環境省大気環境・自動車対策自動車排出ガス等関係自動車排出ガス規制についてディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

ディーゼル車対策技術評価検討会とりまとめ

4.ディーゼル車の排出ガス対策の効果等の試算

 今後の使用過程ディーゼル車対策をどのように進めていくことが適当であるのかを検討するに当たっては、DPFをはじめとする現状の使用過程ディーゼル車のPM低減対策技術の評価を行うだけでなく、様々な施策の効果等を踏まえて検討することが必要である。
 ディーゼル車の排出ガス対策としては、新長期規制の前倒しや軽油の低硫黄化等の新車排出ガス規制の強化、古い規制の使用過程ディーゼル車の最新規制適合車への強制代替、点検・整備の励行、街頭検査の強化等による整備不良車の排除等が考えられる。
 そこで、一定の仮定をおいて、これらのうちのいくつかの施策と使用過程ディーゼル車へのDPF装着を組み合わせた場合の排出ガス低減効果及び費用について試算し、その比較検討を行った。

(1)効果等の試算の前提
 ディーゼル車排出ガス対策の検討のため、古いディーゼル車の最新規制適合車への強制代替、新車規制の前倒し実施、DPFの装着等(表4―1)の各施策を実施した場合のほか、比較のためのベースケースについて、PM及びNOx排出総量の低減効果及びその費用について分析を行った。なお、この試算は、各施策の効果の比較のため簡易な方法により実施したものであり、個々の施策における排出ガス低減量及び対策に要する費用は、大まかな傾向をみるための概算値である。
ケース 内容
ケース1 ベースケース
(新短期規制(平成14~16年)、新長期規制(平成19年)のみ)
ケース2 施策実施ケース
(古い規制の使用過程車の最新規制適合車への強制代替、新長期規制2年前倒し、新短期規制時の新長期並PM車の投入)
ケース3 DPF装着ケース
(ケース2に、短期規制車の一部(装着率20%)へのDPF装着)
  • ※試算は、現行自動車NOx法の特定地域について実施した。
  • ※新車規制の導入については、各規制適合車の排出量が規制値の低減率に応じて排出量が低減するものとし、新長期規制については新短期規制の2分の1と仮定し、新短期規制時の新長期並PM車導入については、NOxを新短期並、PMを新長期並とする自動車が導入されるものとした。
  • ※古い規制の使用過程車の最新規制適合車への強制代替については、平成15年度以降、猶予期間(小型貨物車8年、普通貨物車9年等、現行自動車NOx法に準じる年数)が満了した自動車について最新規制適合車に代替が行われるものと仮定した。
  • ※DPFのPM削減率は65%と仮定した。
  • ※費用については、DPFは車種により60万円から70万円とし、新車への代替は、平均的な車両価格(乗用車150万円、普通トラック750万円、バス1500万円等と想定)を平均使用年数により除した値に平均的な残存年数(4年)を乗じた価格とした。

表4-1 算定ケース

(2)PM及びNOx排出総量の低減効果
 各ケースにおけるPM及びNOxの排出量の推移の試算結果を図4-1及び図4-2に示す。
 これによれば、ケース2では、施策開始時の2003年においてはPMがケース1の総排出量に対し約4割程度、ケース1との開きが最大となる2006年及び2007年においては約6割程度削減されることが見込まれる。また、NOxも、同時期においてケース1の総排出量に対し約2割程度削減されることが見込まれる。
 また、短期規制車へのDPF装着については、導入当初の2003年時点においては、ケース2の総排出量に対し約7%程度の削減効果が見込め、その後、効果は漸減しながらも、短期規制車が強制代替により代替される2006年頃まで続くことが見込まれる。
(3)費用
 この試算では、ケース2の古い規制の使用過程車の最新規制適合車への代替にかかる2010年までの総費用は、約1兆2千億円と見込まれ、また、ケース3では、これに加え付加的なDPF装着にかかる総費用として、約520億円が必要となると見込まれる。なお、この場合DPFの耐用年数によって交換費用が更に必要となる可能性がある。

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