大気環境・自動車対策

平成14年度騒音規制法施行状況調査について

平成15年12月18日(火)
環境省環境管理局大気生活環境室
 室長 上河原献二(内線6540)
 補佐 由衛  純一(内線6543)
 担当 大野 、佐野(内線6546)


 環境省は,全国の都道府県等の報告に基づき,平成14年度における騒音苦情の状況及び騒音規制法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。

(1)騒音苦情の状況
 騒音に係る苦情の件数は,平成14年度は15,461件(前年度14,547件)で,前年度に比べて914件(約6.3%)増加した。
 苦情の主な発生源別内訳を見ると,工場・事業場騒音が最も多く5,253件(全体の約34.0%),次いで建設作業騒音が4,168件(約27.0%),営業騒音が2,080件(約13.4%)であった。
 前年度と比較すると,建設作業騒音に係る苦情が392件,家庭生活に係る苦情が197件,営業騒音に係る苦情が183件増加した。
(2)騒音規制法の施行状況
 騒音規制法に基づく規制地域を有する市区町村は,平成14年度末現在,全国の市区町村の約65.9%に当たる2,132市区町村(9町1村増加)であった。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は,平成14年度末現在で,全国で208,389件(前年度208,779件)となっている。特定工場等に対する法に基づく立入検査は879件(前年度819件),改善勧告は 5件(前年度3件)行われ、改善命令は行われなかった(前年度0件)。この他,行政指導が905件(前年度918件)行われた。
 また,同法に基づき届出された建設作業(特定建設作業)の総数は64,694件(前年度55,627件)となっている。特定建設作業に対する法に基づく立入検査は1,256件(前年度1,083件)行われ,改善勧告 ,改善命令は行われなかった(前年度0件)。この他,行政指導が1,312件(前年度1,229件)行われた。

1.目的

 環境省では,騒音防止行政の一層の推進を図るため,毎年度,全国の都道府県,指定都市,中核市及び特例市を通じ,騒音に係る苦情の状況,騒音規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い,その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)騒音苦情の状況

[1] 平成14年度に全国の地方公共団体が受理した騒音苦情の件数は,15,461件であった。これは,平成13年度(14,547件)と比べて914件 ,約6.3%の増加となる。(図1参照)

図:図1 騒音苦情件数の推移
図1 騒音苦情件数の推移

[2]苦情件数を都道府県別に見ると,東京都の3,251件が最も多く,次いで大阪府1,619件,愛知県1,301件,神奈川県1,297件,埼玉県1,081件の順となっており,この5都府県で全国の騒音苦情件数の5割以上を占めた。(表1参照)  

[3] 苦情件数を発生源別に見ると,工場・事業場騒音が5,253件(34.0%)で最も多く,次いで建設作業騒音が4,168件(27.0%),営業騒音が2,080件(13.4%),家庭生活騒音が1,331件(8.6%)の順となった。 これを平成13年度と比較すると,建設作業騒音に係る苦情が392件,家庭生活に係る苦情が197件,飲食店,興行場,娯楽施設等の営業騒音に係る苦情が183件増加した。(図2,3参照)  

表1 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
順位苦情件数人口100万対件数
都道府県件数都道府県件数
東京都 3,251 東京都 271
大阪府 1,619 大阪府 187
愛知県 1,301 愛知県 186
神奈川県 1,297 埼玉県 155
埼玉県 1,081 神奈川県 152
全国 15,461 全国平均 122

注)人口は,平成15年3月31日現在の住民基本台帳による。

表2 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況
都道府県H13H14増減都道府県H13H14増減
北海道 296 365 69 滋賀県 108 98 △10
青森県 180 184 4 京都府 224 259 35
岩手県 89 81 △8 大阪府 1,506 1,619 113
宮城県 196 265 69 兵庫県 673 707 34
秋田県 23 31 8 奈良県 77 96 19
山形県 93 84 △9 和歌山県 72 103 31
福島県 119 113 △6 鳥取県 27 37 10
茨城県 189 229 40 島根県 20 15 △5
栃木県 105 124 19 岡山県 102 152 50
群馬県 150 168 18 広島県 217 231 14
埼玉県 1,142 1,081 △61 山口県 100 100 0
千葉県 641 577 △64 徳島県 51 45 △6
東京都 3,149 3,251 102 香川県 72 69 △3
神奈川県 1,198 1,297 99 愛媛県 117 109 △8
新潟県 192 188 △4 高知県 47 43 6
富山県 38 44 6 福岡県 526 511 △15
石川県 74 101 27 佐賀県 33 47 14
福井県 47 78 31 長崎県 95 93 △2
山梨県 45 65 20 熊本県 47 57 10
長野県 181 183 2 大分県 113 132 19
岐阜県 124 179 55 宮崎県 73 114 41
静岡県 354 354 0 鹿児島県 90 143 53
愛知県 1,322 1,301 △21 沖縄県 56 181 125
三重県 154 147 7 合計 14,547 15,461 914

図:図2 騒音に係る苦情の内訳
図2 騒音に係る苦情の内訳
  

図:図3 過去3か年の苦情件数の発生源別内訳
図3 過去3か年の苦情件数の発生源別内訳
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[4]規制対象とそれ以外の苦情件数との比較
 工場・事業場に対する苦情総数5,253件のうち,法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは,約20.1%の1,056件であり,建設作業に対する苦情総数4,168件のうち,同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約34.2%の1,426件となった。(表3参照)

表3 規制対象・非対象別苦情件数
表:表3 規制対象・非対象別苦情件数
 

(2)地域指定の状況

 騒音規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は,平成14年度末現在2,132で,全国の市区町村数の約65.9%(平成13年度65.6%)に相当した。(表4参照)
 平成14年度中には新たに9町1村において規制地域が指定された。

(3)騒音に係る環境基準の類型当てはめ状況

 環境基本法に基づく環境基準の類型当てはめ地域を有する市区町村数は,平成14年度末現在1,827で,全国の市区町村数の約56.5%(平成13年度55.8%)に相当した。(表4参照)

表4 地域指定の状況及び環境基準類型あてはめ状況(平成14年度末現在)
 
全市区町村数 675 23 1,976 561 3,235
地域指定 675 23 1,257 177 2,132
割合(%) 100.0% 100.o% 63.6% 31.6% 65.9%
環境基準の
地域類型あてはめ
661 23 1,030 113 1,827
割合(%) 97.9% 100.0% 52.1% 20.1% 56.5%
表5 特定工場等・特定建設作業の最近の推移
 平成12年度平成13年度平成14年度
特定工場等総数 207,749 208,779 208,389
対前年度増
(増加率)
1,833
(0.89%)
1,031
(0.49%)
△390
(△0.19%)
特定建設作業件数 60,999 55,627 64,694
対前年度増(増加率) 757
( 1.26%)
△5,372
(△8.81%)
9,067
( 16.3%)

(4)規制の状況

(4)−1工場・事業場に対する規制の状況

[1]特定工場等総数及び特定施設の届出数
 騒音規制法に基づき届出された特定工場等の総数は,平成14年度末現在で208,389(平成13年度末現在208,779)で,前年度より390件減少した。(表5参照)
 また,特定施設の総数は1,542,187(同1,529,189)となった。
 特定工場等の内訳を見ると,空気圧縮機等を設置しているものが約36.4%と最も多く,以下,金属加工機械を設置しているものが約21.5%,織機を設置しているものが約12.4%の順となった。
 特定施設の内訳を見ると,空気圧縮機等が約38.6%と最も多く,以下,織機が約27.0%,金属加工機械が約18.0%の順となった。(表6参照)
[2]法に基づく措置等の状況
 指定地域内の特定工場等に係る苦情1,056件(平成13年度1,011件)に対して,平成14年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収202件(同177件),立入検査879件(同819件),騒音の測定467件(同414件)であった。騒音測定の結果,規制基準を超えていたものは292件(同254件)であり,改善勧告は5件(同3件)行われ,改善命令は行われなかった(同0件)。 また,これらの措置のほか,騒音防止に関する行政指導が905件(同918件)行われた。(表7参照)

表6 法に基づく届出数(平成14年度末現在)

表6−1 特定工場等総数
設置特定施設総数(%)
金属加工機械 44,768 21.5
空気圧縮機等 75,750 36.4
土石用破砕機等 4,443 2.1
織機 25,823 12.4
建設用資材製造機械 3,730 1.8
穀物用製粉機 582 0.3
木材加工機械 21,473 10.3
抄紙機 690 0.3
印刷機械 21,397 10.3
合成樹脂用射出成形機 8,523 4.1
鋳型造型機 1,210 0.6
208,389 100.0
表6−2 特定施設総数
設置特定施設総数(%)
金属加工機械 277,411 18.0
空気圧縮機等 595,537 38.6
土石用破砕機等 25,748 1.7
織機 415,697 27.0
建設用資材製造機械 5,569 0.4
穀物用製粉機 3,685 0.2
木材加工機械 66,863 4.3
抄紙機 2,275 0.1
印刷機械 80,158 5.2
合成樹脂用射出成形機 60,682 3.9
鋳型造型機 8,562 0.6
1,542,187 100.0

注)特定工場等とは,特定施設を有し,法の規制対象となる工場・事業場をいう。

表7 指定地域内の特定工場 等に係る措置等の状況
苦情 1,056
行政措置等 報告の徴収 202
立入検査 879
測定 467
 うち基準超 292
改善勧告 5
改善命令 0
行政指導 905

(4)−2特定建設作業に対する規制の状況

[1]特定建設作業の実施届出件数
 平成14年度中の特定建設作業実施届出件数は64,694件(平成13年度55,627件)であり,その内訳を見ると,削岩機を使用する作業が30,430件(同27,880件)と最も多く,次いでバックホウを使用する作業が18,899件(同13,526件)の順になっており,これらで全体の約76.2%を占めた。(表5・表8参照)
表8 特定建設作業実施届出件数
特定建設作業件数(%)
くい打機等を使用する作業 4,703 7.3
びょう打機を使用する作業 67 0.1
さく岩機を使用する作業 30,430 47.0
空気圧縮機を使用する作業 5,282 8.2
コンクリートプラント等を設けて行う作業 288 0.4
バックホウを使用する作業 18,899 29.2
トラクターショベルを使用する作業 1,392 2.2
ブルドーザーを使用する作業 3,633 5.6
64,694 100.0
[2]法に基づく措置等の状況
 指定地域内の特定建設作業に対する苦情1,426件(平成13年度1,299件)に対し,平成14年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収284件(同263件),立入検査1,256件(同1,083件),騒音の測定375件(同304件)であった。騒音測定の結果,基準を超えていたものは69件(同67件)であった。改善勧告及び改善命令は行われなかった(同0件)。
 また,騒音防止に関する行政指導が1,312件(同1,229件)行われた。(表9参照)
表9 指定地域内の特定建設作業騒音に係る苦情件数及び措置等の状況
苦情件数件数行政措置等
くい打機等を使用する作業 95 報告の徴収 284
びょう打機を使用する作業 5 立入検査 1,256
さく岩機を使用する作業 945 測定 375
空気圧縮機を使用する作業 32  うち基準超 69
コンクリートプラント等を設けて行う作業 6 改善勧告 0
バックホウを使用する作業 271 改善命令 0
トラクターショベルを使用する作業 49
ブルドーザーを使用する作業 23 行政指導 1,312

(5)道路交通騒音に対する措置等の状況

 指定地域内の道路交通騒音の苦情332件(平成13年度362件)に対して,騒音の測定は184件(同199件)行われており,要請限度を超えていたものは23件(同30件)であった。また,道路管理者に対する道路の構造改善等の意見陳述が7件(同12件)行われた。都道府県公安委員会に対する交通規制等の要請は2件行われた(同2件)。なお,これらの騒音規制法に基づく措置のほか,道路管理者に対する協力依頼等の措置が85件(同110件)行われ,都道府県公安委員会に対する同様の措置は4件行われた(同0件)。(表10参照)  

表10 指定地域内における法に基づく措置状況
苦情 332
行政措置等 測定 184
 うち要請限度超 23
  道路管理者へ意見陳述 7
  公安委員会へ要請 2
意見陳述以外の道路管理者への措置依頼 85
要請以外の公安委員会への措置依頼 4

(6)低周波音に係る苦情の状況

 平成14年度に地方公共団体が受けた低周波音に係る苦情の件数は91件(平成13年度110件)であった。(図4,表11参照)  内訳を見ると,工場・事業場に係るものが40件(同52件)と最も多く約44.0%を占めた。

図:図4 低周波音に係る苦情件数の年次推移
図4 低周波音に係る苦情件数の年次推移

表11 低周波音に係る苦情件数の内訳
年度 1011121314
発生源
工場・事業場 18 12 12 16 19 22 21 61 52 40 (44.0%)
建設作業 0 1 1 1 1 0 0 2 3 1 (1.1%)
道路交通 0 3 2 1 1 2 1 1 1 1 (1.1%)
鉄道 18 8 4 3 0 2 1 4 1 3 (3.3%)
家庭生活 - 0 0 0 3 7 1 20 16 20 (22.0%)
その他 - 9 4 11 10 11 21 27 37 26 (28.5%)
合計 43 33 23 32 34 44 45 115 110 91 (100%)

(7)一般地域における環境基準の適合状況

 全国の一般地域(道路に面する地域以外の地域)における環境騒音の状況を把握するため,地方公共団体により測定された環境騒音の環境基準の適合状況について調査した。(表12参照)  

[1]環境騒音の測定実施状況
 平成14年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体数は241(平成13年度315)で,環境基準の類型あてはめがなされている1,827市区町村数の約13.2%であった。
 測定地点の総数は4,496地点(同4,937地点)であり,そのうち定点測定地点数(毎年度実施しているものとは限らない)は3,252地点(同3,130地点)で,全体の約72.3%となった。
[2]環境基準の適合状況
 地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合と,騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合とに分けて集計を行っている。
ア 地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合
 全測定地点3,751地点(同4,158地点)のうち約74.1%の地点で環境基準に適合(同74.6%)した。
 地域類型別にみた場合,A類型及びB類型地域(住居系地域)では2,764地点(同3,192地点)のうち約72.3%の地点で適合(同73.2%)し,C類型地域(住居・商工業混在地域)では983地点(同960地点)のうち約79.1%の地点で適合(同79.3%)した。
イ 騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合
 全測定地点745地点(同779地点)のうち約72.5%の地点で適合した(同69.8%)。
 地域類型別にみると,A類型及びB類型地域では501地点(同530地点)のうち約68.3%の地点で適合(同65.1%)し,C類型地域では244地点(同246地点)のうち81.1%の地点で適合(同80.1%)した。
(注)この集計における環境基準の適合・不適合の判定については,原則として測定した全ての時間帯において環境基準を満たした場合を「適合」とした。

表12 一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)
表:表12 一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)

AA :
特に静穏を要する地域
A :
専ら住居の用に供される地域
B :
主として住居の用に供される地域
C :
相当数の住居と併せて商業,工業等の用に供される地域

(8)おわりに

 平成14年度は,指定地域内,特に東京都,神奈川県,大阪府などの都市圏における苦情が全般的に増加している。
  最も増加件数が多かった建設作業については,都市部における建築物の建て替え・更新に伴い,解体・新築作業が増加していることが考えられる。また,家庭生活,営業騒音による苦情も増加している。
 一方,低周波音苦情については,若干減少したものの過去の件数と比べると依然高い状態にあり,引き続き防止事例等の知見の充実と周知が必要と考えている。
 今後,引き続き適切な法の運用のみならず,良好な音環境の創造を一層推進していく必要がある。

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