1.日時:平成25年2月8日(金)10:00~12:00
2.場所:TKP東京駅ビジネスセンター カンファレンスルーム10A
3.出席者
- (座長)
- 高田 礼子 聖マリアンナ医科大学 予防医学教室 教授
岡 輝明 公立学校共済組合関東中央病院 臨床検査科病理科 部長
岸本 卓巳 独立行政法人労働者健康福祉機構 岡山労災病院 副院長
小林 香 独立行政法人環境再生保全機構 石綿健康被害救済部 部長
三浦 溥太郎 公益社団法人地域医療振興協会 横須賀市立うわまち病院 副病院長
森永 謙二 独立行政法人環境再生保全機構 石綿健康被害救済部 顧問医師
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター研究所 所長(三上春夫委員 代理) - (欠席者)
- 石川 広己 社団法人 日本医師会 常任理事
井内 康輝 NPO法人総合遠隔医療支援機構 理事長
酒井 文和 埼玉医科大学国際医療センター 画像診断科 教授
三上 春夫 特定非営利活動法人地域がん登録全国協議会 理事 - 事務局(環境省石綿健康被害対策室)
- 神ノ田室長、清水主査、伊藤補佐
4.議題
- (1)今後の中皮腫登録について
(2)その他
5.議事録
- 事務局
ただいまより、平成24年度第2回「中皮腫登録に関する検討会」を開催いたします。冒頭、傍聴者の方にお願いいたします。本日は、公開での検討会となっておりますが、傍聴者の方はご発言いただけません。また、審議中の写真撮影、ビデオ撮影及び録音はお控えください。審議の妨げとなるような行為があった場合には退場していただく場合もございますので、ご了承ください。
それでは、本日、特定非営利活動法人地域がん登録全国協議会の三上春夫先生はご欠席でいらっしゃいますが、代理にて永瀬先生がご出席されていますので、ご紹介申し上げます。
千葉県がんセンター研究所所長、永瀬浩喜先生でいらっしゃいます。 - 永瀬委員
よろしくお願いいたします。 - 事務局
また、NPO法人総合遠隔医療支援機構理事長の井内康輝先生、埼玉医科大学国際医療センター画像診断科教授の酒井文和先生、社団法人日本医師会常任理事の石川広己先生は、ご予定のため、ご欠席でいらっしゃいます。 - 事務局(資料確認)
次に、配付資料の確認をいたします。本日配付している資料ですが、
資料1 中皮腫登録に関する検討会委員名簿。
資料2 第2回中皮腫登録に関する検討会座席表。
資料3 諸外国における中皮腫登録の状況について(海外動向調査)。
資料4 既に認定された中皮腫症例の整理について(中間報告)。資料4ですが、4ページ(5)の部分に、事前送付した資料から若干修正があります。
資料5 中皮腫登録事業に係る登録シート(案)の試行的運用について。
資料6 中皮腫登録に関する検討会報告書(案)。
参考資料1-1 中皮腫登録データベース構築事業。
参考資料1-2 石綿繊維計測体制整備事業。
参考資料2「石綿健康被害救済制度の在り方について(二次答申)」がございます。
それでは、本日の議事に移らせていただきます。以降の議事進行は、座長の高田先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。 - 高田座長
本日の主な議題は「今後の中皮腫登録について」になります。先ほど資料の確認がございましたが、配付資料のうち、資料3、資料4、資料5については、前回の検討会資料を一部改訂したものになっておりますので、変更点を中心にご説明をいただきまして、ご議論をいただきたいと思います。
まず、資料3「諸外国における中皮腫登録の状況について」、事務局より説明をお願いいたします。 - 事務局
前回のご報告では、オーストラリアにおける中皮腫登録制度の概要と、フランスにおける中皮腫サーベイランス制度の概要についてご報告申し上げましたが、今回、オーストラリアにおける中皮腫登録制度でのデータ項目について追加してまいりました。
資料3の7ページ、参考1をご覧ください。現在、オーストラリアの中皮腫登録制度では、州もしくは特別地域から中皮腫登録制度の事務局にデータを通知することになっています。7~8ページに記載しておりますのは、州から通知をしているデータ項目でございます。
登録番号、性別、またオーストラリア特有ですが先住民かどうかということ、および出生日、出生国と死亡日、死亡原因です。死亡原因については、国際疾病分類腫瘍学第3版(ICD-O3)のコード番号をフォーマットとして使うということになっております。診断日は、がんであると最初に診断された日です。
偏側性については、患者さんの原発がんの発生場所である一対の器官についてコード番号で表記ということで、右か左か両側かというようなことをコード番号で記載することになっております。
次が、最も有力な診断根拠とした情報ということで、右側にある0~9までの項目を選んで選択することになっております。
8ページ、トポグラフィーとございますが、具体的にはがんに罹患している方の発生した腫瘍の部位でございます。こちらについても、先ほどご紹介したICD-O3のコード番号で表記することになっております。また、下にモフォロジーとございますのが、がんに罹患している患者さんのがん組織の組織学的な分類を表記することになっており、こちらもICD-O3のコードで表記ということで、4つの選択肢から選ぶことになっております。
あとは、いわゆる事務的事項で、住所や地域、その方の仮のお名前といったようなことも記載するような形になっております。簡単ではございますが、以上でございます。 - 高田座長
それでは、ご説明の内容につきましてご質問等ございましたらお願いいたします。 - 岡委員
質問というか確認ですが、8ページの項目の2つ目、これは「モルフォロジー」ですね。 - 事務局
ご指摘のとおりです。申し訳ございません。 - 岡委員
私はICD-O3をきちんと見ていないのですが、このフォーマットのところにICD-O3のコードがついていますが、このとおりですか。 - 事務局
この番号自体はオーストラリアの中皮腫登録の事務局からいただいたものなのですが、確かにICD-O3のコードと一致しているものなのかどうかは、私どものほうではまだ確認しておりません。 - 岡委員
ふだん我々が使っていない名前も入ってきているように思うので、確認していただきたいと思います。7ページのフォーマットのところの日本語訳は、事務局でおやりになったのですか。数か所、必ずしも普通ではない日本語があるように思います。 - 事務局
失礼いたしました。英語で表記したほうが皆様にはおわかりになったのかもしれません。 - 森永委員
これは報告書につけるのですか。つけるのだったらきちんとしなければいけないし、つけないのだったらこのままでよいのかもしれないですね。どうするのですか。 - 岸本委員
英語で書いてあるのを付けたらどうですか。それぞれが日本語に訳すので。 - 環境省(神ノ田室長)
「中皮腫登録制度等の在り方に関する調査業務」の全体を東京海上日動リスクコンサルティングが請負しているのですが、その一部が海外調査であり、この検討会もその一部であるという整理です。この検討会の報告書には、海外調査の報告書はつけないで、あくまでも本検討会における議論の参考資料という位置づけになります。 - 森永委員
わかりました。 - 高田座長
英文をつけたほうがいいのではないかというお話がありましたけれども、それはいかがいたしますか。 - 森永委員
海外調査の報告の中で、付表でつけるほうが誤解は少ないでしょうね。 - 高田座長
では、そのように事務局のほうで資料の対応をお願いいたします。
それでは、次に移ります。資料4「既に認定された中皮腫症例の整理について(中間報告)」を岸本委員からご説明をお願いいたします。 - 岸本委員
資料4の説明をいたしますが、これとは別に、私は平成15~20年までに日本で亡くなった6,030人の死亡個票をチェックして追跡調査をやっておりますので、今回の対象者(中皮腫認定者)である平成22~23年の方が、平成15~20年の方に比べてどのような傾向があるのかということについてお話をさせていただきたいと思っております。
中皮腫の部位別、性別、年齢別分布ということですが、まず、年齢別では19~93歳にわたっており、平均年齢が67.9歳です。私どもが集めたデータでは16~94歳であり、ほとんど同じでございます。中央値は68歳ということなので、日本の中皮腫の患者さんというのは、平成15~23年までほとんど変わっていないという傾向がございます。
次に中皮腫の部位別の検討ですが、今回のデータだと、胸膜が91.1%で、腹膜7.2%ということになっているのですが、我々が調べたデータだと、胸膜は85.5%で、腹膜は15.7%です。明らかに腹膜が減っているというのは、診断精度がかなりよくなって、おそらく女性の卵巣がんを腹膜中皮腫とはしなくなったのが22~23年の特徴ではないかと思います。心膜、精巣鞘膜はほとんど同じということであります。
図2の性別分布は男性対女性の比率で、今回のデータでは男性が78%、女性が22%ということなのですが、私のデータだと80.2%対19.8%で、女性が22~23年のほうで多くなっている。腹膜は減ったのだけれども、女性の比率が上がっているという予想外なデータだと思います。男女比は、男性5対女性1と思っているのですが、日本では4対1で女性が多いのではないかと思っています。我々のデータだと、胸膜は4.8対1で男性が多いのですが、腹膜は2.4対1ということで、胸膜に比べて明らかに女性が多いというデータになっております。
申請時の年齢別分布は、先ほど中央値の話をしましたが、ほとんど分布は同じでございます。ですから、平均値、中央値がほとんど同じようになっています。
石綿肺がんで見てみると、平均値が72~73歳になるのですが、中皮腫は67~68歳が中央値、平均値というデータでございまして、今回の年齢分布も前の私のデータもほとんど一緒であるという傾向がございます。
3ページ、(3)の「石綿ばく露の類型別」ですが、救済法に基づく申請では職業性ばく露を労災に比べて詳しく調べていないので、当然「環境・不明等」が多くなっております。我々のデータでは遺族への問診等がありましたので、職業性石綿ばく露歴がある人は73.7%、あと環境ばく露が9例、家庭内ばく露が18例あって、家庭内ばく露については、今回のデータ(21例)とほとんど同じ程度であるということです。我々のデータは環境ばく露、家庭内ばく露、職業性ばく露を全部入れると76.8%で、80%近くになったというようなことでございます。
(4)の「中皮腫発見の契機」ということでは、何らかの自覚症状があって医療機関を受診した人が77.7%、健康診断の方が9.8%です。他疾患治療中も9.6%というようなことになっております。私もこれを書き取った1人なのですけれども、確かに偶然に見つかる人が多いなという気がしておりました。
我々の過去の調査では、83.1%が自覚症状を持ってということであり、健康診断が9.8%、他疾患治療中は7.1%で、傾向的には同じようであると思っています。私としては、石綿健康管理手帳の交付対象範囲が広がり、健康診断も増えているので、22~23年はもっと手帳の交付を受けた方の健診や健康診断が契機になった割合が多くなっているのではないかと思っていたのですが、15~20年と同じ9.8%だったというのは予想をしていなかったところでございます。
4ページ、(5)の「中皮腫発見時の症状」でございますが、息切れが一番多くて、あと胸痛、せき、発熱、などという順番になっておりますが、我々のデータは、胸痛が41.9%と多くて、息切れは37.5%ということになっています。せきもかなり多くて22.5%です。あと発熱、腹部膨満は8.2%程度でございまして、今回の22~23年のデータを見ると、息切れという主訴で受診された方が多いというのに私も驚いたわけでございます。
(6)の「申請時における治療内容」ですが、平成19年1月から日本でもアリムタが使えるようになったというのは非常に大きなことで、化学療法をとりあえずされている方がとても多いということでございました。我々の15~20年のデータだと、アリムタがほとんど使われていなかったという状況で、Best Supportive Careが40%程度ございまして、化学療法プラス手術を入れた化学療法でも50%に満たなかったということでした。
今回の結果で手術は63名ととても少ないのですが、過去例はもっと多い18.5%ありまして、以前はステージ3あたりは積極的に治療していたのだけれども、22~23年になってちょっと自粛をしておられるのかなというような印象がございました。
(7)の「その他の所見(画像)」のところは円形無気肺とか胸膜プラーク、石綿肺という順でありますが、我々小委員会でも、プラークありだとか石綿肺ありだとか、円形無気肺というような所見をとっていないので、ほとんどが記載はございませんでした。プラークというのは石綿ばく露の指標になるということなので、今後の登録制度には、分科会や小委員会でプラークがあるのかないのかをきちんと確認しておいたほうがいいと思います。ちなみに私の研究班では、これは放射線科医と内科医の両方が読んでいたのですが、中皮腫の胸膜プラーク合併頻度は34.2%で意外に多くはございません。胸膜が34.4%、腹膜が34.0%、心膜中皮腫は少なくて14.3%というお話でございました。
(8)の「画像の総合判定」というのは、臨床部会で画像では「definite」はないから、らしいものは「probable」とするということです。そして、probableと判定できないものを「possible」とする。どう考えても肺に原発のようなものが見えたものを「probably not」としようということで、そういう分類でやった結果をこのようなプロットとして示しています。今回の1,030例というのは全て救済法で認定されており、小委員会で認められた症例ということで、こういう結果になるのではないかと思います。
次に(9)の「病理所見における組織診、細胞診の実施状況」ということですが、今回83.7%プラス14.6%の方が組織診をやっており、細胞診のみの方というのは1.7%程度しかなかったということでございます。平成15~20年までは細胞診で診断した方が比較的多かったということでございまして、石綿小委員会が、中皮腫の診断は組織診で確実に診断しましょうということで全国行脚をしている効果があったのではないかと思います。
(10)の「病理所見(組織診)における判定」は、最近は5段階でやっていて、「possible」以上のものは認めるということでありますが、今回はかなりの割合が「definite」ということになっております。
我々の調査では、井内先生にお願いしてカテゴリー付けをしたのですが、4(probable)と5(definite)を合わせても大体70%程度しかなかったということでありますので、今回の結果によると診断精度はかなり上がってきているのではないでしょうか。「definite」の90.2%というのは、とてもいい結果ではないかと思います。ちなみに私どものデータでは、カテゴリー5の「definite」は平成15~17年は55.9%、18~20年は65%程度になっていますので、これと比較すると素晴らしいと思います。 - 森永委員
今回の集計の対象は認定された方だけだから、このような結果だったのではないでしょうか。 - 岸本委員
私の調査でも一応認定されたというか、中皮腫だと一応思った例でということだったのですが、意外にデータがよくなかったということではあります。確かに森永先生が言われているように、対象者が違うというのはあるかもしれません。
この資料には書いていないのですが、上皮型、肉腫型、二相型、特殊型という分類は、岡先生、あのときに書いていなかったですか。 - 岡委員
はい。 - 岸本委員
その分類があればこれも入れておいたほうがよかったのかなと思いました。
(11)の「病理所見(細胞診)における判定」というのは、通常は細胞診で「definite」はつけないということになっているのですが、このような割合になっています。通常は小委員会でも細胞診における総合判定は4の「probable」までということなのですが、このことに関しては後から岡先生にお話をしていただきたいと思っております。
(12)の「判定の根拠とした資料」については、組織診がこの程度ということです。我々の調査では、確定診断をした方法というのをチェックしたのですが、VATS(胸腔鏡下手術)が54.2%と一番多く、過去には15~20年までは針生検が24.5%で、4分の1は針生検しかやっていなかった。VATSというのはあまりされていなくて、開胸だとか開腹生検が9.3%というところでございましたから、臨床でもかなりVATSをやって組織診断が増えているのかなと思いました。ただ、小委員会でいつももめるのは針生検なので、もっとVATSをやって大きな組織をとると良い結果が出るのではないかなと思いました。
(13)の「画像及び病理所見を踏まえた総合判定」はこういう現状なのですが、総合判断で「definite」がこんなに多いのは本当かなと思ったので、これはまた岡先生にフォローアップしていただけるとありがたいなと思いました。
(15)の「組織型と予後」というのは我々も調べています。ここにあるように、上皮型というのは中央値が284日というような生存期間ですが、15~20年までの生存期間は、アリムタが使われていないにもかかわらず282日、ほとんど変わっていないということでございます。
二相型はここには275日と書いてありますが、我々のデータだと247日で、これもあまり延びていません。線維形成型と肉腫型というのは150日程度で予後が悪いですが、我々のデータでは123日ということであります。今ではアリムタが使われるようになっているのに、意外にも上皮型の中皮腫の予後はあまりよくないなと思いました。確かに初回で効かない場合があり、その他に有効な治療方法がないので予後にあまり反映していないのかなと思いました。
あと「長期生存の主な症例」ということも示してありますが、大体かいつまんで私の過去例と比較をしてみました。病理のほうは私が直接やっておりませんので、岡先生にフォローアップしていただければと思います。 - 高田座長
では岡委員から、追加説明がございましたらお願いします。 - 岡委員
まず、7ページ(11)の細胞診の取り扱いというか判断というのは、確かに細胞診だけで確定診断が使えるかというと、ご存じのように浸潤という重要な所見がわかりませんので、同じような細胞像であっても、腫瘍なのか、腫瘍でないのかという判断は非常に難しいことがあります。
そういう意味で、細胞診は確定診断ということにはなかなか結びつきにくいと理解していたわけですが、昨今の事情が少し変化してきていて、免疫細胞科学ができるようになった。少し乱暴に申しますと、その免疫細胞科学で、腫瘍であるかないかということを区別することが可能なマーカーが幾つか出てきていて、科学的な検証というのは今後も継続的に行われる必要がありますが、とりあえず現在使えるものが幾つかあって、それらを組み合わせると、かなりの精度で腫瘍性であるということが確保できるという状況になってきております。
石綿新法が患者さんを救済するという精神であるということに立って小委員会の運営は行われておりますから、その立場からすれば、厳密な科学的あるいは医学的なことにはもう少しエビデンスが必要になると思いますが、ただ、現時点で可能な範囲内で判断をしていけば、「definite」という行政上の判断をすることは十分可能であるという立場で考えているわけであります。
したがって、こういうデータが出てきているわけで、この「definite」については、医学的あるいは科学的にはもう少し将来検討する必要があるかもしれませんけれども、現時点ではこれで十分認定できるという判断だと思います。
(12)についてはご説明のとおりだと思います。
(13)で「definite」が多いのではないかという岸本先生のご意見がありましたが、これも先ほどの細胞診と基本的には同じで、中皮腫である可能性があるものについて比較的積極的に患者さんを救済するという立場で診断を考えていけば、少しでもその可能性があるものについては可とするという立場をとっておりますので、おそらく厳密な医学的なデータと比較すると、少し割合が多くなっているという状況にあるのだろうと思います。 - 高田座長
それでは、今のご説明につきまして、ご意見等ございましたらお願いいたします。 - 森永委員
例えば細胞診の判定ですけれども、これは細胞診だけで決めた例のうち、「definite」「probable」「possible」の割合はこういうふうになったという意味なのですか。つまり、最終的には、この人たちは一応possible以上の人ですね。ですから、どういう母数での集計になっているのかがわからない。細胞診だけで認めた人のパーセンテージはこうだったのですか、そういう理解でいいのですか、ということです。 - 岡委員
これは実際には組織診と細胞診と一緒にやっている方があって、それが一緒に入ってしまっていると思います。ですから、少し見かけよりも多くなってしまっていると思います。 - 森永委員
「definite」というのは、一緒にされた方のも含まれているということですね。 - 岡委員
そういうことになります。 - 森永委員
どちらかがわかるような集計にしたほうがいいということだと思います。
私は1987年頃に全国の死亡調査をしました。がん登録の協力も得て、中皮腫を調べました。一応、産業医科大学の雑誌に簡単な結果を載せていますけれども、岸本委員が言われましたように、女性が少し減ってきたけれども、まだ女性の腹膜が男性の腹膜とあまり差がなく多いというのは、甘く拾っている例かと思います。もっと厳しくすれば減ると思います。診断精度は、もう一つ欧米並みに達していないとは思います。
私の結論は、そういう死亡統計をいろいろ見ていっても、がん登録を見ても、やはり中皮腫の診断は当てにならないということで中皮腫パネルを私が組織して始めたというのがいきさつです。 - 高田座長
では、続いて、資料5「中皮腫登録事業に係る登録シート(案)の試行的運用について」及び資料6「中皮腫登録に関する検討会報告書(案)」について、環境省よりご説明をお願いいたします。 - 環境省(清水主査)(資料5及び6について説明)
資料5は前回も提出した資料になります。、前回の検討会後、再度登録シートを分科会で試行的に運用し、登録シートに対して、分科会の委員から新たに提出された意見を追加した資料になっております。前回は、第169回までの結果を記載しておりましたが、検討会後、第170、171回分科会においても試行的に運用し、その際に委員より提出された意見を追記しております。なお、追記された意見はゴシックで記載させていただいております。
2ページにあるように、今回は、特に画像の登録項目について新たな意見をいただきました。
例1ですが、中皮腫によると思われる漿膜肥厚の画像所見では、薄く肥厚した部分と厚く肥厚した部分、両方の所見が存在することがほとんどであり、常に両方の欄にチェックがついてしまうのではないかといった質問がありました。
例5として、「播種」は、漿膜腫瘤の多発・単発、いずれの欄になるのか、または新たな項目になるのかといった質問もありました。
また、「[5]画像の評価」として、「胸水または腹水のみ」は中皮腫の評価として「possible」か「probably not」、いずれになるのかといった質問もありました。この部分については、後ほど委員の先生からご意見など賜れればと思っております。
続きまして、資料6「中皮腫登録に関する検討会報告書(案)」の説明に移ります。1ページの「1.はじめに」では、本検討会設立などの背景を説明しております。1回目の検討会でもご説明しましたとおり、中央環境審議会から救済制度において環境再生保全機構(以下、機構)に集まる情報を活用して、中皮腫登録事業を進めるよう二次答申がなされ、それを受けて本検討会を立ち上げて、登録項目等について具体的な検討を行ったことについて記述しております。
続いて、「2.中皮腫登録事業の方向性」についての記述になります。二次答申にもありますように、機構には、救済制度を通じて中皮腫に関する情報が集まっておりますが、これらの情報は医学的に貴重な資料であり、この貴重な情報を関係者の間で共有して活用するためにデータベースの構築を目指す、といった記述になっております。
続いて、「(2)医療機関への還元」ですが、先ほど言及しましたデータベースを解析して得られた成果を医療機関に還元することにより、診断法や治療の向上が得られることを述べております。また、医療機関への具体的な情報提供のあり方としては、セミナーまたはホームページを通じて実施することが想定されると共に、判定困難症例の病理標本や放射線画像を医療関係者と共有できる仕組みを検討することについても記述しております。
続いて、「(3)地域がん登録事業の活用」について。二次答申では、地域がん登録事業についても記述があり、この部分の記述については、前回欠席された地域がん登録全国協議会理事の三上春夫委員から提供していただきました。地域がん登録では、「罹患率や生存率等のデータを得て、エビデンスに基づいたがん対策を実施すること等を目的としており、登録項目は基本的な情報に絞り、登録率の向上が図られている」のに対して、「中皮腫登録事業は、救済制度に申請のあった症例を対象にしているため、登録率については限界があるが、判定小委員会等における調査審議を経ているため、詳細な臨床情報を得ることができる」と両事業の比較を行っております。地域がん登録事業の特徴を踏まえ、今後の中皮腫登録の実態把握のため、地域がん登録事業の活用の検討を進めるといったような記述をしております。
続いて「3.登録に係る体制」です。まず「(1)登録の主体」ですが、二次答申でも言及されている救済制度における医学的判定に係る中皮腫に関する情報について、当該資料は医学的に貴重な資料であり、当該情報が蓄積されている機構、また、実際に医学的判定の調査審議を行っている中皮腫の専門家から構成される判定小委員会、そして、判定の主体である環境省が取り組むべきであることを言及しております。
続きまして「(2)病理標本の申請時の提出」ですが、こちらの記載は、今回欠席されている井内委員、また三浦委員から前回ご指摘された意見を反映しております。
「現状の医学的判定では、申請時に提出された病理組織診断書等において中皮腫として矛盾しない所見の記載があれば中皮腫と判定しているが、組織像・形態像に関する記載が不十分であるために、追加で病理標本の提出を求めなければならない場合も多く、審査に時間を要する原因の一つとなっている。また、中皮腫は予後の悪い疾患であるため、二次答申においても『生存中に給付が支給できるよう、認定に係る期間の短縮に向けた努力が必要である』と指摘されている。さらに、判定小委員会で実際に病理標本を検鏡して確認した病理学的情報と、申請時に提出された病理組織診断書等のみに基づく病理学的情報では、情報の精度に開きがあるが、中皮腫登録事業において精度の異なる両情報が混在して登録されることは好ましくない。以上を踏まえ、今後は迅速な救済の観点及び中皮腫登録事業の精度担保の観点から、中皮腫診断において最も基本的な染色標本であるHematoxylin-Eosin(HE)染色標本等については、可能な限り、申請時の提出を求めることが望ましい」と記載させていただいております。
続いて、「(3)個人情報の取扱い」で、こちらは今回欠席されている石川委員、また岡委員から前回ご指摘のあった部分であります。念のために、個人情報の使用の許可を事前にして取得しておくことが必要ではないかといったご発言があり、その部分について、救済制度の中で「当該情報を中皮腫登録事業で活用する際には、中皮腫の診断・治療法の向上といった情報の利用目的を明確化するとともに、それ以外の目的では情報を利用しないといったことを説明した上で、本人等から同意を得るなど、その取扱いには最善の注意を図る必要がある」といった記載をさせていただいております。
続いて、「4.登録項目」になります。「救済制度の申請時には、年齢、職業、病理学的所見、画像所見等の多くの情報が提出されるが、そのすべてを登録しようとすれば、膨大な作業量が必要となり、中皮腫登録事業の安定的な運用に支障を来すおそれがある」という記述です。 また、特にこちらは森永先生に実際にご協力いただいた海外動向調査を通じて得られたオーストラリアの中皮腫登録項目が基本的な情報に限定されていたこととも関連しますが、「今後その定義等が変化することなく、かつ将来にわたって利用が見込まれる情報や、幅広く一般の認定患者や医療機関において活用できる情報などに登録項目を絞り込むことが望ましい。また、石綿ばく露歴については、救済制度の申請時に機構が実施しているアンケート調査(被認定者ばく露状況調査)を活用することが想定される」といったことも記載しております。なお、登録項目の実際の記入方法や運用等については、小委員会、分科会等で適宜検討していくことが望ましいといったことを最後に付言させていただいております。
最後の「5.おわりに」ですが、ここでは、これまでに本報告書(案)で言及した部分についてまとめた内容になっております。
「本報告書の提言を踏まえて、関係機関相互の緊密な連携の下で、速やかに中皮腫登録事業が実施に移されることを期待する。また、事業の成果については、積極的に全国の医療機関や中皮腫患者等に還元し、我が国における中皮腫の診断・治療の向上、ひいては中皮腫の治癒率の向上につながることを望む」といったことを記載させております。
また、中皮腫登録事業の実施に当たっては、判定小委員会の業務負担にも影響が及ぶことから、救済制度の本来の目的である迅速な救済に支障を来すことがないよう配慮することが望ましいと記載させていただくとともに、個人情報についても最善の注意を払うべきであるといったような先ほどの内容を改めて記載させていただいております。
そして、本報告書の内容を踏まえ、中皮腫登録事業の充実が図られることを期待したいとして、本報告書を結んでおります。なお、資料6の最後の部分には、別添として中皮腫登録に係る登録シートを添付させていただいております。
最後に参考資料として、環境省のこれまでの取り組みを紹介させていただければと思っております。参考資料1-1は、中皮腫登録事業に係るデータベース構築のために、環境省が重点項目として予算要求したものの概要版となっております。次ページに、今後の中皮腫登録事業のイメージ図を添付させていただいております。
さらに参考資料1-2は中皮腫登録と外れてしまうのですが、こちらは同様に平成25年度の環境省の重点項目の1つの「石綿繊維計測体制整備事業」の概要です。現在、石綿による肺がんの判定基準の1つである石綿繊維計測が、計測可能な施設・専門家が少ないことや、検体の計測に手間がかかることから計測待ちの件数が増加しており、計測に要する期間が長期化しております。この状況を改善するために、透過型電子顕微鏡の購入等の計測体制の整備を図ることを目的として、本事業を進めていければと思っております。
以上で、環境省からの説明を終了させていただきます。 - 高田座長
それでは、まず資料5の「中皮腫登録事業に係る登録シート(案)の試行的運用について」ですが、登録シートは資料6の別添資料についております。こちらは追加でお話がございました画像所見の件でございますけれども、何かご意見等ございますか。 - 岸本委員
資料5の2ページの例1ですが、腫瘍性漿膜肥厚と腫瘍と診断できない漿膜肥厚の区別についてというのは、腫瘍性漿膜肥厚があればもう中皮腫が大変疑われるわけですから、そうではないものまで記載する必要はないと思うのですが。 - 環境省(清水主査)
腫瘍性漿膜肥厚が認められた場合には、端の部分が若干徐々に薄い部分から太くなってくるのですが、横の端の薄い部分については、腫瘍性と診断できない漿膜肥厚とわざわざ記載する必要はないということですか。 - 岸本委員
その必要性は全然ないと思います。胸膜中皮腫というのは、水平方向に進展をしていく腫瘍ですから、腫瘍性に見えなくても本来腫瘍だと考えていただいたほうがいいです。中皮腫らしいか、らしくないかという所見であれば、明らかに腫瘍性の胸膜肥厚があれば、そうらしいと普通は見ます。それは反対側でびまん性胸膜肥厚があるのかもしれませんけれども、腫瘍性胸膜肥厚が一応あって中皮腫を疑います、ということで良いと私は思います。 - 森永委員
登録シートについての意見も言ってよろしいですか。 - 高田座長
登録シートについてもお願いいたします。 - 森永委員
登録シートでは、石綿ばく露歴のところが、「4:環境ばく露」「5:不明」と分類されています。環境リスク調査でも聞いているアンケートなのですが、これは本人の申請であって、本当にそれが環境ばく露であると確認しているわけではないのです。ですから、ここだけ分けるというのは、今までとの整合性がなくなるのでやめたほうがいいと私は思います。 - 環境省(清水主査)
具体的には、どの項目とどの項目でしょうか。環境ばく露と。 - 森永委員
岸本委員の資料説明もありましたけれども、環境ばく露と不明と合わせて、まとめて出しているのですね。環境ばく露を出すとひとり歩きするということです。 - 環境省(清水主査)
どちらにしても、ばく露歴があいまいということなので、環境ばく露と不明はまとめさせていただくほうがよいということですね。 - 森永委員
今までの環境省の報告は、すべて環境ばく露と不明は一緒になっているはずです。 - 環境省(清水主査)
承知しました。では、森永先生のご指摘を可能な限り反映させたいと思います。 - 森永委員
岡先生に質問ですが、やはり細胞診のところは「definitely not」とか「definite」はやめたほうがいいでしょうね。「probably not」と「possible」と「probably」、この3つだけですね。 - 岡委員
そうですね。 - 森永委員
昔から実際の腺がんとよく間違えるケースが多いのです。細胞診で上皮型の中皮腫を腺がんと見てしまうような。ですから、ここは「definitely not」と「definite」は削っておいたほうがいいでしょうね。 - 環境省(清水主査)
承知しました。 - 高田座長
ほかに登録シートのことも含めてご意見ございますか。 - 岡委員
資料5の2ページ、「4.画像所見」のところの「[5]画像の評価」、胸水または腹水の場合は「possible」か、あるいは先ほどの「probably not」かということですが、これは考え方によるだろうと思います。今の石綿新法の考え方では「possible」であろうと思います。その中に「probably not」はもちろん含まれてはいるのです。しかし、それを分ける意味があまりないので、「possible」と考えるということではないかと思いますけれども、岸本先生、いかがでしょうか。 - 岸本委員
まさに岡先生の言われたとおりだと思います。胸水を見つけられてというのを私も言いましたけれども、他疾患治療中に診断された症例というのは9%くらいあって、それはほとんどが画像で胸水を認められたということです。では、胸水を精査してくださいということで調べていたら中皮腫だったという人がいますから、この状況は岡先生が言われたように「probably not」も入るけれども、可能性もあるということで、先生方は胸水があれば放っておかずに、精密検査をするなり、フォローアップなりするという意味で、「possible」でいいのではないかなと思いました。 - 森永委員
私もそれで良いです。「胸水又は腹水のみ」の場合は「possible」に全部つけるというルールを決めておいたらそれでいいと思います。
病理標本の提出のところで、Hematoxylin-Eosin(HE)標本の提出を求めるのがよいというのは、私が委員長のときはそれを強く求めたのだけれども、最初、救済法による認定制度の発足のときはそうならなかったということを言い訳させてもらっておきます。私は最初からそれを強調していたのです。
認定はなかなか時間がかかると言うけれども、給付のやり方を考えればいいのです。生きている人に先に280万円を渡す方法もあるわけですから、そういうことも救済のあり方で議論してほしかったのだけれども、そういうことは議論されていない。非常に残念ですね。先に生きている患者さんにお金をあげるという方法もあるのです。イギリスはそうしていますから、そういう議論もやってほしかったと思います。今からでもやれないことはないと思いますけれども。 - 三浦委員
たぶん次の話になるのでしょうが、HE標本を提出してもらって、HEでは診断がつかない場合には、細胞診も参考にしてということになります。それは「probable」どまりではありますが。そうしますと、一緒にパパニコロウ染色の標本も出してもらったほうが早いのではないかと思います。後から求めるとまた大変になりますので、もしHE標本がいいものが得られない場合には、可能であるならパパニコロウも一緒に提出していただくということにしておいたほうがいいかと思います。 - 岡委員
今のご意見に基本的には賛成です。ですから、文章としては、例えば細胞診しかない場合にはパパニコロウを必ず出してくださいということでいいと思います。ただ、ご存じのように、組織標本はブロックがあれば新しく作って出すことはできますけれども、細胞診標本というのはそれしかありませんので、可能な場合と可能でない場合があるだろうというのが1点です。
もう一つは、判定をするのが分科会になるのか、あるいは小委員会になるのか、それは両方の可能性があると思いますけれども、いずれにしても細胞診標本を本当に委員会で見るとなると、1枚につき最低30分とか40分とか、組織標本は、場合によれば5分というわけにもいかないかもしれませんけれども、分の単位で申し上げることではないのですが、少なくとも桁が違ってくるのです。
そうしますと、委員会や事前にやる仕事が非常に多くなってくるということが想定されますので、基本的には100%賛成ですが、具体的にどのようにやっていくかというのを検討して、十分に標本はもらったけれども使えないということになってもいけないと思います。その辺のところは具体的にはまた後ほどご検討いただきたいと思います。 - 三浦委員
岡委員の言われるとおりで、その点も現在検討していただいております。 - 環境省(清水主査)
資料の提出に当たっては、石綿健康被害判定小委員会というところで医学的留意事項というのを取りまとめているので、今回の検討会のご意見などの留意事項を判定小委員会の先生方に情報提供させていただいて、そこで留意事項の書きぶりなども考えていただければと思っております。 - 高田座長
そうしましたら、そちらは留意事項のほうで、また検討していただくということでよろしくお願いいたします。 - 森永委員
一応細胞診のみの場合はパパニコロウを出していただくということを、この文章の中へ入れたほうがいいですね。 - 環境省(清水主査)
承知しました。 - 高田座長
報告書にも含めるような形で修正するということで進めたいと思います。そうしましたら、資料5についてはよろしいでしょうか。 - 岸本委員
資料5の2ページの「4.画像所見」の「③漿膜の所見」の例の中で下線を引いてある部分は、かなりマイナーなことが言われています。例5に、「漿膜腫瘤」の欄について「播種」は多発又は単発どちらかに該当するかということが書いてあります。播種が単発であるわけがないので、多発ということになりますが、どうしてもそういう文言が必要であれば播種を入れればいいと思いますし、播種もそんなに意味のある言葉ではないと思うので、こういうものは入れないほうがいいと思います。
例6には「胸部に腫瘤ありだが、腹部に腫瘤なし」の場合とありますが、腫瘤があればいいわけですから、胸にあろうと腹にあろうと、いちいち書けば書くほど作業がだんだん複雑になってしまう。私は一貫して言っていますが、簡単にすればするほどやりやすいと思うので、そのようにされたほうがいいと思います。際限なく項目を入れると、とても煩雑になると思います。
「[4]その他の所見」の中で、肺線維化と円形無気肺ですが、私の調査でも最初は入れていましたが、最終案では外しています。円形無気肺は確かにびまん性胸膜肥厚のときにはよく見えるのですが、中皮腫で合併例はとても少なくて、入れるに足りないということです。石綿肺合併の中皮腫というのは2桁もなかったので、肺がんと中皮腫は意味が違うということで、我々も途中で切りました。ただ、今日は酒井先生がいらっしゃらないので、画像については酒井先生にまたご検討いただければと思います。
項目が増えると煩雑になり、分科会の先生方も一例の検討がとても長くなるから嫌だと言うだろうと思うので、オーストラリアのように、必要な事項だけを記載するというような対応をしていただいたほうがいいのではないかなと思います。 - 高田座長
そうしましたら、本日ご欠席の酒井委員にもう一度ご確認いただきまして、あとは分科会の先生方の所見のとり方の統一を図るような方向性でご検討いただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。 - 岡委員
これは前々から何回か話をしていてなかなか実現しないのですけれども、本日のような点について、年に1回は無理でしょうが、目合わせをするということです。これは三浦委員長が以前からご提案されていることですが、皆さんが集まる機会というのは数年に一回はあるわけで、そのときにこういう判断でやっている、こういう問題についてはこう考えているのだということを話す、あるいは議論するチャンスをできれば設けていただきたい。それによって、おそらくほとんどのことは解決するのではないかと感じております。 - 岸本委員
私も岡先生に全く同感です。分科会の先生方の中には、分科会の決定が小委員会で覆されているのではないかといって疑心暗鬼になっている放射線科の先生もいらっしゃるので、今、岡先生が言われたように、1年に1回でなくても2年に1回でも、画像等を見て意見交換会をやるような会は必要だろうと思います。 - 森永委員
画像は胸膜プラークだけだから、健常側で見て、胸膜プラークが「definite」か「probable」か「なし」かぐらいでいいのではないですか。 - 岸本委員
私もそう思います。 - 高田座長
そうしましたら、各委員のご意見が出ていますけれども、一度、目合わせのような形が可能かどうか検討いただくということでよろしいでしょうか。
では資料6の「中皮腫登録に関する検討会報告書(案)」について議論を進めさせていただきたいと思います。
1ページ目の「1.はじめに」のところは特によろしいでしょうか。
「2.中皮腫登録事業の方向性」のところでございますが、ご意見等ございますか。 - 永瀬委員
三上委員の代わりで参りました永瀬です。データベースの構築に関して、他の省庁で作られているものがあると思うのです。どのデータベースが統合的に使えるのかわからないのですが、経済産業省などがやっている「どこでもMY病院」とか、シームレスな地域医療連携で、HIS(病院情報システム)とつないで電子カルテから情報がとれるというシステムです。
そういうものと連携するとか、もしくは法制化に向かっております地域がん登録のデータベースの構築、あと学会レベルで外科学会等がやっておりますデータベースもございます。こういうものと連携していくことで、今、お伺いしていたような情報の一部が自動的にとれるようなシステムができると思います。そのようなご検討をしていただくと、地域がん登録の発展も含めて進むのではないかと思っております。 - 高田座長
貴重なご意見、ありがとうございました。 - 森永委員
中皮腫は診断が難しいものですから、診断根拠がわかる情報がないとだめなので、そういう意味では地域がん登録が一番有用だと思います。ほかのデータベースはあまり意味がないです。つまり、カルテに書いてある病名とかは全然意味がないのです。日本全国をカバーするという意味でも地域がん登録が最も大事だと思っています。 - 永瀬委員
そのとおりなのですけれども、ただ、院内がん登録の部分と連携が進んできている部分がございますので、元々は別個にやっているものですが、その中では病理と画像のほうも中に入れるようなことを考えられているようです。それが進展しますと、逆に言いますと診断するためのデータが大体そろってくる可能性があるかもしれません。ちょっと出しゃばった発言ですけれども、こういうことも考えられると、もしかするといい考え方が浮かんでくるのではないかと思ったのです。 - 高田座長
今の点につきまして、ほかにご意見ございますか。そうしましたら、地域がん登録事業の活用のところについては、ほかにご意見はよろしいでしょうか。 - 森永委員
報告書に関わることですが、患者さんが亡くなったら、亡くなった情報は、一応環境保全機構で今、把握できていますね。ですけれども、毎年どこで区切るか、つまり観察時点をどこで区切って、その年度の報告を出すかということを決めていかないといけない。その都度、その都度で締め切りが変わるとよくないので、今後こういう登録事業をするとき、つまり、予後のデータのときの締め切りが大事なので、それをどこか決めたほうがいいと思うのです。ただし、予後の情報はすぐに還元されないので、機構のほうも手間がかかりますから、そこは配慮していただかないと。つまり、生存期間の計算が毎年毎年変わるといけないので、考えたほうがいいと思います。 - 環境省(神ノ田室長)
確認ですけれども、先ほどの永瀬先生からのご提案、報告書にどういうふうに反映させたらいいかというところですが、資料6の2.の「(1)データベースの構築」のところに付記したほうがよろしいですか。ほかの既存のデータベースとのリンケージでしょうか、連携についても検討が望まれるというのは、技術的にそういうことができるのかわからないので、多分いろいろと検討は必要かと思うのですが、今、この場でできるとも書けないので、そういったことについても検討すべきであるとか、そのような文章を入れればよろしいのでしょうか。 - 永瀬委員
それでよろしいのではないでしょうか。経済産業省の報告会が確か2月の十何日だったかにあります。その中で出てきますが、希少疾患に対して、小児がんとかほかの希少疾患に対してのフォローアップ事業、長期の事業がございます。それらの中で電子カルテの中からどのようにデータベースに落としていくかというソフトウェア等も開発されてきておりますので、場合によっては、現実性が比較的早い段階に来る可能性があると思います。
ただ、HISに落とすという、電子カルテ化をするという作業が各病院のほうでできるかというところが一番問題点であると思いますので、そこがうまくいけば全国レベルでできる可能性があると思います。 - 環境省(神ノ田室長)
教えていただきたいのですが、名寄せみたいなこともできるのですか。Aさんのカルテ情報を入手したいという形で連携するということも可能なのでしょうか。 - 永瀬委員
病院間では可能です。一応VPN回線という形で個別回線を引くことがバーチャル上でできますので、通常のウェブサイトにつないで、特殊なデバイスを入れるだけなのですが、それでできます。
あともう一つ、そういう会議に私は出席させていただいているのですが、問題点は、条例で電子情報化することを禁止している都市や県があります。奈良県などですが、そういうところはデータベース化するときに障害となることがございますので、一度確認をされたほうがよろしいかと思います。 - 環境省(神ノ田室長)
あと先ほどの森永先生のご指摘はどうしましょうか。資料6の2.の「(2)医療機関等への還元」の一番下の行の「生命予後等について分析し」の具体的なやり方に関するご指摘かと思うのですが、それは報告書に反映させるのか、あるいは具体的な運用に当たって、運用時に検討させていただくという整理でよろしいか、その確認をさせていただきたいのです。反映させるとすればどういうふうに反映させたらいいのかというところです。 - 森永委員
反映させるとしたら、「治療予後」、「予後」という文言を入れておいたらよいのではないでしょうか。「治療予後等に関する情報を整理し」というような。
先ほどの補足ですが、これをきちんとやろうと思えば、機構のほうで仕事が1つ増えるわけです。そこを配慮してくださいということを言っているわけです。 - 環境省(神ノ田室長)
そこはしっかりとやりたいと思っていまして、例えば年末で切るとかそういうことですね。五月雨式に反映させるということではなくて、一時点で切って、その時点で亡くなった方の情報を入れるとか、その辺りは運用の面でいろいろ工夫できるかなと思いますので。 - 森永委員
報告書は「予後」を一言入れたら、それでいいと思います。 - 環境省(神ノ田室長)
わかりました。 - 高田座長
そのように入れていただいて、具体的運用については、また別に検討していただくということでよろしいでしょうか。
そうしましたら、次に2ページ目の「3.登録に係る体制」の「(2)病理標本の申請時の提出」ですが、既に議論がありまして、細胞診のみのときのパパニコロウ染色標本の提出というご意見もございました。また何か追加がございましたら、お知らせいただく形にしたいと思います。
次に3ページ目の「(3)個人情報の取扱い」ですが、こちらについては岡先生のご意見も反映されているということですが、いかがでしょうか。 - 岡委員
結構だと思います。 - 高田座長
そうしましたら、次に「4.登録項目」ですが、ご意見ございますか。先ほど森永先生のご意見が出ておりましたが、コメントがございましたらお願いします。 - 森永委員
ばく露歴については、今までは本人のアンケートで本人の答えたものだけしかないのです。ですから、それはすべてについて確認するのは大変なのですが、もう少し本当は考えていく必要があるかもわからないです。ここでやるかどうかは別にして。 - 小林委員
今、ばく露歴の確認についてお話がございましたが、確かに機構においても、ばく露歴の調査もできる範囲で行っていますが、これを充実させていくということについては限界もあるという気がしますので、やり方についてはいろいろ検討が必要かと思います。 - 森永委員
3ページ「(3)個人情報の取扱い」の中に、ばく露歴の情報も一緒に入れておいたほうがいいのではないでしょうか。ばく露歴の情報も活用することが想定されると書いていますから、同じことをもう一度「(3)個人情報の取扱い」の中にも、その情報も利用させてもらうと入れておいたほうがいいかと思います。 - 高田座長
そうしますと、(3)の2行目のところに、ばく露に係る情報も明記しておくような形でよろしいでしょうか。 - 岡委員
「診断名」の後にお入れになったらどうでしょう。「診断名、ばく露歴、治療内容等」と。そうすればよろしいように思います。 - 高田座長
そうしましたら、「5.おわりに」の部分ですけれども、こちらは何かございますか。他になければ、別添の登録シートは先ほどご指摘のあった点を修正していただくということで取りまとめをさせていただきたいと思います。ほかに全体的に今のご議論も踏まえてご意見等ございましたら、お願いいたします。 - 森永委員
この登録シートは、登録シート(案)になりますね。 - 高田座長
はい。他にご指摘事項はございますか。
そうしましたら、皆様、大体ご意見、ご指摘事項が出そろったと思いますので、今後、委員の先生方からいただきましたご指摘を報告書のほうにしっかり反映させていく作業が必要になると思います。修正につきましては、事務局と座長のほうで作業いたしまして、再度、委員の先生方に最終確認をしていただくという形で進めていきたいと思いますけれども、そちらでよろしいでしょうか。 - 全員
異議ありません。 - 高田座長
では以上で、本日の議事を終了いたします。最後に石綿健康被害対策室長より、ご挨拶をお願いいたします。 - 環境省(神ノ田室長)
本日は大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、また熱心にご審議をいただきまして、誠にありがとうございます。この検討会では昨年の12月以来、中皮腫登録事業の登録項目と具体的な内容につきましてご議論をいただいてまいりましたが、本日の会議をもって、おおむね報告書を取りまとめていただきまして、ありがたく思っているところでございます。
今後、環境省といたしましては、この4月から事業を開始できるように、報告書に基づいて準備を進めてまいりたいと考えております。また、登録された情報については、しっかりと集計、分析をして、医療の現場に還元をしていき、それによって、中皮腫の診断・治療を少しでも改善できるように努力してまいりたいと考えておりますので、今後も引き続きご指導いただきますように、よろしくお願いいたします。
高田座長をはじめ、委員の皆様方に重ねての感謝を申し上げまして、簡単ではありますが、お礼の挨拶とさせていただきます。 - 事務局
それでは、以上をもちまして、第2回「中皮腫登録に関する検討会」を終了させていただきます。委員の皆様におかれましては、昨年の12月から2回にわたりご審議いただきまして、誠にありがとうございました。
以上