大気環境・自動車対策

平成15年度自動車交通騒音の状況

平成17年3月29日(火)
環境省環境管理局自動車環境対策課

環境省は、平成15年度に行われた自動車騒音常時監視の報告に基づき、全国の自動車交通騒音の状況について取りまとめた。その概要は次のとおりである。

1.自動車騒音常時監視の実施状況について

 自動車騒音常時監視は、騒音規制法に規定される、都道府県及び騒音規制法上の政令市が自動車騒音の状況を監視し、環境省へ報告するものである。
 平成15年度の自動車騒音常時監視においては、延長12,073km※の道路(高速自動車国道538km、都市高速道路22km、一般国道4,819km、都道府県道5,770km、4車線以上の市町村道835km、その他の道路90km)に面する地域の、2,395千戸の住居等について、環境基準達成状況が評価された。平成14年度に比べて評価対象は、道路延長、住居等ともに、約2割増加している。なお評価の対象となる住居等は、道路端から50mの範囲にあるものとしている。

2.環境基準達成状況

(1)全体の状況
環境基準評価の対象とされた2,395千戸のうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準を達成 していたのは1,933千戸(80.7%)であり、夜間に基準値を超過していたのは440千戸(18.4%)であった。
幹線交通を担う道路に近接する空間における1,016千戸のうち、昼間及び夜間ともに環境基準を達成していたのは709千戸(69.8%)であり、夜間に基準値を超過していたのは290千戸(28.6%)であった。
環境基準達成状況の経年変化は、概ね横這い傾向である。
(2)道路種類別の状況
全体を道路種類別に分けて集計したところ、4車線以上の市町村道が、昼間及び夜間ともに環境基準を達成していた割合がもっとも高かった。

 この状況は、(独)国立環境研究所が運営するインターネットサイト「全国自動車交通騒音マップ(環境GIS 自動車交通騒音実態調査報告)」においても、地図と共に情報提供している。
インターネットアドレス(リンク)

※ 小数点以下の端数処理の関係で、内訳の合計値と合わないことがある。

1.自動車騒音常時監視の実施状況について

(1)施行状況

 自動車騒音常時監視は、騒音規制法に規定され、都道府県及び騒音規制法上の政令市(特別区を含む)が自動車騒音の状況を監視し、環境省へ報告するものである。自動車騒音常時監視は、騒音規制法の改正により平成12年度に96地方公共団体で始まったが、新たな中核市・特例市の誕生等に伴い、騒音規制法政令市の数が年々増加し、平成15年度は、169地方公共団体(47都道府県、13指定都市、35中核市、39特例市、35その他の騒音規制法上の政令市(特別区を含む))において行われた(図1)

図1:自動車騒音常時監視実施地方公共団体数
図1 自動車騒音常時監視実施地方公共団体数

 自動車騒音常時監視では、騒音に係る環境基準に基づいて、道路に面する地域における環境基準達成状況の評価を行うこととしており、自動車騒音の状況把握の必要に応じて、騒音測定を行うこととしている。ここで評価の対象となる範囲は、道路端の両側から50mの範囲にある住居等としている。評価については、相当の準備が必要なこと等により、平成12年度は27地方公共団体でしか行われなかったが、平成15年度は、141地方公共団体(38都道府県、12指定都市、30中核市、33特例市、27その他の騒音規制法政令市)により実施された。平成15年度において自動車騒音常時監視を実施することとされている169地方公共団体のうち約8割が評価を実施したこととなり、平成16年4月1日までに評価を実施した地方公共団体数は延べ147となる(表1)。なお騒音測定については、平成12年度以降、全ての地方公共団体で実施されている。

表1 自動車騒音常時監視を実施した地方公共団体(平成15年度)
種別地方公共団体名※1
都道府県 北海道、青森県、[岩手県]、宮城県、[秋田県]、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、(神奈川県)、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、[岐阜県]、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、[兵庫県]、奈良県、和歌山県、(鳥取県)、島根県、[岡山県]、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、[大分県]、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
指定都市 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、(福岡市)
中核市 旭川市、[秋田市]、郡山市、いわき市、[宇都宮市]、川越市、船橋市、横須賀市、[相模原市]、新潟市、[富山市]、金沢市、長野市、岐阜市、静岡市、浜松市、豊橋市、岡崎市、豊田市、堺市、高槻市、姫路市、奈良市、和歌山市、岡山市、倉敷市、福山市、高松市、松山市、[高知市]、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市、鹿児島市
特例市 [函館市]、八戸市、[盛岡市]、[山形市]、水戸市、前橋市、高崎市、川口市、所沢市、越谷市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、厚木市、大和市、福井市、[甲府市]、松本市、沼津市、富士市、一宮市、春日井市、四日市市、大津市、岸和田市、豊中市、吹田市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、[尼崎市]、明石市、[加古川市]、宝塚市、呉市、下関市、久留米市、佐世保市
その他の
騒音規制法上
の政令市
[一関市]、(日立市)、(土浦市)、(ひたちなか市)、[桐生市]、伊勢崎市、[太田市]、松戸市、[君津市]、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、上田市、多治見市、[西宮市]
※1
  • 特に注訳の無い地方公共団体は、評価・測定ともに実施している。
  • 括弧[ ]付きの地方公共団体は、測定のみ実施している。
  • 括弧( )付きの地方公共団体は、平成15年度は測定のみ実施しているが、過去3年以内に評価を実施している。

(2)評価の対象とされた道路・住居等の状況

 平成15年度は、延長12,073km※2の道路(高速自動車国道538km、都市高速道路22km、一般国道4,819km、都道府県道5,770km、4車線以上の市区町村道835km、その他の道路90km)に面する地域について、2,395.1千戸の住居等を対象に環境基準達成状況が評価された(図2)
 47都道府県が全体データに占める割合を見たところ、大阪府、北海道、東京都、愛知県によって半数以上を占める(表2)
 道路種類別に評価区間の延長を集計したところ、総延長に対する各道路の割合(抽出率)は、3.3~8.9%であり(表3)、一般国道がもっとも高く、都市高速道路がもっとも低い。
 評価の対象とされた住居等の沿道密度(以下、「評価対象住居等密度」という)は、道路種類別に58~420(戸/km)とばらつきがあるが、全国平均は199(戸/km)であった(表4)

図2:自動車騒音常時監視における評価対象数

表2:都道府県別の評価対象住居等割合、表3:道路総延長に占める評価延長の割合(平成15年度)、表4:道路種類別の評価対象住居等密度(平成15年度)

※2
  • 平成12年度は、道路種類別内訳が不明。
  • 端数処理の関係で、合計値が合わないことがある。
※3
住居等戸数は、各道路の交差点等で重複する戸数を含めて算出している。
※4
出典:道路統計年報2004(平成16年11月 国土交通省)より。

2.環境基準達成状況

(1)全体の状況

 全体で集計したところ、環境基準評価の対象とされた2,395.1千戸のうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準を達成していたのは、1,932.7千戸(80.7%)であり、夜間に基準値を超過していたのは、440.5千戸(18.4%)であった(図3)
 幹線交通を担う道路に近接する空間※5,6の基準値が適用される地域における1,016.5千戸について、昼間・夜間とも環境基準を達成していたのは、709.4千戸(68.7%)、夜間に基準値を超過していたのは、290.3千戸(28.6%)となっている。
 一方、幹線交通を担う道路に近接する空間の背後地や幹線道路以外の道路に面する地域(以下、「非近接空間」という)における1,378.6千戸について、昼間・夜間とも環境基準を達成していたのは、1,223.3千戸(88.7%)、夜間に基準値を超過したのは150.2千戸(10.9%)となっている。
 幹線交通を担う道路に近接する空間は、非近接空間に比較して、環境基準の達成率が約2割低くなっている。

図3:平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(全体)
図3 平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(全体)

※5
「幹線交通を担う道路」は、高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道、4車線以上の市町村道としている。
※6
「幹線交通を担う道路に近接する空間」は、次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定される。
  • 2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路  15メートル
  • 2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

(2)道路種類別の状況

 全体を道路種類別に分けて集計したところ、昼間及び夜間とも環境基準を達成していた割合がもっとも高かったのは4車線以上の市町村道であり、350.3千戸のうち300.6千戸(85.8%)が環境基準を達成していた(図4)

図4:平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・全体)
図4 平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・全体)

 道路種類別に、幹線交通を担う道路に近接する空間、非近接空間別に集計した結果を、図5、図6に示す。幹線交通を担う道路に近接する空間において、昼間及び夜間とも環境基準を達成していた割合がもっとも高かったのは、高速自動車国道で、10.5千戸中9.3千戸(88.6%)であったが、高速自動車国道では、非近接空間の方が昼間及び夜間とも環境基準を達成していた割合が低い(20.5千戸中17.0千戸(83.0%))。

図5:平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・幹線交通を担う道路に近接する空間)
図5 平成15年度 環境基準達成状況の評価結果
(道路種類別・幹線交通を担う道路に近接する空間)

図6:平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・非近接空間)
図6 平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・非近接空間)

(3)経年変化の状況

 各年において評価の対象とされた住居等戸数や地域的な偏り等の違いがあるが、平成12年度から平成15年度まで、環境基準達成状況の経年変化を図7に示す。直近年次のデータを比較すると、環境基準達成状況は、概ね横這い傾向である。

図7:平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(全国・経年変化)
図7 平成15年度 環境基準達成状況の評価結果(全国・経年変化)

3.騒音測定の状況

 平成15年度は、169地方公共団体から3,260地点における騒音測定結果の報告があった。騒音測定地点は、道路敷地境界から5m以内における騒音測定地点が全体の9割以上を占める(表5)。騒音測定地点の状況を集計するにあたり、集計の対象は環境基準評価を行う範囲と整合をとり※7、3,194地点とした(表6)

 表5 騒音測定地点の状況(1)
(道路敷地境界距離帯別)
 表5:騒音測定地点の状況(1)(道路敷地境界距離帯別)

 表6 騒音測定地点の状況(2)
(道路敷地境界距離帯別)
 表6:騒音測定地点の状況(2) (道路敷地境界距離帯別)

 騒音測定値の全国平均値は昼間69.0dB、夜間65.0dBであった。うち、幹線交通を担う道路に近接する空間においては、騒音測定地点が3,053地点あり、その測定値の平均値は昼間69.2dB、夜間65.3dBであった。騒音測定値の平均値がもっとも小さかったのは、昼間・夜間とも高速自動車国道で、昼間60.9dB、夜間57.2dBであった(図8)

 図8:幹線交通を担う道路に近接する空間における騒音状況
図8 幹線交通を担う道路に近接する空間における騒音状況

 なお、個別の住居等に到達する騒音の大きさが反映されているとは限らないが、幹線交通を担う道路に近接する空間にある地点における、夜間の騒音測定結果を、基準値と比較判定したものを図9に示す。夜間に基準値を下回る測定地点割合がもっとも多かったのは高速自動車国道であり、88.1%であった。

図9:幹線交通を担う道路に近接する空間にある地点における騒音状況(夜間)

※7 環境基準類型が指定されていて1車線道路に面する環境基準類型がA又はB類型の地域でないこと、かつ道路端から50m以内にある地点

ページ先頭へ↑