大気環境・自動車対策

平成12年度自動車交通騒音の状況

平成14年5月24日

 環境省は、全国の自動車交通騒音の状況について、都道府県等が平成12年度に行った常時監視の結果を取りまとめました。

  1. 自動車騒音の常時監視と環境基準
     自動車騒音の常時監視は、騒音規制法の改正(平成11年)によって平成12年度から都道府県及び騒音規制法政令市の事務とされ、自動車騒音の影響がある道路に面する地域で、「騒音に係る環境基準」(平成11年4月施行)の達成状況等を把握するものです。騒音の環境基準では、道路に面する地域について、一定地域内の住居等のうち騒音レベルが基準値を超過する戸数及び超過する割合により評価(以下「面的評価」という。)することとされています。常時監視においても、面的評価を行うことが基本となります。
     平成12年度は、16県を含む27の地方公共団体で面的評価が行われましたが、全国的には少数にとどまったことから、測定地点における騒音レベルと環境基準との比較結果(以下「点的評価」という。)も、あわせて示すこととしました。
  2. 面的評価の結果
     27の地方公共団体で面的評価が行われ、523,224戸の住居等が対象となりました。このうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも基準値以下であったのは、402,284戸(76.9%)となっています。
  3. 点的評価の結果
     全国の測定地点3,123地点における騒音レベルについて、環境基準値と比べて、昼間及び夜間とも基準値以下であったものは1,190地点(38.1%)であり、これは平成11年度の集計結果と同程度となっています。

 都道府県等では、今後、計画的に面的評価の導入を図ることとしています。環境省では、引き続き自動車交通騒音の状況把握に努め、自動車騒音対策を総合的に推進してまいります。

1.面的評価の結果

(1)全国の状況

[1]集計データの概要

 平成12年度は、27の地方公共団体(16県、6政令指定都市、4中核市、1特例市)で、自動車騒音の常時監視として面的評価が行われました。これによって、合計で523,224戸の住居等(※1)が評価の対象とされましたが、これは、道路に面する地域に立地している住居等(約470万戸:環境省推計(※2))のおよそ11%にあたります。
 また、今回の集計結果では、5県市(福岡市、北九州市、広島市、宮城県、愛知県)のデータ(住居等戸数)が全体の約78%を占めており、集計された結果は全国的な状況を示すものとは言いきれません。

[2]集計結果

 全データを集計した結果では、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準値以下であったのは402,284戸(76.9%)、昼間のみ基準値以下であったのは31,563戸(6.0%)、夜間のみ基準値以下であったのは5,563戸(1.1%)、昼夜間とも基準値を超過したのは83,814戸(16.0%)となっています。
 このうち、幹線交通を担う道路に近接する空間(※3)の基準値が適用される地域(197,045戸:以下「近接空間」という。)では、昼夜間とも環境基準値以下であったのは120,913戸(61.4%)、昼間のみ基準値以下であったのは14,196戸(7.2%)、夜間のみ基準値以下であったのは3,726戸(1.9%)、昼夜間とも超過したのは58,210戸(29.5%)となっています。
 一方、幹線交通を担う道路に近接する空間の基準値が適用されない地域(289,486戸:以下「非近接空間」という。)では、昼夜間とも基準値以下であったのは261,808戸(90.4%)、昼間のみ基準値以下であったのは13,291戸(4.6%)、夜間のみ基準値以下であったのは568戸(0.2%)、昼夜間とも超過したのは13,819戸(4.8%)となっています。
 近接空間は、非近接空間に比較して、環境基準の達成率で29%低くなっています。

※1
面的評価の対象範囲は、原則として道路端から50mの範囲としています。
※2
都市高速道路を除く「幹線交通を担う道路」(※3を参照)の沿道に立地する住居等の戸数を推計したもの。
※3
「幹線交通を担う道路」とは、高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道、4車線以上の市町村道のことをいいます。これら以外の道路の沿道についても、都道府県等の判断により、常時監視が行われる場合があります。「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定されます。
  • 2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路  15メートル
  • 2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

グラフ:面的評価の結果 全国の状況
グラフ:全データに対する地方公共団体別の割合(全データ数:523,224戸)

(2)大都市地域とそれ以外の地域の状況

 大都市地域(仙台市、川崎市、名古屋市、広島市、北九州市、福岡市)とそれ以外の地域に分けて集計したところ、大都市の近接空間において、昼夜とも環境基準値以下であったのは、149,399戸のうち88,310戸(59.1%)と割合が最も低く、大都市の非近接空間において、216,893戸のうち200,630戸(92.5%)と最も高い割合となっています。

面的評価の結果 大都市地域とそれ以外の地域の状況

(3)道路の種類別の状況

 道路の種類別にみると、昼夜間とも環境基準値以下であったのは、住居数は少ないながら都市高速道路に面する地域で171戸中171戸(100%)と割合が最も高く、次いで都道府県道に面する地域が231,726戸中192,555戸(83.1%)となっています。

グラフ:面的評価の結果 道路の種類別の状況

(4)時間帯別の状況

 昼間と夜間に分けて、環境基準値以下であった住居等数の割合を見ると、非近接空間の昼間で95%と最も高く、近接空間の夜間において63%と最も低くなっています。

グラフ:面的評価の結果 時間帯別の状況

2.点的評価の結果

(1)全国の状況

 全国の測定地点(3,123地点)における騒音レベルのうち、昼夜間とも環境基準値以下であったのは1,190地点(38.1%)、昼間のみ基準値以下であったのは385地点(12.3%)、夜間のみ基準値以下であったのは120地点(3.9%)、昼夜間とも基準値を超過したのは、1,428地点(45.7%)となっています。
 このうち、近接空間(2,869地点)では、昼夜間ともに環境基準値以下であったのは1,097地点(38.2%)、昼間のみ基準値以下であったのは372地点(13.0%)、夜間のみ基準値以下であったのは103地点(3.6%)、昼夜間とも超過したのは1,297地点(45.2%)となっています。
 一方、非近接空間(254地点)では、昼夜間とも環境基準値以下であったのは93地点(36.6%)、昼間のみ基準値以下であったのは13地点(5.1%)、夜間のみ基準値以下であったのは17地点(6.7%)、昼夜間とも超過したのは131地点(51.6%)となっています。
 近接空間と非近接空間を比較した場合、大きな差はみられませんでした。
 以上の結果を前年度(平成11年度)と比較した場合、大きな変化はありませんでした。

グラフ:点的評価の結果 全国の状況

(2)大都市地域とそれ以外の地域の状況

 大都市地域(東京都23区及び12政令指定都市)とそれ以外の地域に分けて見ると、大都市の非近接空間において、環境基準値以下であった地点が55地点中10地点(18.2%)と割合が最も低く、大都市以外の非近接空間において、199地点中83地点(41.7%)と最も高い割合となっています。

グラフ:点的評価の結果 大都市地域とそれ以外の地域の状況

(3)道路の種類別状況

 道路の種類別に見ると、昼夜間とも環境基準値以下であったのは、高速自動車国道に面する測定地点で94地点中78地点(83.0%)と割合が最も高く、次いで4車線以上の市町村道が282地点中147地点(52.1%)となっています。

グラフ:点的評価の結果 道路の種類別状況

(4)時間帯別の状況

 昼夜間に分けて、環境基準値以下であった地点の割合は、近接空間の昼間で51.2%と最も高く、非近接空間(A類型)の夜間において、37.2%と最も低くなっています。
 また、基準値を11dB以上超過した地点の割合が比較的高かったのは、非近接空間(A類型)であり、昼間、夜間それぞれで3.9%、6.4%となっています。
 全体を時間帯ごとにみると、昼間で50.4%、夜間で41.9%の地点で基準値以下でした。

※ A類型を当てはめる地域は専ら住居の用に供される地域、B類型を当てはめる地域は主として住居の用に供される地域、C類型を当てはめる地域は相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事が指定します。

グラフ:点的評価の結果 時間帯別の状況


(参考1)騒音に係る新しい環境基準について
資料1.都道府県等別の面的評価結果
資料2.都道府県別の点的評価
資料3.道路交通騒音対策の状況