大気環境・自動車対策

平成11年度自動車交通騒音の状況

平成12年12月28日

 環境庁では、全国における自動車交通騒音の状況を把握するため、平成11年度に全国3,380地点において地方公共団体が行った自動車交通騒音の測定結果を取りまとめた。
 測定は、等価騒音レベルなどを採用した新しい騒音に係る環境基準(平成11年4月施行)に基づき実施された。新しい環境基準では、道路に面する地域について、個別の住居等のうち、騒音レベルが基準値を超過する戸数及び超過する割合により評価(以下「面的評価」という)することとされている。このためには、道路敷地境界付近における騒音レベルの測定結果をもとに、道路からの距離などを考慮して、個別の住居等の騒音レベルを把握する必要がある。しかしながら、現在、各地方公共団体において沿道の住居等の立地状況を調査中であり、面的評価は困難であることから、平成11年度は、測定地点における騒音レベルを基準値と比較して、騒音の状況を評価した。
 全国の測定地点3,380地点のうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも基準値以下であったのは1,265地点(37.4%)となっている。
なお、面的評価については、今年度から各地方公共団体において逐次実施されていくこととなっている。
 環境庁としては、このような自動車交通騒音の状況を踏まえ、道路交通騒音対策の充実強化について検討を行い、総合的に対策を推進してまいりたい。

※等価騒音レベルとは、一定時間内に測定された多数の騒音データを、エネルギー量で平均して何dBの騒音に相当するかを求めたものである。
 旧環境基準では、一定時間内に測定された多数の騒音データを、大きいものから並べて50%目のデータ(25個のデータがあった場合、大きい方から13個目のデータ)である中央値を用いていた。

1.全国の状況

 全国の測定地点(3,380地点)のうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準値以下であったのは1,265地点(37.4%)、昼間のみ基準値以下であったのは389地点(11.5%)、夜間のみ基準値以下であったのは146地点(4.3%)、昼夜間とも基準値を超過したのは、1,580地点(46.8%)であった。
 3,380地点のうち、幹線交通を担う道路に近接する空間の基準値が適用される地点(2,927地点以下「近接空間」という)において、昼夜間ともに環境基準値以下であったのは1,107地点(37.8%)、昼間のみ基準値以下であったのは357地点(12.2%)、夜間のみ基準値以下であったのは100地点(3.4%)、昼夜間とも超過したのは1,363地点(46.6%)であった。
 また、幹線交通を担う道路に近接する空間の基準値が適用されない地点(453地点以下「非近接空間」という)において、昼夜間とも環境基準値以下であったのは158地点(34.9%)、昼間のみ基準値以下であったのは32地点(7.1%)、夜間のみ基準値以下であったのは46地点(10.1%)、昼夜間とも超過したのは217地点(47.9%)であり、近接空間、非近接空間で大きな差はみられなかった。

※「幹線交通を担う道路」とは、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、4車線以上の市町村道及び自動車専用道路。「幹線交通を担う道路に近接する空間」とは、次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定される。
  • 2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路 15メートル
  • 2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

グラフ:平成11年度自動車交通騒音の全国の状況

2.大都市地域とそれ以外の地域の状況

 大都市地域(東京都23区及び12政令指定都市)とそれ以外の地域では、大都市の近接空間において、環境基準値以下であった地点が535地点中77地点(14.4%)と割合が最も低く、大都市以外の近接空間において、2,392地点中1,030地点(43.1%)と最も高い。

グラフ:平成11年度自動車交通騒音の大都市地域とそれ以外の地域の状況

3.道路の種類別状況

 道路の種類別にみると、環境基準値以下であったのは、高速自動車国道で184地点中132地点(71.7%)と割合が最も高く、次いで4車線以上の市町村道が136地点中78地点(57.4%)となっている。

グラフ:平成11年度自動車交通騒音の道路の種類別状況

4.時間帯別の状況

 環境基準値以下であった地点の割合は、非近接空間(B、C類型)の夜間で51.4%と最も高く、非近接空間(A類型)の昼間及び夜間において、34.5%と最も低くなっている。
 また、基準値を11dB以上超過した地点の割合が比較的高かったのは、非近接空間(A類型)であり、昼間、夜間それぞれで7.9%、6.1%であった。
全体を時間帯ごとにみると、昼間で48.9%、夜間で41.7%の地点で基準値以下であった。

※A類型を当てはめる地域は専ら住居の用に供される地域、B類型を当てはめる地域は主として住居の用に供される地域、C類型を当てはめる地域は相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とし、各類型を当てはる地域は、都道府県知事が指定する。

グラフ:平成11年度自動車交通騒音の時間帯別の状況

資料1. 都道府県別測定地点における騒音レベルの環境基準値との比較
資料2. 道路交通騒音対策の状況
(参考1)騒音に係る新しい環境基準について
(参考2)平成10年度の環境基準の達成状況について