大気環境・自動車対策

第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録

日時

平成25年6月27日(木) 15:00~17:00

場所

三田共用会議所3階 第三特別会議室

出席者

(座長)町田信夫

(委員)沖山文敏、落合博明、桑野園子、佐藤敏彦、橘秀樹、田中充、新美育文、船場ひさお、矢野隆

(環境省)小林水・大気環境局長、加藤総務課長、尾高大気生活環境室長補佐、山根大気生活環境室長補佐、桑原大気生活環境室振動騒音係長、九反田総務課企画法令係長

議題

  1. (1) 前回議事録(案)の確認について
  2. (2) 風力発電事業者からのヒアリングについて
    • 一般社団法人日本風力発電協会
  3. (3) 地方公共団体からのヒアリングについて
    1. [1] 秋田県
    2. [2] 静岡県
    3. [3] 兵庫県
  4. (4) その他

検討会資料一覧

資料1
第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録(案) (委員限り)
資料2
風力発電施設から発生する騒音等の評価手法についての考え方
資料3
秋田県における風力発電所と騒音の状況及び環境影響評価等について(秋田県)
資料4-1
第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会【静岡県意見】(静岡県)
資料4-2
風力発電施設の騒音の評価手法等に係る静岡県の意見・要望
資料5
「環境の保全と創造に関する条例」に基づく風力発電施設の規制について(兵庫県)
参考資料
第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事要旨

議事

  • 【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 定刻となりましたので、ただいまから第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を開会いたします。
     本日の会議は公開とさせていただき、配付資料についても公開とさせていただきたいと思います。私、本日の司会を務めさせていただきます環境省水・大気環境局大気生活環境室の桑原と申します。よろしくお願いいたします。 それでは、本日の委員の先生方の出席状況についてお知らせいたします。本日は全ての委員にご出席いただくという連絡を受けておりますけれども、佐藤委員につきましては30分ほど遅れるとのご報告を受けております。
     続きまして、お手元に配付しております資料について確認をさせていただきます。まず、議事次第と書かれたもの、それから配席図、資料1、第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録(案)、こちらは委員限りとさせていただいております。それから資料2、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法についての考え方、資料3、秋田県における風力発電所と騒音の状況及び環境影響評価等について、資料4-1、第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会、資料4-2、風力発電施設の騒音の評価手法に係る静岡県の意見・要望、資料5、「環境の保全と創造に関する条例」に基づく風力発電施設の規制について、それから参考資料といたしまして、第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事要旨。以上でございます。万が一資料の過不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。
     ではこの後の議事進行につきましては、町田座長にお願いしたいと思います。町田座長、よろしくお願いいたします。
  • 【町田座長】 承知しました。それでは、ただいまから議事に入らせていただきます。
     まず、本日の議題1でございますが、前回議事録(案)の確認について、事務局からご説明をお願いいたします。
  • 【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 資料1といたしまして、第1回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録(案)を委員限りの資料として提出させていただいております。議事録(案)については、以前に頂戴いたしましたご意見を反映させたものとなっておりますが、さらに修正等がございましたら、7月3日、来週水曜日までに事務局までお知らせください。
    以上でございます。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。ただいまご説明ございましたけれども、議事録(案)につきましては、何かございましたら事務局までお知らせをいただきたいと思います。
     続きまして、議題2、風力発電事業者からのヒアリングについてということで、本日は一般社団法人日本風力発電協会の方においでいただいております。風力発電施設の現状や平成24年度の報告書についてなど、40分程度でございますけれども、ご説明をしていただき、その後、質疑応答を行いたいと思っております。ご準備お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご準備できましたら、よろしくお願いいたします。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 日本風力発電協会の塚脇と申します。今日お話をさせていただきますのは、風力発電推進市町村全国協議会、42の風力発電に携わっておられます市町村の協議会の副代表でございます鳥取県町村会の会長でもございます北栄町長の松本昭夫町長と、それから同じく風力発電協会の鈴木さん、そして私、塚脇、3名で説明させていただきます。
     それでは、スライドに基づいてお話をさせていただきたいと思います。このような機会を与えていただいたことをまず感謝いたします。限られた時間でございますので、我々の意を明確にするために、言葉が多少強くなっているところがございます。ただ、そのほうが誤解とかが生まれないかなと思いまして、あえて強めのトーンで書かせていただきました。
     まず、風力発電に対してのみ環境基準45dB、夜間ですね、これを超えるような目標を策定しようとすること自体に違和感を禁じ得ないというのが、私ども風力発電協会並びに風力発電推進市町村全国協議会の意見でございます。35dBというものと、現在45dBと保全的に立てておりますが、デシベル数と苦情の件数というのは必ずしも、大きく言いますと相関していない部分がございます。風力発電の開発に伴う適切な地元合意が得られていない場合、非常に距離を離しても苦情が出てまいりますし、逆に100メートル、200メートルの距離でありましたとしても、風力発電を非常に歓迎して何の問題もなく、そこにお住まいで元気な方もたくさんいらっしゃいます。その方たちのご意見なども私どもはお聞きしまして、デシベルで縛るということではなく、住民合意でやるとか、そういうところに問題があるのではないかということを考えております。「はじめに」のところはそういうことを書かせていただきました。
     次に、「委員の重複」というところでございますが、これは実は私どもの業界にもご指導いただいている先生方も今日たくさんいらっしゃいまして、大変言いにくいことなのでございますが、私ども個々の先生方に問題があるということを言っているわけでは全くございません。しかしながら、評価方法に関する検討会の先生方とその評価方法の検討会のベースになる報告書を作った業務をやられた先生方が重複するというような形は、全体の議論の進め方としておかしいのではないかということを1点申し上げておきたいと思います。私どもがよく使っております原子力を推進する電事連さんの手法とかと同じではないかというような意見もございます。繰り返しになりますが、先生方に問題があると言っているわけではございません。
     ポイントに入らせていただきますが、まず、平成24年度の報告書への見解(1)といたしまして、環境基本法と騒音に係る環境基準というものが策定されております。公布が平成13年1月5日でございますが、そうした基準が既にあるものの上に、平成24年度の報告書の提案は、何ら法的にその環境基本法を改正するというようなことではなく、基準の上にさらに風車のみに絞って法的根拠なく規制を強化するものではないかというふうに考えております。基準の上にさらに強化をするということについても違和感がございますし、なぜ風車のみなのだろう。騒音を発するような音源というのは、多種多様にあるはずなのに、風車だけをなぜ対象にされるのであろうということについても非常に私ども理解ができておりません。
     続きまして、その次のページでございますが、風力発電施設に限定して適用される目標値というところで、先ほどちょっと申し上げたところとリンクしておりますが、多様な音源が存在しているにもかかわらず、風力発電施設に限定して特段に厳しい目標値を定めるのは不適切ではないかと。なぜ風車だけなのでしょうか。ほかの音源は大丈夫なのでしょうか。冷蔵庫なども同じような低周波が出ておりますが、そういうものは問題ないのでしょうかというようなところです。目標値であるから、これは法的に強制するものではないということをおっしゃるかもしれませんが、この目標値は経済産業省において環境アセスを統括されている原課においては、実質上、審査基準を満たすための数値となります。したがって、ここで目標値と言われるものは規制値に置き換わってしまうということでございます。35dBで、じゃあ日本に風力発電所を建てるなというような話にもう直結する話であると。
     また、暗騒音が非常に低い場所に適用すべき条件を、日本国内の全ての場所で要求するというような形に見受けられますが、これも根拠が欠けるのではないか。先ほど申し上げましたが、我々風力発電協会におきましては、我々の中でも調査活動を行っておりまして、苦情とデシベル値の関係という部分については、あるいは距離の関係というものについては、必ずしも相関しない。それよりも事業者が開発の段階において適切な地元合意を得ていない場合にそれが非常に大きく出ているというふうに考えております。ここには目標値を定めるより、環境アセスメント手続による地域コミュニティとの合意形成を重要視するべきではないかと。もし目標値を定める必要があるのであれば、あらゆる音源を対象とした基準を定めるのが適切ではないかというふうに考えます。
     次に3番目といたしまして、再生可能エネルギーの導入拡大と環境規制のバランスがございます。一方で私どもも迷惑施設という認識ではなく、地域に歓迎され、国のエネルギー政策に寄与するために風力発電の導入に汗を流してきたわけでございます。また、それを受け入れていただける地域の自治体さん、あるいは地域の皆さんにおかれましては、過疎地域でありましたり、疲弊した地域が多うございます。そういうところが私どもと官民一体となり、国策に沿った形で地元の雇用の創出、地域産業の創出をしようとしているのですが、今回35dBというような数字がひとり歩きをし、実質的にそれが規制値になりましたら、過疎地は過疎地のままでいろということとほとんどイコールになってしまいますということを申し上げておきたいと思います。
     それから、見解等の(4)でございますが、既設稼働中及び新規計画中の風力発電施設というところでございます。既存の風力発電施設の多くは、最も近傍の住宅までの距離が1,000m未満でございます。ほとんどは200~300mから500mの間にあるといっていいのではないかと思います。ほとんどはというのは、その発電所の中で一番民家と近いところがという意味でございます。ただ、その場合は、ほとんど地域コミュニティの理解を得て運営をしておったり、その地域の一員として、町内会費を風車1本ずつ払って、それが人であるかのように扱っていただいて運営を重ねてきております。そういうところは35dBを求めるのではなく、風車が回り続けて、健全な産業として育成され、その風力発電所に地域の若い人たちが雇用されていくということこそ求めているのであり、それをなくしてしまうというようなことは不条理ではないかということでございます。
     それらの地域におかれましても、既存の施設が35dBというものが適用されることによって、事実上のリプレース、リパワーが不可能となります。したがって、20年たてば撤去しなさい。もう次に建てちゃだめよという話になりまして、これでは地元の雇用、若い人の雇用を継続することもできなければ、地域の産業として成り立つこともできなくなります。このようなことをぜひご勘案いただきまして、風力発電事業の実態とかけ離れた評価手法により、我が国の風力発電事業は、恐らくこれが導入されましたらなくなると思います。ほんの一部を除いては、もうなくなってしまうだろうというふうに思いますので、提案段階の数値がひとり歩きしないように、特に配慮していただきたいと思っております。なぜならば、新期計画中の案件に係る環境アセス手続において、平成24年度報告書を根拠に予想される騒音レベル35dB以下とするよう、地元自治体から意見が付された例が既に出てきております。地元の市町村並びに地元の住民の方々のご了解が得られまして、官民一体となって進めようとしているものがもう既にストップし始めているというのが現状でございます。
     次に、国内の風力発電自然エネルギー開発の可能性の排除ということでございまして、現在、風力発電は固定価格買取制が導入されましたが、法的な環境アセスが義務づけられまして、環境アセス中でございます。環境アセス中の案件を私どもの協会で調査しましたところ、35dBが適用された場合、現在、日本で風力発電事業を導入促進しようということで、国策としてやっておるわけですが、その70%以上が中止もしくは極端な縮小が必要となります。あるいは35dBが適用された場合、現在動いております255万kW、合計約2,000本の風車でございますが、それらの風車も夜間の発電停止等が必要になっていき、結果といたしまして、それらの風車を所有しております事業者は破綻、さらに建て替えが不可能となるために、地域の産業もなくなってしまうということでございますので、この点についてもぜひご勘案いただきたいというふうに考えております。
     只今までのところが制度上の問題でございまして、次は鈴木の方から理論上の話をさせていただきたいと思います。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 では、説明させていただきます。
     まず、前回お話が出たと思いますけれども、振幅変調音というものが風力発電設備から発せられる音の特徴の一つとして報告がありました。これにつきまして、まず説明させていただきます。
     振幅変調音、これは平成24年度事業の報告書によりますと、必ず含まれているということで報告がありますけれども、一般的に風車の音につきまして、特徴的な音と言われてはおります。ただし、まず暗騒音レベルによっては問題にならないということを指摘させていただきます。風車の特徴というものは、非常に風が強い中で運転する。ですので、一般的な機械とは違いまして、風雑音、背景の暗騒音、そういったものが大きい中で運転するということが一般的な状態になります。ですので、Swish音というものには音量、ボリュームの上下があるわけですけれども、それが暗騒音レベルと比べてどうなのかということも考えなければ評価はできないと思っております。
     それから、まず音源、風車の変調、Swish音の根本的な原因としてよく言われていますのが、風車のブレードの外周部分、ここで翼端から渦が発生しまして、それが風力音の主な原因になっている。それが回転しているために、観測者が風車に近いと距離関係が変化したりとか、音源の指向性の変化によってこの振幅変調という現象が起きるということなのですけれども、これは距離が離れるとその影響は一般的に小さくなると言われております。海外において騒音にかかる環境基準といったものに、ニュージーランドはペナルティーを加えるということを規格で決めておりますけれども、これは純音性、それから衝撃性、そういったものも含めて6dBと決めております。ここが唯一の国でして、それ以外のところでは特にペナルティーは現状決めていないと。
     日本におきまして5dBというものが適切なのかといったことに関しましては、例が一つだけ報告書に挙げられておりますけれども、これだけでは不十分であるというふうに考えております。この振幅変調音の影響は、地域、風車、風力発電所周辺の地形ですとか風の状態、風車の特性によって変わってきますので、風力発電所ごとに予測評価をした上で、環境アセスメントの中で手続を進める、さらに地域との合意形成を図っていくのがいいのではないかと考えております。
     次のページに先ほど申し上げた振幅変調音の例といたしまして、平成24年度事業での報告がありました計測例と風力発電協会の中で計測して、事業者が計測したものと比較させていただいております。上の例は報告書の例ですけれども、こちら風速は特に記載されておりません。横軸の時間軸は同じなのですけれども、下のほうはある風力発電所で風速10m/sから12m/s、非常に風が強い、風車はほぼ定格出力にある状態で計測した例になっております。青い方は風車から100m地点で計測した例、こちらは1回転に1回という回転に同期した音量の上下が観測されております。しかしながら、355m離れた赤色の線になりますと、この影響というのは非常に小さくなっているということで、一般的には風車からの距離が大きくなると振幅変調は減衰するということがこういったデータからも確認されておりますので、上のような例が一般的であるということは言えないと考えております。
     次に、諸外国のガイドライン等につきまして、報告書の方でも説明があります。こちらにつきまして、全般的なことでありますけれども、ドイツ、スウェーデン、イギリス、ニュージーランド、オーストラリアの南オーストラリア州等では、35dBという数字が紹介されております。それ以外は40から45dBとなっておりますけれども、あらゆる地域を網羅的に35dBにしようという今回の提案につきましては、世界でも例を見ない極端に厳しい数字ということをここで申し述べさせていただきます。また、昼と夜とで違いもないというのもまた厳しいという条件であると考えております。そちらに挙げました35dBという数字が出てくる国々の規制の例なのですけれども、報告書のほうで取りまとめてありますけれども、そちらについて見ていきますと、スウェーデンではガイドラインとして引用された文章が引用文例のほうに載っておりますけれども、こちらはガイドラインではなくて既存文献や規制等をレビューした文書であると。家屋の屋外で40dBということをこの文書では言っております。ただし、Mountain wilderness,archipelagoといった特殊環境では低い数字を適用すべきだということで書いておりまして、静穏を要する地域に勧奨値LAeq35dBという数字は記載されていません。このMountain wilderness,archipelagoといいますのは、ストックホルムの沖合にStockholm Archipelagoという3万の島々からなる原生自然環境がありまして、そういった本当のまさに人工的なものが非常に少ない、原生自然に近い環境におきましては、人工音を排すべしということで、こういった表記をするということになっておりまして、人間活動がある場所でこういった数字が求められるということではないということで、こちらのガイドラインでは書かれていると我々は理解しております。
     また、報告書には伝搬モデルについて記載がありますけれども、引用文書にはそういったものはなかったということです。
    次の方にいきまして、イギリスにつきましても35dBという数字があるということなのですけれども、イギリスにおきましても、全て35dBということではなくて、暗騒音に対する配慮というものも含まれております。近隣の住宅敷、騒音規制が発電電力量に与える影響、騒音への曝露を考慮して制限値を決定するということがETSU-R-97という文書に記載されております。また35dBというのも、LA90という時間率の騒音レベルで決まっておりまして、LAeqとはちょっと違うということも述べさせていただきます。さらに、地域住民が風力発電事業に関与している、そういう場合は制限値を45dBに上げることも容認されていて、一律に35dBという話ではない。
     ニュージーランドにおきましては、NZS6808:2010年版で記載があります。一般的にはLA90で40dBという数字が用いられておりまして、暗騒音レベルが高ければ暗騒音+5dBという設定をされております。35dBというものが適用される地域がありますけれども、これはnoise sensitive locationというものを規格できちんと定義していると。あらゆる場所に網羅的に35dBというものではないということです。
     それから、南オーストラリア州。こちらも35dBが適用される農山村部rural living地域になっておりますけれども、こちらもEPA、それから地域で適用範囲を決めるということで網羅的なものにはなっていない。さらにニュージーランド等と同じで、暗騒音+5dBといった暗騒音に配慮した規制といいますか、設定値もあるということを述べさせていただきます。
     次に、風力発電施設から発生する騒音等につきまして、一般的なご説明をさせていただきたいと思います。
    まず、先ほどから暗騒音という話をさせていただいておりますけれども、風車の特徴は風が非常に強い地域で運転していると。そういう地域が一般的には風が強ければ暗騒音レベルも高いということですので、その影響を考慮するというのが適切であると考えております。ただし、シェルターになっている、つまり風車の部分は風が強いけれども、民家があるような場所は地形だとか障害物等の影響によりまして、風が当たりにくくて暗騒音が低いというケースは実際にありますので、そういった地域につきましては、個別に暗騒音を考慮した予測、それから評価を行うというのが合理的であり、今は一般的に行われている手法であるということをご報告させていただきます。
     次にいきまして、その暗騒音ですけれども、実際のデータでも、こちらは日本電機工業会でまとめたデータでありますけれども、横軸が標準化風速になっていますけれども、高さ10mにおける風速になっています。風車の高さは一般的にもっと高くて、低くても30m、一般的には最近は70m、80mになっていますのでちょっと違いますけれども、これを見ていただけるとわかりますけれども、風速が高いほど暗騒音は高くなるというのは一般的に言われております。また、海岸それから樹林、そういったものがありますと、それが音源になりまして、暗騒音レベルが高くなるということもありますので、やはり地域によって特性が違うということを指摘させていただきます。
     次にいきます。それから、報告書の方で定格出力時の騒音レベルが提案されております、目標値です。風車の騒音につきましては、一般的にこれは国際的な商品ですので、国際規格に基づいた設計、それから確認が行われております。騒音につきましてはIEC規格、IEC61400-11という規格がありまして、これに基づいて音源の強さを評価するということが行われております。これは同じ規格がJIS規格にもありまして、JISC1400-11という規格があります。これに基づいて評価をしておりますけれども、これは定格出力時の音響パワーを要求しているものではない。先ほど標準化風速といったものが出ておりましたけれども、これと同じように、地上高10mで風速8m/s、それから9m/s、場合によっては10m/s、そういった整数風速における音響パワーレベルを推定すると。推定するというのは、音響パワーレベルを直接計測することができませんので、計測した音圧レベルに基づいて見かけの音響パワーレベルを推定するということを行っております。
     風車の場合、定格出力といったものがどういう風速で発生するかというのは風車によって違いますけれども、一般的なブレードのピッチ角を制御するという、今一般的なプロペラ式の風車では、定格出力が風速12m/s程度から25m/s程度まで幅広い範囲で出るように設計されております。ですので、定格出力時の音響パワーレベル、もしくは音圧レベル等をというような要求があっても、風速が決まらないと。それから風速が決まらないと暗騒音も決まらないといったことになりますので、こういったことを風車独特の特性を考慮した上で、騒音の予測方法について規定する必要があるということを指摘させていただきます。
     こうしたことはWTOのTBT協定といったものもありますので、規制をかけるときはできるだけ国際規格に適合するような方法を取るというのが一般的になっておりますので、配慮をしていただきたいなと考えております。
     次にいきますけれども、こちらが参考資料で風車の音響パワーレベルを計測したものになります。先ほど申し上げたとおり、IEC規格、もしくはJIS規格に基づいて計測をされております。一般的に国際的な市場におきましては、IEC規格に基づいた計測が行われておりますので、中立的な第三者である試験機関、テスティング・ラボラトリーがこの試験を行いまして数字を承認するということをしております。中立的な第三者というものにつきましても、その試験所が中立的かどうかというのを別の認定機関といったところが確認をするということで、非常に中立的、公正な数字が出されています。これに基づいて認証が行われているということなのですけれども、下のグラフを見ていただくとわかるとおり、風速によって音響パワーというのは大きく変化するという特性があります。また、同一容量、例えば2,000kWの風車であっても、メーカーですとか型式によって音響パワーレベルというものは違ってくるということになります。
     それから振幅変調音なのですけれども、振幅変調音につきましては、先ほども申し上げましたけれども、空力変調音とも言われております。空気、ブレードの翼端から空気力学的な現象によって発生する音というものが主な原因と言われておりまして、これが風車の場合は3枚羽根であれば3カ所ありまして、これが回転するということによって発生するということが言われております。回転しておりますので、観測者との位置関係、向き、そういったものが変化する。これがローターの回転によって起こったり、風向の変化によって風車の向きが変わったりとか、そういったことが起きますので、変化が起きていくという特徴があります。その影響は風力発電施設との距離によって変わっていって、それが先ほどのデータでもお示ししておりますけれども、一般的には距離が大きくなるにつれ、影響が小さくなるということは言われておりますので、一律に5dBのペナルティーというのは大き過ぎるのではないかと考えておりまして、5dBという例というのは、例外的な非常にまれなケースなのではないかと考えておりまして、一般的にはもっと小さい空力変調音というものが観測されても2dBとかその程度の振幅、2dBとか2.5dBとか、その程度の振幅になるのではないかというふうに考えております。
     それから超低周波音なのですけれども、こちらにつきましては、今回、報告書の中で風力発電施設からの発生音には超低周波音も含まれてはいるが、感覚閾値以下であり、問題となるレベルではないという結論をいただきまして、これは風力発電協会でも以前から海外の調査報告ですとか、国内における計測結果等からそういった結論を得ておりまして、それを確認していただいたということで非常に感謝しております。
     ですので、これは我々が以前から申し上げていることでもありますけれども、風力発電施設からの発生音の課題は、超低周波音ではないと、可聴音の騒音であるという、この点につきましては、我々は全くそのとおりだというふうに思っております。ですので、この点につきましては、環境省の方々にもぜひ正しい情報を発信していただけたらということを考えております。超低周波音が風車から非常に大量に出ていて、それによって健康被害を受けるといったことを信じてしまうことによって、体が影響を受けるといった効果というのは言われておりますので、そういうものではないのだということはぜひ情報発信をお願いしたいと。我々もそういった情報を出していきたいと思っておりますし、環境省さんでもぜひお願いしたいと考えている次第です。
     こうしたことはありますけれども、環境アセスメントは本来許認可法ではないのですけれども、風力発電設備のような、発電設備につきまして、発電所につきましては、環境省ではなくて経済産業省の方で審査が行われております。その審査顧問会におきましては、こういった目標値といったものがありますと、それを満たさなければアセスが通らないということで、実質的な許認可と同じになるということが現実の問題としてあります。
     これは既にまだ報告書が出ただけということではありますけれども、実際のアセスの場で、審査の場で、そういったことが言われるようになってきてしまっております。ですので、こういったアセスという現実を考えますと、目標値といった位置づけの曖昧な数字というものは適切ではないと考えておりまして、最初のほうに述べましたけれども、本来、風力だけに限らず、あらゆる音源を対象にした環境基準というものをきっちり決めていく、もしくは風車に対する規制基準というものを決めていくというのが正しい方向ではないかと我々は考えております。
     目標値といったものがどういうふうに扱われるのかというのを、ほぼ曖昧なままにしておくと、今、参照値という、ある意味、不幸な生い立ちになっている数字がありますけれども、そういったものと同じ運命になってしまうのではないかということを我々は非常に危惧しております。風力発電施設からの音というのは、実行可能な範囲で、できる限り回避・低減すべきもの、これを一律の基準ではなくて、個々の事情に応じて判断していくべきで、地域の合意形成プロセスの中でこれを決めていくというのが最もいい方法であると考えております。
  • 【風力発電推進市町村全国協議会(松本)】 失礼します。風力発電推進市町村全国協議会の副会長をしております松本と申します。
     この風力発電を推進する市町村全国協議会というのは、現在42の市町村が加入して風力発電の推進に向けて色々な課題等があるわけでありますが、それを克服して推進していこうということで取り組んでおるところであります。また、この市町村では、直営であったりとか、第3セクターであったりとか、あるいは民間事業者の誘致等によって風力発電を導入しているわけでありますが、そういう地域にとっては本当にこの35dBとなれば、大変大きな影響があるのだろうと、こう思っておるところであります。
     我々の協議会はそういうことでやっているわけでありますが、崇高な理念がございまして、やはり自然エネルギーを活用して地球環境を守っていこうとか、あるいは子どもたちに美しい地球をという形で取り組んでおります。そういう中にあって、風力発電を活用して、あわせて地域の活性化も図っていこうということで取り組んでおります。
     風力発電ができるところは海岸線であったりとか、山であったりとか、風の強いところ。今までは負の遺産というような形であったところでありますが、これを活用して地域の活性化を図っていこうということで取り組んでおるところであります。
    そういう中にあって、大多数の風力発電では、騒音の問題はないと認識しておりますし、また地域の合意も入れて風力発電をつくっておるわけでありまして、大変協力的にしていただいているというのが大部分ではないかなと、こう思っておるところであります。これが数値で規制をすれば、この風力に期待を持つ地域がなくなるということになりますので、そういう過疎であったりとか、あるいはそういう風の強い地域を残すべきではないと考えておるところであります。
     我が町も日本海がありまして、すぐそばに立っているわけでありますし、また近くには国道が通っておりまして、その間に風車を建てているわけでありますが、海の音であったりとか、車の音であったりとかということで、かなりの音が出ていると思いますが、これが全て35dBということになれば大変なことになりますので、ぜひそういうところを勘案していただきまして、地域の実態に合ったようなことで進めていただければと思っておるところであります。
     また、本当にしようがなく、極端に厳しい規制を課すと言っているのであれば、自然エネルギー、せっかく再生可能エネルギーということで取り組んでおるその開発の可能性を排除することになるのだろうと思っておりまして、既設のもの、現在におきましても計画中のものにおきましても、風車を建設する場所というのが限定されるのではないかと思っております。
     我々の風車もかなり年数が経ちまして、建て替えということも考えなければならないわけでありますが、そういうことになりますと、なかなか建て替えも難しくなってくるということにもなってまいりますし、地球温暖化の対策にも逆行するものだろうと考えております。24年度の報告では提案した目標値並びに環境影響評価の進め方について、必要に応じて見直しをしていくことが重要であると記述されておりますが、言い換えれば、見直しを前提とした目標値を提案したということなのかということでございます。そうすれば、検討会で十分に時間をかけて議論、検討を尽くすべきではないかなと思っております。
     風車を建て始めてから20年ぐらいになると思いますが、その中で本当に積極的な取組をしてまいりまして、いろんな課題、問題もあったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、現在、地域の方にも親しまれながら取り組んできておるところであります。昨年は電力供給も逼迫ということで、再生可能エネルギーの買取価格を決めていただきましたし、地域に貢献できることになったところでありまして、そういう中にあって、また35dBという、そういう目標値ができるということになれば、市町村にとっても大変な負担、重荷になってくるということになってくるわけでありまして、ぜひそういうことを勘案していただければと思います。
     それぞれの地域の実態に合った中でご検討いただければありがたいなと思っております。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 こちらの最後にというところにございますように、風力発電事業者並びに全協といたしましては、35dBというような目標値を設定されますと、業界はほとんど、これは死刑宣告に近いというふうに考えております。35dBで運転をそのまま継続できる風車がどれほどあるのかということを言いますと、本当に30%ぐらいしか残らないというところなのです。約2,000本の風車の内の1,400本を止めなさいということになります。環境省さんが地球温暖化対策として自然エネルギーを導入されていますが、実質的には自然エネルギーの導入を排除していこうということとほとんど同じ状況になりますし、何度も繰り返しますが、私どもも騒音を出したくてやっているわけでは全くございません。地元の方たちがこれならいいとおっしゃる範囲内でやっておるわけでございまして、地元から苦情の出ているところは、合意形成に問題があったのであろうというふうに思っておりまして、それらは個別に対処すべき事案であって、デシベルで大きく括って2,000本の風車を規制するとか、今後どんどんと建っていくであろう風車の余地を狭めていこうというのは恐らく報告書、並びにこの検討会の目標ではないというふうに信じておりますので、そういう形で私どもの意見を汲み取っていただければというふうに考えております。
    以上でございます。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。ただいま事業者側の代表ということで、制度上の問題については塚脇様、技術上の問題については鈴木様、それから風力発電推進市町村全国協議会の方からは松本様からご説明をいただきました。 いろいろ厳しいご意見も承りました。
     風力発電施設を設置する場所的な問題もございますけれども、とくに静穏な地域に設置する、しかも風が吹いているというような特殊性もあります。
     また、ただ今のご説明にも出てきました目標値、これは目標値というものになるか、ガイドラインか、これからの検討によるものなのですけれども、それらを考える背景として、今申し上げましたような設置環境について、十分に考えておく必要があるだろうと思います。
     それでは、まず制度上の問題についてご意見、ご質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  • 【新美委員】 新美と申します。
     数値ではなくて合意形成でやったらいいというお話でしたが、全員がオーケーと言えばいいのですが、何をもって合意というのでしょうか。1人でも反対したら合意がないのか。後から居住した人については、その合意形成はどんな意味を持たせるのか。その辺について少しご説明いただきたいと思います。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 まず合意形成でございますが、私ども風力発電協会に属しております事業者といたしましては、地域の自治体にきちんとご説明をいたします。その上で、同時並行的ではございますが、地権者の皆様に対しての説明会を何度も行います。かつ地域、地権者でありますとか、その近傍だけではなくて、行政の指定するこの範囲ぐらいまでは了解を取ってくださいと言われるところについても了解を取って進めております。
     中にはもう、合理的ではない反対をされる方たちもいらっしゃいます。要するに風車が嫌いだと。絶対建てるなというような方もいらっしゃいます。それはもう規制値がどうのこうのというよりも、俺は嫌だという人もいらっしゃるので、そうなってきますともう建たないのです、実際問題。それを強行して建てるかどうかというのは、もう事業者が判断することでございまして、35dB以下であっても嫌な人は嫌だとおっしゃると思います。45dBなのか、35dBなのか、あるいはそれ以外なのかということにつきましては、きちんと私どもがここに設置いたしましたらお宅はこのぐらいのデシベルですと。それはどれと同じぐらいですというのをご説明して、ご了解を得て同意をいただくというプロセスを普通は積んでいるんです。問題が起こっているところというのは、そういうプロセスがなかったのではないかというふうに考えております。
     後から来た人はどうするんだということについてですが、これは私どもの協会でも現在、答えが出ておりません。後から来る人がどこに住むかというのを推測しながら建てるということはできませんので。ただ、私どもが建てている場所というのは、基本的には市街化調整区域でありましたり、農地を一部農地転用して建てたりしておりますので、本来そこに人が居住するべきところではないというところに建てておりますから、そこに好き好んで引っ越してくる人というのはあまり想定していないというのが実態でございます。
    以上でございます。
  • 【町田座長】 よろしいですか。
  • 【新美委員】 合理的であるかないかは何を基準にして、反対が合理的であるとかないとかという時、合理的という基準は何ですか。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 合理的かどうかというのは、例えば45dBだとか。
  • 【新美委員】 環境基準を......。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 環境基準を一つの目安にはしております。
  • 【新美委員】 それ以外には何かあるんですか。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 それ以外には、例えば45dB以下であったとしても、そこに非常に体の弱った方がいらっしゃって、そこは夜間は止めてくれとおっしゃっているようなところでは、事業者はそれに配慮して止めている例とかもございます。合理的が何かというのは、何か一つの数値があるわけではなくて、お互いが合理的でしょうというところまで話し合いをしてやるということだと私は思っていまして。なので、本当に繰り返しになりますけれども、合意形成ができてないから問題が出てくるので、合意形成ができていれば、その合意自体が合理的だということになるのだというふうに思っております。
  • 【町田座長】 他にいかがでしょうか。
     桑野委員、お願いします。
  • 【桑野委員】 今の合意形成という点につきまして、私もかなりいろいろ教えていただきたいと思っていたんですけれども、合意形成があって建設したにもかかわらず住民の方が悩まされていらっしゃるというところはございませんでしょうか。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 少なくとも私どもの持っている風力発電所にはございません。他であるかもしれません。その個々の発電所については、個々の事業者が対応しているというところが現状でございます。
     例えば、先ほどちょっと申し上げましたけれども、35dBとか45dBとかとは全然違う、私どもの風力発電所で最も近いところに住んでおられるのは180mのところに住んでおられます。それはその人がそこに建ててくれと頼まれて、自分のところの土地に建ててくれと。俺は原子力とか嫌なんだということで、絶対応援したいんだということで建てたりするのです。なので、今、建ててからこんなはずじゃなかったということが出てくるかということにつきましては、少なくとも私の知っている限りはないですけれども、あった場合はそれはどういう形で防音のための窓を二重サッシにするとか、騒音を遮るための植林を行うだとか、それぞれの事業者が、あるいは時間別に発電をするとか、色々なことをしているのではないかというふうに思います。
     それこそ、逆にそういう調査を経済産業省さんとかで予算をいただければ、全国でやってもいいんじゃないかと思いますけれども。
  • 【橘委員】 今のに関連しますけれども、合意形成ができれば何とか基準というようなものはなくてもいいじゃないかというとお話なんですけれど、確かにそうですね。ただ、その合意形成というのができないからこういう議論になっているわけで。
     それから、我々も前回、私のほうから説明しましたけれども、全国的な調査といっても非常に短期間ですから網羅的にやれたかどうか、これはわかりませんけれども、そこではやはり風車に対する個人個人の評価というのは本当にバラバラですけれども、大ざっぱに見れば、favorableな反応って非常に少ないわけです。風車ができて良かったなという反応は、我々もちょっと意外だったんですけれども。やはり風車に対して、大ざっぱに言えば非常に迷惑感を持っている人が多いと。
     そういう中で、今のご発言のような合意形成ができればいいじゃないかとおっしゃるのだけれども、もしそれができれば本当にいいと思いますけれども、それが非常に難しいのが現状であろうという感じがいたします。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 橘先生のお話はそのとおりで、合意形成ができないから作っているじゃないかというのは、そのとおりかもしれません。一方で、私どもどこで短期間の間で測られて、誰が文句を言っておられるのかというのが見えてないのです。私どもの風力発電協会と全協さんの持っている風車で、日本全体の80%ぐらいの風車がございます。その中のどこで測られて、その風車のどの地点の人が文句を言っているのかとか、全然見えないので、そこをもしご開示いただければ大変ありがたいです。
  • 【橘委員】 今日は戦略指定研究の説明会ではありませんので、細かいことは申しません。それからまた、言い訳になりますけれども、あれは個々の地点のここの風車のこの地点の誰々さんの家の近くで測ったというデータは一切公開しないという形でやっております。その分、たくさんデータを取って、統計的に話をしようと。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 それだと......。
  • 【橘委員】 だから、個々の問題の場合には個々の測定をやって、それは解明すべきですね。その話とは別に、ご存じだと思いますけれども、オランダなんかのデータで見ますと、何らかのベネフィットを感じている人、これも明らかに社会心理学的にもそうだと思いますけれども、ほとんど苦情が出ない。統計的にも、そういうアンケート調査が出ています。ですから、その辺が日本でこれからやっていく場合に事業者、あるいはそれを支援する自治体といってもいいかもしれませんけれども、住民にどういうベネフィットを感じさせるか。さっき言った市民会館を建てましたとか、そういうのはかなり個人的なベネフィットとはどうも感じておられないような。外国なんかでは、さっき地権者という話がありましたけれども、地権者はかなり直接的ベネフィットがあると思うんです。そうじゃない周辺に住む人たちが、この風車、ウエルカムであると。favorableになれるというのはどういうことを考えればいいのか、その辺、事業者がどういうことを考えていられるのか、その辺、今日ぜひ伺いたいと思いますけれども。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 固定価格買取制度が入る前というのは、日本中に建っている風車は赤字でございましたので、存続の危機でございました。固定価格買取制が導入されまして、ようやくプラス、水面上に浮上としたというところでございますが、風力発電協会の会員、もしくは全協さんの風車事業につきましては、まず第1点目に、風車事業というのは固定資産税が地元に入ります。これは行政、その人、個人に入らないんですけれども、当たり前ですが、地域の自治体に対して固定資産額の1.4%が毎年落ちます。さらに、そこの地元の方の地権者には直接的に地代が入ります。さらに、その地域の自治会だとか町内会というのがございますけれども、そこに対しての事業協力金のような形でお金を払っていることが多うございます。大体そういうことを続けながら、地域の一員として認めていただいているというのが私どもの業界の普通のやり方なんです。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。時間も少し過ぎておりますので
     次に、技術的な問題についてご質問等、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  • 【矢野委員】 熊本大学の矢野ですけれども、技術的かどうかわかりませんが、先ほどのお話の続きなんですけれども、デシベルじゃなしに苦情対応でということで、苦情対応なのは大変結構だと思いますけれども、デシベルと苦情といいますか、不快の程度とか訴え率が対応がとれないというのは、個々に広域な地域をとっていけば、それはもちろんとれないと思いますけれども、こういう対応をとる場合には、広範囲にデータを蓄積して、それに基づいて対応をとっていくわけです。今回の環境省さんが行われた調査で、全国にわたって蓄積した結果では、デシベルと不快の訴え率の間にはちゃんとしたというか、統計的に有意な傾向がありますので、こういった個別の、ここはこうだ、ここはこうだというのでは、なかなか科学的な議論ができないのではないかと思います。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 それはそのとおりだと思うんですけれども、例えばどの地域で何本の風車をチェックされて、何メートルぐらい離れているところで問題が多いんだとか、そういう何かデータを私どもにもぜひ開示いただきたいと。個別のところはだめだというのは、それもそうかもしれません。ただ、我々は全然わからないままで35dBがポンと出てきて、本当に驚いているというのが現状なので、どういう形で測られて、どこの場所で何本測られたのかというようなこととか、騒音的なデータ開示というのはぜひお願いしたいと思います。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
  • 【橘委員】 今は戦略指定研究を指してお話しになっているんですか。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 私はそれはもう全然知らないですけれど。
  • 【橘委員】 前回のこの会議で私のほうから説明しましたのは、環境省の戦略指定研究、過去3年間でやったやつです。これは今、報告書も環境省に出していますから、環境省がいつそれをオープンにするか。それから、テクニカルな問題は学会等に発表していますので、それをご覧になっていただけると。我々全部ひた隠しに隠してやっているわけではございませんので。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 そんなことは全然思っていませんけど。
  • 【橘委員】 ただ、どこの風車でどこどこで測ったら何dBだったという個々のデータは出せません。そういう前提でいろいろ測定をお願いして、風力発電協会にもそういう形でお願いしているわけですから。
  • 【町田座長】 落合委員、お願いします。
  • 【落合委員】 暗騒音の話で、風が強くなれば暗騒音レベルが高くなるからいいじゃないかというお話がありますが、この資料の4ページの右下のところは、これは10mの高さではかられたものだと思うんですけれども、場所によって、その前のテキストにシェルターになっている箇所が特別な配慮が必要だということで書いてありますけれども、北海道のような広いところとか、オランダみたいな平らなところですと、確かに風が強くなれば暗騒音は大きくなると思うんですけれども、日本は結構地形が複雑なので、場所によってかなり暗騒音の大きさが違うと思います。また、同じ海沿いでも、海側から風が吹くか、あるいは陸側から海のほうへ風が吹くかで暗騒音の大きさが違ってくると思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 暗騒音についてご質問いただきました。暗騒音につきましてはおっしゃるとおりで、環境によって全く違うと、風速によっても全く違うということですので、基本的には個別のサイトに応じた評価をするのが適切であるというふうに考えておりまして、暗騒音とは関係なく、風車音の寄与分だけで35dBというのは、サイトごとの環境条件に配慮しないということになりますので、それは適切ではないのではないかというふうに考えている次第です。
     実際、平らなところ、それから風にさらされているところも日本にはありますし、シェルターになっている場所もあるということですので、風力発電所の回りでも場所によって、基本的には民家ということになると思いますけれども、その民家によって条件は違いますので、それぞれの場所で風力発電事業者は事前に暗騒音を計測した上で評価をしておりますので、そういったことは環境アセスメントの中で行われておりますし、法アセスになる前からそういった手続はしていますので、そういった方法で評価ができるのではないかというふうに考えております。
  • 【落合委員】 だとしますと、たくさん家があれば、たくさんある家の全部のところで測らなきゃならない。これはすごい大変じゃないかなという気もいたしますけれども。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 民家全てということではなくて、大体集落ごとになっていますので、その中で代表的な場所というのは選定しておりまして、面的に全てをカバーするというのは、現実的に不可能ですので、そこまではできていないと思いますし、そこまでは不要ではないかなと考えています。
  • 【町田座長】 よろしいですか。他にいかがでしょうか。
  • 【船場委員】 船場と申します。よろしくお願いいたします。
     少し視点を変えて、技術的というか、これはひょっとすると事業者さんというよりはメーカーさんにお伺いするべきことなのかもしれないのですが、風車から出る騒音レベルの開発動向というか、20年前に比べて現状下がりつつあるのかというような話と。それから、メンテナンスによって騒音レベルが変化するといったことがあるのかということをちょっと教えていただけますでしょうか。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 まず、メーカーではないのであくまでメーカー等から収集した情報、それから一般的に公開されている情報からのお話になりますけれども、風車は音響パワーレベルというものが一般的に示されています。これは音源がどれだけ強いかと、どれだけの音のパワーが出るかということを示す数値ですけれども、これは以前、10年以上前からあまり変わっていないと。変わっていないという意味は、風車のほうは500kWとか、そういったレベルから2,000kWとか2,500kWといったふうに大きくなっています。ですので、実質的には風車の音源の強さというのは弱くなっているのではないかというのは一般的に言えると思います。風車が小さくても大きくても同じぐらいの音源の強さだというのが実情に、今のところなっているので、メーカーの方はそれなりに努力はしているということは言えると思います。 今後も、風車の音源が強くなるということはあまり考えられなくて、これはやっぱり風車の音を下げるというのは世界的にも必要だという認識はありますので、今後もどちらかといえば現状維持、もしくは下がっていく。ただ、風車が大きくなるので実質的には音のレベルというのは下がっていくのではないかというふうに考えております。
     それから、メンテナンスにつきましては、これは非常に重要な話でして、きちんとメンテナンスしなければ歯車ですとか、ベアリング、それからブレードなどから異常音を発生するというのは、これは現実の問題としてあります。ですので、風力発電事業者は今回はFITになって、ある程度事業性が確保されるようになっていますので、メンテナンスせずに放置するということではなくて、適切なメンテナンスを適宜やっていくということで歯車から異常音が出たりとか、それからブレードが落雷を受けて少し壊れると、端が少し口を開けるといったケースがあるわけです。そういったちょっとしたことで回る時の音が増えるということは実際にありますので、こういったことを頻繁に直していって、地域の方に迷惑をかけないといったことというのは必要なことですので、風力発電事業者に対してはそういったことを求めていくというのは非常に重要ですし、風力発電協会としてもそういったことについては問題視、それから重要視しているというところです。
  • 【船場委員】 それに対して何らかの、今35dBというのはちょっと置いておいて、何らかの基準値というか、値が出るということについては、そういったメンテナンスのことをしっかりやりなさいといったことについて、多少よりアクションしやすくなるのではないかといったようなことは考えられるのでしょうか。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 例えば今、現状でお話しさせていただくと、環境基準というものがありますので、メンテナンスが悪いから環境基準を超える音が出てしまっているというのは、それはもうそれだけで問題なわけです。ですので、まず現状で話をさせていただくということになれば、そうなる前にきちんとメンテナンスをしなさいと、これはもう法の要求だと思いますので、きちんとやるべきだということです。
  • 【船場委員】 もう一ついいですか。ちょっと不勉強でよくわからないのですけれども、定格出力の問題をお話しされていましたけれども、定格出力で回るようにした時が一番効率よく発電するというふうに考えてよろしいのですか。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 効率という意味では、定格風速より低くてもそれほど効率は下がらないと思います。ただし、風速が低いと風のエネルギー量が少ないので、得られるエネルギーも少ないと。ただし、効率という意味ではあまり変わらないと思います。風力発電は風のエネルギーというのは無料ですので、あまり効率というのは重視していないと。風を逃がしてしまっても、それで直接的に損をするわけではないので、あまり効率というものは追及していないと。
     どちらかというと、最終的にどれだけの発電コストでエネルギーが得られましたかというところを見ていますので、あまり効率を追求するよりも、壊れないで長期間運転させることで、最終的には得られるエネルギーが大きくなると、それで発電コストを下げようという考え方も入っていますので、効率という観点では定格の時が一番いいとは限らないと。定格風速というのはあくまで連続運転できる最大出力という捉え方で、風自体が上がったり下がったりするものですので、そこで効率を最大ということではない。実際のところはもっと低い風速6m/s、7m/s、8m/s、それぐらいの確率のほうが高いので、その辺を中心に効率を上げるとか、疲労荷重のような荷重が変動することによる機械の損傷というものをなくしていこうというのは、もうちょっと低いところを中心に考えています。
  • 【船場委員】 わかりました。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。それでは時間も押しておりますが、風力発電を推進する全国協議会の松本さんからもご説明ございました。ご説明いただいたことに関連してご質問ございますでしょうか。
    よろしいですか。
  • 【橘委員】 ちょっと一言つけ加えさせていただきます。
     やっぱり今も環境基準45dBというのを何か一つのよりどころにしようとしている意向が大変強いんですけれども、それは時間の関係で議論はし尽くせないでしょうけれども、それに問題があるという発想で報告書も書かれております。
  • 【沖山委員】 かなりの数の環境アセスメントをおやりになっていると思うんですが、事業者は環境アセスメントを行う時に環境保全目標値というのを定めますね。その値は環境基準の45デシベルということで全てやってこられたということなんでしょうか。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 そういうことです。
  • 【矢野委員】 先ほどの橘先生のご意見と重複するんですけれども、環境基準が元々騒音レベルの高いところに対象としてするような基準ですよね。ですから、風車にその他の騒音の環境基準と同じような基準値を設けているような国って、ないんじゃないですか。ほとんど風車の場合は特殊だから、別途基準値を設定してやっているというのが世界のすう勢だと思いますよ。だから、そこに環境基準以外の新たな目標値などの評価指標は必要ないと考えるというのは、ちょっと誤解があるんじゃないかなと思いますけれども。
  • 【日本風力発電協会(塚脇)】 私どもドイツでも風力発電事業をやっておるんですけれども、ドイツにおきましても、環境基準に類するようなものがございますけれども、基本的には地元の方と同意をすれば、別にそれに縛られないです。
  • 【矢野委員】 確かにドイツはそうなっていますけれども、その他の国は風車は別個に環境基準だとか規制値を設けていると思いますよ。それ以外の騒音とは違う、厳しい基準値を設けているのが世界のすう勢だと思います。
  • 【日本風力発電協会(鈴木)】 今回、35dBという数字が出されているものにつきましては、幾つか調べておりますけれども、風車に特別な環境基準を設けているというのは、一般的という印象は持っていないです。風車につきましては純音性、歯車の音だとか、ベアリングから純音成分が高くなるケースがあったりとか、それから振幅変調の問題などは確かにあるので、国によってはそれについてペナルティーを課す。
     純音につきましては、風車の機種ごとに違うので、純音成分が確認されたものについてはペナルティーを課すということはあると思うんですけれども、風車に特別絞った基準があるという、風車のガイドラインというのはもちろんあるんですけれど、例えばニュージーランドは規格で決まっていますし、そのほかの国でもガイドラインというのは設けているんですけれども、そこに書かれた内容が風車専用につくられたものかということではなくて、一般的に音源は同じように捉えられているのではないかというふうに考えています。あくまで、風車特有のものについてはペナルティーを課すと。なので、今日のご報告、ご説明の中でも風車ということではなくて、あらゆる音源に対して必要であれば規制をするべきではないかということをお話しさせていただいたということです。
  • 【町田座長】 それでは、予定の時刻も回っておりますので短くお願いします。
  • 【橘委員】 今の大変、もう一回24年度の報告書を読んでいただければ、風車に特化としたガイドライン、あるいはそれに近いものを作っている国、たくさんございます。
  • 【町田座長】 議論は尽きないのでございますが、予定の時刻をオーバーしてございます。ご説明いただきました内容につきまして、追加的にご質問がございましたら、事務局経由でご連絡をいただき、回答をお願いしたいと、考えております。ご説明ありがとうございました。
     それでは、次の議題3のほうに入っていきたいと思います。次は地方公共団体からのヒアリングについてでございますが、議事予定にございますように、秋田県、静岡県、兵庫県の方に今日は来ていただいております。それぞれの県における風力発電施設の現状、あるいは平成24年度の報告書のご意見等、15分程度で恐縮でございますけれども、ご説明をいただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。
    それでは、ご準備お願いいたします。
  • 【秋田県】 秋田県生活環境部環境管理課の古井と申します。私のところはアセスメントと騒音の担当をしてございます。それでは座らせて説明をさせていただきます。
     今回こういうご機会をいただきまして、大変ありがとうございます。それでは秋田県におきます風力発電所と騒音の状況並びに環境影響評価の状況等について簡単にご説明をさせていただきます。
     まず、本県の現在の風力発電所の稼働状況ですけれども、風車の基数として平成25年3月末現在で風車基数114基、総出力としまして約14万kWという状況になっております。秋田県の場合、日本海側に面した海岸線が非常に広うございますけれども、風車のほとんどがこの海岸部に。それから海岸部から丘陵部にかけて立地されておりまして、内陸部にありますのは、鹿角市と書いてありますけれども、ここの1カ所という状況にございます。
     これは現在稼働しています1基ごとの定格出力別に見た状況でございますけれども、500kW以上1,000kW未満、それから1,500kW以上2,000kW未満という、ここに二つ大きなピークがございまして、ここで8割を占めておりまして、2,000kW以上というものはほとんどありません。 これは施設ごとに見た総出力別の稼働状況ですけれども、72%以上が5,000kW未満ということになっておりまして、一番大きいので3万kWという状況、これが1施設ということになっております。
     続いて、風力発電所から起因する騒音苦情の状況でございますが、これにつきましては、過去5年分をここに書いてありますけれども、公害苦情といいますのは、県の環境部局、それから市町村の環境担当部局で苦情相談を受けたものの件数でございまして、苦情には色々な内容がありますが、その苦情件数としては大体400件から500件前後で推移しておりまして、そのうち騒音という名目で苦情処理されているのが年間40件から50件程度あります。さらにその原因別に見た時に、風車騒音というカテゴリーになりますのは1件もないと。行政的に把握している部分で風車騒音の苦情はないという状況です。
     (2)に平成22年度に環境省さんが実施しました実態把握調査において、事業者からそういう報告があったということがございましたので、このとき、県内の19施設を対象にして、中で事業者から1件苦情がありましたという話がありました。我々行政としても後追いでこれを知ったという状況になっています。これにつきましては、総出力で2万kW以上の風力発電所で、住宅までの距離が大体1kmだったと聞いておりますけれども、事業者のほうが適切に対応されておりまして、一応終結をしたと。これが事業者と苦情者の間にうまく関係が構築されない場合には、当然行政に相談があって、これが我々のところにくるということになるかと思いますけれども、この事案につきましては、事業者が適切に対応されたので、行政への苦情ということにはなっていないのかと思っております。
     現状、そういうところなのですが、秋田県の場合は再生可能エネルギーを県としても推進しているというところもありまして、今後の計画が非常にたくさんございます。今のところ、当課で把握している限り28件、大小さまざまありますが、立地が予定されております。全てこれも沿岸部の市町村のところに立地するということで、このうち11件、アセス法の手続をしている段階でございます。中では星印になっているところがアセス法の対象案件ということになっております。
     この計画の案件の中には、現状計画ですので、1基当たりの出力は未定というか、確定したものではないと思いますけれども、最大1基当たり3,000kWと、総出力10万kWというようなところもございます。 今現在の計画されているものを総出力別に分けましたのが、このグラフになっております。今話しましたように、10カ所36%程度ありますけれども、3万kWを超える出力のものが7件ということで、20%以上がこの中で計画を占めておりまして、今後、大型の、現在よりも大型の風力発電所が建設されるのではないかという状況になっております。
     先ほど11件、アセスメントの手続をしているというものをご紹介しましたけれども、その段階の内訳です。11件のうち3件につきましては、方法書の手続中ということでございまして、これは公告縦覧、それから住民意見聴取まで終了しておりますので、これから県からの県知事意見を形成しているという段階でございます。
     それから真ん中ほど、方法書手続終了の6件につきましては、これは経過措置案件で、自主アセスメントで作成した方法書についてまで終了しておりまして、昨年11月に経済産業大臣から勧告を受けているという状況になっておりますので、我々このアセスメントの状況が、調査の進捗状況を直接確認しておりませんけれども、既に調査に相当着手しているという案件もあるやに伺っております。
     一番下が準備書手続終了2件についてですけれども、これも経過措置案件ということで、これにつきましては、準備書に対して県知事意見を昨年の8月、9月の段階で提出しておりまして、その後、環境大臣意見、それから経済産業大臣勧告を受けておるというところですけれども、その後の評価書段階への進み具合につきましては、まだちょっと我々のところには情報がなかなか不足しているというところでございます。
     そういうことで、アセスメントを主に担当していますので、現状の方法書手続の中で、方法書の中についてどういうふうな記載になっているかというところをちょっと整理しましたので、追加で説明します。案件が3件あるんですけれども、2件は類似したような形で書いていましたので、それを省いて二つの事例にまとめてありますが、現地調査の状況です。書き方は若干違いますけれども、騒音と低周波音に分けた形で項目を設定しまして、A特性音圧レベルとそれからG特性、それからオクターブバンドの音圧レベルを調査しますという中身になっておりまして、調査地点の違いにつきましては、周辺の住家とか、それから居住状態の違いによって地点の設定数が違うと。それから調査期間につきましては、いずれも強風日を含む2日間、48時間連続で測定するというような方法になっております。
     予測手法につきましては、これも騒音と低周波音に分けまして、理論伝搬式による等価騒音レベル並びに低周波音であれば、音圧レベルのパワー平均を取るということで、予測の地点につきましては、事例1については現地調査地点でいずれも評価すると、予測すると。それから事例2では、低周波音につきましては現地調査1地点ではなく、ちょっと幅を持った形で家屋の集合地域というような表現になっております。予測の時期は定格運転時というような表現となっています。
     予測についてはどう評価するかということで、環境影響の回避、低減に関する評価の部分はちょっと省略しまして、基準又は目標との整合性の検討というところがありますので、そこを書いていますけれども、事例1、2とも普通の環境騒音といわれる部分については、当然、環境基準との整合性を検討すると。事例1のほうについては、低周波音を環境基準と書いていますが、これは多分事業者さんの間違いだと思うんですが、そういう書き方をされていまして、事例2では低周波音については、これまでの研究成果を参考にした環境保全目標で、例として二つのものを記載されているという状況になっています。
     こういう状況にありまして、今現在検討されている評価手法なり、評価目標値のことについて、我々の部局としての考え方を簡単にご説明させていただきます。
     まず、評価基準の設定というところにつきましては、一般環境騒音の基準が適用されている、プラス低周波音の評価という形に今現在のアセス書の中身は構成はそうなっておるのですが、一般環境基準と評価する部分は良いとしまして、低周波音を調査、予測評価するんですけれども、それについて明確な基準等がないので、今回の検討されている部分につきましては、低周波音部分が科学的根拠が乏しいので扱わないというような形のことを記載された部分に若干懸念がありますけれども、ある意味、数字が風車から発生する騒音で評価される基準値が設定されるということにつきましては、一般住民にとってもわかりやすいので、直接的でわかりやすいということがあるので、良いのではないかなと。ただ、数字が守られた場合に、事業者サイドにとってはその数字さえ守ればいいというような、免罪符ではないんですが、そういうちょっと懸念があるのかなと。そういうことで、よりそれ以上の回避・低減努力が後退してしまうのではないかという、そういう懸念は抱いております。
     それから2番目として、現状のやられている調査・予測・評価手法等の整合ということで、最初のところは今アセスの準備書段階で、風車から発生する音のみの予測をしている例がありまして、それが例えば今、目標値になっている35dBを超えていると。それとあわせて、暗騒音と合成した予測値も評価しておりまして、それは一般環境基準45dBという数字は下回っている例があると。今後この目標値が採用された場合に、こういう例をどのように扱っていいのかというのが、ちょっと私どもとしては悩ましいなということを考えております。
     それから、真ん中のA特性だけでというところは、先ほどの懸念の話もあったんですが、一般の方からしたときに、目標値の中には低周波数の成分もある程度その影響も見た形でペナルティーをつけているというふうに私は読んでいますけれども、そういうことが今までのアセスメントの中では低周波音という評価とか予測をしているのに、今後、そういうことが用いられないで、今のA特性だけ35dBということで評価することが一般の住民の方にとって、後退したというのは評価とか、予測評価が後退したという捉え方をされるのではないかという、そういうことになるのではないかという懸念をしているということでございます。
     それから、三つ目のはさほど大したことないのかもしれませんけれども、先ほどあったように、今の実際の現地調査でやっている部分につきましては、調査期間として2日間程度の強風時連続ということを皆さん想定してやられているんですけれども、今回の報告書の中では1週間程度、季節別に変動がある場合は、季節ごとにというようなことになっていますので、今後このような調査期間を我々、アセスを指導する立場としてどのように扱っていいのかということも示していただければと思っております。
     最後に、事後調査のところですけれども、事後調査と予測結果を評価するに当たって、事後調査段階で風車騒音のみを測定するというのはかなり困難だと思うんですが、その場合にどのようにして評価をするかという辺りも示していただければなと思っております。これまで環境行政を担当していて、騒音問題は風車に限らず、非常に音の感じ方が個人差とか、精神的な影響もあるということを十分認識しておりまして、非常に難しいということだと思いますが、今回の目標値とか、そういう新しい評価手法の設定で風車による騒音問題が、防ぐことができるように期待を申し上げているところでございます。
    以上で、私の説明を終わらせていただきます。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。秋田県様のほうから現況についてご説明いただきました。何かご質問ございましたらお願いしたいと思いますが。
  • 【桑野委員】 風車騒音に対する苦情がゼロというのは感心して聞かせていただきました。先ほどの地図を見ますと、ほとんどが沿岸地域に風車がつくられておりまして、苦情がないということの理由の一つとして、波の音がかなり風車の音をマスクしているんじゃないかなと想像されますが、そのように考えてよろしいのでしょうか。それからあとは住宅がどの辺にあるのかを教えていただきたいと思います。
  • 【秋田県】 今、騒音問題がないということで、環境部局として、正確な風車と民家とか住居地の位置を、実は把握していないというのが現状でございます。実際、グーグルアースとか、ああいうので見ますと、今一番近いところは400~500mというところがありますけれども、遠いところは1km以上とほとんど民家がないというところもありますので、ちょっと距離については明確なお答えができなくてすみません。 あと波の音という話もありましたけれど、住家があるところが波の音が聞こえるというところもあるとは思いますけれども、日本海側の特性として、強風時というのは秋から冬にかけてということで、雪も降りますし、寒い。相当強風がありますので、ほとんど窓は締め切っているというか、窓ももともと寒さ対策の二重サッシだったりするから、断熱材がかなりが入っていますし、そういうところもあって、防音効果もあるのかなという感じはしています。
  • 【桑野委員】 ありがとうございました。
  • 【町田座長】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、沖山委員お願いします。
  • 【沖山委員】 秋田県さんの公害苦情件数を見ますと、騒音が1割というのは、やはり秋田県さんの特色かなと思うんですが、風車の騒音以外の騒音苦情というのはどのようなものがあるんでしょうか。
  • 【秋田県】 今回、苦情の中身は、それ以外はちょっと詳しくは調べていませんけれども、ほとんど多分そこについてはないと思います。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。
     一つ私のほうから伺いたいんですが、苦情者対応のお話があったかと思いますが、事業者が適切に対応したので苦情がなくなったと。どんな対応をされたか、何かわかりましたら教えていただけますか。
  • 【秋田県】 これも聞き取りだったので、ここにちょっと書いてますけれども、事業者が苦情者宅のほうに騒音計を設置して、1年ほど測定したと。それで風車が稼働していない時も騒音を感じているということで、それで納得していただいたのかなというようなことですので、データでこれ、示されたと思うんですけれども、風車の場合、止まるという時間がありまして、それでも感じているというのであれば、やはりそれは明確に風車に起因しないということも言えるので、そういう形でご納得いただけたのではないかと思っています。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。それでは予定の時刻になっておりますので、秋田県様、ありがとうございました。
    次に、静岡県様のほうからお願いいたします
  • 【静岡県】 それでは静岡県くらし・環境部環境局生活環境課長の市川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
      まず、本日このような意見陳述の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。風力発電施設から発生する騒音等の評価等に関する静岡県の意見を述べさせていただきます。
      まず最初に、静岡県の風力発電の概況についてご説明いたします。これは平成23年度末の都道府県別の風力発電施設の規模を示しておりますけれども、静岡県は青森県、北海道、鹿児島県に次いで全国第4位です。それから右側は静岡県内に設置した過去10年間の風力発電の規模の推移を示しております。このように、21年度ごろから増加しておりまして、現在は22カ所85基、総出力が14万4,000kWとなっております。
      設置状況ですけれども、ピンク色の大きな丸が7,500kW以上の風力発電施設で7カ所ございます。主に伊豆半島、それから遠州灘の海岸沿いに集中しております。今後の設置が予定されている風力発電ですけれども、大きなものは2カ所伊豆半島にございまして、それからもう1カ所、遠州灘にございます。合わせて5.5万kWでこれが完成しますと出力全体としては20万kWとなります。
      次ですが、静岡県の風力発電の導入方針について説明いたします。新エネルギーの導入につきましては、静岡県新エネルギー導入倍増プランで目標値等を定めておりますが、風車につきましては、現状の今後できる値を当面の目標値としております。それからもう一点、御前崎港の第一防波堤の外洋に、洋上風力や波力発電所を導入する新エネルギー「再生可能エネルギーゾーン」というのを設定をして、今、民間からアイデアを募集して、意見がちょうど集まったところです。こんな方針でも進めております。
      それから、本県の風力発電に関する環境保全への対応について説明いたします。平成19年にガイドラインを策定しましたけれども、これはちょうど現在ウインドファームが設置され始めたころで、色々な住民からの意見が寄せられ始めたころでございます。生活環境、自然環境や景観の保全について事業者が自主的に遵守すべき事項や手続について定めたもので、できる限り具体的にということで、ちょっと書き過ぎたところがあるかもしれませんけれども、方針を示しました。それから、平成24年、法アセスの風車が導入されたのと合わせまして、条例のほうにもこの規模で導入をしております。
      それから、風力発電施設に関する苦情についてでございます。静岡県は、苦情が非常に多いということで知られておりますけれども、幾つかご紹介したいと思います。まず3の事例をご紹介いたします。これは二つの自治会から苦情が発生したという事例ですが、自治体がまずそのエリアの騒音等の調査を実施して、住民に詳しく説明をいたしました。その後は、自治会と事業者が周辺環境を損ねる場合には対策を講ずるという確約書を取り交わして、今は苦情等は発生していない状況になっております。
      それから、4番目の事例ですけれども、これは別荘地がございまして、その隣の尾根に別荘地の並びと合わせたような形でウインドファームが設置された事例でございます。稼働直後から苦情が発生しており、自治体は住民、事業者との三者の会議を設置しまして、もう何十回となく調整を行っております。この間には、何人かの住民は転居をしております。現在は話し合いの結果として、夜間3基が停止、2基が抑制運転ということで、苦情は自治体のほうに寄せられなくなった状態になっております。ただ、「気持ちがいい」という発言までには至っていないという状況です。 5番目の事例ですけれども、これは事業者が具体的に全ての自宅に行って、騒音がうるさい、低周波が恐いということで、測定をし、説明をして、住宅の改修等を提案して、そのコミュニケーションの中で解決したり、具体的にカーテンを設置したりなどで解決して、今、自治体への苦情連絡はなくなっております。
      それからもう一つ、これから恐れがあるということで建設反対運動が起こった事例がございます。この事業規模は3万5,000kW、アセスメントは18年4月に終了しております。しかし、なかなか着手できない状態でした。事業者はそこで、当初25基であった風車を21基に。それからアクセス道路のルートを変更して工事着手に至っているところです。ただ、ここに書いてあるような内容において、まだ反対を主張している団体はおります。
      次ですけれども、伊豆半島は非常に風況がいいことから数多くのウインドファームの計画が起こりました。それに対して自然破壊や健康被害を懸念する反対運動も起こったことから、静岡県では有識者の方々に伊豆半島における風力発電設置の可否と振興策を検討いただき、ご提言をいただきました。本日いらしていただいています橘先生にもご参加をいただきました。ありがとうございました。
      ここでは、風車に関しましては、大型風力発電の導入に対しては地元合意が大前提であること。騒音・低周波音と健康被害との因果関係が国等により明確にされた場合は、改善策を講ずる覚書を事前に交わすこと。これには既設、工事中についてはそのようなものが出た場合は県が事業者を指導することということもつけ加えられました。風力発電施設の建設に当たっては、居住地から十分な距離を保ち、聴覚的影響等を最小限に留めるように配慮することということが提案されております。
      環境省の低周波音調査についても、本県において平成22年8月に行われました。調査場所としては、発電施設の近傍。木造建物の内と外。それからコンクリート建物の内・外ということで、3カ所5地点で行いました。調査条件としては、完全停止、冷却施設のみの稼働、通常稼働の三つの条件で行いました。この結果、G特性音圧レベルの最大値を発生したのは、稼働時の風車近傍地点における83dBでした。それから通常時の稼働時においてのオクターブバンド調査の結果についても、特徴のあるピークは認められませんでした。なお、身体影響を感じた調査員はおりませんでした。
      最後に、静岡県の提言ということで、詳細は別途お渡ししましたA4の細かい字の意見・要望、資料4-2でございます。こちらのほうに詳細は書いてございますので、こちらもご覧になっていただきたいと思います。
      まず、提案された目標値について。目標値のA特性等価騒音レベル35dBが示されました。これは非常に妥当であると考えております。騒音の評価や対策を行う上で、基準値は必要不可欠であると考えます。35dBの目標値は、風力発電施設から発生する騒音だけに着目した基準であって、排出基準的に取り扱うことができると推察できます。それから、睡眠影響、建物の防音性能、振幅変調音を加味した設定値であり、実態に即したものであると思います。それから、目標値は最低限守るべき基準であるという位置づけをしていただけることが望ましいと思います。それから、目標値を適用する予測条件を明確に示していただくことが重要であると思います。
      それから二つ目でございますが、低周波音・超低周波音についてでございます。超低周波音、低周波音の測定については、信頼性の確保と当面の目標値となる値が必要である。まず測定するのであれば、超低周波音を測定する音圧レベル計にはJISの規格がなかったり、計量法による検定の対象外となっております。まずここが信頼性のおけるものになっていくべきであると考えます。
      それから、超低周波音の評価について、A特性のみで評価すれば十分ということが妥当かどうかについては、まだ私たちにはよくわからないんですが、そうであるならば、そこのところを広く国民に説明できるような状況をつくっていただきたいと考えています。もしA特性だけでは不足、または不明であるということであれば、当面の間は目安とすべき低周波、超低周波音の値を示していただければありがたいと思います。
      それから三つ目は、騒音に係る環境影響評価手法についてです。基本的には、どのような事業者でも適切に評価可能となるような明確な手続の定義が必要であると考えます。調査手法に関しましては、項目というところに五つ示してございますけれども、この項目をきっちりと規定してほしいと思います。特に、ほかのところは事業者さんでできると思うんですが、4のところでございます。風力発電メーカーから取得する音響パワーレベルは、騒音を評価するために不可欠であると考えます。風力発電施設については、メーカーに提供を義務づけるなどの措置がなされるといいと思います。なお、数字だけではなくて、示された数値に信頼性を担保する測定条件等の根拠も提供していただくことが望ましいと思います。
      それから、予測手法についてです。現在はNEDO式とISO式の2つあると思うんですけれども、距離減衰・空気吸収のほかに、地表面影響、遮蔽壁影響等を考慮してありますISO式が実際に近いのではないか考えます。ISO式でも地形影響等が反映されていないため、気象条件や地形等の風況の違いを考慮したモデルの開発がされるのであれば、より望ましいと考えます。
      それから、予測条件につきましては、これからつくられるというガイドラインの中できちんと示してほしいと思います。これによって、先ほど橘先生が心配されたような、数字合わせのようなことが起こってはいけないので、条件をきっちりと示していただくことが大切だと思います。 それから、もう一つ、環境保全措置についても事例・手法をガイドライン等に記載していただければと思います。静岡県の事例ですと、発生源対策といたしましては、先ほど申し上げた夜間停止や出力抑制。それから避難場所の設置ということで、アパートを借り上げていつでもどうぞという場所をつくる。それから、被害者宅における測定や説明、そして住宅の改修、こういうことをしたらいかがでしょうかという提案をしながら、具体的に実施するなど、対応をされるのがやはり苦情が減っていく理由だったように思います。
      あわせて、今回の環境影響評価へのこととはちょっと離れるんですけれども、こういうものがなかった時代につくられた風車について、継続して大型風車による騒音・低周波音等と健康被害との因果関係についてさらに調査研究を進めていただければと思います。そして、科学的に回避しなければいけないということが明らかになった日には、やはり規制という方針、指導という方針を示していただければと思います。 最後になりますけれども、やはり風車による健康被害だということで影響を感じてしまっている人、これは思い込みの場合もあるかもしれませんが、そういったものに健康被害やアノイアンスによる影響を早期に研究していただいて、解放されるような説明やケアの手法、またはそこへ相談に行けば心が休まるとか、そういう場所までも用意していただければ非常にありがたいと思います。
      ありがとうございました。以上です。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。今ご説明いただきました内容について、ご質問等ございましたら。どうぞ、沖山委員お願いします。
  • 【沖山委員】 これからの設置のことなんですが、静岡県さんとしては、アセス以外に届出をして審査をするという、そういう風車に対しての制度があるんでしょうか。要するに規模が満たない風車についてなんですが。
  • 【静岡県】 ございません。ただ、条例で1,000kW以上を二種の対象としておりますので、多くの場合は全て係わるのではないかと考えております。
  • 【沖山委員】 はい、わかりました。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。実は予定の時刻も過ぎておりますので、別途資料4-2でご提出いただきました意見・要望については、精査させていただきたいと思います。
    それでは、兵庫県様のほうに交代をお願いいたします。
  • 【兵庫県】 兵庫県水大気課の秋山と申します。私の方からは兵庫県の条例に基づく規制を中心に説明させていただきたいと思います。
      これは兵庫県にあります20kW以上の風力発電施設でございます。このうち、二重線で囲っているのが県の条例の対象にしているもので、淡路風力発電施設で2,000kWのものが挙がっています。これは皆さんの資料にはありませんけれども、この経緯ですけれども、平成18年2月にNEDOのマニュアルに基づきまして、環境影響評価方法書の縦覧となっております。その後、県の環境影響評価条例を改正しまして、これを対象にしています。その手続を進めたんですけれども、21年1月と23年7月で2年ほど空いておりますけれど、何で2年間空いたかといいますと、この間に住民の方は公害紛争処理法に基づいて、公害調停を申し立てしたということで、トラブルになっております。調停自体は不調に終わったんですけれども、その後、事業者が計画を変更して、12基から7基に見直しました。その後、条例の届出を経まして、その後さらに1基減らして6基で着工して運転をしております。
      これは皆さんの資料にはありませんけれども、これの空撮写真です。上に見えるのが本州で、南が淡路島になっています。
      県の環境影響評価条例では、1,500kW以上、自然公園等特別地域では500kW以上を対象にしております。評価における留意点としては、(1)として、騒音規制法、そして県の条例の規制基準に適合するものということにしております。ただし、この時点では規制基準はなかったわけです。そのため、県のほうでは環境審議会に諮問しまして、2カ月経って答申をいただいています。 1番ですけれども、風力発電施設については、基本的には敷地の境界線で規制基準を適用し規制することが適切であると。ただし、風力発電施設については、大きな敷地面積を必要としない施設ということから、周辺の生活環境が損なわれるおそれがないという場合には、現行規制基準によらないことが適切であると。なお、周辺の生活環境が損なわれているかどうかという判断につきましては、生活環境の実態等を踏まえて、その判断基準については、指針等で定めることが望ましいという答申をいただきました。規模については20kW以上ということです。
      県の条例のほうですけれども、19年10月1日に施行いたしまして、1番として、特定施設、20kW以上を騒音の対象施設としております。また、規制基準を改正しまして、規制基準に備考欄を設けております。後ほど表で出てまいります。
      県の条例の届出ですけれども、これ実際の審査は市町村、兵庫県は村はありませんけれども、ここでしております。一般的な手続法ですけれども、実施制限期間は30日となっております。これが条例の規制基準ですけれども、表自体は改正前と変わってないんですけれども、規制基準の備考欄に4番として、風力発電設備に係る騒音については、周辺の生活環境が損なわれるおそれがないと認められる場合は、この表によらないということを追加しております。
      続きまして、県のほうではガイドラインを定めています。これが先ほど言いました指針に相当するものです。風力発電設備の騒音の評価と生活環境の適合性の判断につきましてですけれども、ここで1番として、設計レベルでは騒音レベルを確認している。特に見かけのA特性音響パワーレベルと周波数スペクトル、そして風速と騒音の関係についてまとめております。
      設置敷地周辺の確認をしていくというところで、騒音の規制基準であるとか、都市計画法の用途地域、周辺の現況として地形であるとか、周辺民家までの距離、こういったものが特に載っております。
      騒音レベルの予測と評価ですけれども、この式でやっております。この中で一番最後のLcorですけれども、これはLair(空気減衰)とLgnd(地表面減衰)、これを足したものということになっております。評価方法ですけれども、とりあえず敷地境界で規制基準値に合えばいいわけですけれども、規制基準値に適合しない場合は、次の4番で判断をしていくということにしています。 下に絵が出ていますけれども、風車の敷地境界で規制基準に合えばいいんですけれども、規制基準に合わない場合は、周辺直近民家の1m地点で生活環境が損なわれるかどうかを判断していきます。予測方法としましては、直近民家から風力発電施設に向かって1mの位置でA特性音圧レベルの値を予測していきます。評価方法としては、環境基準値に適合すればオーケーで、環境基準値に不適合であれば見直すと。ここで注意したいのは、実際に問題になるのは、環境基準の適合そのものではなしに、到達騒音レベルが環境基準値を上回るかどうかということで判断をしております。
      ここで、先ほどこの式をお見せしたわけですけれども、地表面減衰について注意をしているのがこの式でして、地表面減衰の場合、風車の高さと受音点の高さが要るわけですけれども、受音点高さを0mに設定しますと、風車から293m以遠で地表面減衰があると。500mであれば4.6dBの効果があると。ところが、受音点高さを人間の高さ1.5mにしますと、1,954mで地表面減衰があるということで、大半の場合は地表面減衰がないということになります。
      今は風車が完成しまして、事業者がいろいろ調査をやっているわけですけども、今後、風車の稼働と停止を繰り返しまして、風車稼働時の騒音測定、風車停止時の騒音測定をやっていく予定です。試験測定のデータを見ていますと、大体その差が、一部の例を除きまして、0.8dBから3dBぐらい 下がります。多いときには5dBぐらいの差が出ております。そういう状況です。暗騒音は大体40dBから45dBぐらいあります。今回の報告書に出てきた35dBというのは、計算としてはいいとは思うんですけれども、実際稼働した後に、それを測定できるかといえば、非常に難しいのかなというふうに考えております。
      以上です。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。ただいま兵庫県様のほうからご説明いただきました。
     何かご質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがですか。橘委員、お願いします。
  • 【橘委員】 1点だけ。暗騒音というのは確かに今日のずっと全体を通しても非常に大きなキーワードなんですけれども、今のお話で、暗騒音を測ったら40dBから45dBとおっしゃいましたけれども、いわゆる暗騒音で自動車も走った、飛行機も飛んだというのは全て含めて暗騒音と言ってしまうと確かにそういうことになると思うんです。それで、JISにも書かれていますように、残留騒音という言葉、本当に目立つ特定の騒音がないよう、それでも環境には音があるわけです、いろんなところから。それでもって、いわゆる残留騒音という形で評価すべきだろうと。
     風車の音というのはレベルそのものは、本当に低いといったらあれですけれども、低いんです、物理的には。ですから、そういう普通の暗騒音の測り方をして、騒音計を放ったらかしにしておいて暗騒音を測っちゃうと、すぐ大きくなっちゃう。それと35dBと比べて云々というのは、ちょっとナンセンスな話になっちゃうので、その辺は議論してからですね。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。環境省加藤様どうぞ。
  • 【加藤総務課長】 兵庫県さん、35dBという基準の提案がされているわけですけれども、その評価については、例えばその意味合いをこれから考えていかなきゃいけない部分はありますけれども、例えばそういうようなレベルになると、今後兵庫県の新規の風力発電というのが全然進まなくなるんじゃないかというようなご懸念はお持ちですか。
  • 【兵庫県】 今、具体的には申し上げられませんけれども、計画は一、二聞いております。そこの場合、民家からの距離はかなり離れておりますので、35dBという数字であれば、特に計画としては問題なくできるのかなというふうに思います。
  • 【加藤総務課長】 同じ質問をちょっと下がられましたけれど、秋田県さんと静岡県さんにも教えていただきたいです。
  • 【秋田県】 秋田県です。私のほうの資料でもちょっと出しましたけれども、まだ工事をしていない準備書段階のもので、単体で35dBを超えているという事例もありますので、そういう意味では35dBを超えると設置できないという例は今後あると、秋田県は1本は終わったものがありますので、住宅との距離の関係ありますけれども、その準備書の例でも確か1km弱離れていたと思いますので、そういう意味ではちょっと計画が難しくなる例はあると思いますので、ちょっとその数字については、先ほど目標値の設定は数字のことは話しませんでしたけれども、そこはいろんな議論があるかと思います。
  • 【静岡県】 現在、準備書が出ているところの1地区は、35dBは超えます。
  • 【町田座長】 はい、ありがとうございました。今回、事業者と地方公共団体の皆様からお話しいただき、確認をさせていただきました。事務局のほうでこのヒアリング結果についてまとめをやっていただきまして、今後の検討に大いに参考にしたいと思っております。本日はありがとうございました。
    それでは、最後の議題4でございますが、その他について事務局から何かございましたらお願いいたします。
  • 【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 その他についてでございますけれども、次回第3回の検討会についてのご案内をさせていただきます。
     次回は7月31日水曜日、午後3時から中央合同庁舎5号館、環境省19階になりますけれども、そちらの第2、第3会議室にて開催を予定しております。委員の方々には文書により改めましてご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
     また、本日の議事録につきましても、同じく検討会の前に送付をしてご確認をいただきたいと思っております。
     以上でございます。
  • 【町田座長】 ありがとうございました。
    それでは、本日の議題はこれで全て終了いたしました。進行を事務局のほうにお返しいたします。よろしくお願いします。
  • 【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 ありがとうございました。それでは最後になりますけれども、環境省水・大気環境局長の小林より、一言ご挨拶申し上げます。
  • 【小林水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小林でございます。ちょっと他用がございまして今日は遅れてまいりまして、失礼いたしました。今日ありました経過につきましては、議事録も含めてよく把握をさせていただき、検討させていただきたいと思っております。
     改めまして、今日、第2回目でございましたが、大変お忙しい委員の先生方にお集まりいただき、大変熱心にお聞き取りいただきましてありがとうございました。また、今日は事業者の日本風力発電協会の皆様、それから三つの県で具体的に現場でいろいろ環境行政に携わっている皆様方、これも大変お忙しいところ時間をやりくりいただいてご出席いただきまして、ありがとうございました。
    今日は大変実情も含めて率直ないろんなお話ができました。また、委員の間でもかなり率直ないろんなやりとりができたのかなというように、後半出ただけではございますが承知をしております。
     風力発電所、今はこういうエネルギー事情にございまして、再生可能エネルギーをどうやって発展させていくかというのは大きな課題でございます。そういう中にありまして、風力発電につきましても、騒音の問題もそうであります。あるいは自然環境等の問題、いろんな環境とどうやってうまく調和をして、健全な形で発展していただくか、こういう大きな課題があるというように承知をしております。そういうために大いにいろんな議論、科学的なベースも含めてやっていこうと、そういう趣旨の検討会でございますが、今日は皆様方のご出席をいただいて、大変いい議論ができたと思っております。
     それからこういった今日出てまいりました論点も含めて、しっかり整理をしながら、それからまたいろいろ幅広いご意見を聞きながらやっていくと、こういうことになろうと思っております。そういう意味で今後も関係者の皆様方には引き続きお願いしたいと思っておりますし、私ども環境省としても、大変重要な課題でございますので、しっかり取り組んでいきたいと思っているところでございます。
    今日は大変ありがとうございました。
  • 【桑原大気生活環境室振動騒音係長】 以上で、第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を終わらせていただきます。長時間の議論、どうもありがとうございました。