり文献調査をやられるはずです。これも報告が出るのは今年度末なので、後手に回ってしまう。
【田中委員】 先ほどの橘委員のご質問に関連して、ここで言う風車騒音の評価水準といったものは、どういう性質のものになるだろうかというご質問、お尋ねかなと思いました。
 これは私の理解ですが、環境影響評価というのは、結局、立地場所・立地特性と、それから事業特性を調整していくいう調整プロセスにあると思うのですね。そこで、事業を企画し実施する事業者側と、それを受け入れる住民側というか受音側が、コミュニケーションしながら、ある種の了解していくというか、ある種受け入れていく、受容していく。そういうプロセスの中で、ここでの基準というのは、ある種の目安を示すことになると理解しています。
 だから、その意味合いとしては、目安値であったり、努力値であったりする。努力目標的な値になるのだろうなと思います。それを超えていても、結局、住民側が受け入れれば、それはそれで問題ない話だし、しかし、それよりもっと下回っていても、住民側に敏感に反応する人が出てくれば、そこは調整が必要になる。そういう性格のもので、ある種の調整の際の目安の判断をする、影響評価はそういう話だと思うのです。
 その上で、もう一つの情報は、アノイアンスというのは、今、先生がいみじくもおっしゃられたように、かなり個人差があるし、反応関係がいろいろある。先ほど量反応関係があると言ったときに、次の段階で検討すべき水準のあり方というのは、住民の健康は絶対守る、苦情もできるだけ低減する。その上で、アノイアンスについては、このぐらいまでは抑える。しかし、ある意味、一定程度これは受け入れざるを得ない、1割ぐらいは受け入れることになるかもしれません。9割はシャットアウトする、防御するけれども、1割については、わかりませんが、何か受け入れるというような、ある種の考え方を整理する必要があるのではないかと思っているところです。すみません。蛇足になりました。
【町田座長】 今のアノイアンスについて、例えば、許容値といいますか、恕限度というものはありますか。佐藤委員に伺いたいのですが。
【佐藤委員】 非常に難しいと思います。文献を見ても、最近、健康の評価の指標を何でとるか。当然、客観的な指標ができれば一番いいのですけれども、どうもそういう関連は認めにくいということで、何年もずっとやっているわけですね。内耳のほうの繊毛が擦り切れた云々かんぬんという、実験レベルではあり得るかもしれませんが、人間では当然、そういう調査ができない。そうなると主観的な評価でしかなくて、アノイアンスのほかに、最近はQOL、Quality Of Lifeの数値化によって、それを見ようとか、主観的健康観と言われるような、そういったQOLの指標を使ってやる。いずれにしても、主観的なものなのですね。ですので、主観的なものというのは、本当に個人によってばらつくし、個人の中でも聞くときによってばらつくしというようなもので、これを使って、何らかのカットオフを決めるというのは非常に難しいだろうというのが個人的な印象です。
【町田座長】 ありがとうございました。議論は尽きないのですが、予定の時刻を回っておりますので、ひとまず、ご質疑応答はここで切らせていただきたいと思います。
【橘委員】 ただ、それで終わってしまったら、何を議論してきたのかわかりません。そういうことを言えば、環境基準だって同じなんですよね。道路交通騒音、夜間45dB、昼間55dB、あれだって何の根拠があるのだと言われたら、本当の根拠というのは非常に難しいのです。ただ、それを保全目標の目安にしておこうということですよね。それがわからないから決められないよと言っていいたら、いつまでたっても決められない。一言、言わせていただきます。
【町田座長】 まだまだ議論は尽きないかと思いますけれども、時間もございますので、次の議題、その他に移らせていただきます。
【行木大気生活環境室長】 先生方、活発なご議論大変ありがとうございました。時間の関係で、お一人お一人コメントはいたしませんが、この先、これから続けて議論をしていく課題の関連で大変重要なご指摘をたくさんいただいたと思います。
 議題その2でございますけれども、資料2をご覧いただければと思います。先ほど私からお話をさせていただきましたが、引き続きこの検討会で残された課題について、また議論をお願いしていきたいと思っております。
 日程につきましては、改めて委員の皆様方にご相談をさせていただきたいと思いますが、少しお時間をいただきまして、年度が変わったころを目途に、次の検討会は開催したいと思います。
 中間報告につきまして、今日のご指摘も踏まえまして修正をしたものを、また先生方に見ていただいて、今後の準備を進めたいと思います。
 この先の検討を進めていく上で、発生する音の実態などについても整理をし、議論していただく必要があると思っております。その場合、事業者ですとか、自治体の方にヒアリングを行う機会も必要かと考えておりまして、そういった場合、個人情報ですとか、特定のものに不当な不利益をもたらすような情報を含む場合があり得ますので、検討の内容によっては、非公開とする必要もあろうかと思っております。
 一方、現在の設置要綱は、そのような場合の取り扱いがありませんので、資料2に、本検討会の設置要綱の改正案を用意させていただきました。資料2の表側は何も変更点はございませんで、裏面をめくっていただきまして、会議の公開についてなんですが、下線部を追記してはどうかと考えております。
 まず1点目ですが、本検討会は、原則として公開すると。以下が追加になりますが、ただし、特定なものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれのある場合には、座長の判断により非公開とすることができると。ということを追記したいと思います。
 また(3)の議事録の公開の部分ですが、これも同様に、ただし、公開することにより特定なものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれのある場合は、非公開とすることができるものとする。という一文を加えたいと考えております。
 事務局から説明は以上です。
【町田座長】 今、事務局のご提案でございますが、資料のとおり改正してよろしいでしょうか。ご意見等ございますか。
(なし)
【町田座長】 特にないようでございますので、ご承認いただいたということにさせていただきたいと思います。
 長い間ご議論いただきました。本日いただきましたご意見を事務局で整理をしていただきまして、また必要な修正を入れていただければと思います。
 本日、中間とりまとめということになりましたけれども、第1回の検討会が平成25年5月27日でございました。その後、分科会を含めまして、今回中間とりまとめというところまで来ました。いろいろご議論いただきましたけれども、検討会の中で、合意できている事項をとりまとめるということも、大変意義のあることと、そのように感じております。
 これまで、ご議論をいただきましたことに対して感謝を申し上げたいと思います。また、事務局におかれましては、委員からのいろいろなご意見を反映して、まとめていただきました。ありがとうございました。
 それでは、マイクを事務局にお戻しいたします。
【行木大気生活環境室長】 本日はお忙しい中、長時間にわたるご審議ありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局でも作成し、先生方にご確認をいただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで事務局を代表いたしまして、環境省水・大気環境局長の高橋よりご挨拶を申し上げます。
【高橋水・大気環境局長】 水・大気環境局長の高橋でございます。本日はまだ松の内とでございますけれども、私どもの局でも今日が最初の会議でございますが、お忙しい中、ありがとうございました。また、本当に活発なご議論をいただきまして誠にありがとうございます。
 言うまでもなく、再生可能エネルギーの促進というのは重要課題でございまして、その中で風力発電施設というのは、大変重要な役割を果たすということで、これからも増加をしていくということが予想されます。そういう中で風車騒音の調査の評価の手法をとりまとめるというのは、大変重要な課題でございます。
 今日はたくさんご議論をいただきました。まずは座長からもございましたように、中間的なとりまとめということで、もう一度事務局で今日のご議論を踏まえて、案文をつくりまして、また先生方にお送りをして、ご確認をいただいた上で中間まとめということで、現時点でとりまとめられるものをまとめたいと思っております。ただ、今後、評価水準といいますか、そういうものの水準の設定を含めて、大変重要な核心部分がまだ残っているということもございます。それに向けて今日いろいろなご指導をいただきましたので、それを踏まえて、いろいろ調査、あるいは文献の収集、知見の収集等もさらに進めまして、今後改めて評価水準の設定等に向けて、この検討会でご議論いただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくご指導を賜りたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。
【行木大気生活環境室長】 それでは本日の検討会、ここで終了させていただきます。どうもありがとうございました。